時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

堺屋太一

エキスペリエンツ7 堺屋太一の団塊世代定年後ストーリー

エキスペリエンツ7 団塊の7人〈上〉 (日経ビジネス人文庫)エキスペリエンツ7 団塊の7人〈上〉 (日経ビジネス人文庫)
著者:堺屋 太一
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2008-12
おすすめ度:5.0
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団塊の世代 (文春文庫)団塊の世代 (文春文庫)
著者:堺屋 太一
販売元:文藝春秋
発売日:2005-04
おすすめ度:3.5
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『団塊の世代』から30年、団塊という言葉をつくった堺屋太一さんの未来小説。堺屋太一さんは最新作「凄い時代」で、高齢者就労による”シルバー・ニューディール”を提唱しているが、その未来予測小説がこれだ。

凄い時代 勝負は二〇一一年凄い時代 勝負は二〇一一年
著者:堺屋 太一
販売元:講談社
発売日:2009-09-02
おすすめ度:3.5
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団塊の世代が60歳を迎え、ごっそり退職する2007年問題が世間の注目を集めるようになってきているが、この小説はその団塊世代の7人が退職後、英知を結集して、意義のある仕事に取り組むというストーリー。

元銀行員、建築家、元広告代理店のイベントのプロ、流通業に強い元商社マン、NPO代表、そばやの女将さん、元銀行お抱え運転手の1946年から1949年(昭和21年から24年)生まれの7人がひょんなことから、共通の目的のため力を合わせることになる。

小説なので、あらすじを紹介してしまうと面白みがなくなるので控えるが、500ページ超の大作ながら、スラスラと読める。

元通産省の堺屋太一氏だけあって、経産省が非常に力を入れている駅前商店街の再生プロジェクトを題材にあげている。

実際様々な補助金が商店街にはあるのだが、それでも到底追いつかない様な状況の商店街が多い中で、このストーリーの様に再生できれば地域の活性化に役立つだろう、

この本の中で、高齢化には3種類あると。

第1は若者が出てしまって高齢者だけが残された残留型高齢化。地方の農村に多い

第2は多摩や千里のニュータウンの様に短期間に開発入居が行われたため、居住者の年齢の幅が狭い一斉高齢化

第3は長い期間に日本社会全体と同じ様なテンポで進む混合型高齢化

日本では第1と第2のタイプが先行したため、高齢化といえば農村型かニュータウン型を思い浮かべがちだが、第3のタイプは高齢化のテンポが全く異なると。

この理由から地域の再開発を商店街の再生と結びつけて推進しようとする。

それにしても感じるのはサラリーマンなど会社人は、会社をやめればただの人で良いのだろうかという点。

たしかにHappy Retirementという言葉もあり、会社をやめてからは、あくせく働きたくないという気持ちも分からないではない。

だからといって多くが無職か年収100万円程度の隠居仕事的なことをやっていて社会として本当に良いのだろうかという疑問がわく。

今の50代、60代は昔の40代、50代と同じくらいエネルギッシュである。パソコンも使えるし、インターネットにも親しんでいる人が多い。

日本社会の高齢化が進むなかで、今まで社会の中軸で活躍してきた人たちが60歳になったからといって、それから何十年も非生産階級になって良いのだろうか?

50代になっても、60代になっても自分のスキルアップを心がけ、様々な可能性に挑戦し、自分の能力開発を怠らない人たちこそ、日本社会に必要なのではないだろうか。

これが堺屋太一さんが言っている”シルバー・ニューディール”となるのだろう。


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団塊の世代「黄金の十年」が始まる 団塊の応援団 堺屋太一

団塊の世代「黄金の十年」が始まる (文春文庫)団塊の世代「黄金の十年」が始まる (文春文庫)
著者:堺屋 太一
販売元:文藝春秋
発売日:2008-08-05
おすすめ度:5.0
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2005年の冬は記録的な寒さだった。亡くなる人も100人を越えたという。当時ガソリンスタンドに行ったら、東京でも『灯油売り切れ』の看板が出ていた。

学生時代に読んだ本を思い出した。

政府のオペレーションセンター(?)の日本全国の現状を示す巨大パネルに、死者を示す赤い点がどんどんともっていく。堺屋太一氏の1975年のデビュー作『油断!』の一節だ。

石油ショック直後の日本にとって衝撃的な本だった。

堺屋太一氏は通産省の現役課長だった。たしか当初は覆面作家ということでデビューしたはずだ。

油断! (日経ビジネス人文庫)油断! (日経ビジネス人文庫)
著者:堺屋 太一
販売元:日本経済新聞社
発売日:2005-12
おすすめ度:5.0
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翌1976年、堺屋太一氏は『団塊の世代』を出版。『団塊』という言葉をつくり、ベビーブーマー世代が日本経済の成長の原動力となることを予言した。


団塊の世代

その堺屋太一氏が今度は、自らが名付けた団塊世代がリタイアするこれからの10年が、日本の黄金の10年となることを予言する。

図やグラフが多く、まるで教科書の様だ。わかりやすく、いろいろな情報が頭にスッと入る。

堺屋太一氏の戦後日本分析の主な論点である『55年体制』とか、『日本式経営』とか、『知価革命』とかもおさらいしている。

堺屋氏は早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授にもなっているので、教科書としても使っているのかもしれない。

タイトルの通り、団塊世代の強烈な時代変革力を信じる本だ。

いくつか印象に残ったポイントを紹介しよう。


2007年問題

団塊の世代が大量に60歳定年を迎える来年以降は、『2007年問題』が起こると言われている。2007年問題とは:

「団塊の世代が定年を迎えて、年金生活に入るので、年金負担は急増する。

多くの熟練者が引退するので生産現場は人手不足で技能の継承は困難になり、都心のオフィスは空きが増える。

日本の生産力は低下し税収は減るのに、高齢者に対する年金・医療の負担は重くなり、国家財政が悪化し、将来の不安だけ残る」

という現象が起こることだ。

またその結果、「社会保険料はもちろん、消費税や所得税も大幅に引き上げ、なおかつ高齢者年金は引き下げざるを得ない」こととなる。

堺屋太一氏は、この2007年問題というのは官僚予測であり、団塊の世代についての官僚予測はことごとく間違っていた。今回の『団塊お荷物論』も間違いであると言う。


団塊世代は金持ち、知恵持ち、時間持ち

別ブログで『57歳のセカンドハローワーク』を紹介した時に、日米のベビーブーマーの違いや、2007年問題についても紹介した。

団塊世代は昔の60代=老人というイメージはあてはまらず、エネルギッシュで、パソコンも使え、現役のビジネスマンとしてもやっていけるということを、堺屋さんもこの本で力説している。

一千百万人の1947年から1951年生まれの団塊世代は、かつてないほど活気にあふれる60歳代となり、金持ち、知恵持ち、時間持ちとして、新しい高齢者市場を創りだし、日本経済の発展に貢献するのだ。

日本の世帯あたりの平均資産(住宅資産・金融資産合計)は次のように年代が上がる毎に上がる。(本書から引用。もとは総務省の平成11年の全国消費実態調査より)

30歳未満    1,036万円
30ー40歳   2,044万円
40−50歳   3,422万円
50−60歳   4,995万円
60−70歳   6,358万円
70歳以上    6,947万円

平成16年度にも同様の調査が実施されている。結果は一部発表されている。

団塊の世代の世帯当たりの平均資産は5千万円、60歳代以上の6−7,000万円には及ばないが、それでも30歳代の2千万円(金融資産は1千万円弱のマイナス)、40歳代の3,500万円に比べて大変な高額だ。

団塊が行くところ、常に巨大市場が出現する。

『下流社会』で一躍有名になった三浦展氏の『団塊世代を総括する』でも、団塊世代は起業して若者を雇えと提言している。

資産持ち、そして知恵と時間持ちの団塊の世代がまた時代を変えるのだ。

職縁から人縁・地縁へ。各地で商店街の復活の動きがある。

時間持ちの団塊世代は地域復活の原動力にもなりうる。このストーリーを書いたのが、別ブログでも紹介した堺屋さんの『エキスペリエンツ7』だ。

エキスペリエンツ7 団塊の7人〈上〉 (日経ビジネス人文庫)エキスペリエンツ7 団塊の7人〈上〉 (日経ビジネス人文庫)
著者:堺屋 太一
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2008-12
おすすめ度:5.0
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団塊世代は年金兼業型低コスト労働力

2007年からは団塊の世代が定年を迎え、コストの安い『年金兼業型』の自由な労働力が出現し、日本経済の体質を根本的に変えることなる。

堺屋さんは経済企画庁長官の時に、『70歳まで働くことを選べる社会を!』ということを提唱した。

生産年齢とは昔も今も15歳から65歳となっているが、中学卒業で15歳で働く人はまれで、実体にあわない。

高学歴が定着し、知価社会化が進んだ今は現役世代の概念を引き上げ、22歳から70歳までに改めるべきであると。

60歳以上の世代が年金兼業型低コスト労働力となっている例として、堺屋さんはタクシー業界をあげる。

東京都のタクシー運転手の平均年齢はここ30年間で、32.4歳から55歳まで22歳も上がった。労働力の価格競争で高齢者が若者に競り勝ったのだ。

このタクシー業界の例を見るとちょっと複雑な心境となるが、少子高齢化の一つの打開策ではある。


江戸時代の知恵

堺屋さんは江戸の知恵を採用せよと。

権(権限)、位(階位)、禄(収入)をわけるのだ。

たとえば忠臣蔵では、朝廷から来る勅使の柳原前大納言をもてなす接待役に任命されたのが浅野内匠頭、接待指南役が吉良上野介だった。地位が一番高いのが柳原前大納言の従二位、次に吉良の従四位上、浅野は従五位。

ところが禄は柳原が220石、吉良が4,200石、浅野は53,000石で偉さと、収入が逆転していることがわかる。

同じく将棋の段位制も江戸の発明であると。年功で段位は上がるが、下がることはない。柔道も同じだ。

江戸時代は経済と人口が増えなかった中で、260年も泰平を保っただけに、すぐれた知恵があったのだ。

肩書きと収入をうまく使うことが、団塊世代の戦力化に重要である。


日本のアルゼンチン化

堺屋氏は、団塊世代の戦力化がうまくいかないと、日本の『アルゼンチン化』が始まるだろうと語る。

筆者は20代なかばにアルゼンチンで、会社の研修生として語学勉強と仕事をしていたので、ちょっと複雑な気持ちではあるが、堺屋さんの言うとおりだ。

アルゼンチンは20世紀初頭には世界でも有数の豊かな国だった。主にヨーロッパに穀物と牛肉を輸出して、特に第一次、第二次世界大戦中は終戦直前まで中立国として両陣営に食料を輸出して、大変裕福だった。

母を訪ねて三千里のマルコもイタリアのジェノバからアルゼンチンに出稼ぎに来ていた母を訪ねてくるのだが、今なら逆にアルゼンチンからヨーロッパに出稼ぎに行くことになるだろう。

日露戦争の日本海海戦で活躍した『日進』『春日』の両戦艦は、アルゼンチンがイタリアに発注していた戦艦を、当時の日英同盟の関係から、英国の口利きで日本に譲ったものだ。

またロンドン、パリに続き、世界で三番目に地下鉄ができたのがブエノスアイレスである。

筆者は賄い付きの下宿にいたが、下宿のおばさんは50年間、同じ電話番号を使っていると言っていた。

アルゼンチンの問題は、20世紀の前半がピークだったことだ。

地下鉄も100年近く新しい路線・駅が建設されず、日本の銀座線(日本で最初の地下鉄)で使われなくなった古い車両がアルゼンチンに輸出され使われていた。

また電話も20世紀初頭に各家庭までゆきわたっていたのだが、NECが1980年代初めに電話網を受注するまでは、電話がなかなか通じないので、秘書の仕事の一つは、つながるまで根気よくダイヤルを回すことだった。

ブエノスアイレスには電柱はなく、すべて電線は地下に埋没されていたが、雨が降ると電話線が濡れて、まず電話は通じなかった。

海底ケーブルや衛星通信で国際電話する方が、市内や長距離電話よりもよっぽどクリアーでよくつながった。

アルゼンチンの没落の原因は、古い産業(農業)での国際優位に安住し、生産性を高める努力を怠ったこと、首都ブエノスアイレスの一極集中を改めなかったこと、貧民を中心とした人気取りのため政策をころころ変える一方、特権階級は汚職・税金逃れで、ぬくぬくと優雅な生活を送っていたことなどだ。

日本も真剣に改革に取り組まないと、22世紀は「貧しい大阪から豊かな上海に出稼ぎに行く」ということになりかねないと。


最後に団塊世代への堺屋太一氏のアドバイス

本書の最後に『団塊』の名付け親の堺屋氏からのアドバイスが記されている。

1.好きなことをみつけて10年打ち込む
2.再就職に成功する方法
3.満足の尺度を変えよう
4.すべては「自分のため」に

300ページの本であるが、スラスラっと読める。読んで納得!の書であった。


参考になれば次クリックお願いします。



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