時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

カーネギー

成りあがり 永ちゃんこと矢沢永吉の激白集 



見城さんの本で、当時の角川春樹社長に言われて、小学館から出ていた矢沢永吉(永ちゃん)の単行本「成りあがり」の文庫化を実現したと書いてあったので読んでみた。

筆者は大体1日1冊のペースで本を読んでいるが、めったに本は買わない。本当に手元に置いておきたい本は限られるからだ。

その筆者が図書館から借りた本を読み終わる前に買ったのがこれだ。

まったくぶっ飛んだ。

「取材構成 糸井重里」と書いてあるので、糸井重里がインタビューをプロデュースしたのだろう。まさに永ちゃんの本音、そのものズバリが書かれている。

永ちゃんの生い立ち(広島生まれだが、実母は3歳の時に出奔、父は2年生の時に病没)、親類をたらいまわしされて、やっかいものとして、なんとか高校を卒業したこと、おばあさんを唯一の肉親として育ったこと、貧乏で小学校6年生くらいから新聞配達や牛乳配達をやって食べていたこと、中学2年くらいからラジオで音楽を聞きだし、映画館のフィルム運びをやりながら発声練習していたこと、高校生のころから独学で音楽を学んで作曲していたことなどが語られている。

そして永ちゃんが「10回くらい、リフレインで読んだよ」という本が、友達のお姉さんが勤めていたキャバレーチェーンの社長がくれたカーネギーの「人を動かす」だ。永ちゃんが高校生の時だ。「えらく気に入ってね、キザに友達の誕生日に贈ったりしたよ」と。

人を動かす 新装版
デール カーネギー
創元社
1999-10-31


「『ああなるほど。なるほど。一理あるな。一理いえるな』と感じたわね。」

「たまに女房に花を買って帰るというのも、カーネギーの影響かもしれないね。多少」。

「ともかく、10回以上も読んだものな」。

なんと永ちゃんもカーネギーに影響受けているんだ。

永ちゃんは、「BIGになる」という強い意志を持って、高校卒業と同時に上京し、横浜で活動し始めた。

いろいろなアルバイトをやりながら、メンバーを集めてバンドを結成、3番目のバンドのヤマトで横浜のディスコやキャバレーで演奏していた。

そしてヤマトを解散し、内海利勝ジョニー・大倉と一緒に始めたのがキャロルだ。キャロルがレコードデビューするときには、ミッキー・カーチスがプロデューサーとしてかかわったが、契約があまりにもキャロルに不利な契約なので、後で永ちゃんはミッキーを切った。

キャロルは1972年7月に横浜市立大学の講堂で練習を始め、その年の冬にレコードデビュー、そしてスターダムにのし上がった後、永ちゃんと他のメンバーの考えが離れ、1975年4月の日比谷野外音楽堂のラストライブで解散した。



その間のことは、この本よりもジョニー・大倉の「キャロル 夜明け前」に詳しいので、これも追って紹介する。永ちゃんとしては、ギャラは4等分。何の文句があるんだというところだろうが、他のメンバーの思いは違う。

キャロル 夜明け前
ジョニー大倉
主婦と生活社
2003-10


キャロル解散後、永ちゃんはソロ活動を始め、この本の単行本が出た当時は、年間150回ステージに立ち、その間にレコーディングしている。

なぜ?150を50にしないのか。その方が楽だし。どんでもない。簡単な理由よ。

ロックはまだまだメジャーじゃない。やっと矢沢永吉という人間が少しずつ頭を持ち上げてきた。日本じゃその程度だ。これは、やっている本人にしかわからない。

フォークは、定着しかけている。でもオレたちばまだまだ、もがいてももがいてもそこまでできていないと思う。

150ヵ所でも少ないと思っている。

本当に引き込まれる本だ。

こんな話も載っている。

キャロル結成前、永ちゃんが金がないときに、親しらずが悪化して1か月くらい口も開けられないことがあった。日大病院に行ったら、1万円取られて、ろくに治療もやってもらえなかった。

それで有り金全部持って、奥さんの肩につかまって、御茶ノ水の医科歯科大に行って、教授に事情を話したら、基本料金だけで治療してもらえた。インターンの研究材料になったけど、ともかく注射代、レントゲン料金とかすべて無料にしてもらった。

永ちゃんはいう。やっぱり、オレ、あの時つくづく思ったね、国立と私立の差だね。

あの時、オレ、倅は私立に入れるのやめようと思ったね…。

この本は昭和53年に小学館から単行本として出版され、昭和55年に角川文庫で文庫化されている。

平成16年には改版され、筆者が買った本は平成27年9月15日発行の改版27刷だ。これだけ売れると角川書店も小学館も、ウハウハだろう。見城さんの置き土産だ。

改版されて無くなったのが、冒頭の永ちゃんの言葉だ。

初版には「すみ子、栄一郎、寛十郎、そして、もうすぐ生まれる子供に、贈る。」となっているが、改版にはない。

永ちゃんの私生活はよく知らないが、再婚しているから、前の奥さんとその子供たちへのメッセージは消したのだろう。

糟糠の妻を棄てた、という見方もできるが、永ちゃんが世界的にビッグになるためには、ハーフだという英語のできる奥さんが必要だったようにも思われる。

100万部以上のベストセラーだけあって、楽しく読める。筆者自身もそうだが、矢沢永吉「食わず嫌い」の人にもおすすめできる本である。


参考になれば次クリックお願いします。


祝!資生堂社長就任 こころを動かすマーケティング 前日本コカコーラ会長の魚谷さんの本

2013年12月26日再掲


前日本コカコーラ会長の魚谷さんが資生堂の社長に就任した。ブランド力、マーケティング力不足で悩む資生堂の救世主として見込まれたものだ。

これからは日本の経営者も二期作、三期作に耐える人材が出てくるという証(あかし)だと思う。

魚谷さんへのエールを込めて魚谷さんの「こころを動かすマーケティング」のあらすじを再掲する。

2012年2月23日初掲:
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられるこころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
著者:魚谷 雅彦
ダイヤモンド社(2009-08-07)
販売元:Amazon.co.jp
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日本コカコーラ会長の魚谷さんのコカコーラのマーケティング解説。


魚谷さんの経歴

魚谷さんは留学制度がある会社ということでライオンに入社し、コロンビア大学でマーケティングを学び、MBAを取得。

ニューヨークでコミュニケーションとプレゼンテーションの能力を磨くためにデール・カーネギー・スクールで毎週2回、夜7時から10時まで学んだという。ここにもカーネギーに学んだ人がいた。

帰国後30歳でライオン最年少のプロダクトマネージャーとなる。プロダクトマネージャーの仕事は、机に向かってするものだけではなく、朝から晩まですべての時間が仕事の時間だとライオンの先輩にたたき込まれた。

常に問題意識を持つ、何故だろうと考え、電車に乗る人を観察、テレビコマーシャルを見て、世の中の変化を敏感に感じ取るのだと。最初に入社したライオンには今でも感謝していると。

その後シティ・バンク、欧州食品メーカーからフィリップモリスグループのクラフト・ジャパンの代表取締役副社長、そして1994年に39歳で日本コカコーラにマーケティング担当のシニア・ヴァイスプレジデントとして入社する。

以下に述べるようにマーケティングで鮮烈にデビューし、一度営業を担当した後、マーケティングに戻り、2001年に日本人としては26年ぶりに社長に就任する。

2006年に社長を退き、会長となり、自分の会社のブランドヴィジョンを設立し、現在はNTTドコモの特別顧問も兼務している。


コカコーラのマーケティング

最初に「よく驚かれる事実」として、コカコーラは日本で毎日5,000万人に製品を売っていることを紹介している。

自動販売機で2,000万人(全国で250万台ある自動販売機のうち100万台がコカコーラの自動販売機)。スーパーやコンビニで1,600万人。マクドナルドなどのファーストフードやレストランで900万人。これで合計5,000万人となる。

コカコーラは1886年アトランタの薬局で薬剤師をしていたジョン・ペンバートン博士が発明し、シロップを水に混ぜて「コカ・コーラ」というブランドで売り出した。ある時、間違えて炭酸水を混ぜたら、よりおいしいということで現在のコカ・コーラが誕生した。

120年前から同じ物が、世界200国以上で売られ、世界ナンバーワンのブランド価値を誇っている。

ブランドをintrisic value(基本的な価値)とextrinsic value(付帯的な価値)に分けると、味やボトルなど基本的な価値は100年以上変わっていないが、付帯的情緒的な価値は時代に合わせて大きく変化したという。

現在のコカコーラの企業ビジョンは"Live positively"だ。

コカコーラは世界各地で「ボトラー」と呼ぶディストリビューター/ボトル詰め会社ネットワークを持っており、日本にも有力企業との合弁会社を中心に最大18社のボトラーネットワークを持っていた。

コカコーラ全体では全世界で90万人が働いており、日本でも2万3千人が働いているが、日本コカコーラはマーケティング(広告宣伝)専門の会社なので、社員は550人しかいない。

この本では魚谷さんが担当したコカコーラの様々な製品の広告宣伝が紹介されていて興味深い。


まずはジョージアの立て直し

魚谷さんが入社した当日から課題として出されたのは、コーヒーのジョージアだ。1975年に発売されたジョージアは味の良さに強力な流通網が加わり、一時は40%を超えるトップシェアを持っていたが、次第にシェアを失いつつあった。

認知度調査をしてみると、シェアが10%のサントリーのBOSSが一番で、トップシェアのジョージアは2位という結果が出た。

入社して1週間で(社長のOKを取り付けて)、既に大手広告代理店に決まっていた巨額の撮影費用が掛るアメリカの飛行場でのCM撮影をキャンセル。バックに「ジョージア・オン・マイ・マインド」が流れるマンネリのブルーカラーをターゲットとした広告案だったという。広告代理店社内で、とんでもないヤツがきたと、大変な騒ぎになった。

急遽CMを作り直すことになり、広告代理店をすっとばしてJRエクスプレスのCMを作っていた製作会社TYOの早川和良さんに直接1週間で考えて欲しいと依頼に行く。前職での広告の評判が良く、尾崎豊の"I love you"を使った早川さんのCM作品が心に残っていたからだという。



タレントのダンカンがサラリーマンに扮したCMは好評だった。次にたけし軍団を使ったCMを企画するが、たけしのバイクの交通事故でCMはキャンセル。そこで思い立ったのが、飯島直子を使ったサラリーマンをターゲットとする「男のやすらぎキャンペーン」だった。



ブルゾンをプレゼントするキャンペーンには4,400万通の応募があり、ジョージアのシェアは一挙に53%にアップした。成功できたのは、徹底的にターゲットとなる生活者をイメージしたからだと魚谷さんは語る。


お茶飲料

次にお茶を立て直す。魚谷さんの入社した当時はコカコーラはウーロン茶で「茶流彩彩」というブランドを持っていたが、トップのサントリーに全く勝負にならなかった。

「何をやらないかを決めるのも戦略である」とビジネススクールで教わったことを思い出して、ウーロン茶でなく、健康イメージのある「爽健美茶」で勝負した。市場調査は福岡の3日間だけだったという。2人の若いマーケターが確信を持って進めたマーケティングが成功したのだ。アカペラのコマーシャルはモデル選びが難航したが、最後の体育大生が全員のイメージと一致したという。

次は紅茶だ。マーケティングで「平均点のマーケティングは失敗する」と学んだので、女性をターゲットにリッチなミルクティーというコンセプトで「紅茶花伝」をつくりだした。

生の牛乳を使うことは技術的に難しかったが、これを克服して、一回り小さい缶にして本格派のミルクティーを売り出した。

ほとんどプロモーションをしなかったにもかかわらず一位となり、紅茶飲料のトップブランドだった「午後の紅茶」がミルクティーを売り出してきても一位は全く揺るがなかったという。

この成功でマーケティングに於ける細分化とセグメンテーションの重要性、そして一旦一位になると簡単には変わらない「一番手の法則」を学んだという。

アメリカの広告代理店の経営者が書いた「ポジショニング戦略」という本が参考になったという。

ポジショニング戦略[新版]ポジショニング戦略[新版]
著者:アル・ライズ
海と月社(2008-04-14)
販売元:Amazon.co.jp
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この本のなかで、「大西洋を2番目に単独飛行した人は誰でしょう?」という質問がある。誰もが一番めのリンドバーグは知っているが、2番目のバート・ヒンクラーの名前は誰も知らない。

どこか一点訴求できる独自の価値を見つけ、自ら新しいカテゴリーを作って差別化できるポジショニングを作り出す。これがマーケターの腕の見せ所だと。


営業起点のマーケティング

魚谷さんはマーケティングの専門家だが、一時社長の指示でコカコーラの営業を担当した。「リレーションベースの営業」と呼ばれていた営業を、「戦略的な営業」に変えるためだ。

社長には「リレーションベースの営業」と呼ばれて居るぞと営業マンに檄を飛ばし、ドラッカーの「マネジメント」の教えに従い、ビジネスプロセスの起点を「お客様」として、当時17社あったボトラー社と営業が「協働マーケティング」に乗り出し、「お客様は誰か」ということからスタートした。17社全部からそれぞれの地域のマーケティングプランを出し、1週間掛けて日本コカコーラへのプレゼンテーションを行ったという。

その結果、圧倒的なシェアを誇る九州地区でジュースが弱いことがわかり、「お客様」である子どもが楽しく飲めるように、キャラクターをつくり、上手い物を飲んだときに出る「クーッ」という声をブランド名にした「QOO」をつくった。



QOOはあっという間に全国に広まり、今やアジアでも販売されている。

かつて日本コカコーラの社長を務めたことのあるオーストラリア人が2000年にCEOに就任すると、一時は日本のCMでさえアトランタの本社のOKを取る必要があるくらい中央集権的だったコカコーラが日本に学べということで、世界各国のトップが日本を訪問してくることになる。

日本法人の社長もオーストラリアのトップを務めていたアメリカ人女性に代わり、魚谷さんは社長と二人三脚で日本コカコーラの経営を担う。


広告メディアバイイングと広告クリエイティブの分離

魚谷さんが入社してすぐにジョージアを担当した時に、メディア購入とクリエイティブを別々に切り離し、仕事の質・量に応じてフィーを払うというやり方に変えた。日本の広告業界に激震をもたらしたという。

それまではメディア購入のつけたしのような広告クリエイティブの存在を広告クリエイティブとして正当に評価することにしたのだ。

一つ一つの広告をしっかり評価してベンチマーキングする。年に一度代理店やクリエイターとレビューを行い、それぞれの担当者にも評価させる、という透明性を高めたシステムとした。

日本コカコーラでは広告を費用とは考えず、投資と考えているから、投資リターンを正確に把握する必要があるのだ。

このようなメディア購入とクリエイティブ分離、評価システム導入の結果、大幅に取引が減る広告代理店があった。魚谷さんが出向いて先方の社長に伝えた。社長のショックを受けた顔を今でも忘れられないという。

最後に新たにメディ購入を一手に引き受けて貰う広告代理店を訪問した。この代理店がジョージアの「明日があるさキャンペーン」を提案した会社だった。


ジョージアの再・立て直し



実はジョージアのコンペでは、当初この代理店は入っていなかったという。無理矢理追加して入れても、第一回目のコンペでは最低評価だった。魚谷さんが断りを入れると、先方の営業次長は「1週間待ってくれ、プレゼンの時間は他社の半分でいい」ということで食い下がる。「営業は断られたときから始まる」だ。

期待しないでプレゼンを受けてみると、前回とは全く違ったものだった。「明日があるさ」キャンペーンの原形で、出演は吉本興業のオールキャスト、CMに近いビデオ映像まで作ってきたという。

魚谷さんはこのとき人の心は動かせるのだと思ったという。あの代理店の次長は、最初の第1回目の審査で負けて、社内にあきらめムードが出たところを、1週間という短い時間で立て直した。

社内の人の心を変えたからこそ、クライアントの心も変えることができた。これこそマーケティングだと思ったという。

このCMは日本コカコーラの歴史でも初めてACC賞グランプリを獲得し、CMからドラマや映画が生まれ、CD発売、吉本興業のオールキャストがNHKの紅白歌合戦に出場するという企業広告を遙かに超えた幅広い展開ができたという。

缶コーヒーのCMがみんなに元気を与えたと評価されたのだ。


最後はコカコーラ

魚谷さんのマーケター最後の仕事はコカコーラのマーケティングだ。それまでの「スカッとさわやか」から「No Reason」というサザンを使ったコマーシャルを導入した。


"No Reason"という標語はアトランタ本社からクレイムがついたが、女性社長が本社に説明してくれてキャンペーンはスタートした。

担当した広告代理店では社内でもコンペを行い、トップクリエイター達が考えたのもサザンだったという。コカコーラはそれまでサザンを起用したことはなかったが、桑田さんの書き下ろしの曲「波乗りジョニー」も、桑田さん自身のCM出演も大変な盛り上がりとなった。

多くの人、関係者を巻き込んだマーケティングの成功例だ。


日本コカコーラの社長に就任

2001年に"No Reason"キャンペーンが成功すると、10月に魚谷さんは47歳で社長に就任した。同じ外資系の日本IBM会長の椎名武雄さんに乾杯の音頭をお願いしたという。椎名さんの"Sell IBM in Japan. Sell Japan in IBM"という標語は、魚谷さんもまさに同感だからという。

社員には本人の名前入りメッセージ集の「こころざし読本」を配布し、共通の価値観である"Fun & Excitement"を共有した。

新商品の提案はA4の紙一枚。説明は3分を流儀にしたという。

日本全国で250万台ある自動販売機のうち100万台がコカコーラの自動販売機で、ジョージアの販売のために世界に先駆けてホット・コールド切り替え自動販売機を導入した。元々自動販売機網を拡大したのは、1980年代に社長だったオーストラリア人のトップが、ボトラーの意見を聞いて決断したという。

自動販売機をおサイフケータイ対応として会員登録とあわせてマーケティングデータを取得できるようになった。

日本コカコーラの会長となり、ドコモの顧問に就任してからは、One docomoという各組織を代表する300名ほどのブランド推進リーダー組織をつくった。日産のクロスファンクショナルチームと同様の考えだ。

日本企業はもっとマーケティング経営力を高めていくべきだと魚谷さんは語る。最後にマーケティングに絶対の原理はなく、先回りして新しいニーズをつくることも重要だと語っている。

このブログのように実際の広告を振り返りながら読むと大変楽しめる本である。


参考になれば次クリックお願いします。


心を整える。 日本代表ゲームキャプテン・長谷部の本 

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
著者:長谷部誠
幻冬舎(2011-03-17)
販売元:Amazon.co.jp
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アマゾンで売れ行き一時トップ(2011年6月20日現在)の日本代表ゲームキャプテン・長谷部誠の本。

長谷部のミスチルベスト15あり、愛読書あり、さらに印税を全額地震被害者のために寄付することもあって、カッコイイということで女性にもよく売れているようだ。

長谷部は2010年夏のワールドカップの2週間前に岡田監督からゲームキャプテンに指名された。チーム全体のキャプテンは川口能活、長谷部の前のゲームキャプテンは中澤佑二だった。

長谷部は当時26歳。チーム内で年長の選手が多くいた。一度は、チームに対する影響が大きすぎると岡田監督に辞退を申し出る。岡田監督はすぐに中澤を部屋に呼び、話し合った結果、長谷部にやはりゲームキャプテンをやって貰うという決定となった。

「やはりゲームキャプテンはオマエにやってもらう。オマエは誰とでも分け隔てなく話せるし、独特の明るさがある。何か特別なことをやろうとしなくていい。いままでやっていたとおり、普通に振舞ってくれ。」

岡田監督にはこのように言われたという。

この本のタイトルは「心を整える。」だ。試合で実力を出すために、いわばピアノを調律するように。心を調律して良いパフォーマンスを生み出すのだ。そのための56の習慣を紹介している。

長谷部は静岡県出身。藤枝東高校で2001年の国体に準優勝し、浦和レッズにスカウトされる。レッズでは2年目からレギュラーに定着し、2003年のナビスコカップで優勝、2007年にはACLで優勝し、一躍国際スカウトに注目される。

2008年にドイツのヴォルフスブルグに移籍して、翌2009年ブンデスリーガで優勝。



ヴォルフスブルグはフォルクスワーゲンの工場がある場所で、サッカーチームのスポンサーもフォルクスワーゲンだ。

筆者は最初の米国駐在の時に、家内用にフォルクスワーゲンのジェッタを持っていた。当時は米国製のフォルクスワーゲンも販売されていたので、西ドイツ製のフォルクスワーゲンは「ヴォルフスブルグ・エディション」というプレートが付いていた。

長谷部はMFとしてブンデスリーガでプレーを続けており、最近ヴォルフスブルグとの契約を2014年まで延長した。長谷部というとあまり目立たない選手という印象が強い。遠藤の様にフリーキックを蹴るわけでもないし、かつての小野伸二のようなキラーパスがあるわけでもない。

それでいてチームになくてはならないの攻守の要となっているのが、長谷部がブンデスリーガで4年もレギュラーを張っており、日本代表でもゲームキャプテンとなっている理由だろう。

ヴォルフスブルクのディレクターは長谷部の90分間のポジショニングを見て、感心して次のように評しているという。

「長谷部は組織に生まれた穴を常に埋められる選手だ。とても考えてプレーしているし、リーグ全体を見渡しても彼のような選手は貴重だ。」


長谷部の肉声が伝わる本

この本は長谷部の肉声が伝わるような本だ。

高校3年になってやっと藤枝東のレギュラーになれた長谷部にレッズからオファーが来た。両親は大学進学を勧め、高校生からのプロ入りに反対したが、そんな長谷部に、「じいちゃん」が言った。

「マコト、人生は一度しかないんだよ。男なら思いきって挑戦するべきではないのか」

長谷部の名前は誠実の「誠」だ。スパイクにはじいちゃんの「松」と自分の「誠」を刺繍で縫いつけているという。

長谷部のじいちゃんは松太郎という名前で、既に亡くなったが、スパイクの内側に刺繍を縫いつけることで、いつもじいちゃんと一緒だという気持ちでいるという。

試合でサイドラインを超える時に、長谷部は天を見上げているが、いつも「じいちゃん、今日もよろしく」と心の中で言うのだと。

「昔気質(むかしかたぎ)」なところが、長谷部の魅力なのだと思う。


「心を整える」56の習慣

この本ではいかにも誠実で努力家・勉強家の長谷部らしい「習慣」、エピソードが紹介されている。アマゾンのなか見!検索には対応していないので、目次を紹介しておく。

第1章 心を整える。
 01 意識して心を鎮める時間を作る。
 02 決戦へのスイッチは直前に入れる。
 03 整理整頓は心の掃除に通じる。
 04 過度な自意識は必要ない。
 05 マイナス発言は自分を後退させる。
 06 恨み預金はしない。
 07 お酒のチカラを利用しない。
 08 子どもの無垢さに触れる。
 09 好きなものに心をゆだねる。
 10 レストランで裏メニューを頼む。
 11 孤独に浸かるーひとり温泉のススメ

第2章 吸収する。
 12 先輩に学ぶ。
 13 若手と積極的に交流する。
 14 苦しいことは真っ向から立ち向かう。
 15 真のプロフェッショナルに触れる。
 16 頑張っている人の姿を目に焼きつける。
 17 いつも、じいちゃんと一緒。

第3章 絆(きずな)を深める。
 18 集団のバランスや空気を整える。
 19 グループ内の潤滑油になる。
 20 注意は後腐れなく。
 21 偏見を持たず、まず好きになってみる。
 22 仲間の価値観に飛び込んでみる。
 23 常にフラットな目線を持つ。
 24 情報管理を怠らない。
 25 群れない。

第4章 信頼を得る。
 26 組織の穴を埋める。
 27 監督の言葉にしない意図・行間を読む。
 28 競争は、自分の栄養になる。
 29 常に正々堂々と勝負する。
 30 運とは口説くもの。
 31 勇気を持って進言すべきときもある。
 32 努力や我慢はひけらかさない。

第5章 脳に刻む。
 33 読書は自分の考えを進化させてくれる。
 34 読書ノートをつける。
 35 監督の手法を記録する。

第6章 時間を支配する。
 36 夜の時間をマネージする。 
 37 時差ボケは防げる。
 38 遅刻が努力を無駄にする。
 39 音楽の力を活用する。
    コラム ミスター・チルドレン ベスト15
 40 ネットバカではいけない。

第7章 想像する。
 41 常に最悪を想定する。
 42 指揮官の立場を想像する。
 43 勝負所を見極める。
 44 他人の失敗を、自分の教訓にする。
 45 楽な方に流されると、誰かが傷つく。
 
第8章 脱皮する。
 46 変化に対応する。
 47 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
 48 異文化のメンタリティを取り入れる。
 49 指導者と向き合う。

第9章 誠を意識する。
 50 自分の名前に誇りを持つ。
 51 外見は自分だけのものではない。
 52 目には見えない、土台が肝心。
 53 正論を振りかざさない。
 54 感謝は自分の成長につながる。
 55 日本のサッカーを強くしたい。
 56 笑顔の連鎖を巻き起こす。

最終章 激闘のアジアカップで学んだこと


この目次だけ読んでも、まじめな長谷部の性格が感じられると思う。


勉強家の長谷部

この本のところどころに、長谷部が影響を受けた本の言葉が引用されている。それは京セラ創業者の稲盛和夫さんだったり、松下幸之助だったりする。

たとえば稲盛さんの次のような言葉を引用している。

「判断に迷った時は、人として正しいかどうかを考えるようにしている」

以前読んだ稲盛さんの本では、「動機善なりや、私心なかりしや」と常に自問すると書いてあった。これと同じような言葉だ。

だから長谷部は監督にも進んで進言するという。「自己保身のために言わないことの方こそ、正しくない行動のはずだ」と思うからだという。

2010年ヴォルフスブルクの監督に就任したばかりの英国人マクラーレン監督にもボランチのポジショニングについて意見を言ったという。

こんな時に長谷部が意識しているのは「上から目線」にならないようにすることだと。監督が腹を立てたら考えも聞いてもらえず、干されてしまうかもしてない。チームのために進言しているという思いを伝えなければならないのだ。

この辺の一途さが岡田監督からゲームキャプテンに指名された理由の一つだろう。


33読書は自分の考えを進化させてくれる

この本の33番目の習慣が読書だ。長谷部は当初は東野圭吾とか宮部みゆきとかの人気作家の小説をよく読んでいたが、デール・カーネギーの「人を動かす」を読んでから、哲学系の本が圧倒的に増えたという。

ドイツではひとりでいる時間が増え、よりサッカーや人生のことを深く考えるようになったことも関係している。

読書は人前で話す機会が多いサッカー選手にとって、言葉のセンスを磨く上でも重要だという。

長谷部の推薦するのは次の本だ。このブログでもあらすじを紹介しているので、題名をクリックして参照してほしい。

松下幸之助の「道をひらく」

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
PHP研究所(1968-05)
販売元:Amazon.co.jp
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姜尚中(カン・サンジュン)の「悩む力」

悩む力 (集英社新書 444C)悩む力 (集英社新書 444C)
著者:姜 尚中
集英社(2008-05-16)
販売元:Amazon.co.jp
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太宰治の「人間失格」(リンクは「人間失格」に触発された押切もえの「モデル失格」)

人間失格 (集英社文庫)人間失格 (集英社文庫)
著者:太宰 治
集英社(1990-11-20)
販売元:Amazon.co.jp
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「アインシュタインは語る」

アインシュタインは語るアインシュタインは語る
大月書店(2006-08)
販売元:Amazon.co.jp
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これは筆者のコメントだが、アインシュタインの伝記の決定版ともいえるものが、6月に出版されている。アインシュタインの手紙の断片を編集した「アインシュタインは語る」よりアインシュタインの考え方や人柄がわかるので、こちらをおすすめする。(ただし下巻はミスにより刷り直しとなって近々再発売される

アインシュタイン その生涯と宇宙 上アインシュタイン その生涯と宇宙 上
著者:ウォルター アイザックソン
武田ランダムハウスジャパン(2011-06-23)
販売元:Amazon.co.jp
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アインシュタイン その生涯と宇宙 下アインシュタイン その生涯と宇宙 下
著者:ウォルター アイザックソン
武田ランダムハウスジャパン(2011-06-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

斉藤茂太「幸せを呼ぶ孤独力」

幸せを呼ぶ孤独力―“淋しさ”を「孤独力」に変える人の共通点幸せを呼ぶ孤独力―“淋しさ”を「孤独力」に変える人の共通点
著者:斎藤 茂太
青萠堂(2005-12)
販売元:Amazon.co.jp
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長谷部は「読書ノート」をつけて、気に入った文を抜き書きしているという。心の点検もしているのだと。

ちなみに本田圭祐も白洲次郎の本を読んでいたという。

白洲次郎 占領を背負った男白洲次郎 占領を背負った男
著者:北 康利
講談社(2005-07-22)
販売元:Amazon.co.jp
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長谷部の「監督ノート」

長谷部は今は現役選手だが、いずれは引退する。その時のために2年前から「監督ノート」をつけ始めているという。自分が出会った監督が、どのようにチームをマネージしているのかを記録しているという。

また他の選手から聞いた他の監督の練習方法や、本やテレビなどで見たサッカー以外のスポーツの練習方法でも参考になりそうなものは記録しているという。

注目すべき点は多いという。たとえば:

・シーズン前の合宿ではどのようにしてチームの組織を構築するのか
・遅刻したときの罰金の額
・携帯電話やゲーム機の使用制限
・GM(ゼネラルマネージャー)との関係の作り方
・スポンサーへの対応
・ファンやマスコミへの距離感
・どんなスタッフを揃えるか
・試合に向けてどのような練習をするのか
・練習の時間配分
・練習メニュー

この本の38番目の習慣は「遅刻が努力を無駄にする」だ。長谷部は練習の1時間前には着くようにしているという。時差対策も日本への帰国の一週間前から就寝時間を少しずつ早めるという。いかにもまじめな長谷部らしい習慣だ。

ちなみに筆者の時差調整のやり方は、東へ向かう場合は(日本→北米など)機内で眠るが、西へ向かう場合(北米→日本など)は、機内では寝ないで無理矢理時差調整をする。

飛行機に乗ったらすぐに時計を到着地の時間に合わせるというのも、頭の切り替えに役立つと思う。


長谷部はミスチルファン

この本には長谷部によるミスチルベスト15なども載っていて、ミスチルのことが、いろいろなところで出てくる。試合前の移動中のバスの中でもいミスチルは不可欠なのだと。



「ニーチェの言葉」にドキッとする

このブログでも紹介した「ニーチェの言葉」とか、ワタミの渡邉美樹さんの本のこととかも出てくる。

超訳 ニーチェの言葉超訳 ニーチェの言葉
ディスカヴァー・トゥエンティワン(2010-01-12)
販売元:Amazon.co.jp
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きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉
著者:渡邉 美樹
日本経済新聞社(2006-09)
販売元:Amazon.co.jp
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「ニーチェの言葉」の中で「脱皮して生きていく」という言葉にドキッとしたという。ワールドカップ直前に、岡田監督の戦術変更を受け入れられない自分に気が付いたという。

2008年のアルゼンチンのボカ・ジュニアーズとの試合では、ボカの選手のワンプレー、ワンプレーに魂がこもった試合態度に圧倒されたという。ボールを失ったら、すごい気迫で奪い返しに来るという。ユニフォームを引っ張るのも当たり前。スタンドに来ているスカウトに必死にアピールして、わずかな可能性も逃さないという真剣な態度だ。

長谷部はボカの選手を見て、自分の未来は自分で勝ち取るのだという単純なことに気づかされたという。長谷部はボカ戦で、海外移籍を本気で考えるようになり、異文化のメンタリティを積極的に自分になかに取り組むことを意識するようになったという。



筆者はブエノスアイレスに2年間住んでいて、トップクラブ「リーベル・プレート」の会員だったので、リーベルとボカの試合も見た。日本でいえば巨人・阪神戦のような感じで、ちょっとハイソなリーベル、下町のボカという立ち位置だ。ブエノスの貧民地区出身のマラドーナもボカに憧れ、一時在籍したこともある。


長谷部の誠実な性格が伝わってくる本だ。正直あまり長谷部のゴールは記憶にない。あまり目立たないが、日本代表の常連としてチームには不可欠な選手なのだろう。

著者の誠実さといい、気持ちのこもった内容といい、売れる要素満載の本だ。


参考になれば次クリック願う。



一生モノの勉強法 京大人気教授の知的ノウハウ

一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ
著者:鎌田 浩毅
東洋経済新報社(2009-04-03)
販売元:Amazon.co.jp
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真っ赤な革ジャンと真っ赤なズボンなどといったドハデな服装で登場する京大の火山学の鎌田浩毅教授の勉強法。

新燃岳の噴火でテレビに鎌田教授が登場するかと期待していたが、いまのところNHKとかには登場していないようだ。ハデ過ぎてNHKが敬遠しているのかもしれない。

はじめに鎌田教授のドハデ戦略について説明している。専門の火山の話を聞いて貰うにあたり、まず鎌田浩毅という人間に注目して貰うためにファッションに気を配っているという。

鎌田教授は「週刊東洋経済」で以前は「一生モノの古典」、現在は「ビジネスパーソンのための地球科学入門」という2ページもののコーナーを書いている。最近「座右の古典」として出版された「一生モノの古典」のまとめかたには感服した。

座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる
著者:鎌田 浩毅
東洋経済新報社(2010-11-12)
販売元:Amazon.co.jp
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たとえばシュリーマンの「古代への情熱」を紹介した2010年7月10日号では、音読、作文、毎日1時間というシュリーマンの語学勉強法を紹介するとともに、ビジネスパーソンに役立つ教訓3ヶ条として次を挙げている。

1.大きな目標を立て、完遂するまで忘れない
2.勉強は目的を明確にして始めるべきだ
3.発掘継続のためにおこなった情報開示と広告戦略を学べ

先見の明のある考古学者として、また自意識過剰な俗人として毀誉褒貶(きよほうへん)の多いシュリーマンだが、学問的な高い評価はゆらぐことがないと語る。人に限らず書物も、良い点を見て学べばよいと結んでいる。

非常にコンパクトに要点をまとめた書評で、筆者にも大変参考になった。

この本はアマゾンのなか見!検索に対応しているので、ぜひ目次を見てほしい。

昼休みの活用法や通勤電車を英語塾として活用する方法など、実際的なアドバイスが並んでいることがわかると思う。


この本の構成

この本は次のような構成となっている。

第1章 面白くてためになる「戦略的」な勉強法とは

第2章 勉強の時間を作り出すテクニック

第3章 効率的に勉強するための情報整理術

第4章 すべての基本「読む力」をつける方法

第5章 理系的私見突破の技術

第6章 人から上手に教わると学びが加速する


それぞれの章が10前後の節から構成されているので、全部で55の節があり、それぞれが実践的なアドバイスだ。


勉強法のポイント

この本で鎌田教授の伝えたい肝心の点は次の2つに絞れると思う。

1.勉強するときは集中し、ONとOFFをはっきりさせる。集中するためには弛緩(しかん)する時間も不可欠だ。

2.勉強は場当たり的にするものではない。目標とそれに到達する工程をあらかじめ決め、締め切り時間を決めて「戦略的」に取り組む。


磨くべきスキル

勉強は単に知識を増やすだけではない、音楽や古典などの教養の両方が必要である。スキルとしては次の3つの能力を磨く必要がある。

1.コンテンツ能力 必要な知識を身につける

2.ノウハウ能力 仕事のやり方についての具体的なテクニック

3.ロジカルシンキング能力 データを論理的に組み立てて説得力ある結論を導く能力


もっとも困難なのは「努力すること」そのもの

鎌田教授は勉強でも仕事でも、最も困難なのは「努力すること」そのものだと語る。これには筆者も100%同感だ。

「努力すること」がきちんとできるようになれば、たいていのことは成就する。だから「努力が継続するシステム」の構築が重要だ。

たとえばイチローは「先に満足している」からヒットを打てるのだと。「一試合終わって良いヒットが打てたらそれで満足する」という。

小さな満足を得ることで、努力がおっくうではなくなり、もっと大きな努力を呼ぶ。もっと大きな満足をもたらすという好循環がでてきているのだ。

以前紹介した松井秀喜の「不動心」に「努力できることが才能だ」という言葉が紹介されていた。筆者はこの言葉は、まさに金言と思っている。

たとえば昼休みの食事の後の30分を毎日勉強に充てれば、積み重ねれば相当な時間になる。ビジネスランチでも良い。昼休みの活用の努力が、他人との差別化につながるのだ。


理系的試験突破の技術

なにせ入学試験の出題者であり採点者でもある大学教授だけに「理系的試験突破の技術」という章は大変参考になる。

「試験勉強は相手の意図を探ることから始める」というのは、まさに出題者ならではアドバイスだ。

大学入試のいわゆる「赤本」で、多くの高校生は最初の「傾向と対策」の部分を省いて過去問を解こうとする(そう言われてみれば筆者もそうだった)。しかし、実はこの解説のページに試験突破の重要な手掛かりが書かれているのだ。

この部分は予備校の教科主任のような立場の人が、過去20年間の過去問を研究して解説を書いているので、試験官が要求するポイントをとらえており、問題の傾向をつかんでいる。

大人の勉強に完璧主義は不要であり、「ドライに行こう」と。満点でもすれすれでも資格としては同じであり、効率主義で良いのだ。

テキストは最初から最後まで覚えず、ヤマを張る。模擬試験を利用してヤマの的中率を上げる。テキストで重要な点はどこか、重要なポイントを外さない判断力をいかに養うかが勝負なのだと。

情報は3段階で記憶する(1.熟読、2.音読、3.書いて覚える)とか、試験問題は第1問から解いてはいけない(解ける問題から解く。難問に取り組むより、見直しで5点、10点稼ぐ)とか、入試だけでなく、どんな試験の受験生にも役立つ実践的なアドバイスが満載だ。


鎌田教授もカーネギー信者

「第4章 すべての基本『読む力』をつける方法」の章では、次の写真が使われている。

一生モノの勉強法













出典:本書111ページ

なんと中心にカーネギーの「道は開ける」を置いている。

道は開ける 新装版道は開ける 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10)
販売元:Amazon.co.jp
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この本のなかでもカーネギーの「人を動かす」の「人に好かれる6原則」をそのまま紹介している。

1.誠実な関心を寄せる
2.笑顔を忘れない
3.名前を覚える
4.聞き手にまわる
5.関心のありかを見抜く
6.心からほめる

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10-31)
販売元:Amazon.co.jp
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鎌田教授もカーネギー信者だったんだ。

天才マーケッターの西川りゅうじんさんも、カーネギーの本は擦り切れるほど読んだと言っていた。「自己啓発はヘンなのも多いけど、やはりカーネギーに始まり、カーネギーに終わる」。その通りだと思う。


大変参考になった本だが、詳しく紹介していると長くなりすぎるので、その他参考になった点をいくつか紹介しておく。

★「締め切り効果」で時間の流れを制御する
たとえばインターネット検索なら、あらかじめ15分と締め切りを決めて実行する。トリンプの吉越前社長の「デッドライン仕事術」のように効率をアップさせるのだ。締め切りを決めないと、漫然と1時間以上も検索に費やすというようなことになりがちだ。

デッドライン仕事術 (祥伝社新書)デッドライン仕事術 (祥伝社新書)
著者:吉越 浩一郎
祥伝社(2007-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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★大学の講義法も「3分間スピーチ」から学んだ
鎌田教授は「冠婚葬祭のスピーチは3分でまとめろ」という解説書を参考にして、講義も3分ごとの話を積み上げるようにした。これによって聞く方の興味が持続するのだと。

筆者もセミナーなどで講演することがある。さっそくこの「3分間スピーチ」術を実行してみる。

★入門書は最低3冊買う(そのうち一冊は新書)

★不得意な分野は児童書を見よ
鎌田教授は「ジュニア新書」はもっとも高度な表現が求められると語る。文系の人には、理系の「プリマー新書(ちくま書房)」や「ジュニア新書(岩波)」が良いという。

実は筆者も図書館で借りて児童書の世界偉人自伝全集で、チャーチルの自伝を読んでいる。

チャーチル (昭和41年) (世界偉人自伝全集〈1〉)
著者:チャーチル
小峰書店(1966)
販売元:Amazon.co.jp
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チャーチルの伝記は新書でも出ているので、こちらも図書館で借りた。

チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版  (中公新書)チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版  (中公新書)
著者:河合 秀和
中央公論社(1998-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
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まだ読み始めていないが、児童書の方が写真や図も多くて新書より情報量が多い。鎌田教授が児童書をすすめる理由が納得できる。

★鎌田教授の推薦するテレビ教養番組
次が鎌田教授の推薦するテレビ番組だ。
・「世界一受けたい授業」日テレ 鎌田教授も火山の話で登場したという
・「プロフェッショナル 仕事の流儀」NHK
・「爆笑問題のニッポンの教養」NHK
・「課外授業~ようこそ先輩」NHK
・「美の壺」NHK教育

その他、本の書き込み法(これは筆者は絶対にやらない)、書店を利用するメリット、文房具について、クリアファイルについてなど、知的生産の道具の説明も参考になる。

鎌田教授は、一瞬「2ちゃんねるか?」と思わせるような構成のホームページをつくっているが、ブログとかインターネット利用法は一切出てこないところが、最近の本にしては珍しい気がする。

読者の役に立つようにという熱い思いと気遣いが感じられる。面白く読めて、かつ著者の親切心が伝わってくる良著だ。


参考になれば次クリック願う。






東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法 

東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2008-08
おすすめ度:4.5
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東大理III出身で、アルバイトで家庭教師や塾講師をやった後、アルバイトが本業となり、結局受験生を教えることを職業にしてしまった吉永賢一さんの本。

会社の勉強家の友人に勧められて読んでみた。

吉永さんも小学生の頃(!)カーネギーの本に影響されたそうだ。久しぶりに出てきたカーネギー信者だ。

吉永さんは偏差値93だったという。「東大家庭教師…」シリーズは「記憶法」「読書術」が出ている。それぞれ別ブログで紹介しているので、参照してほしい。

東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2009-02-20
おすすめ度:4.0
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東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2009-07-31
おすすめ度:4.0
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東大理IIIというと、文系・理系を含めて東大の最難関学科で、東大で唯一専門課程が決まっている学部だ(他の学部はまず2年間教養学部に入ってから専門学部に進学振り分けする)。

筆者も理IIIの友人がいるが、エキセントリックというか、ちょっと変わった人が多かった。しかし、この本の著者の吉永さんはまとものようだ。


成績を上げる3つの要素

吉永さんは今まで1,000人以上の生徒に勉強を指導してきた経験をふまえて、成績を上げるには次の3つの要素が必要だと語る。

1.覚える(暗記)
2.わかる(理解)
3.慣れる(練習)

3つの要素のどれが欠けてもダメで、このサイクルを繰り返すことで勉強が高速化する。

ちょっとずつ毎日覚えて、音読なども取り入れて何度でも繰り返すのだ。

吉永さんは本は300回を目安に読む。気に入った本は1,000回読むという。パラパラっとめくって、気になった部分だけ注意深く読むのだという。


実戦的なアドバイスが満載

受験のプロなだけに、実戦的なアドバイスが多い。筆者なりに整理した吉永さんのアドバイスは次の通りだ。


<試験のためのアドバイス>

★わからない問題は無視する

★速くやることを意識する

★模試は結果は無視、復習はしっかり

★カンタンな問題から解いていく

★1問あたりの制限時間を決める

★最後の5〜10分は見直しに使う(新しい問題を解くより点を伸ばせる)

★計算はなるべく暗算する

★論文は3つのネタからふくらます


勉強のためのアドバイス

★どんどん間違える

★こま切れの締め切りで集中力を高める

★「何もしていない時間」を勉強時間にする

★参考書はまず折って汚す

★問題集には「カンタン」と書く

★ノートは後から見てもわかるように書く(これは筆者は反省しなければならない。後からメモに何を書いたのか読めないことが多すぎる)

★ノートに書くのは完結した文章


心構えについてのアドバイス

★人に教える。相手の質問に答える(実はこのブログも本のあらすじを人に伝えて、知識を自分の血や肉にするために書いているものである)

★「つまり?」、「もっというと?」という質問を連発して自分の理解度を確認する。(まさにロジカル・シンキングと同様の手法だ)

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)
著者:照屋 華子
販売元:東洋経済新報社
発売日:2001-04
おすすめ度:4.0
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★やる気が起きない時には、自分の呼吸を観察する(呼吸を感じることで「生きる力」を実感できるのだと。面白いテクニックである)。

★自分に起こったことは、自分に原因があると考えよ(他人や環境のせいにした時点で成長はストップする。自分を変えるという発想を持つのだ)。

★すべてをポジティブシンキングで。

★「現状を受け入れる」ことが成績アップの最初のステップ。

★カンタンを口癖にする。

★感謝する。ほめる。

★定期的に成果をチェックし、記録する

★1秒ルールでさっさと決断し、集中力を高める

★練習での間違いはよろこび、本番での間違いは悔しがる


頭が良くなるのかどうかわからないが、吉永さんの書いていることはオーソドックスな勉強法ばかりで、すべて「腑に落ちる」。

唯一エキセントリックなのは、本を300回、気に入った本は1,000回読むという点だが、これは今度紹介する宇津木妙子さんの講演を聞いた時になるほどと思ったことと一致する。

宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか (文春新書)宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか (文春新書)
著者:宇津木 妙子
販売元:文藝春秋
発売日:2008-10-16
おすすめ度:5.0
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練習は毎日繰り返しやるものであり、練習の目的も毎日繰り返して教え込むのだと。

宇津木さんは「私は頭が悪いから毎日覚えないと忘れる」のだと謙遜して言っていたが、切り返す刀で、会場の出席者に質問した。

「今年御社の社長の年頭の目標は何でしたか?これから当てるから言ってください」

会場が凍り付いた。まさに宇津木さんにガーンと気合いを入れられた。

社長の年頭の挨拶は年初は覚えていたし、今も漠然とは覚えているが、スラスラ言えるほど頭に入っている訳ではない。それでは覚えていないのと同じことなのだ。

吉永さんの言いたいこともたぶん同じだろう。反復練習、重要なことは毎日でも繰り返し、何百回でもやる。

筆者が尊敬するコンサルタント新将命さんの言う「コツコツカツコツ(コツコツ=勝つコツ)」だ。

それが成績が上がる秘訣だ。


参考になれば次クリック願う。



東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法

別ブログで「東大家庭教師が教える頭の良くなる記憶法」のあらすじを紹介したので、同じ著者の勉強法のあらすじを紹介する。

東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2008-08
おすすめ度:4.5
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東大理III出身で、アルバイトで家庭教師や塾講師をやった後、アルバイトが本業となり、結局受験生を教えることを職業にしてしまった吉沢賢一さんの本。

会社の勉強家の友人に勧められて読んでみた。

吉沢さんも小学生の頃(!)カーネギーの本に影響されたそうだ。久しぶりに出てきたカーネギー信者だ。

吉沢さんは偏差値93!だったという。「東大家庭教師…」シリーズは、前述の通り「記憶法」のあらすじを別ブログで紹介しているので参照して欲しい。追って「読書術」も読んでみる。

東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2009-02-20
おすすめ度:4.0
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東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2009-07-31
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東大理IIIというと、文系・理系を含めて東大の最難関学科で、東大で唯一専門課程が決まっている学部だ(他の学部はまず2年間教養学部に入ってから専門学部に進学振り分けする)。

筆者も理IIIの友人がいるが、エキセントリックというか、ちょっと変わった人が多かった。しかし、この本の著者の吉永さんはまとものようだ。


成績を上げる3つの要素

吉沢さんは今まで1,000人以上の生徒に勉強を指導してきた経験をふまえて、成績を上げるには次の3つの要素が必要だと語る。

1.覚える(暗記)
2.わかる(理解)
3.慣れる(練習)

3つの要素のどれが欠けてもダメで、このサイクルを繰り返すことで勉強が高速化する。

ちょっとずつ毎日覚えて、音読なども取り入れて何度でも繰り返すのだ。

吉沢さんは本は300回を目安に読む。気に入った本は1,000回読むという。パラパラっとめくって、気になった部分だけ注意深く読むのだという。


実戦的なアドバイスが満載

受験のプロなだけに、実戦的なアドバイスが多い。筆者なりに整理した吉沢さんのアドバイスは次の通りだ。


<試験のためのアドバイス>

★わからない問題は無視する

★速くやることを意識する

★模試は結果は無視、復習はしっかり

★カンタンな問題から解いていく

★1問あたりの制限時間を決める

★最後の5〜10分は見直しに使う(新しい問題を解くより点を伸ばせる)

★計算はなるべく暗算する

★論文は3つのネタからふくらます


勉強のためのアドバイス

★どんどん間違える

★こま切れの締め切りで集中力を高める

★「何もしていない時間」を勉強時間にする

★参考書はまず折って汚す

★問題集には「カンタン」と書く

★ノートは後から見てもわかるように書く(これは筆者は反省しなければならない。後からメモに何を書いたのか読めないことが多すぎる)

★ノートに書くのは完結した文章


心構えについてのアドバイス

★人に教える。相手の質問に答える(実はこのブログも本のあらすじを人に伝えて、知識を自分の血や肉にするために書いているものである)

★「つまり?」、「もっというと?」という質問を連発して自分の理解度を確認する。(まさにロジカル・シンキングと同様の手法だ)

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)
著者:照屋 華子
販売元:東洋経済新報社
発売日:2001-04
おすすめ度:4.0
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★やる気が起きない時には、自分の呼吸を観察する(呼吸を感じることで「生きる力」を実感できるのだと。面白いテクニックである)。

★自分に起こったことは、自分に原因があると考えよ(他人や環境のせいにした時点で成長はストップする。自分を変えるという発想を持つのだ)。

★すべてをポジティブシンキングで。

★「現状を受け入れる」ことが成績アップの最初のステップ。

★カンタンを口癖にする。

★感謝する。ほめる。

★定期的に成果をチェックし、記録する

★1秒ルールでさっさと決断し、集中力を高める

★練習での間違いはよろこび、本番での間違いは悔しがる


頭が良くなるのかどうかわからないが、吉沢さんの書いていることはオーソドックスな勉強法ばかりで、すべて「腑に落ちる」。

唯一エキセントリックなのは、本を300回、気に入った本は1,000回読むという点だが、これは今度紹介する宇津木妙子さんの講演を聞いた時になるほどと思ったことと一致する。

宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか (文春新書)宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか (文春新書)
著者:宇津木 妙子
販売元:文藝春秋
発売日:2008-10-16
おすすめ度:5.0
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練習は毎日繰り返しやるものであり、練習の目的も毎日繰り返して教え込むのだと。

宇津木さんは「私は頭が悪いから毎日覚えないと忘れる」のだと謙遜して言っていたが、切り返す刀で、会場の出席者に質問した。

「今年御社の社長の年頭の目標は何でしたか?これから当てるから言ってください」

会場が凍り付いた。まさに宇津木さんにガーンと気合いを入れられた。

社長の年頭の挨拶は年初は覚えていたし、今も漠然とは覚えているが、スラスラ言えるほど頭に入っている訳ではない。それでは覚えていないのと同じことなのだ。

吉沢さんの言いたいこともたぶん同じだろう。反復練習、重要なことは毎日でも繰り返し、何百回でもやる。

筆者が尊敬するコンサルタント新将命さんの言う「コツコツカツコツ(コツコツ=勝つコツ)」だ。

それが成績が上がる秘訣だ。


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わが闘争 ヒトラーならぬ角川春樹の復活宣言

わが闘争―不良青年は世界を目指すわが闘争―不良青年は世界を目指す
著者:角川 春樹
販売元:イーストプレス
発売日:2005-06
おすすめ度:4.0
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「不良青年は世界を目指す」とサブタイトルのついた角川春樹の『わが闘争』。前回紹介した幻冬舎の見城徹社長の元親分だ。

ビル街で鎧(よろい)を着た角川春樹の写真の表紙が目を引くので、つい読んでしまった。

太宰治を思わせる和服姿で刀を持った角川春樹の写真が、随所に出てくるが、ちょっと貧弱に感じるのは出所すぐで体力が落ちているからか?

読んで驚いたが、ひさびさに『頭にスッと』でなく、『頭をガーンと』やられた本である。本の帯に『カリスマ、復活!』とか書いているが、今まで彼の関係した本や映画を見ていて、角川春樹という人物を意識したことはなかったが、この本を読んではじめて彼がカリスマプロデューサーであったことがわかった。

塀の中の懲りない面々 (新風舎文庫)塀の中の懲りない面々 (新風舎文庫)
著者:安部 譲二
販売元:新風舎
発売日:2004-04
おすすめ度:4.0
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筆者は年間2〜300冊の本を読んでいるが、この本の様に何故かわからないが、頭をガーンとやられる衝撃を経験したのは安部譲二の『塀の中の懲りない面々』以来だ。その意味ではこの衝撃は20年ぶりくらいだろう。

安部譲二の本もそういえば刑務所出所直後の本であり、角川春樹の『わが闘争』も同じく麻薬で2年半の懲役から戻ってきた直後の本である。

安部譲二の本は楽しく読める本で、この本とは異なるが、才能のある人が懲役の様な異常体験を経験した直後に出す本はとぎすまされた殺気の様なものがあるのかもしれない。

わが闘争』は勿論ヒトラーのマインカンプ"Mein kampf"が有名で、筆者は大学時代にヒトラーの大作は読んだ。

わが闘争 上―完訳   角川文庫 白 224-1わが闘争 上―完訳 角川文庫 白 224-1
著者:アドルフ・ヒトラー
販売元:角川書店
発売日:1973-10
おすすめ度:4.5
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この角川春樹のわが闘争はヒトラーとは何の関係もないと思っていたが、ここで書いていてわかったのだが、ヒトラー本も角川文庫で出版されている。角川春樹は麻薬所持で逮捕されて、追放されるまで角川書店の社長だったので、角川文庫本を意識しているのかもしれない。

おれの魂はスサノオノミコトである』とか言いながら始まるので、なんか『おれ』とか書いていて変なオッサンだなと思ったが、読んでいくと引きつけられるものがある。

おれの魂はスサノオノミコトだが、刑務所生活で仏の慈悲に目覚めたという。刑務所で毎日『我慢我慢の辛抱は大きくて強くてあたたかい心の人をつくるよ』、『前へ前へ。どんなにつらくてとも悲しくとも、いつかきっと道は開けるよ。だから前へ前へ』とも唱えていたのだと。

UFO体験とか、おれの脳細胞は20%近く覚醒しているとか、強い精神エネルギーがあるおれは歩く神社だとか、なにかわけがわからないが、たしかにパワーを感じる。
父親の角川源義、姉の辺見じゅん、弟の角川ホールディング社長の角川歴彦、自殺した妹の真理、生母、義母、自分自身の五回結婚、五回離婚の話とか、言葉では簡単に言い尽くせない生い立ちと家系である。

父親の角川源義は國學院大學の理事だったが、角川書店のビジネスも大きく國學院卒業生に依存していたので、早稲田の文学部に受かっていたのに、父に國學院に入るよう言われて従った話とか、不良ではあるが、父親に認められようと父の愛に飢えていたことがよくわかる。

巨富を築く13の条件巨富を築く13の条件
著者:ナポレオン ヒル
販売元:きこ書房
発売日:2001-03-27
おすすめ度:4.5
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ナポレオン・ヒルのThink and Grow Rich『巨富を築く13の条件』がおれを大きく変えた本であり、デール・カーネギーの『人を動かす』も影響を受けた本であると。

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
販売元:創元社
発売日:1999-10
おすすめ度:5.0
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筆者もこの二冊、特にカーネギーは常々読み返す本なので、こんな共通点がガーンとやられる衝撃を受ける基盤なのかもしれない。

仕事はカリスマプロデューサーであることは間違いない。いままで知らなかったが、角川書店が近代的なメディアミックスの有力グループとなって、本、文庫、翻訳、ベストセラーの映画化、テレビコマーシャルとつぎつぎに成功を収めたのは角川春樹の力に依るところが大きい。

ラブストーリー、いちご白書、ジャッカルの日などフォーサイス作品、人間の証明、八つ墓村、犬神家の一族等の横溝正史作品、文庫カバーのビジュアル化、セーラー服と機関銃等々。

生涯不良宣言というのもふるっている。『女と金は追いかければ追いかけるほど逃げる』というのが角川春樹の法則だと。

今は角川春樹事務所でベストカンパニーを目指している。組織が大きくなると一人ひとりのキャラクターが生きなくなる。中島みゆきの歌に『人は多くなるほど、物に見えてくる』という歌詞があるが、その通りだと。社員50名以下が良いのだと。

パワーを感じる強烈な本である。


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渋谷ではたらく社長の告白 読後感爽快な元気が出る本

渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)
著者:藤田 晋
販売元:幻冬舎
発売日:2007-08
おすすめ度:4.5
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「時短読書のすすめ」ブログの第3弾は、サイバーエージェント社長の藤田晋さんの「渋谷ではたらく社長の告白」だ。現在は文庫でも発売されており、買い求めやすくなっている。

この本がベストセラーになった後、藤田さんは奥さんの奥菜恵さんと離婚。また独身に戻っている。

ネット長者の一人として、またホリエモンの親しい友人として、この本が出た2005年当時はマスコミにもいろいろ叩かれたことがあったが、今は若者集団をまとめて力を発揮させる着実な経営者という評価が定着していると思う。

藤田さんは直接話法の使い方がたくみで、楽天の三木谷さんの発言など、いかにも人間性が出ていて、ついひきこまれてしまう。

この人もカーネギー信者か!ということで、もう一つのインデックスはカーネギーにしている。

以下あらすじは2005年7月4日初掲のもので、その後ホリエモンは逮捕されたり、藤田さんの周辺では動きはあったが、あらすじ自体には特に付け加えることはないので、そのまま掲載する。



筆者は新刊書でもベストセラーでも、まずは図書館で予約して読む。読まずに買うことはしない。その筆者がインターネット業界本で初めて買った本がこれだ。

藤田氏の経歴・自伝の内容もさることながら、有線の宇野社長、ホリエモン、三木谷さん、GMOの熊谷社長などとの会話の引用が、それぞれの社長の性格がよくわかる発言に仕上がっていて絶妙である。

『社長失格』からホリエモンやGMOの熊谷正寿社長のベストセラーの『一冊の手帳で夢は必ずかなう』などネット関係者で数百冊の本を読んだが、この本は頭にスッと入り、思わず引きつけられる。

女優奥菜恵と結婚していることでも知られているインターネット広告事業のサイバーエージェント藤田晋(すすむ)社長の自伝的告白。すでに5年前に『ジャパニーズドリーム』という本を出版しており、これが2作目。福井県のめがねフレームで有名な鯖江市生まれで、父親はカネボウの工場に勤務するサラリーマンというごく普通の青年。

しかし筆者が一度読んでからあえて本を買ったことでもわかる通り、ただ者ではない。

藤田氏は天才的営業マンでなおかつすぐれた経営者なのだろう。高校まではバンドをやってミュージシャンを目指していたが、高校3年で歌の才能がないことに気づく。偏差値40から急遽受験勉強して、青山学院大学経営学部に入学する。将来の夢として『会社をつくる』ことをこころざし、そのために学生の時に人材紹介業のオックスプラニングセンターにアルバイトとして働き、営業員として頭角を現す。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
著者:ジェームズ・C. コリンズ
販売元:日経BP社
発売日:1995-09
おすすめ度:4.5
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このオックスプラニングセンターでのアルバイト時代に感銘を受けたのが『ビジョナリーカンパニー』で、いずれ『21世紀を代表する会社をつくる』ことを決意とする。

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
販売元:創元社
発売日:1999-10
おすすめ度:5.0
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角川春樹がカーネギーに影響されたことは前に書いたが、藤田氏もまたカーネギーの『人を動かす』から学んだことをあげていること。

なんと藤田氏もカーネギー信者か!

卒業後は当時32歳でインテリジェンスの社長だった有線の宇野社長に出会い、インテリジェンスに入社する。宇野社長が社内一番のハードワーカーだったそうだが、藤田氏も最初からほとんど休みなしに働き、土日も出社し、バリバリ実績を上げ、『すごい新人が入ってきた』と周囲から一目おかれる。

入社1年目でオックスプラニングセンターの元上司、親友に誘われ、3人で会社設立すべく決意し、インテリジェンス宇野社長に告げると、なんと逆提案でインテリジェンスが50%出資する会社をつくるのでその社長になれと言われる。これが入社1年目の新入社員がやることか!宇野氏にも藤田氏にも両方に驚かされる。

『大事なのは金じゃない。本当に大事なのは志を共有できるかどうかなんだ』

『21世紀を代表する会社をつくる』という目標をもった藤田氏はこの宇野社長の殺し文句でコロリ、インテリジェンス入社1年後の1998年4月にサイバーエージェントを創業する。

会社を創るときには事業はなにをやるのかはっきりしたプランがなかったが、宇野社長と相談し、1998年当時注目をあびてきたインターネット関係の事業で、インターネットの営業を専門にする会社をつくることにする。

インターネット業界は営業が弱いから、営業の専門会社をつくるそれだけのシンプルな事業計画で、学生アルバイトを集めスタート。

営業第一号は高津社長のウェブマネーの営業代行。持ち前の営業力で売りまくる。そうかそれでウェブマネーは強いのかと納得できる。

藤田氏は創業直後の1998年7月から『ベンチャー企業の日記』をホームページ上に書き始める。これが今は渋谷ではたらく社長ブログになっている。ブログのパイオニアである。

最初から週110時間働くと決めていた彼らは『毎日事業プランコンテスト』を行う。その中からでてきたのがサイバークリック(クリック保証型広告事業)だ。まずは学生アルバイトにつくらせるが、全然ダメ。困ってエッジの堀江貴文社長を訪問する。

当時の堀江社長は26歳、藤田氏は25歳、おたく的雰囲気の堀江氏のオフィスを訪問すると、スリッパに履き替え、バーカウンターのある会議室に通される。そこに長髪で今よりだいぶ太っていたおたく的な堀江社長が現れる。挙動不審に思えたが、話し始めるとあふれる野心、独演会、ただものではないと直感する。

そんな堀江氏にクリック保証型システムの件を相談すると『いや、できますよ。あんなの楽勝ですよ』翌週には完成。堀江氏自身がプログラムをつくった。エッジにパートナーとして収益を分け合う形としてスタートしたサイバークリックに営業を集中。トラブルは堀江氏がバイクで来て修理した。

堀江氏は『あんなの楽勝ですよ。他にもあったら言ってください』と言うので、メール版のアフィリエイトシステムも『そんなの作れますよ』のノリで、参入。結局これがサイバーエージェントとエッジの共同事業のメルマガ配信システム、クリックインカム=現メルマとなる。

創業初年度の1998年に7名の新卒内定者を取ったが、この7名は1人を除きいずれも退社。しかし2年目の内定者20名はサイバーエージェントグループの要職についている。

表参道のオフィス環境、最先端のインターネットビジネス、若く士気の高い社員たち。すべては優秀な人材を確保するためのプレゼンテーションだったのだと。藤田氏は自分は採用に関しては最初からたぐいまれな能力を発揮していたと語っている。

インテリジェンスは全く他社との差別化はなく、後発にもかかわらず他社をごぼう抜きにしている。理由はただ一つインテリジェンスは採用に非常に力をいれているので、同業他社と比べて明らかに優秀な社員が入社し、その社員が非常に高い士気で頑張っているからだ。『採用力は競争力だ』

1999年にネットバブルが起こる。業績も急成長、サイバークリック、クリックインカム(現メルマ)、大阪支店も大当たり、2000年の史上最年少社長としての上場記録をめざす。原宿から始めたオフィスも北青山、そして2000年に家賃1,500万円の渋谷マークシティに引っ越す。

東大卒、住友商事で働いていた23歳の中山豪氏を口説いて入社。現在財務担当取締役の中山氏は入社当日に寝袋持参で出社、『ベンチャーですから』と20日間泊まり続けた。博報堂から米国にMBA留学中の早川氏を引き抜く。

このころ出資したいというベンチャーキャピタルや上場企業が押し寄せる。ある上場企業の経営者よりは50億だすと言われる。ソフトバンクの孫氏は『インターネット業界は今100年に一度のチャンスです!』と言い、熱狂はさらに盛り上がる。

こんなタイミングで恩人の宇野社長に出資比率の変更を申し出る。『わかった。最初の約束だったもんな。なんとかするよ』と。宇野社長も立派だ。結局藤田氏の持ち分を34%とし、上場後に出資比率が落ちないようにワラントも発行することとなる。

GMO熊谷社長は初対面で『…というわけで、当社はインターネット広告に参入したいと思っている。そのためにもサイバーエージェントに出資させて頂いた上で提携したい』と。このときは断るが、後にGMOはサイバーの株主となり、一時は20%を保有していた。

1999年9月末サイバーエージェントの2回目の決算がでる。売上は5億円、利益は3千万円程度出ているはずだった。ところが売上計上の仕方を変えないと上場できないと監査法人から言われ、その通りにすると売上4億5千万円、利益は2千万円の赤字となる。

2000年春の上場をあきらめかけた時に神風が吹く。孫さんがナスダックジャパンの設立を発表。東証も対抗するために、マザーズ創設を発表。赤字会社でも上場が可能となる。

ジャパニーズ・ドリーム―史上最年少の上場企業社長ジャパニーズ・ドリーム―史上最年少の上場企業社長
著者:藤田 晋
販売元:アメーバブックス
発売日:2005-07
おすすめ度:4.0
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上場にあわせて『ジャパニーズ・ドリーム』を出版。時価総額10兆円企業を目指すと宣言。1999年の日経ベンチャーの未上場ベンチャーオブザイヤーの2位に選ばれる。1位は楽天でこのときに三木谷社長と知り合う。

インターネット企業の株価はさらにヒートアップ。上場前のサイレントピリオドが始まったが、大阪で顧客とのトラブル発生。重要客先の媒体取り扱い停止、サイバークリックの特許問題発生、主幹事証券会社の顧問弁護士が強硬に反対し、2000年2月の上場が延期される。マークシティへの引っ越しを控え、多くの内定者を出しているのにキャッシュが底をつきそうになる。

同年齢のクレイフィッシュの松島社長が市場最年少の上場記録を達成。さんざん宣伝した後なので、まあいいかと思っていると、今後は東証の審査官の面接で藤田氏自身が失態。

審査官『コーポレートガバナンスについて、どうお考えですか?』、藤田氏『コーポレートガバナンスって何でしたっけ?』『今日はこれまでです。結果はまたご連絡します』…これで上場が延びるが、ぎりぎりのタイミングの2000年3月24日に設立丸2年で、株価1,500万円(!)で上場。

初値1,520万円がつき、225億円の資金調達に成功。藤田氏も26歳にして300億円の資産を持った。ところがネットバブル崩壊で、株価はそれから凋落の一途となる。

『インターネット関連株を早く処分しろ。』これに巻き込まれたのがエッジ(現ライブドア)だ。2000年4月にマザーズに上場したが、結局初日は売り気配のまま終わってしまう。

筆者もこのころ米国に駐在して某インターネット企業のIPO株を取得した。1999年11月IPO価格$42、初値$210、それから2週間でピーク$320、2000年3月に$200(持ち株半分売却。この半分は元手が5倍に!)、2000年4月$80-90、2000年10月$10前後(残り半分売却。この半分は元手が1/4に!)という超速ローラーコースターを経験しているので、実感がわく。

追われ者―こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた追われ者―こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた
著者:松島 庸
販売元:東洋経済新報社
発売日:2002-04
おすすめ度:4.5
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クレイフィッシュの松島社長は大株主の光通信にたてつき、社長を解任されてしまう。『どんなことがあってもキレたら、ゲームオーバーなんだ…。』

株価は暴落し、ネット企業たたきが始まる。高値で買った株主はカンカン。業績も赤字。株価上昇のために株式分割したが、逆に売りやすくなってさらに株価は下がる。2000年9月期の業績は売上32億円、16億円の営業赤字。

12月の株主総会は大荒れ。2004年9月期には売上300億円、利益30億円を出すという中期経営計画を発表するが、株式市場は無関心、だれも達成を信じていなかった。投資家からは評判が悪いと言われ、社員は離脱。藤田氏は自らの保有株を当時の時価で7億円分(現在の時価で100億円!)全社員に無償で配ることを決心。ところが株をもらってからすぐやめる人が続出。最悪の時期だ。

会社は先行投資中にもかかわらず、一度いつでも黒字を出せることを見せようと2001年4〜6月期に無理矢理4半期ベースで黒字としたが、株式市場からはむしろ売上鈍化を問題視され、評価がさらに下がった。

M&Aコンサルティングの村上社長が10%を買い占め、『現金を150億円持っているのを一度株主に返したらどうか』と言ってくる。そのころ他の株主がその気になれば子会社化ができることに気がついたが、ワラントの行使時期は2001年10月となっており、それまでは拒否権がないことがわかり自分の無防備に愕然とする。

GMO熊谷社長よりは合併を持ちかけられる。『藤田君、ぼくは20億も御社に投資しているんだよ』、村上氏よりは『メディア事業なんてたいしたことないんじゃないの?強みのある広告代理店に特化してはどうなんだ?』といわれ、有線ブロードワークスの社長に就任した宇野社長からは『藤田、おまえがしっかりしなくてどうするんだ』と喝を入れられる。

このころはノイローゼになりそうだったと。株価対策が万策つき、悩みに悩み『このままではGMOに買収されてしまう、どうせなら宇野社長がいい』と思い、宇野社長に買収してくれと言うと『おまえの会社なんかいらねえよ。そんな気持ちでやってきたのか。よく考えろ。』と言われる。

その数日後楽天の三木谷氏が興味を持っていると連絡が入る。三木谷氏に会うと、『話は聞いている。俺は出資するつもりだ。ベンチャーが叩かれているから助けないとね。』GMOの持ち株の半分を三木谷社長が買い取ることで、話は進み、藤田氏も無事ワラント行使して現在に至る。

その後数ヶ月後の三木谷社長との会話。『三木谷社長、今度の4半期決算厳しそうです。』『そうなんだ?』『なんとか黒字は確保しなければと思っているのですが。』『いいよ、そんなの。もっと中長期の経営を目指しているんだろ?だったら、自分の信念を貫けよ。』

『私はなにもかも若く、そして未熟でした。21世紀を代表する会社をつくる。これからはもう何があっても信念を曲げない。堅くそう決意した。』

創業5周年を迎えた2003年9月期より収穫の時を迎える。2004年9月期に向けた中期計画が現実味を帯びてきた。実際には売上267億円、利益40億円を達成した。私生活では奥菜恵と結婚。事業もランナーズ・ハイとなり、次は1000億円、1兆円をめざすと。

最後に『みんなで一緒に会社を大きくしよう』と締めくくり、きっちり採用を呼びかけている。

読後感爽快な元気の出る本だった。文庫版になって買いもとめやすくなったので、是非一度手に取ることをおすすめする。


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