時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

楽天

たかが英語 楽天三木谷さんの英語社内公用語化論

たかが英語!たかが英語!
著者:三木谷 浩史
講談社(2012-06-28)
販売元:Amazon.co.jp
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楽天社長兼会長の三木谷さんの英語社内公用語化論。自分で作った造語で、英語社内公用語化のことを"Englishnization"と呼んでいる。アマゾンのデフォルトの表紙は味気ないので、三木谷さんの写真とキャッチコピーが載っている帯を紹介しておく。

たかが英語








三木谷さんのお父さんの三木谷良一さんは神戸大学名誉教授で、三木谷さんが小学校2年生から4年生の時に、エール大学に研究員として赴任したため、三木谷さんもコネチカットのニューヘブンで過ごした。

筆者は三木谷さんは英語がネイティブ並みの帰国子女なので、楽天の英語公用語化などを推進しているものだと思っていたが、なんのことはない三木谷さんは向こうにいたときは頭は英語化していたが、帰国して3か月で英語をすっかり忘れてしまったという。

筆者の息子二人も同様な状況で、ピッツバーグで3年間生活した後、小学校5年生と1年生で帰国した。

小学校5年生の長男は向こうで覚えた英語力を残すことがきたが(維持は無理。忘れないという程度)、小学校1年の次男は帰国して3年ほどYMCAの英語教室に週1回通わせるなどの努力をしたが、4年生から塾に行くようになってYMCA通いを辞めると、ほとんど英語を忘れてしまった。

深層心理であるいは残っているのかもしれないが、ピッツバーグ時代は当然ネイティブの発音で、「お父さんの英語の発音はおかしい」とか言っていたのだから、息子たちの英語力が低下してしまうことを、なかば驚きを持って見ていた。

閑話休題。

ネイティブ並とはいかないが、三木谷さんはハーバード留学帰りなので、もちろん英語がうまい。社員に英語公用語化を強いることになったので、三木谷さん自身は中国語を勉強しているという。もっとも英語公用語化の次は中国語でなく、プログラミング言語を社員に学ばせるつもりだという。


世界企業は英語を話す

三木谷さんは、楽天の英語公用語化の理由を、ひと言で言うと世界企業は英語を話すからだと語っている。

これからの日本企業は世界企業にならなければ生き残れないし、日本企業が世界企業への脱皮に成功すれば、日本はもう一度繁栄できる。だから日本の復活、繁栄のために楽天の試みが役に立つと信じていると語る。

楽天やユニクロの英語社内公用語化に対する批判の多くは、たとえば某大手自動車メーカー社長が言っていたように、「従業員がほとんど日本人で、しかも日本にある会社なのに、英語しか使わないなんて愚かだ」というものだろうが、三木谷さんはそれに対して、「たかが英語じゃないか」と考えていたという。できない理由を並べる前に、ともかくやってみなければわからないじゃないかと。

楽天が英語社内公用語化を発表した2010年から、部署別にTOEICスコアを競わせたこともあり、楽天の社員のTOEIC平均スコアは、2010年10月の526点から、2012年5月には687点になった。2011年の新入社員にはTOEIC650点を取るまでは配属せず、英語の勉強をさせて全員650点をクリアーした。

社内でやり取りする書類、会議での使用言語を英語とする正式な社内公用語化は2012年7月に正式にスタートした。


商社は昔から社内連絡は英語が多かった

筆者は商社に30年以上勤めているが、電子メールが普及するまでは、海外店とのやりとりに使っていたテレックスは基本的に英語で書いていた。

よほどニュアンスが必要な案件は、日本語のローマ字でテレックスを打つ場合もあったが、日本人同士でも英語でテレックスを打つのが普通だったし、筆者以外の社員でも普通に英語でテレックスを打っていた(ローマ字派だった人ももちろんいた)。

電子メールが入って、逆に社内で日本人同士で英語でメールを入れることはほとんどなくなったので、商社に関しては社員の英語力が落ちてきたかもしれない。

伊藤忠などでは日本での会議を英語でやっていると聞くし、他社でも部によっては英語で会議しているところもあると思う。海外店とのテレビ会議は英語なので、その意味では英語で会議することは日常業務だと思う。

もちろん商社マンは英語力が要求される職業だし、楽天と同列には比較はできないが、それでも筆者は楽天の英語社内公用語化は意義があると思う。


日本でだけ商売していては先細り

日本企業は、日本だけ商売していては先細りとなるという三木谷さんの認識は正しく、世界企業は英語を話すというのも正しい認識だと思う。

三木谷さんは「逆説的だが、楽天社員のほぼ全員が(サムスンやLGの社員のように)英語で仕事ができたなら、社内公用語を英語に変える必要はなかった」というのもその通りだと思う。「できるけどやらない」というのと、「できないからやらない」とは違うのだ。

楽天がさきがけとなった英語を社内公用語化する動きは、ぜひほかの日本企業にも広まってほしいと思う。

楽天では2011年3月以来、開発系の執行役員6人中3人は日本語を話せない外国人だという。日本語の縛りを取り払ったおかげで、国籍に関係なく専門知識とノウハウを持った人材を雇うことが可能となった。

外国人枠を取り払ったメジャーリーグのようなもので、外国人枠がある日本のプロ野球とメジャーリーグの球団だったら、どっちが強いか答えは明らかだろうと。

楽天の社内SNSで使っているYammerでも、英語にしてから議論が活発化した。また英語で話すことによって、自然と社員が論理的に話すようになったという効果もある。

筆者もこのブログを英語版でも出そうと思っているが、いまのところ実現していない。たとえば茂木健一郎さんなどは、英語日本語の両方でブログを書いている。


楽天が取り入れようとしているのはグロービシュ

楽天が取り入れようとしているのは「グロービッシュ」であり、グロービッシュを話すことは、英語による文化侵略から自分たちの言語や文化を守ることにもなるという。

楽天の英語化は、西欧化ではなく、日本文化や日本人の良い点を世界に広げるきっかけにしたいと三木谷さんは語る。

英会話において重要なことは、頭の言語モードを切り替えることだと三木谷さんは語る。その意味で英語教育は英語でやるべきだし、翻訳せず英語を英語のまま理解できるようにすることが重要だ。

三木谷さんは役員会議のなかで、「ここは日本語でもいいですか?」と弱音を吐く役員がいても、絶対に認めなかった。それは頭の言語モードの切り替えを徹底するためだと語る。

ある部族が使う言語には青と緑の差がないので、日本人には簡単に区別ができる青と緑をなかなか区別できないという。概念が言語に縛られているのだ。だから言語を変えることで、概念を多角的にとらえ、オリジナルなビジネスを生みだす上でも役に立つだろう。

これはサピア=ウォーフの仮説である。


日本の英語教育改革

三木谷さんは受験英語はすべてTOEFLかそれに近いものにすべきと語る。日本人がつくった英語の教材がベストとは限らないし、受験英語は日本でしか存在しない特殊な英語なので、英語圏で通用する英語を学ぶには英語圏の大学への留学を希望する人が受ける英語力判定試験のTOEFLが適しているという。

日本政府は、英語を長時間勉強していながらも、英語を話せない人ばかりつくる受験英語教育による「言語鎖国」をやめよと三木谷さんはいう。


誰かが成功しないと次に続かない

野茂がメジャーに移籍するまで、日本人の野球選手はメジャーでは通用しないと思われていた。その後野手でも通用すると証明したのは、イチローや松井秀喜だった。結局は楽天が実際に世界で成功しなければ、世間の人は、グローバル化が正しい道であることを納得しないだろう。

グローバル化した楽天が世界で成功を収めること。日本人の意識が変わり、日本の英語教育が変わること。そうして日本人の競争力が上がり、日本が繁栄すること。それが三木谷さんの究極のゴールだといって結んでいる。

ポイントを良くとらえた大変参考になる英語社内公用語化論である。


参考になれば次クリックお願いします。





プロ野球重大事件 ノムさんの暴露本

プロ野球重大事件    誰も知らない”あの真相” (角川oneテーマ21)プロ野球重大事件 誰も知らない”あの真相” (角川oneテーマ21)
著者:野村 克也
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-02-10)
販売元:Amazon.co.jp
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野村克也楽天名誉監督のぶちまけ話。

巨人軍の元GM清武さんが、ナベツネとケンカして辞めて以来、清武さんがメディアに各種情報をリークしていると巨人軍関係者から非難されている。今日も清武さんが巨人軍などに名誉棄損で1千万円の損害賠償訴訟を起こしたと発表している。

清武の乱は、巨人軍のお家騒動ととらえられているが、本質にはプロ野球のあり方についての大きな問題をはらんでいるとノムさんは語る。


オーナーとは何者なのか?

清武の乱、落合の解任、ナベツネが難色を示し、楽天が反対して難産だった横浜DeNAの誕生。これらはすべて「オーナーとは何者なのか?」という問題を提起したのだと。

落合は、就任一年目でリーグ優勝し、8年間でリーグ優勝4回、日本一1回、一度もAクラスから転落したことがないという実績を上げた。しかし、推定3億7千万円という高い年俸と、好成績ゆえに選手の年俸上昇により球団は黒字になったことがないというお家の事情から、シーズン中に落合の解任は発表された。

優勝でもされたらクビを切りにくくなるからという理由だろう。

後任監督が立浪でなく、70歳の高木守道というのも財政事情のためだということを物語っている。

DeNAベイスターズ誕生の際にも、巨人のナベツネが「モバゲー」を球団名につけることに反対し、楽天の三木谷会長は、DeNAの経営の健全性がないことを理由にTBSによる球団売却に執拗に反対した。

ノムさんは、三木谷さんが反対したのは、2005年にTBS株の買収に失敗したことと、DeNAの創業者との間に個人的にいざこざがあったことが原因になっているらしいと語る。

ちなみにDeNAの中畑監督についてノムさんは、現代野球に不可欠の理論性、緻密さ、データの活用といった要素からは(あくまでイメージだが)最も遠いところにいると評している。

たしかにそうかもしれないが、DeNAは知名度を上げ、マスコミから注目されるために、中畑監督を欲しがっていたのであり、別に成績を上げようなどとは思っていないと思う。

筆者は今年、横浜ファンを引退したから冷静に言えるのだが、その意味では中畑監督は正解だと思う。


野球は文化的公共財

どのオーナーも加藤良三コミッショナーの「野球は文化的公共財である」という重みを全く理解していない。オーナーは監督の最大の敵なのだと。

楽天の三木谷会長や、島田オーナーは、「成績が悪ければ解雇される。成績が向上すれば続投する」という球界の不文律を無視して、楽天監督4年目に2位にまで引き上げたノムさんを解雇した。ノムさんはよっぽど頭にきたようだ。三木谷さんも島田さんも球場に足を運ぶことはほとんどなかったという。

ちなみに三木谷さんもこの本を読んだのかもしれないが、急に楽天のオーナー復帰を発表している

そんなノムさんが絶賛するのが、ソフトバンクの孫さんだ。楽天がクライマックスシリーズに進出したときに、面識もないソフトバンクの孫さんから激励のメッセージをもらったという。

「真の人格者とは、こういうものなのか」と孫オーナーのもとで監督を務めることができた王貞治をうらやましく思ったという。

昨年ソフトバンクが日本一になった時には、ホークスの選手は孫オーナーを胴上げし、孫さんはビールかけにも嬉々として参加した。

ノムさんはヤクルト監督就任の際にも、オーナーのサポートがあったことを語っている。


暴露話あれこれ

杉内が巨人に移籍した原因は、ソフトバンクの編成を取り仕切っている小林至取締役の心無いひと言が原因だったという。「きみがFAになっても、必要とする球団はない」。

小林取締役は東大野球部出身のプロ選手だが、プロでは一軍登板を果たせず、引退後は渡米としてMBAを取り、スポーツビジネスに携わった。その後、ソフトバンクの取締役に就任し、杉内事件の責任を取り、編成部からはずれた。

暴露の第一弾は、長嶋と杉浦に当時の南海球団は、月額2万円の小遣いを卒業まで支給していたことだ。南海には立大の先輩の大沢啓二さんがいて、長嶋と杉浦に「おまえらも南海に来い」、「わかりました」という具合だったという。

大卒の初任給が1万5千円の時代の2万円なので、ちょっとした金だったが、南海は長嶋の契約金からいままで払っていた小遣いを減額すると申し渡して、当時1,800万円という巨額の契約金を提示した巨人に長嶋をさらわれた。

契約金の前渡しとは思っていなかった長嶋はいっぺんで南海に幻滅したらしい。長嶋は大沢さんに土下座して謝ったという。


巨人と試合する時は、敵は10人

「巨人と試合する時は、敵は10人だと思え」といろいろな人に言われたが、1961年の日本シリーズで、セリーグ出身の円城寺審判が、スタンカのストライクをボールと判定、「ふつうならストライクだが、風があったので沈んだ。それでボールだ」と。

これでスタンカは気落ちして、結局南海は日本シリーズで敗退した。ノムさんは「円城寺 あれがボールか 秋の空」という川柳をつくったという。

スタンカは、さよならヒットを浴びたとき、本塁のバックアップに入るとみせかけて、円城寺主審に体当たり、ほかの選手やコーチも暴行を加えたという。

日本初のスコアラーは、鶴岡監督時代の南海の尾張スコアラーだという。元新聞記者の人で、7色の鉛筆をつかって、敵と味方の特徴をメモにしていったという。後に西武の根本さんに乞われて広岡監督のもとでデータ野球に貢献したという。


サッチーの武勇伝

ノムさんが1977年に南海の監督を解任されたのは、女性問題、つまりサッチーのためだという。前妻との離婚調停中に、サッチーと同棲していたことが問題視され、南海のオーナーと後援会長のトップ会談が行われて決まった。

後援会長の比叡山の僧侶からは、トップ会談の前に「野球を取るか、女を取るか、ここで決断せい」と言われて、「女を取ります」と即答して席を立ったという。

車で待っていたサッチーが話を聞いて、寺に乗り込み、「野村を守るのが後援会長たるあんたの立場でしょ!野球ができなくなるとはどういうことよ!」と坊さんに向かって啖呵をきったら、剣幕におののいた坊さんは受話器を取り上げて「警察を呼ぶぞ」と言ったという。

ノムさんは坊さんに幻滅するとともに、サッチーに「この女はただものではないな」とあらためて思ったのだと。

今はTBSの関口博のサンデーモーニングに出ている張本さんは、今はご意見番みたいにいわれているが、「張本くらいチームを私物化した選手もいないだろう」とこき下ろしている。

ツーアウト・ランナー一塁で、ランナーに「走るな。じっとしとれ」と言って、ランナーを走らさずにヒットが出やすくさせたという。バッティングにしか興味がなく、肩も弱く、フライは追いかけるふりをするけど、本気で球を追うことはしないというありさまだったと。

そのほか、球界のケチの話。長嶋一茂、息子カツノリの話なども面白い。この本はアマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして、目次を見て、どんな内容なのかチェックしてほしい。

ノムさんは、もう監督はやらないつもりのようだ。他人の迷惑も考えず、言いたい放題だ。読者としては楽しめる本である。


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