時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

岩田昭男

O2Oの衝撃 消費生活評論家・岩田昭男さんの最新作

ネットからリアルへ  O2O(オー・トゥー・オー)の衝撃 決済、マーケティング、消費行動……すべてが変わる!ネットからリアルへ O2O(オー・トゥー・オー)の衝撃 決済、マーケティング、消費行動……すべてが変わる! [単行本(ソフトカバー)]
著者:岩田昭男
出版:阪急コミュニケーションズ
(2013-07-11)

筆者が尊敬する消費生活評論家・岩田昭男さんの最新作。別ブログでは岩田さんの本を多く紹介している。いつも通り読みやすい文章で、様々な話題をわかりやすく紹介している。「頭にスッと」入る本だ。

今度はO2O(オー・ツー・オー、On-line to Off-line)

この本では日本最大のポイント会員組織を持つTポイント・ジャパン、ヤフー・ジャパンの責任者とのインタビューを載せている他、読み取り端末をスマートフォンに差し込んでクレジットカード決済を可能とするスクウェア楽天スマートペイペイパルヒアコイニーなどの新しいサービスについても関係者に広くインタビューしている。すごい情報収集力だ。


端末起点マーケティング

岩田さんはスマートフォン時代のマーケティングを「端末起点マーケティング」と呼んでいる。

スマートフォンがあれば、ポイントカードや電子マネーもスマートフォンに乗せられるし、クーポンもわざわざ印刷して持ち歩く必要がない。スマートフォンこそ、O2O(オー・ツー・オー、On-line to Off-line)の主役デバイスだ。

たとえば家電製品を買う場合は、いままでは買いに出かける前に、パソコンで価格コムや楽天などで検索して、最安値を調べて、それをもとにヤマダ電機とかに行って交渉していた。

ところが、今ならスマートフォンがあれば、出先で価格チェックも可能で、その場で量販店のセールスマンに証拠を示すこともできる。

筆者がデジタルテレビを買った2年前は、ヨドバシはネット最安値との価格マッチングは拒否していたが、ヤマダ電機はポイント割引等でネット最安値に競合する条件を出してきた。ヤマダ電機は、その後公式にネットでもリアルでも安値に対抗することを表明している。


スマートフォンはポイントカードとしても便利

スマートフォン(あるいはガラケー携帯電話)はポイントカードとしても便利だ。

たとえばロイヤルホストのメルマガ会員になると、常時10%引きのクーポンがもらえる。

スマートフォンか携帯電話があれば、ロイヤルのサイトにアクセスしてクーポンをレジで表示するだけでよい。印刷したクーポンを持ち歩く必要はない。さらに自分や家族の誕生月には20%引きのクーポンがもらえる。

こういったケータイ対応のポイントというだとヤマダ電機のケイタイde安心ポイントが最も進んでいると思う。

ヤマダ電機はプラスティックカードの時代から来店ポイントを付与してきた。ヤマダ電機の店に入って、読み取り端末にケータイをかざすと、スロットゲームが回り、毎回50ポイントくらいが当たる。すかさずメールが来て、その時のお買い得品などを紹介してくれる。

ヤマダ電機はポイントカード自体を廃止し、スマートフォンかおサイフケータイ一本にしているので、ポイントカードを忘れるということがない。

しかしヤマダ電機では所詮量販店なので、一部のマニアは別にして毎週行くというようなことはない。その意味で、いろいろな店で使える共通ポイントのTポイントがスマートフォンに対応すると、O2Oの覇者となる可能性は高いと思う。


Tポイントのスマートフォン対応

Tポイントはあれだけ普及しているが、まだスマートフォン対応はしていない。ポンタはスマートフォンに対応しているので、スマートフォンを会員カードとして使うことができる。しかし、読み取り端末を入れて対応しているのはローソン位のもので、他のポンタ加盟店では普及していない。

Tポイントはプラスティックカードがかなり普及しているので、スマートフォンを会員カードとして使うと加盟店に莫大なシステム・読み取り機投資が必要となり、踏み切れないのだと思う。

この本の中で、岩田さんがインタビューしたヤフーの担当者は、近い将来ヤフー・ウォレットをスマートフォンに対応させて、スマートフォンをかざすだけでクレジットカード決済ができるようになると語っている。

「ネットでもリアルでも最高のおサイフをめざそう」というのがヤフー・ジャパンの決済サービス部門の合言葉になっているという。

たぶんTポイント単体で対応するより、クレジットカードなど他のサービスも同梱できるヤフー・ウォレットがスマートフォンに対応するというのが近道となるからだと思う。


Tポイント・ヤフー連合の強み

Tポイントは若者には圧倒的な人気だが、2012年に主婦層やシニアの取りこみを開始し、マルエツなどの中堅スーパーや、ドラッグストアを提携店に加えて、会員数は1年で500万人も増えたごいう。

Tポイントの最後の仕上げがヤフー・ジャパンとの提携で、これが2013年7月に動きだした。

ヤフー・ポイントをTポイントに切り替えることで、ネットでためたポイントが、ガストやファミマ、ドトールといったTポイント加盟店で1円から割引きに使えることになり、まさにネットとリアルの融合が完成した。

Tポイントの親会社のCCC(=TSUTAYA、カルチャー・コンビニエンス・クラブ)はヤフーからの15%の出資を受け入れるために、Tポイントジャパンという別会社をつくった。

2013年3月末時点のTポイントのアクティブ・ユニーク会員数は4,454万人だという。これにヤフーの会員の3,000万人弱が加わる。重複などを除いても、5,000万人を超える日本最大の共通ポイント会員組織が誕生する。

Tポイント加盟店のメリットは、々餾櫺餬彜霆爐箸覆辰討癲▲櫂ぅ鵐箸鯣行時に負債計上する必要がなく、使われた時に販促費として計上できる、■達劭佑離機璽咼垢ある。ことだという。

CRMサービスについては、ファミリーマートは2009年からCCCと組んで「ロイヤルカスタマー優遇システム」を構築し、月間の購買頻度、購買額と購買履歴を分析して様々な販売促進を実現している。

2011年からは「DB−WATCH」というPOS情報にT会員の属性情報を連動して、「誰が」購入したかがわかるようになり、顧客の嗜好に対応した商品開発や品ぞろえが可能となったという。

特にTポイントが充実しているのはレジクーポンだ。

岩田さんは、TSUTAYA利用者に、牛角の割引クーポンを渡すというような形で、ネットワーク加盟店間のクロスセルを拡大していることを紹介している。

Tポイントには、筆者もお会いしたことがあるレジクーポンの世界最大手のカタリナマーケティングにいた人が転職しており、レジクーポンの活用を拡大している。

O2Oの覇者をめざす動き

この本で岩田さんは、楽天対アマゾン、楽天対Tポイント・ヤフー連合、そして覇権をねらうリクルート、ドコモ等の動きも紹介している。

楽天とCCCは元々それぞれのCEOの三木谷さん、増田さんが他方の社外取締役を兼ねるという親密な間柄だったが、2007年の楽天のレンタル事業進出もあって、双方が取締役を降り、CCCは楽天と敵対しているヤフーと提携することになった。

アマゾンは昨年日本の売上高を始めて公開した、それによると2012年は7,300億円となっており、楽天の売上高(流通額ではない)の4,434億円をはるかに上回っていたことが判明した。これにより楽天神話に疑問符がつくきっかけとなったという。

楽天はクレジットカードの楽天カードに加えて、誰でも持てるポイントカードの楽天Rポイントカードを新規に導入した。楽天は既にEDYを子会社にしており、EDYの営業部隊を使って楽天Rポイントの加盟店を獲得しようとしている。

しかし、楽天のRポイントカードをわざわざ財布に入れて持ち運ぼうという人は少ないだろう。その意味ではTポイント・ヤフー連合に一日の長があると思う。

アマゾンはクレジットカードについては、日本での戦略はまだ確定していないようだ。

ジャックスが発行しているリーダーズカードという「なんちゃってアマゾン提携カード」も面白い。アマゾンのデポジット(割引)と交換すると1.8%という高率のポイント還元となることを岩田さんは紹介している。


iPhoneへのおサイフケータイ機能搭載

iPhone 5にはNFC(Near Field Communication、おサイフケータイなどの機能のこと)は乗らなかったが、iPhone 6はNFC対応することが期待されている。

筆者がiPhoneを使っていない理由はiPhoneだとおサイフケータイが使えないからだ。筆者の様に毎日モバイルスイカやiDを使っているユーザーは、おサイフケータイがないと非常に不便だ。

いずれiPhoneへのおサイフケータイ機能が搭載されると思うが、そうなると一気にO2Oの覇者を目指す動きが加速化されるだろう。


クレジットカード業界の新しい動き

岩田さんはクレジットカードを長年研究してきているので、この本でもスクウェア楽天スマートペイペイパルヒアコイニーなどの新しいサービスについても、それぞれの戦略などを紹介している。

これらのスマホに接続するクレジットカード読み取り端末を使うと、いままでBtoC取引でしか使われていなかったクレジットカードが、CtoC(個人間の取引)でも使えることになる。つまり友達との支払いでクレジットカードが使えるようになるのだ。

東京IT新聞の2013年6月11日号にスマホ決済特集号があり、これの最後のページの花くまゆうさくの「ITの汁」というマンガが面白いので、紹介しておく。ここをクリックして、最後のページのマンガを見てほしい。

CtoC取引でクレジットカードがどのように使われるか、思わず笑ってしまうユーモラスな一例を紹介している。まさにポイントをついたマンガだと思う。

140兆円と言われる消費の中で、ECは8兆円と言われる。まだまだ規模は小さいが、成長余地は大きい。変化が激しいので、時代についていけない会社は脱落するしかない。一時は携帯ゲーム業界を席巻したインデックスの倒産が象徴している。

岩田さんは、ブリタニカ百科事典が2012年に244年に上る歴史を閉じ、書籍版の出版を中止したことを記している。

CtoCにもクレジットカードが使われる時代、スマートフォンがプラスティックカード代わりになる時代が始まった。新しい消費スタイルの覇者はどこになるのか、時代の流れを俯瞰できる大変参考になる本である。


参考になれば次クリック願う。

信用力格差社会 「借金難民」時代を予言した岩田昭男氏の力作

2010年6月23日追記:

6月18日よりいよいよ改正貸金業法が全面施行された。いきなり全ての金融機関からの総借入額が年収の1/3に制限されて、借金難民が続出することが懸念される。

この問題について1年以上前から警鐘をならしていた消費生活評論家岩田昭男さんの「信用力格差社会」を再掲する。


2009年2月20日初掲:

テレビやマスコミにしばしば登場する消費生活評論家の第一人者の岩田昭男氏の力作。「信用力」という新しい分野を切り開く好著である。

岩田氏はオールアバウトのクレジットカード担当のほかに、カード道場というサイトと岩田昭男公式ブログというサイトでも情報発信している。

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岩田氏のサイトはどれも参考になる情報が満載なので、是非チェックしてみていただきたい。

「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


日本ではあまりなじみのないクレジットスコア(経済偏差値)が、今後はクレジットカードを作ったり、ローンを借りたりするときに大きく影響するようになることを予測している。

米国では過去のクレジットカードなどの支払い履歴をまとめた「クレジットヒストリー」が、就職のときの重要な評価ツールとなっているという。日本でも外資系企業はクレジットヒストリーを要求するところがあるそうだが、これからは日本でも良いクレジットスコアやクレジットヒストリーを維持することが重要になってくる。

岩田氏は1990年代のはじめに米国に行った時に、書店に入ってクレジットカードのお得な活用法の本を買おうとしたら、「クレジットスコアをリペアする方法」などの本ばかりで驚いたと語る。

それから20年近くたって日本も当時の米国と同じような状況となり、信用力格差社会となりつつある。年収の多さだけで信用がつく時代は終わり、クレジットカードを基にした新しい信用時代が始まっているのだ。

改正貸金業法の第3次施行(2009年6月実施)により指定信用情報機関制度の創設が決まっており、日本でも米国並みの信用力管理「クレジットスコア」が導入されようとしている。日本社会では様々な格差が広がっているが、信用力も社会生活を営む上で不可欠になり、信用を持てない人が大きなハンディを背負うことになってくるのだ。


中流・下流の信用力危機

秋葉原で起こった17人連続殺傷事件の犯人は、犯行前にネットの掲示板にいろいろな書き込みをしていた。その中でクレジットカードがないのでレンタカーが借りられなかったという書き込みがあったことに岩田氏は注目する。

この犯人は派遣労働者だったが、派遣を打ち切られたので、当初4トントラックを借りて元勤務先の工場の入り口をブロックするつもりだった。ところがクレジットカードがないので4トン車は断られたため、現金で借りられた2トントラックで秋葉原の凶行に及んだのだという。

クレジットカードを持っていれば、あるいは秋葉原の事件も起きなかったかもしれない。

岩田氏は、今後中流・下流にはセゾンなどの年会費無料カード(年収300万円以上)、消費者金融のローンカード(年収200万円以上)、そしてそれ以下の最下層には電子マネーというすみわけができるだろうと予測する。

ちなみに岩田氏は電子マネー業界の定本である「電子マネー業界ハンドブック」も出版している電子マネー業界の第一人者でもある。

図解 電子マネー業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)図解 電子マネー業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


電子マネーでも限度額が2万円あるいは5万円なので、一応クレジットカード並みに使えるし、米国の様にデビットカードが普及していない日本ではクレジットカードを持てない層には電子マネーが普及するだろう。

また一部では依然として違法金利を徴収するヤミ金融に走らざるを得ない最下流層も残るだろう。


信用力のある選ばれた人向けのアメックスブラックカード

クレジットカードがつくれなかったり、ローンが受けられなくなる中流・下流とは違って、信用力のある上級の人は楽勝となる。

信用力が最高ランクの選ばれた人には、最上級としてアメックスのセンチュリオンブラックカードがある。年会費は36万7千5百円(2009年4月に従来の16万8千円から2倍以上に引き上げられた)という高額だが、そのサービスは半端ではない。

アメックスのコンシェルジュサービスは「ノーといわないサービス」を標榜するほど充実しているといわれている。24時間365日のコンシェルジュサービスに加えてホテルはスイートルームにアップグレード、飛行機もワンランク上のファーストクラスあるいはビジネスクラスに無料アップグレードされるという。

限度額もないといわれており、ヨットや自家用機の購入にも使えるという噂である。

芸能人では細木数子、みのもんたなどが持っているという。年収3,000万円以上で、プラチナカードを数年使っているなどのクレジットヒストリーがしっかりした人にアメックスの方から持ちかけてくるのだという。

日本では2,000人程度しか持っていないといわれるが、最近コンシェルジュサービスへの電話がつながりにくくなったという話もあり、この数が増えている可能性もある。

岩田氏はオールアバウトでクレジットカードを担当されているが、2004年のアメックスセンチュリオンカードの記事は、いまだに検索上位に上っているという。筆者も何度も読んで参考にさせていただいた。

余談になるが、岩田氏には筆者の別ブログポイントマニアブログもオールアバウトで紹介頂いたことがある。

元ヤンキーズの伊良部が大阪のバーで暴れた事件があったが、あれも伊良部がアメックスのブラックーカードを出したら使えないといわれて逆上したというのが真相だという。

アメックスは加盟店手数料が高いのでアメリカでも飲食店はアメックスが使えない店が結構あるが、日本ではアメックスが使えない飲食店のほうが多い。伊良部はそれも知らなかったようだ。

信用力のある人はブラックカードやプラチナカードが用意されている。ゴールドカードは今やステイタスシンボルではなくなっており、年収500万以上が大体の基準だという。

ゴールドカードは普通年会費1万円だが、三菱UFJ銀行は年会費2,000円のゴールカードを出しているので、ゴールドカードの大衆化に拍車が掛かるだろう。

この本で岩田氏はブラックカードホルダーに直接インタビューしており、大変参考になる。

その人は外資系IT企業のシステムエンジニアで年収2,000万円以下だが、アメックスゴールドカード、プラチナカードとステップアップし、3年ほどプラチナカードを使っていたらアメックスよりインビテーションが来たのだという。

限度額はあるそうだが、飛行機やホテルの無料アップグレードに加え、各エアラインラウンジが使え、送迎はリムジンがつくという。実際に家族で舞浜のシェラトンに泊まったら、1泊3万円の部屋から一泊20万円のプレジデンシャルスイートにアップグレードしてもらったという。

また海外のコンシェルジェサービスは、有名なホテルやレストランの予約がすぐに取れて驚かされたという。


岩田氏は銀行(住宅)ローンの審査、クレジットカードの審査、消費者金融の審査の3つにわけて審査のポイントを詳しく説明していて大変参考になるので紹介しておく。

ちなみに岩田氏が出されている東洋経済の「クレジット&ローン業界ハンドブック」は、すでに3回改訂されており、この業界の教科書といえる本である。

図解 クレジット&ローン業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)図解 クレジット&ローン業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


銀行のローン審査

住宅ローンを借りる場合には、次のクレジットカード会社の審査と同様に10項目程度の属性が審査されるほか、借り入れ額が年収に比べて大きすぎないか、消費者金融に借金がないか、延滞はしていないか、クレジットカード保有数が多すぎないかなどがチェックされる。

住宅ローンが借りられる人は日本を代表するプライム層で、次のようなカテゴリーにあてはまる極めて信用力が高いひとたちであると岩田氏は語る。

1.限度額の25〜50%を毎月継続して利用している。
2.返済遅延が絶対にない。
3.常に上位カード取得の意欲を見せている。
4.キャッシング、ローンは絶対に利用しない。
5.住宅ローンを組んだ経験がある。
6.クレジットカードは持ちすぎない。
7.新しいカードを作ってから6ヶ月以上経過している。

年収が高かったり、勤務先が有名企業だから信用力があるというわけではないという。


クレジットカード会社の審査

OKWaveなどのQ&Aサイトでは毎日のようにクレジットカード審査についてのQ&Aが寄せられている。

この本ではクレジットカード会社の審査実体を熟知する岩田氏が詳しく解説しているので、大変参考になる。

クレジットカード会社の審査は、各社のノウハウのかたまりで、秘中の秘であるが、大体はこの業界のデファクトスタンダードのフェア・アイザック社のシステムを採用しながら、年齢、職種、勤務先規模、勤務年数、年収、住所形態、居住年数、電話、家族構成といった10項目程度の属性の評価ポイントと、次のような評点の合計で審査される。

1.過去の支払い履歴(35%)
2.現在の借り入れ残高(30%)
3.与信取引の長さ(15%)
4.新規枠・増枠の打診履歴(10%)
5.現在利用している与信取引形態(10%)

たとえば何社にもクレジットカードを集中して申し込むと審査に通らない可能性がある。本当に審査されるのは年齢でなく可処分所得であり、転職後1年間、転居後1年間などの人生の転機にはクレジットカードを作るのは我慢しろと岩田氏はアドバイスする。


消費者金融会社の審査

消費者金融会社の審査は申込者の顔色を見ながら審査する対面審査だと岩田氏は説明する。

岩田氏は前述のハンドブックの他にも消費者金融業界についていくつもの本を出されており、大変参考になる。

お金を貸す人 借りる人―カード&ローン儲けのカラクリお金を貸す人 借りる人―カード&ローン儲けのカラクリ
著者:岩田 昭男
販売元:実業之日本社
発売日:2004-02
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

消費者金融の顧客は1,400万人といわれるが、新規契約者では年収400万円以下が62%を占めている。貸し倒れ、延滞は日常茶飯事であるにもかかわらず、無担保で貸すのでリスクが高いという業界の特性から編み出されたのが対面審査である。

お客の顔や服装、言葉遣い、態度等から貸せるかどうか判断するのだ。

ちなみに年収500万円以上の人はむしろ敬遠されるという。銀行で借りられずに消費者金融に借りに来ていると思われるので、資金繰りになんらかの問題があるケースが多い。またたとえ融資しても一度で終わってしまいリピーターにはならないからだという。

岩田氏は、実際に無人自動契約機での審査に立ち会った貴重な経験談を披露しているので、大変興味深い。

無人契約機ブースに入るとロックするように言われ、まずは身分を証明する免許証などの提示を求められる。

無人機のカメラ映像は事務所のモニターに写される。事務所には個人信用機関とつながっているテレホンデータ端末やNTTのデータペース、住宅地図などが置かれている。

申込用紙に属性や他社からの借入額など20項目を記入すると事務員がいくつか質問をして、その場で受け答えがある。それから10分ほどかけて数人の事務員が信用情報機関へ問い合わせたり、免許証が偽造ではないか確認したり、データベースと照合したりして貸し出しの可否を判断する。

岩田氏の立ち会ったケースでは、4社から借り入れしているにもかかわらず、他社からの借り入れゼロと申告していた。当然これは信用情報機関に問い合わせればわかることで、50万円の希望額に対して10万円が貸し出された。

現在は消費者金融会社の申し合わせで、4社以上から借り入れしていると、新規の融資は断られる。また過払い金返還請求をしているとその消費者金融会社では借りられないという。


日本の5つの個人信用情報機関

日本には次の5つの個人信用情報機関がある。

1.全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行系
2.CIC クレジットカード、信販系
3.CCB クレジットカード、信販系
4.全国信用情報センター連合会(全情連、JIC) 消費者金融系
5.テラネット 消費者金融系

このうち最も古く40年の歴史のある全情連のデータベースは加盟各社のデータがリアルタイムで統合されており、入金があるたびに更新されるという点で最も優れている。消費者金融業界の貸し倒れが少ないのも、このデータベースが充実しているからだといわれている。

ちなみに全情連のデータベースが出来る前は、消費者金融各社が申し合わせて、保険証の角に針で穴を開け、その針穴の位置で会社を特定していたという。

業態ごとに信用情報の交流がないので、クレジットカードで多重債務に陥っても、消費者金融に行けば何度でも借り入れができるということができていた。そのため他業態と連携して信用情報の一部共有化を行うことが決定されている。

信用情報をより広く共有化することにより、多重債務を抑止しようとするものだ。

信用情報機関では、1.個人特定情報、2.契約内容に関する情報、3.支払いに関する情報が登録されている。いわゆるブラックリストというものはなく、3ヶ月支払いが滞った場合は「事故」として登録され、これがブラック情報になる。

信用情報には加盟企業からの問い合わせ・アクセス履歴や、過去5年間の取引履歴、過去6ヶ月間の申込履歴も登録される。

信用情報機関に申し込むと自分のクレジットレポートが入手できる。

4年ほど前にある雑誌の編集者がクレジットレポートを取り寄せたら、CICでは問題なかったが、全情連のレポートでは身に覚えのない借り入れ履歴があったという。

真相は、消費者金融会社の店長が、期末に休眠口座を使って借り出し実績があったように見せかけ、自分の店のノルマを達成していたという驚くべき事態だった。


改正貸金業法の骨子

一般にはあまりなじみのない改正貸金業法の説明も興味深い。

貸金業法の改正骨子は次の5点である。

1.金利規制(グレーゾーン金利撤廃)
2.過剰貸付の抑制(年収の1/3までの総量規制と、すべての業態をまとめる指定金融情報機関設立)
3.業務規制(貸金業登録の最低総資産額を500万円から5,000万円に引き上げ)
4.ヤミ金融対策(罰則強化)
5.多重債務者対策(借りられなくなる人のセーフティネット強化)

法律は2006年12月に成立し、2010年6月に完全施行される。すでに段階的に施行されており、グレーゾーン金利撤廃の影響で消費者金融会社とクレジットカード会社が3大金融グループの草刈り場となりつつある。

たとえば三井住友ファイナンシャルグループは、従来の三井住友カードとプロミスに加え、クレジットカードではOMC,セントラルファイナンス、ポケットカードを、消費者金融では三洋信販(ポケットカードの親会社)を新たにグループに加えている。MUFGはJALカードを買収するといった動きがある。


日本版グラミンバンク構想

従来消費者金融からお金を借りていた個人は、改正貸金業法により新たに借り入れられないという事態が生じている。

現在消費者金融の利用者は1,400万人だが、そのうち1,000万人が消費者金融を利用できなくなるという「ローン難民」が出現するという。ちなみに200万人が多重債務者といわれており、完済はほぼ無理な人たちだ。

こうした人たちに国や自治体は「多重債務問題改善プログラム」をつくって活動をはじめている。日本版グラミンバンクをつくろうというもので、そのモデルケースとなるのが、岩手信用生協だ。

グラミンバンクについてはこのブログでも創設者ムハマド・ユヌス氏の「貧困のない世界を創る」を紹介したが、バングラディシュの貧民専門の銀行である。

岩手信用生協は1969年設立で、組合員向けの低利融資を行い、スイッチローンと呼ばれる生協、自治体、弁護士会、金融機関の4社が一緒になって生活再建のための債務整理や訴訟費用のバックアップを行うなど、解決に至る適切なアドバイスと具体的な解決策を提供している。

グラミンバンクでは借り手を5人ごとのグループにわけ、お金を借りたい時は他の4人の許可を得なければならない。それぞれの借り手が自分のローンに責任を持つが、グループとして互いに励まし合うことで、精神的なサポートになるという。「グループの他のメンバーを失望させたくない」というのが、ローンをきちんと返済する一番の理由だ。

岩手信用生協もチーム構成は異なるが、いずれも債務者をチームで支援しようとするものだ。

しかし岩田氏は自分も借金で苦労した経験があるので、この日本版グラミンバンクは、机上の空論のように思えると語る。

消費者金融会社のような与信管理のノウハウがなくては、新銀行東京のような結末になるのではないかと危惧している。


米国のクレジットヒストリー社会

この本で岩田氏は米国のクレジットヒストリー万能社会について紹介している。

米国ではクレジットビューローと呼ばれるエキファックス、エクスペリアン、トランスユニオンという3社の信用情報機関があり、銀行、クレジットカード会社など様々な会社から支払い履歴などの情報が毎日寄せられる。

過去2年間毎月の返済状況をまとめたのがクレジットレポートで、クレジットレポートの内容を3桁の偏差値であらわしたものがクレジットスコアだ。30日以上の支払い遅延があるとクレジットレポートに記載される。

筆者も合計9年間の米国駐在時に、クレジットヒストリーでは不便な思いをさせられたことがある。

1986年からの最初のピッツバーグ駐在のときにクレジットカードをつくろうとしたら、日本のクレジットヒストリーは米国には反映されないので、ダイナーズにリジェクトされてしまったのだ。

仕事用はアメックスのコーポレートカードが支給され、口座を開いた銀行で限度額が3,000ドル程度のビザカードがつくれたので、あまり問題なかったが、プライベートの支払いも限度額を超える分はコーポレートカードで支払っていた。

アメリカでもアメックスが使えないレストランとかが結構あるので、ビザカードは必需品なのだ。

半年から1年くらい経ってクレジットヒストリーができた段階で、今度はいろいろなカード会社から"Pre-approved"つまり審査合格済みというクレジットカードの案内がやたら送られてきて、手のひらを返したような扱いに驚いたものだ。

そのうちダイナーズからも申込書が送られてきたが、あのときの恨みがあるのでダイナーズカードは一度もつくったことがない。

米国でクレジットヒストリーが重要視される理由は、支払いは銀行引き落としでなく債務者がチェック(小切手)を切って郵送しないと支払いが行われないからだ。

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これが筆者の小切手帳である。小切手に手書きで相手の名前、金額を英語と数字で書いて、封筒に入れて送るのだ。スペルミスがあると格好が悪いので、金額を英語で書くのが結構大変だ。たとえば14は"Fourteen"だが40は"forty"だ。

資金繰りに余裕がないときは小切手の送付を支払期日から遅らせることがあり、あまりこの遅れが大きくなると延滞金利を取られるようになるので、ぎりぎりのところで郵送するのがコツである。

米国では銀行がクレジットカードを発行している例が大半なので、銀行に一定金額以上の預金があれば1,000ドル程度の低い限度額のクレジットカードなら発行される。それ以外の場合はデビットカードという銀行引き落としカードを使う。

デビットカードは銀行残高がないと支払えないので、クレジットカードを持てない人でも持てる。だから中・下層向けの支払い手段といえる。


クレジットスコアとは?

クレジットスコアは前述のフェア・アイザック社のFICOスコアというスコアリングがデファクトとなっている。

クレジットスコアは300点から850点までランク付けされており、米国民における比率は次の通りだ。

800点以上   13%
799〜750  27%
749〜700  18%
699〜650  15%
649〜600  12%
599〜550   8%
549〜500   5%
〜499      2%

米国ではクレジットスコアにより、社会の階層化がより促進されたと岩田氏は語る。

クレジットスコアは日本に於いてはいわゆるセンシティブ情報ということで、個人情報の中でも最も知られたくない個人情報に分類されている。

しかし通販業界が政治力を持っている米国ではその点はルーズで、ダイレクトメールの送り先を抽出するために信用情報機関からクレジットスコアが高い人のリストを購入するということも日常的に行われている。

だから良いクレジットヒストリーができると、やたらにクレジットカードの勧誘のダイレクトメールが来るのだ。

日本では統一的なクレジットスコアの導入は急ぐべきでないと岩田氏は考えているが、現実としては日本もそういった社会が近づいているように思われると語っている。


クレジットスコアをあげる方法

最後に岩田氏は、クレジットカードの審査に通るために、前述の転職後や転居後1年間はじっと待つなど、基本的な対策のほかにクレジットヒストリーを磨く方法を伝授している。

クレジットヒストリーには過去2年間の毎月の返済状況が”$”(期日どおり支払い)マークで示されているが、毎月”$”マークが並んでいたほうが審査担当者に心証が良い。

こまめにカードを使ってくれている積極的なカードホルダーと評価されるからだ。

JCBカードなどは、毎月きちんと払っていても”$”マークはつかないので、クレジットヒストリーを修復するにはOMCカード、ビューカード、セゾンカードなど支払い記録に”$”マークがつくカードが良いと薦める。

さすが消費生活評論家第一人者の岩田氏の実際的なアドバイスである。

生活習慣をあたらめることで、信用力をいくらでもつけられる時代になったので、クレジットヒストリーの仕組みを知って自分の点数が下がらないように努力すべきであると語る。

それには次の6つの原則を実行することである。

1.カードを持ちすぎない
2.返済には決して遅れない
3.限度額いっぱいで使うことはしない
4.毎月一定額は必ずカード払いをして実績を積む
5.複数のカードの申し込みを短期間にしない
6.一度申し込んだら半年間は期間をあける

これらのアドバイスに従い、年に1回くらいは個人信用情報機関からクレジットレポートを取り寄せて、自らのクレジットヒストリーを確認することを岩田氏はすすめている。


消費者の「信用力」という新しい分野の定本となる本である。

岩田氏ならではの現場密着型の情報が満載で、アドバイスもすぐに実行可能なものばかりである。

是非一読をおすすめする。



参考になれば次クリックお願いします。


あなたに貸す金はない! クレジットクランチ時代のサバイバル法

2010年6月21日追記:

6月18日よりいよいよ改正貸金業法が全面施行された。テレビの特集番組や、ニュースで取り上げられているが、総借入額の年収の1/3規制や、主婦の借り入れも極端に制限される。

ここにきて噴出する問題点について1年以上前から警鐘をならしていたのは、消費生活評論家岩田昭男さんだ。

クレジットクランチ時代のサバイバル法を解説した消費生活評論家 岩田昭男氏の「あなたに貸す金はない」のあらすじを再掲する。

まさにタイムリーな話題を、自らの体験も織り込んで詳しく解説した名著である。


2009年6月15日初掲:

あなたに貸す金はない! 国が生み出す新しい「借金地獄」 (アスキー新書)あなたに貸す金はない! 国が生み出す新しい「借金地獄」 (アスキー新書)
著者:岩田 昭男
販売元:アスキー・メディアワークス
発売日:2009-05-08
おすすめ度:4.0
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このブログで紹介した「信用力格差社会」「信用偏差値」に続く、改正貸金業法の影響に警鐘を鳴らす消費生活評論家 岩田昭男氏の最新作。

「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-11
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「信用偏差値」―あなたを格付けする (文春新書)「信用偏差値」―あなたを格付けする (文春新書)
著者:岩田 昭男
販売元:文藝春秋
発売日:2008-11
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いよいよ今月、2009年6月より改正貸金業法が一部施行され、個人の借り入れなどの信用情報が全金融機関で共有される様になる。

現在5社ある信用情報機関がグループ化され、統合された機関となるのは今年秋頃と見られるが、個人の信用情報の共有は機関が設立する前からスタートするのだ。

この件についてマスコミは全く騒いでいないが、この本の帯に書いてある通り「借金大パニック襲来!!1000万人が借りられなくなる!」ことになるのは必至なのだ。

岩田氏は、昨年から前掲の2冊で、警鐘を鳴らしていたが、本件についてはマスコミはまったく騒いでいないのは驚くべきことだ。


改正貸金業法の骨子

貸金業法の改正骨子をおさらいしておくと、次の5点が大きな改正点である。

1.金利規制(グレーゾーン金利撤廃)
2.過剰貸付の抑制(年収の1/3までの総量規制と、すべての業態をまとめる指定金融情報機関設立)
3.業務規制(貸金業登録の最低総資産額を500万円から5,000万円に引き上げ)
4.ヤミ金融対策(罰則強化)
5.多重債務者対策(借りられなくなる人のセーフティネット強化)

法律は2006年12月に成立し、2010年6月に完全施行される。すでに段階的に施行されており、グレーゾーン金利撤廃の影響で消費者金融会社とクレジットカード会社が3大金融グループの草刈り場となっているのは周知の通りだ。

岩田氏は最近タモリが、アコムのTVコマーシャルに出演していることを取り上げている。

サラ金という今までのイメージから、三菱UFJファイナンシャルグループというメガバンク傘下の消費者金融会社に変わったので、タモリもコマーシャルに出ても良いと思ったのではないかと。

今月からいよいよ影響が出てくるのは上記2.の過剰貸し付けの抑制だ。

具体的には個人の借入情報をすべての金融機関が見られることになり、その人の年収の1/3までが無担保貸し付けの限度額となり、これを越える借り入れは断られることになる。

また既に年収の1/3を超える借金がある人は、残高が年収の1/3を下回るまで新しい借り入れはできず、返済するだけとなる。

いままでは消費者金融の借り入れ残高は、クレジットカード会社や銀行ではアクセスできなかったので、クレジットカードのキャッシング枠で借り入れるとか、銀行のフリーローンで借り入れることができた。

業態ごとに信用情報の交流がないので、クレジットカードで多重債務に陥っても、消費者金融に行けば何度でも借り入れができるということができていた。

今度は総借入額が年収の1/3を超えると、一切新規の借り入れができなくなるのだ。


個人信用情報の統合

日本には現在次の5つの個人信用情報機関がある。

1.全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行系
2.CIC クレジットカード、信販系
3.CCB クレジットカード、信販系
4.全国信用情報センター連合会(全情連、JIC) 消費者金融系
5.テラネット 消費者金融系

このうち最も古く40年の歴史のある全情連のデータベースは加盟各社のデータがリアルタイムで統合されており、入金があるたびに更新されるという点で最も優れている。消費者金融業界の貸し倒れが少ないのも、このデータベースが充実しているからだといわれている。

上記の3,4,5が統合されることになりそうで、1,2については動向は決まっていないが、いずれにせよ2009年6月以降は信用情報はすべての機関で一本化されることが決まっている。

信用情報をより広く共有化することにより、多重債務を抑止しようとするものだ。


クレジットクランチ、借金難民続出の時代

これまでは年収の2倍まで借りられると言われていたのに、これが一挙に1/3までしか借りられなくなったら、多くの人は借金難民となり、おまけにクレジットカードも作れないというクレジットクランチ時代が到来し、カード難民が続出する。

筆者も住宅ローンと車のローンを抱えているが、岩田氏は、我が身を振り返って、借金は生活習慣病だと語る。

多重債務者は生活習慣病で、一時は財産100億円を超えていたのに詐欺をはたらいて有罪となった小室哲哉氏のように、収入が減少しても生活レベルは急には落とせないので放っておけば必ず再発すると。

だから本当に必要なのは借金メタボ対策のカウンセリングなのだと。借金メタボには生活ダイエットが必要であり、生活を切りつめることが必要なのだ。


借金サバイバル法

この本は岩田氏の借金サバイバル法が伝授されていて、大変参考になる。

たとえば最近弁護士がやたらテレビや電車の車内広告で借金整理の宣伝しているが、弁護士に頼むのはデメリットの方が大きいと言い切る。

返済している途中の弁護士や司法書士による債務整理は事故に当たるので、すぐにブラックリストに載ってしまう。一度ブラックリストに載ると5年間は借り入れできなくなる。

弁護士は「別にブラックリストに載っても良いではないか」と説明するらしいが、ブラックリストに載って5年間も一切借り入れもクレジットカードも作れないとなると、誰でも不安に思うだろう。

それと弁護士に頼むと着手金が1社あたり2万1千円、借り入れが5社だと10万円強がすぐに必要だ。そして過払い金を取り戻せても、弁護士が成功報酬2万1千円、返還金の20%とチャラになった残高の10%を取る。

業者が債務減額に応じただけだと、減額された金額の10%が弁護士報酬になる。

なんだかんだで弁護士報酬はバカにならない。弁護士も儲からなければ、あれだけ頻繁に大金をかけてテレビコマーシャルなどやらないはずだ。

岩田氏は弁護士を使わず、自分で過払い金請求をすることを勧め、この本で過払い金返還請求の手順まで懇切丁寧に説明している。

個人情報保護法の規定により、開示請求があれば貸金業者は取引経過を開示しなければならないという最高裁判決が出ているので、まずは取引経過を取り寄せ、次のような過払い金請求マニュアル本についている附属CDソフトで過払い金を計算し、利息分(5〜6%)を加えて配達証明郵便で業者に請求書を送るのだと。

そうすると業者から返還額を書いた書類を送ってくるので、それに同意して捺印して送り返すと1〜2ヶ月で入金するという。

Q&A 過払金返還請求の手引―サラ金からの簡易・迅速な回収をめざしてQ&A 過払金返還請求の手引―サラ金からの簡易・迅速な回収をめざして
販売元:民事法研究会
発売日:2008-06
おすすめ度:4.0
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50万円借りて、毎月1万3千円ずつ払って完済していた場合には、過払い請求するとなんと約73万円が返還されるという。


とっておきのノウハウ伝授

岩田さんは、最後にとっておきのノウハウも惜しげなく教えている。

数社から借金がある場合、まず1社を何が何でも完済するのだと。そして完済した後で、過払い金返還請求する。完済後は過払い金返還請求しても事故にはならないのだ。

そして過払い金が入金したらそれを使って2番目の業者の債務を完済して、完済後に同じく過払い金返還請求する。同じ事を3番目め、N番目の業者に繰り返すのだ。

すごい実践的アドバイスである。

そのほか、ノウハウとして、キャッシング=手数料と肝に銘じるとか、リボルビング払いはしないなどの、「岩田流 多重債務を防ぐポイント」として8ヶ条、家計簿をつけてみよう、収入を増やす努力をして、支出を切りつめる、いよいよとなったら公的機関に頼るなどの、「岩田流 借金生活脱出法」6ヶ条を紹介している。

東京都の場合、消費生活センターに連絡するとなんとかなるだろうと。

テレビによく出てくる「年収300万円シリーズ」で、自分は年収数千万円を稼いでいる評論家の本などとは全然違う地に足がついた実践的指南である。


参考になる情報が満載

貸金業法改正で影響が出るのは、年収400万円以下、特に200万円以下の人と、主婦やフリーターなどで、それ以外の人はあまり影響はないと思われるが、情報としても参考になる。

たとえば次のような情報が紹介されている。

★トヨタファイナンスはキャッシング枠をなくし、無担保ローンから撤退する。これはレクサスカードなどの優良顧客を守りたかったのではないかと岩田氏は推測する。

キャッシング枠があるとその情報は指定信用情報機関に上げられ、貸金業各社が見ることになり、優良顧客であればDM攻勢が来ることになる。トヨタファイナンスはそれを避けたかったのではないかと。

★年末派遣村にやってきた派遣切りにあった失業者の多くは多重債務者で、たとえ生活保護を受けるためでも住民登録は嫌がる人が多い。債権者に見つかってしまうからだ。

★本当は恐ろしいリボルビング払い これは説明不要だろう。アメリカのクレジットカードは基本がリボルビング払いなので、サブプライムローン問題が出てきた時に破産者が急増した理由の一つとなった。

★東京都はバングラデシュのグラミン銀行を参考にして、生活再生資金貸付事業を社団法人生活サポート基金に委託して行っている。

岩田さんの本だと年利12.5%、返済期間120回となっているが、ホームページでは最高300万円、年利3.5%(ただし保証人必要)、最長7年間となっている。保証人がいないと金利が異なるのだろう。

ただし、まだ実績は5件しかないという。

★岩手県消費者信用生協によるスイッチローンは、信用生協、県内市町村、岩手弁護士会、提携金融機関が共同で多重債務者を救済するという全国でも例を見ない優れたシステム。

★改正割賦販売法によりショッピング枠にも網がかかる。こちらは経済産業省の主管で、(年収 ー 生活維持費) x 大臣が定める係数(0.5〜1)でクレジットカードのショッピング枠を決めるという、いかにもお役所らしい計算式だ。

係数もまだ決まっていないし、車のローン除外、海外旅行時には最大2ヶ月限度額2倍とか、公共料金の支払いを除外するとか、主婦は無条件で合計30万円だが、世帯主の収入を主婦の限度額に算入できるとか、例外をめぐってまだまだ議論が続きそうだ。

★貸金業者数は2000年の3万社から、2008年の9千社にまで激減し、さらに減少が見込まれる。


PtoP個人間借金サイト

最後にこの本には載っていないが、最近のYahoo!のニュースで気がついたPtoPの個人間でお金を貸し借りするサイトが気になるので、紹介しておく。

maneoというサイトで、個人間の金銭貸借をオークション形式で仲介するサイトのようだ。手数料は1.5%だという。

maneo





日本では企業が貸金業をやることは、出資法で厳しく規制されており、ライセンスが必要だが、個人間の貸し借りだったら法の網をくぐれるということなのだろうか?

無規制でこんなサービスが日本でやれるとは信じられないような気がするが、今のところ貸付金総額7千5百万円ということなので、まるめて1億円としても手数料1.5%なら、創業以来の収入が150万円しかないので、このままでは採算が合わずサービス撤退は時間の問題だろう。

はたしてこのようなサービスが生き延びるのか興味があるところだ。

最近グラミン銀行のムハマド・ユヌス氏の自伝をオーディオブックで読んで(聞いて)感動したので、近々あらすじを紹介するが、グラミン銀行の場合、女性5人でグループをつくってお互いを励まし合うという「隣組」あるいは「細胞」のような組織がベースとなっているから、99%という高率の返済率となっている。

Banker to the Poor: Micro-Lending and the Battle Against World PovertyBanker to the Poor: Micro-Lending and the Battle Against World Poverty
著者:Muhammad Yunus
販売元:Blackstone Audiobooks
発売日:2007-01
おすすめ度:5.0
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そういうモラル面での歯止めがない個人間融資は、危険な賭けではないかと思うが、筆者の直感が間違っているかもしれない。


この本には、Q&Aも充実しており、興味ある質問ばかりで大変参考になる。

クレジットスコアやクレジットレポートの実例なども解説されており、これ一冊でクレジットクランチ時代の問題点やサバイバル法がすべてわかる。

この本に書いてあることは今日本で起こっていることだ。時宜を得た本で、わかりやすくためになる。

是非一読をおすすめする。


参考になれば次クリックお願いします。




信用偏差値 信用力で決まる借り入れ力

いよいよ6月から改正貸金業法が段階的に施行される。国の愚民政策の表れとも言える改正内容のため、今度は消費者は自分の返済能力を超えた借り入れは事実上できなくなる。

というのはいままで消費者信用業界とか、銀行業界とかで分かれていた信用情報機関が、全業種横断的な信用情報ネットワークに統合され、全金融機関があなたの借入残高を調べることができるからだ。

この分野の第一人者の岩田昭男氏は、この点を警告する新著も出している。

あなたに貸す金はない! 国が生み出す新しい「借金地獄」 (アスキー新書)あなたに貸す金はない! 国が生み出す新しい「借金地獄」 (アスキー新書)
著者:岩田 昭男
販売元:アスキー・メディアワークス
発売日:2009-05-08
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岩田氏の「信用力格差社会」と「信用偏差値」がこの辺の事情を詳しく説明しているので、「信用力格差社会」に続いて、「信用偏差値」のあらすじを紹介する。

「信用偏差値」―あなたを格付けする (文春新書)「信用偏差値」―あなたを格付けする (文春新書)
著者:岩田 昭男
販売元:文藝春秋
発売日:2008-11
おすすめ度:3.0
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「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-11
おすすめ度:4.5
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「信用力格差時代」は信用力が、住宅ローンなどの各種の借り入れ、クレジッドカードなど与信を左右する社会的指標になり、就職にもクレジットヒストリーが必要とされる米国のような「クレジットヒストリー万能社会」に近づきつつある日本の現状に警鐘をならす作品だった。

この「信用偏差値」では、信用力がより重視される社会で、クレジットカード業界が個人向け金融ビジネスの主役に躍り出ようとしている動きをレポートしている。

日本のクレジットカード業界は、1.改正貸金業法の影響、2.メガバンク主導による再編、3.電子マネー陣営による攻勢という逆風にさらされている。

しかし改正貸金業法の影響は、消費者金融業界・クレジットカード業界にダメージを与えたグレーゾーン金利の撤廃というネガティブなものだけではない。

改正貸金業法に基づき2009年6月には、クレジットカード業界、信販業界、消費者信用業界共通の指定信用情報機関制度が始まる。これまでは業態ごとに5つの信用情報機関にわかれていたが、今後は業態を超えた情報交換が始まる。

ちなみに改正貸金業法の概要は金融庁のホームページに公開されているので、一読をおすすめする。

今まで信用情報については、消費者金融業界が銀行やクレジットカード会社、信販会社に比べて優位に立っていた。無担保で信用力の低い人たちに貸して、ちゃんと取り立てられるという経験に基づいたすぐれた信用力管理を行っていたのだ。

それが業界を横串にする信用情報交換が始まると、消費者金融業界の優位性は薄れる。「信用力」を社会生活に不可欠なものとして確立することで、昨今台頭してきた電子マネーに対抗してクレジットカード業界が反撃に移るのである。


この本の目次

この本の目次は次の通りである。「信用偏差値」は、アマゾンのなか見検索に対応しているので、是非なか見検索で、目次を見て欲しい。

第1章 個人に「信用偏差値」を持ち込め!
第2章 電子マネー隆盛の時代
第3章 クレジットカードVS電子マネー 知られざる闘争
第4章 クレジットカード陣営の総反撃が始まった
第5章 信用社会 日米の違い
第6章 信用格差社会を生き抜くカードの使い方

各章が15前後のサブタイトルで構成されており、読みやすく頭にスッと入る構成である。


著者の岩田昭男氏はクレジットカード・電子マネーの第一人者

著者の岩田昭男氏はクレジット、消費者金融業界に精通し、業界の教科書ともいうべき「クレジット・ローン業界ハンドブック」、「電子マネー業界ハンドブック」を書かれているだけに、参考になる情報が多い。EDY、Suica/Pasmo/Icoca、QUICpay、nanaco、Waon、iDなど電子マネー業界の現状も簡単にまとめられている。

図解 クレジット・ローン業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)図解 クレジット・ローン業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
おすすめ度:4.0
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図解 電子マネー業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)図解 電子マネー業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
おすすめ度:5.0
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筆者は知らなかったが、日本で銀行がクレジットカードを発行できない理由は、1960年代にクレジットカードが日本に上陸した時に、銀行にクレジットカードを発行させようとする大蔵省に、信販業界を管轄する通産省が民業の圧迫になるとして反対したためだ。

銀行は子会社を通してしかクレジットカードを発行できなくなった。それで生まれたのがUC,DC,ミリオン、JCB,現三井住友カードなどといった銀行系クレジットカード会社だ。


現金流通量は確実に減少

2007年の資金供給残高は2年連続マイナスで、前年比約8%減少し、88兆円になった。これからも日銀券(現金)の発行量が減少し、電子マネーやクレジットカード利用が増えるという傾向が強まると岩田氏は予想する。

岩田氏によると、経済学者のハイエクは「紙幣や貨幣を造幣するのはもはや国家の専業事業ではなく、貨幣鋳造を民営化すべし」と主張したことがあったそうだ。声高に主張されているわけではないが、事実として電子マネーやポイントの企業通貨が伸張してきており、現金の流通量を減少させている。


金融庁のポイント・電子マネー規制

このようなポイント・電子マネーの隆盛をにらんで、金融庁はサーバー型の電子マネー(ウェブマネーやビットキャッシュ)、ポイント、代金収納サービス、コンビニ払いなどに規制をかけようと多くの学者を集めて「決済に関するワーキンググループ」を組織して昨年から活動していた

結局今年1月9日の最終答申で、サーバー型の電子マネーに対して他の電子マネーと同様の規制をかけるほかは、規制強化を断念した。

逆に宅配便やコンビニ決済などは、あまりに広まっているので、もはや決済機能は金融機関だけに認められるという大原則が通用しないという結論をだしている。


クレジットスコア導入にあたっての3論点

日本でも「信用偏差値」=クレジットスコアが導入されることが予想されるので、岩田氏はクレジットスコア導入にあたっての論点を3つにまとめている。

1.クレジットレポートはともかく、クレジットスコアまで導入すべきかどうか。

2.クレジットレポートやスコアを金融機関がマーケティングの道具としてどこまで使えるか。(たとえば新規顧客勧誘に使えるのか?)

3.金融事業者以外の一般企業がクレジットレポートなどの信用情報をおおっぴらに活用することを認めるかどうか。(たとえば不動産業界や人材派遣業界が使えるのか?)

アメリカのサブプライム問題の根本原因は信用力格差にある。もともと住宅ローン審査に通らないサブプライム層に、住宅価格が上昇することを見越して、ローンを貸し出した金融業界が、不動産バブルの崩壊で自滅したのだ。

だから岩田氏は、アメリカをモデルとせず、日本でクレジットスコアを導入する場合は上記3点の議論をつくすべきだと主張する。

筆者はクレジットレポートの現物を見たことがなかったが、この本では日本版クレジットレポートの実物の写真も掲載されているので興味深い。


クレジットスコア時代を生き抜く最強の2枚のカード

信用偏差値が導入された場合は、サブプライム層になるとクレジットカードもつくれず、ローンも借りられなくなる恐れがある。だから、なんとしてもプライム層にのこるべく、自らのクレジットカードの使い方を見直して信用力を高める使い方をマスターする必要がある。

ライフスタイル別にどのクレジットカードを持ったらよいのか、岩田氏が選んだ「最強の2枚のクレジットカード」の組み合わせが推薦されているので興味深い。

岩田氏によると史上最強の組み合わせはアメリカンエクスプレスのセンチュリオンカード(年会費約36万円のいわゆるブラックカード)とレクサスカードだという。

どちらも欲しくても持てるわけではない。

レクサスカードはビザのプラチナカードサービスが利用でき、車両購入時のキャッシュバック6%、オプションや整備代はポイントが倍になるという。

筆者はハリアーハイブリッドに乗っているが、これが次モデルからはレクサスRXとなることが今週発表された。

アメリカでは元々ハリアーはレクサスRXとして当初から販売されていたので、日本もレクサスの商品群に加えるようだ。

ハリアーからレクサスになると、ほぼ自動的に150万円ほど値段が上がる。

レクサスカードが持てるようになるかもしれないが、車両価格が約150万円上がってもその分中古車価格が上がる保証はなく、レクサスディーラーは自宅から離れた場所にあることでもあり、複雑な気持ちである。


簡単に読めて、現在のクレジットカード、電子マネー業界の動き、それから自分の信用力を守るためにはどうしたらよいのかスッと頭に入る。

クレジットカードの第一人者である岩田氏が、史上最強の組み合わせ以外にも、その人にあった2枚のカードの組み合わせを各種紹介しているので、是非本を手にとってみることをおすすめする。


参考になれば次クリックお願いします。



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