時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

スポーツ

東大五月祭でミスター東大コンテスト復活!

このブログでも何度か筋肉博士 東大石井直方教授の本を紹介しているが、石井教授が部長を務める東大ボディビル&ウェイトリフティング部の現役の発案により、約10年ぶりに五月祭でのミスター東大コンテストが復活した。ミスター東大特設サイトもできている。

 東大





五月祭の公式サイトB&W部現役のサイトでも告知されている。

5月祭サイト





 東大B&W部サイト






開催要領は次の通り:

 東大企画






場所は東大本郷の安田講堂前の法文2号館2階の文1大教室で、5月29日(土)15:30から17:30までの開催だ。

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ゲストポーザーは最近テレビのクイズ番組によく出ているタック君こと、佐々木卓君が務める。

筆者は知らなかったが、このミスター東大コンテストが縁で、応援の女子大生と結婚した選手もいる。

筆者は一度もこのミスター東大コンテストというのは見たことがないので、今回は見に行ってみようと思う。

興味のある人は、5月29日(土)午後東大本郷キャンパスまで行ってみよう!


参考になれば次クリック願う。



星野流 カミナリ親父星野仙一監督の本

別ブログで「野球道」の再定義を提案する桑田真澄さんの対談のあらすじを紹介しているので、それとは正反対の星野仙一さんの本を紹介する。

星野流


北京オリンピックに出場した日本代表の星野仙一監督の考えがよくわかるショートストーリーを77集めた本。

台湾に勝った試合での采配も、星野監督の指導者、監督としての非凡さが表れていた。7回表、台湾に1:2とリードされたノーアウト満塁の場面でのスクイズ。

同点とした日本チームの各バッターは、心理的な重圧からも解放されたこともあり、連続ヒットでこの回6点をあげた。あそこでまず同点になっていなければ、プレッシャーで連続ヒットも生まれなかったのではないかと思う。

これこそ星野采配の真骨頂だと思う。星野さんは試合後のインタビューで、うれし涙を浮かべていたが、北京への重圧から解放されホッとしたのと、会心の試合ができたせいではないかと思う。

星野さんは、1947年生まれの今年60歳。田淵幸一コーチや、山本浩二コーチも同年代だ。

星野さん自身の記録は通算146勝、121敗。長嶋監督、王監督と病魔に襲われ、上も下も人材がいないとして、自分に代表監督のおはちが回ってきたのだと謙遜する。有事に燃えるのが男だろうと。

名選手、名監督ならずのことわざ通り、星野さんより記録は上でも、監督として使い物にならなかった名選手は多い。

特に毎年最下位で野村監督の手腕を持ってしても低迷していた阪神を、就任わずか2年で優勝させ、その後も優勝を争えるチームにつくり上げた手腕を持つ星野さんは、やはり監督としては日本を代表する名監督だと思う。


健康に不安

この本では健康状態も自分自身で明らかにしており、サッカーのオシム監督の例もあり、気に掛かるところだ。

星野さんは高血圧と不整脈という持病があり、オシムさんと同じく脳梗塞が一番怖いという。不整脈は監督時代からのもので、血圧は普段からも上が170前後、下が130前後と高い。試合になると30〜40も上がり、上が210を超えてしまうこともあると。

もともと感情が激しく、喜怒哀楽が激しい上に、タイガースの1勝は他のチームの3勝分くらいで大変なプレッシャーだったという。星野さんが監督を退任して、阪神のSD(シニアディレクター)になった時は、今ひとつ理由がはっきりわからなかったが、健康の話を聞いて理解できた。

代表監督はメンタル面でのプレッシャーもあり大変な仕事だと思うが、体に不安はあっても、有事に燃える星野さんは日本代表監督を引き受けたのだ。


明治大学野球学部島岡学科出身

星野さんが生まれる前に、エンジニアだった星野さんのお父さんは脳腫瘍でなくなり、お父さんの勤務先だった三菱重工の水島工場の寮母としてお母さんが働き、星野さんと2人の姉を支えた。

母子家庭で育った星野さんは、水島の中学から、倉敷商業高校に進むが、甲子園には出場できなかった。倉敷商業の監督が明治大学出身だったので、その後明治大学に進む。

明治大学は毎年100人程度野球部に新入生が入るが、野球部はとんでもないところで、大体1年で8割はやめる。夏なら4時半、冬なら5時半から練習開始(!)で、当時の監督の島岡吉郎さんは、練習開始前の1時間前に起床し、合宿所の玄関で目を光らす。

まずは裸足でグラウンドを20周。そのあとグラウンドの草取り、小石取りに1時間。それから練習だ。

星野さんが、1年生の時、毎日球拾いをしていると、突然バッティングピッチャーをやれと指名されたという。当時の明治大学のコーチがサブグラウンドで球拾いをしている星野さんに目をつけて、星野はいつも一生懸命やっているからと推薦してくれたのだと。

野球人生を振り返ると、これが星野さんのその後の幸運の始まりだったような気がすると。

田舎出の無名選手だったので、ともかく目立とうと思って必死に投げ、バッティングピッチャーで、上級生、レギュラーを押さえ込んでいるのが島岡さんの目にとまり、面白い奴と、1年生でレギュラーとなった。

この年の六大学の新入生で1年からレギュラーになったのは、星野さんと法政の田淵だけだったと。

「命がけでいけ!」、「魂を込めろ!」、「誠を持て!」が島岡さんの口ぐせで、これを常に復誦させる。

「なんとかせい!」と。

星野さんは一晩に1,000球の投げ込みを命じられた時もあったと。まさに桑田さんが直すべきと批判している精神主義野球そのものだ。

星野さんが主将の時、早稲田に負けたときは、グラウンドの神様に謝れといわれ、星野さんは島岡さんと一緒に、真夜中の雨のグラウンドで2時間にもわたり土下座して謝った。

島岡さんは、「グラウンドで毎日、こうして技術、体力、根性ー人間を磨くことができるのは、グラウンドの神様のお陰なんだ」と本気で言っていたという。島岡さんは、何十年も自宅に帰らず、野球部の合宿所に住んでいたという。

星野さんはお父さんはいないが、オヤジはいたという。それが島岡さんだ。星野さんは、よく明治大学野球学部島岡学科卒だと公言していたという。


厳しい練習は人間教育

島岡さんは合宿所のトイレ掃除は、キャプテンの仕事としていた。

「人の嫌がること、つらいことこそ、先頭に立って上の者がやれ。人間社会は常にそうでなければならん。最上級生のキャプテンが毎日掃除をしているトイレを使う下級生は、常にそういう先輩の態度や気持ちを忘れたらいかんのだ」ということで、星野さんも毎日トイレ掃除をした。

掃除に手抜きをすると、合宿から出されるのが掟で、便器の掃除にしても、いい加減にやっていると、星野さんも便器をなめさせられたという。

キャプテンの他の仕事は、運転手役と、毎日の意見具申役だ。運転手役は社会にでるための準備、意見具申は人間教育で、いずれも島岡流の指導者育成方法だった。

星野さんはプロに入っても島岡流で貫いたと、同級生からは言われるのだと。

星野さんの原点はこの島岡さんの教育で、厳しさと激しさのなかでこそ人は伸びるものだと。島岡さんの指導を受けられたことは、天にも感謝したいと語る。

1975年秋の神宮の六大学野球で、東大が明治大学に2連勝して勝ち点を取ったことがあった。明治は東大に破れたが、たしか優勝した。

それ以来東大は明治から勝ち点は取っていないと思うが、あのとき島岡さんは選手に対して激怒したと聞く。選手もそれこそ死んだ気になってがんばり、優勝したのだと思う。


星野さんのポリシー

星野さんは理想の上司投票でNo.1を続けている。主張がはっきりしており、コミュニケーションを重視するからだろう。

星野さんは減点主義を排すという。これも人気の出る理由の一つだろう。

減点主義では失敗を恐れて、人は小さくなる。野球は得点主義なので、たとえ失敗しても明日は頑張って負けた分を取り返す。

「チャンスはやるぞ。失敗は自分の力で取り返せ」というのが星野さんの主義だ。

野球は所詮首位打者でも7割は失敗で、成功はわずか3割。首位チームでも勝率は6割程度だ。日本は減点主義が多すぎるので、野球から得点主義を学んで欲しいという。


星野さんの選手育成

星野さんは毎年選手にはレポートを提出させていたという。意識付けはまずは自問自答で始めるのだと。

ピッチャーには自己採点をさせ、チーム内でのランキングを付けさせ、自問自答を繰り返させて目標意識をはっきり確認させるのだ。

今の選手は「右向け右」では動かない。納得しないと動かないので、タイガースの監督2年目から始めたのだという。

選手自身の目標と目標達成の具体的方法をレポートで提出させ、自分自身で実践させるのだ。

タイガースの今岡は、星野さんがタイガースの監督時代に最も伸びた優等生だ。

星野さんがタイガースに行く前までは、やる気がないなど、さんざん不評を聞いていたが、実際は全く異なり真剣そのもので、ガッツプレーも見せるし、ピンチにはピッチャーの激励に行く。

今岡は絶対に叱ってはいけない選手だという。叱るよりもほめる方が生き生きとプレーする。

野村さんは、「あいつは一体なんだったんだ。おれとは相性があわなかったんか。わしゃあ、まったくわからんよ」と苦笑しているそうだ。野村さんは、何を考えているか分からない今岡に、2軍行きを命じたりしていたのだ。

星野さんは選手を代える時、「代われ!」というだけだが、その後に「また明日な」と必ず付け加えている。ダメだから代えるのではない、今日は体を休めろという意味なことを、その一言で分からせるのだと。

人生の1%をボランティアに割けと星野さんはいう。

自身でも岡山の障害児施設との交流を30年以上も続けているそうだが、今のタイガースの選手では赤星憲広が、盗塁をひとつ成功させる毎に、障害者施設に車いすを1台づつ送っている。

赤星は、新人王で39盗塁を記録し、才能があると慢心していたので、広島から金本が入り、濱中、桧山を使ってプレッシャーを掛けると、目の色を変え、努力の人に生まれ変わったのだという。


星野さんは伊良部の用心棒

星野さんは伊良部の用心棒と公言していたという。伊良部はどこへ行っても無愛想で、マスコミにもつっけんどんで誤解されやすかった。

本当の伊良部は繊細で、実に頭の良い男だったという。自分が苦しみながら勝った試合では、伊良部はロッカーの入り口で引き上げてくる選手一人一人とていねいに感謝の握手を交わしていた。

これは伊良部が6年間のメジャー生活で学んできた日常的なマナーだろうと。

なかでもヤンキースは、一騎当千の選手軍団でも「チームで戦う」ことで選手に厳しく、うるさくしつけることで有名だという。伊良部もだてに6年間メジャーでもまれてきた訳ではないと。

伊良部はコーチともよく話しあい、よく研究していた。くせを見破られていないかとか、あの審判はこういう傾向だということまで研究していた。それを若い選手にも是非見習ってもらいたいと思っていたと。

タイガース時代でいつも一番辛い点をつけるのが井川慶だと。ピッチングに関してはすべてがアバウトだから、球筋、コントロールが中途半端で、高めのボールは日本では見逃されても、メジャーではみんなもっていかれるのだと。

星野さんは毎年、このチームに居たくない人は手を挙げてというが、阪神の優勝が決定した場面でも不在で、身勝手な異端児だったのが井川だったという。


星野さんのマネジメント術

星野さんは監督賞などは、若いときの監督経験から一切出さないことにしている。しかし、その代わりに選手や家族、裏方の人たちや家族に感謝の意を表すため、必ずバースデーカードを送り、プレゼントを贈るようにしていると。

チームには裏方として、バッティングピッチャー、ブルペンキャッチャー、用具係、トレーナー、スコアラー、マネージャーなど現場のスタッフが30人近くいる。星野さんは、こういった裏方にも気をつかう。

また罰金はその年の納会で、選手や裏方の家族も含めた全員の家族用の景品やおみやげに使って、還元しているという。


星野さんの闘魂野球の背景

星野さんは、母子家庭の選手だと聞くと、どうしても目を掛けてしまうと。タイガースの江夏や、大洋の平松。中日の立浪などだ。

母子家庭の子には、「お父さんのいる子には絶対負けない」という強い気持ちがこもっているのだと。

星野さんがルーキーの年、2回でKOされると、コーチを通じて当時の水原監督に明日の試合にもう一度先発させて下さいと申し出たという。水原さんは、翌日も星野さんを先発させた。

星野さんは完投したが、1:2で負けた。試合後誰にも会わせる顔がなくて、ロッカーで沈み込んでいると、三原さんが「よう頑張ったな」と握手してれたという。

きかん坊で暴れん坊で、いつも逆らってばかりいた星野さんも、このときは三原監督の手を握って子供のように泣いたのだという。

人の情けが人を救い、人の情けが人を作るというが、叱るのも怒るのも、チャンスをあたえるのも、つらい練習を強いるのも、監督としての星野さんの心のバックボーンであると。


人使いの名手 星野監督

星野さんは、選手を生かしていくコミュニケーションは二つあると語る。

一つはほめる場面と、叱る場面の見極め。もう一つは選手に「おれはいつも監督に見られている」という意識を植え付ける接し方、言葉の掛け方であると。これは日常会話でも良い。

星野さんは、いつも選手に「おれはお前を見ているよ」「おれはお前に期待しているよ、信頼しているよ」というサインを送ることは大切だと語る。

どんな人でも、人から「見られている」という意識、その緊張感がプラスに働くことがある。

星野さんは選手を能力と特色だけでは使わない。常に「仕事への心の準備」ができているかで選手の起用を決めていると。

星野さんが大事にするのは、試合の流れにも気を配りながら準備をして、自分の出番に集中している選手の姿であり、ベンチを見回して目があって、気持ちが通じ合うのがこうした選手なのだと。

星野さんが評論家時代にマスターズの取材に行って、ジャック・ニクラウスにインタビューしたときに、ニクラウスが「わたしはいつも『今日しかない』わたしの人生には、今日しかないと思っていつもプレーしている」と語っていたという。

そういう心の準備ができている選手が、力を発揮するのだ。


星野さんの仕事術

リーダーは普段の顔と、監督でいる顔と少なくとも2つの顔を持てと星野さんは語る。

西武の管理部長だった根本さんに言われたことがあると。

「君は星野仙一か。しかし、今は星野仙一ではないだろう。今は中日ドラゴンズの監督なんだ。他のチームに伍して戦っていけるチームを作るのが仕事だろう。人間だからつらいことはいろいろ出てくるさ。でも、トレードだって、君の監督としての重要な仕事なんだ」

いつでもどこでも重要なのは、やるべきことの発見と手順だと星野さんは語る。チーム改革と一口にいっても、すべきことを発見し、どういう手順でやるのかが大切だ。

星野さんは、若いときは選手を殴るなど、熱血指導で知られるが、いい人は好かれても尊敬されないという。

摩擦をいやがる人は管理職になれないというが、プロ野球でも似たようなものであると。選手に好かれる兄貴になれても、嫌われるオニになれないコーチは辞めさせるしかなかったという。

星野さんの野球は「弱者を強者にする野球」だと、そして心技体ではなく、体心技の順番なのであると。

体力がないと、ピッチャーでもバッターでも良いプレーができない。見本は金本だと。

広島に入ったときは、きゃしゃな体でどこまで持つかと見られていたが、オフも体つくりのトレーニングを欠かさず、いまや鉄人とよばれるほどの選手となった。

39歳になって、連続1000試合以上の連続フルイニング出場の世界記録を更新中だ。


「若者」と「グローバル」がキーワード

星野さんは今までトップ選手のメジャー流出を食い止める施策を取らない球界首脳を批判してきたが、代表監督となった今は、「行きたい選手は行けば良い。日本にはまだこれだけの選手がいるんだ、というところも見せてやる」と思うようになったと。

プロ野球もどんどん若者を育てて、次々を育て上げれば良いという考えが強くなったという。

日本のプロ野球とメジャーの差を考えると、有力選手の流出は今後も続くだろう。そしてメジャー帰りの日本人選手も増えて、輸出入というか、人材の相互の交流は益々活発になるのではないか。

その意味で、星野さんの考え方は、この選手の輸出入を拡大し、球界の活性化に役立つのではないかと思う。

松井秀喜の求道者の様な「不動心」と、明大島岡御大仕込みの熱血指導の星野さん。タイプは違うが、厳しい練習をして、マウンドや打席に入る前に準備ができていることの重要性など、基本は同じだと感じた。

この本を読むと、星野さんが理想の上司トップにランクされている理由がよくわかる。



参考になれば次クリック願う。




筋肉博士石井直方の筋肉まるわかり大事典 トレーニングについての200のQ&A

NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」にも出演した石井直方東大教授のトレーニング全般についてのQ&A200題。

ムック本2冊で出されていた「筋肉まるわかり大事典」が、一冊の本にまとまったものだ。アマゾンのなか見、検索にも対応しているので、目次をまずはチェックして欲しい。

石井直方の筋肉まるわかり大事典石井直方の筋肉まるわかり大事典
著者:石井 直方
販売元:ベースボール・マガジン社
発売日:2008-11-22
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


以前のムック本はこれだ。

“筋肉博士”石井直方の筋肉まるわかり大事典―筋肉のヒミツ、トレーニングの極意、栄養&食事法まで (B.B.MOOK―スポーツシリーズ (420))“筋肉博士”石井直方の筋肉まるわかり大事典―筋肉のヒミツ、トレーニングの極意、栄養&食事法まで (B.B.MOOK―スポーツシリーズ (420))
著者:石井 直方
販売元:ベースボール・マガジン社
発売日:2006-07
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

筆者は35年以上ウェイトトレーニングを行ってきているので、自分ではトレーニングのプロと思っているが、この本を読んで基本的なことでも知らなかった事が多くあり、大変参考になった。

「加圧トレーニングの理論と実践」のあらすじでも書いたが、この本を読んで一番参考になったのは、前腕(握力)のトレーニング法だ。

以前は上腕と前腕をセットにしてトレーニングしていたが、上腕と前腕を別々に加圧トレーニングしたところ、効果が全然違った。

前腕はリストカールと30Kgのハンドグリップを3セット行ったが、これなら「加圧トレーニングの理論と実践」のあらすじでも紹介したK−1ファイターの例の様に握力向上も期待できると思う。

【エックスワン】腕・握力の筋力アップグッズ!ハンドグリップ30kg 080424UP10【エックスワン】腕・握力の筋力アップグッズ!ハンドグリップ30kg 080424UP10


さらに以前は加圧トレーニングと水泳は別の日に行っていたが、加圧トレーニングは大量に成長ホルモンを分泌するため、直後に水泳などの有酸素運動することも有効とわかったので、プールに行く前に加圧トレーニングを行った。

加圧トレーニングで腕を限界まで鍛えているので、当然腕に疲労が蓄積していると思っていたが、疲労の蓄積の自覚はなく、1.5Kmクロールで泳いでも、むしろいつもより調子が良い様に思えた。

加圧トレーニングは軽い負荷・短時間のトレーニングなので、いわば「疑似高地トレーニングで筋肉をだます」様なものと聞いていたが、それを実感した。

この本で参考になったQ&Aをいくつか紹介しておく。


トレーニング法について

40.筋肥大に最も適した負荷は?
ウェイトトレーニングのスタンダードとなっている80%1RM(Repetition Maximum=1回でできる最大負荷)で10回前後というのが筋肥大に最も適したトレーニングだ。

75.瞬発力もスタミナもある筋肉をつくるには?
「ホリスティック法」というトレーニング法がある。筋力をつける80%1RMのスタンダードトレーニングの後、50%1RMくらいの軽い負荷で30ー50回くらい、できなくなるまで続ける1セットを付け加えるやり方だ。

57.腹筋を効率よく鍛えるには?
深く息を吐きながら腹筋をする。これにより腹直筋と腹横筋の両方が鍛えられる。

64.肩の筋肉を目立たせるには?
肩はなまじっかのトレーニングでは効果が現れにくいので、地道なトレーニングを続けていくしかない。プレス+サイドレイズ+ベントオーバーサイドレイズのように肩の部位を変えてトレーニングし、量をこなす必要がある。

68.首の筋肉は鍛えにくい?
アメフットの選手の例もある通り、むしろ刺激に対する反応が高く、トレーニング効果が現れやすい部位である。

88.加圧トレーニングって何?
タレントの水道橋博士や、K−1の武蔵とかソフトバンクの杉内投手などが取り入れている。静脈を押さえるのがポイントで、乳酸や水素イオンなどの代謝物が筋肉から出て行かずに一時的に溜まるので、即発性の筋肉痛が来て、あっという間に筋肉が激しい運動をした後のような状態になる。それが強い刺激となって、成長ホルモンが大量に分泌される。

113.してはいけないトレーニングは?
ウサギ跳びが典型だと。ひざに負担が掛かる運動で腰を深く下ろすのがいけない。

85.スロートレーニングとは?
アメリカで「スーパースロー」という商標登録をしたそうだが、負荷を4秒で下ろし、10秒で上げるのが基本。脱力するフェーズをつくらず、ゆっくり継続して動し続けるのがポイント。

136.腰痛を改善させるエクササイズはある?
症状が出ているときはエクササイズはやらない方が良いが、慢性的な腰痛であれば、痛くない方向で運動するのが基本だ。たとえば前に曲げると痛いが、後ろは痛くないという場合は、バックエクステンションなどの後方に反る運動をやると良い。

いずれにせよ前面と背面の筋肉をしっかり強化することで、腰痛はかなり軽減される。

117.一度つけた筋力を維持するには?
筋力をつけるに要した期間が、運動をやめて元に戻る期間とほぼ同じである。だから3ヶ月で付けた筋力は、運動をやめると3ヶ月で元に戻る。しかし、最低週1回それなりの負荷でしっかりと筋力を付けるトレーニングをやれば、一度つけた筋力の維持は可能である。

127.試合で最大限の筋力を引き出すためには?
試合の三日ほど前になったら、過度のトレーニングを控え、やり慣れないトレーニングはやらないこと。試合直前はエネルギーになる炭水化物中心の食事にする。

持久力が必要な競技の場合のカーボローディングという一旦炭水化物を減らし、試合の直前に増やす手法も紹介されている。

177.日本人は「押す力」が「引く力」より強い?また男性は「押す力」が強く、女性は「引く力」が強い?
日本人が押す力が強いというのは、パワーリフティングでは通説になっている。ベンチプレスの世界記録は日本人が多く保有しており、現在のベンチプレスの世界記録の320Kgも日本人のものだ。

194.アンチエイジングに効く筋トレはある?
加齢で衰える腹筋、背筋、大腿筋、大臀筋などを鍛え、循環器系の若さを保つという意味で、トレーニングにはアンチエイジング効果がある。


ダイエットについて

98.有酸素運動を始めて20分以上立たないと脂肪は燃えない?
はっきり言ってウソ。皮下脂肪は15−20分くらいでエネルギーとして使われ始めるが、その前に筋肉中の脂肪が使われているので、皮下脂肪でそれの補充が行われる。

59.ウェストを締めたり、おなかを引っ込めるのに効果的なエクササイズは?
大腰筋がポイント。大腰筋をしっかり鍛えるとそれだけでウェストが10Cm以上細くなる人もいる。大腰筋を鍛えるには階段の1段飛ばしが一番だが、キツければももを高く上げてその場脚踏みとか、シャキシャキと歩く歩き方に変えることなどが有効だ。


栄養法について

145.筋肉にいちばん大切な栄養素は?
筋肉の栄養を摂るのにいちばん簡単な方法は、筋肉を食べることなりと。BCAA(blanched chain amino acids=分岐鎖アミノ酸)が重要。植物系タンパクでも良いがBCAAが少ないので、BCAAを補給する必要がある。

146.カラダづくりに効果的な食事法を教えて
完璧な結論は出ていないが、血糖値が下がるとカラダは脂肪を蓄えようとするので、血糖値を一定にするためにボディビルダーなどは一日六回食事を取る。食事を抜くより、軽い食事を多くの回数に分けて取る方がベター。

149.プロティン以外の効果的なサプリメントを教えて
筋肉の疲労回復を早めるはっきりとした効果が検証されているものは、(1)アミノ酸(BCAAなど)、(2)クレアチン(アミノ酸の一種)、(3)抗酸化物質(ビタミンC,E、ポリフェノールなど)


すべてのページにマンガチックなイラストがあり、簡単に読め、かつ為になる。

是非手にとって見て頂きたいトレーニング本である。


参考になれば次クリックお願いします。





不動心 どんな時にもスタンスがブレない元ヤンキース松井秀喜の本

不動心 (新潮新書)不動心 (新潮新書)
著者:松井 秀喜
販売元:新潮社
発売日:2007-02-16
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

左手首を骨折した2006年のシーズンオフに書かれた元ヤンキース松井秀喜の本。

骨折で125日間をリハビリに費やした経験から、さらに人間としてのスケールが大きくなったような気がする。

タイトルの不動心とは、故郷の石川県の実家にオープンした松井秀喜ベースボールミュージアムに掲げている次の言葉から取っている。

日本海のような広く深い心と
白山のような強く動じない心
僕の原点はここにあります


広く深い心、強く動じない心、すなわち「不動心」を持った人間でありたいと、いつも思っているのだ。

この本を読んで松井選手が野球の上でも、また私生活でも、スタンスのぶれない不動心を持っていることがよくわかる。

野球選手はオフになるとヒマがあるせいか、有名選手・監督は多くの著作があるが、やはり一芸に秀でている人の言葉は人を動かす力があるものだ。

本の構成もよく、頭にスッと入る本だ。


目次を読むと、この本で言いたいことの大体の感じがわかると思うので、紹介しておく:

第1章 5.11を乗り越えて
第2章 コントロールできること、できないこと
第3章 努力できることが才能である
第4章 思考で素質をおぎなう
第5章 師から学んだ柔軟な精神
第6章 すべては野球のために


恩師 長嶋監督

ちょうどドラフト会議が終わったばかりだが、1992年のドラフト会議の光景が思い出される。

松井秀喜にドラフト1位指名が集中して抽選となり、当時の長嶋巨人軍監督が当たりくじを引き、満面の笑みを浮かべた場面だ。

この本でも節目節目に長嶋監督が出てくる。

松井が左手首を骨折したときに、脳梗塞でリハビリ中の長嶋監督から電話が掛かってきた。

「松井、これから大変だけどな。リハビリは嘘をつかないぞ。頑張るんだぞ。いいな、松井」

巨人時代に松井の連続試合出場記録がとぎれそうになった時も、励ましたのは長嶋監督だったという。「やれるとこまでやってみろ」

FAになり大リーグに行くことを決めたときも長嶋監督に会い、決断を告げたという。「もう決めたことなのか。考え直す気はないのか」「よしわかった。行くなら頑張ってこい」と肩を叩いてくれたという。


松井と長嶋監督の練習法

長嶋監督の自宅地下には練習場があり、松井はそこをしばしば訪れ長嶋監督に素振りを見てもらっていた。

長嶋監督は、松井が素振りをしている間、目を閉じてスイングの音を聞いているのだと。「今の球は内角だな。」「うん?外角低めだったか」という長嶋さんにしかわからない感覚を持っていた。

その日ホームランを打ったとか、凡退しているとかは関係ない。鈍い音がすると叱責され、休む間もなくスイングを繰り返した。

元阪神の掛布が調子が悪いときに、長嶋監督に電話したら、その場で素振りをしろといわれ、長嶋監督はその音を電話で聞いてアドバイスしたという。それくらいスイングの音を大切にしていた。

さすが天才かつ感覚派の長嶋監督だと思わせるエピソードだ。

長嶋監督とは何度も素振りを繰り返した。長嶋監督から電話が来て「おい松井、バット持ってこいよ」と長嶋さんの自宅、あるいはホテルで二人だけの特訓を繰り返した。

しかしマンツーマンの練習も二人だけの時しかやらなかったので、他の選手から嫉妬されるようなことはなかった。長嶋監督も配慮してくれたのだ。

松井が大リーグのルーキーイヤーにツーシームボールで悩まされていたとき、ニューヨークに到着したばかりの長嶋監督から「松井、スイングやるぞ」と声が掛かったという。

ちなみに長嶋監督の家の地下の練習場には数多くのトロフィーや賞状が整然と並べられていたが、すべて長嶋一茂のもので、長嶋監督自身のものは隅に追いやられていた。

いくら名選手とはいえども、普段は子供がかわいい普通の父親だとわかり、松井は思わずくすくすと笑ってしまったのだと。


伝説の5打席連続敬遠

松井といえば、高校時代の対明徳義塾戦の5打席連続敬遠が有名だが、松井は高校生当時は打ちたい、勝負してくれと考えたが、今は違うと。

あの5打席連続敬遠があったからこそ、日本中から注目され、長嶋監督もあの試合をテレビ観戦していたのだと。もし敬遠されていなかったら、ホームランを打ったとしても長嶋さんの目にとまらず、どうなっていたかわからない。

人間万事塞翁が馬で、思い通りにならなくとも、前に進むしかないのだと松井は結論づける。

松井は打てなくても悔しさは胸にしまっておく。そうしないと、次も失敗する可能性が高くなってしまうからだ。コントロールできない過去よりも、変えていける未来にかけるのだ。

だから打てなかった日の松井のコメントが物足りないのは勘弁してくれと。チャンスで打てなかったら、きっと心の中では悔しさで荒れ狂っているのだろうな、と思ってくれと松井はいう。

別ブログで星野監督の「星野流」のあらすじを紹介しているが、星野監督は松井と正反対に、感情を外に出すタイプの典型なので、対比すると面白い。

星野流星野流
著者:星野 仙一
販売元:世界文化社
発売日:2007-11-08
おすすめ度:3.5
クチコミを見る

メディアとの関係

メディアはコントロールできないので、気にしないのが一番だが、なかなか難しい。松井は自分のことを書いた記事も読む。

不思議と調子が悪いと書かれた時ほど調子があがってくるのだと。スランプと書かれる頃には、そろそろホームランを打てる確率も上がっているのだ。

メジャーにはジアンビの様な力任せにバットをボールと衝突させるような打ち方の選手もいるが、松井はしなやかさを生かしたバッティングが、目指すべきバッティングだと語る。


人の心を動かしたい

絶対にコントロールできないが、動かしたいものは人の心だと松井は語る。

巨人の入団会見で、「自分はファンや小さい子供たちに夢を与えられるプレーヤーになるよう、一生懸命頑張っていきたい」と語った。

毎日ホームランは打てないし、毎日ヒットも無理だろう。しかし毎日試合に出て、全力でプレーすることならできるので、松井はそれをやるのだと。

星陵高校のベンチでは次の言葉が掲げられていた。

心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

今も心の中に響く言葉だという。

自分も弱い人間なので、つい手を抜きそうになるが、たとえセカンドゴロでも全力で走り、全力プレーを続けることで、最もコントロール不能な人の心を動かしたいと。

今シーズン末に、ひざが悪くても常に全力疾走する松井を見ていて、この言葉通りのことを松井は実行しているのだと感じた。

なかなかできることではない。

自分の身を振り返る機会を与えてくれる松井の言葉である。


努力できることが才能である

これが松井の座右の銘だ。いい言葉だと思う。

松井のお父さんが、小学3年生の時に半紙に書いて部屋に貼り付けてくれたという。加賀市で晩年を過ごした硲(はざま)伊之介という洋画家、陶芸家の言葉だそうだ。

松井は天才型ではない。だから努力しなければならない。大リーグでも才能にあふれた選手は多いが、努力せずに成功した人はいないのではないかと。

たとえば今年ア・リーグのMVPになったアレックス・ロドリゲスは2月のタンパでのキャンプから誰よりも早く、グラウンドに毎朝七時に来て練習をしているので、コーチが根を上げた。

大リーグ最高の選手が、人一倍練習しているのだ。

ヤンキースのキャプテン ジーターの自宅はフロリダのタンパにある。ヤンキースの常設キャンプがあり、練習設備も完備しているので、常に練習できるようにタンパに住んでいるのだ。


不動心 素振りが松井の原点

松井は基本中の基本、素振りを重視する。未来に向けた一つの決意として、素振りを欠かさない。

これは努力すればできることだからだ。ホームランを打った日も、ヒットが打てなかった日も必ず素振りをしてきた。

打てた日は慢心し、打てなかった時は落ち込む。これでは未来にプラスにならないので、松井は毎日素振りをしながらリセットするのだ。

バットが風を切る音が、「ピッピッ」と鋭い音が聞こえると安心し、調子の悪い時は「ボワッ」という鈍い音がすると。自分の感覚はごまかせないので、自分が一番厳しい評論家であるべきだと思っている。

失敗しての悔しさは未来にぶつける。それが素振りなのだ。

松井は岐阜県にあるミズノのバット工場を、毎年オフに訪問する。

頭の中でイメージした形を口にすると、久保田五十一名人がバットにしてくれる。それを振ってみて、イメージと違うとまた削って貰い、一日がかりで、松井のバットをつくるのだ。

そしてできたバットを松井は1シーズン使い続ける。途中でバットは変えない。松井にとって「メガネは顔の一部です〜」(たしか東京メガネのCMソング)ならぬ「バットは体の一部です〜」なのだ。


思考で素質をおぎなう

松井は自分は器用ではないし、素質がある方だとも思っていない。

松井の大リーグ一年目はツーシームというシュート回転しながら、打者の手元で沈む変化球にてこずり、メディアにゴロキングというあだ名を付けられた。

手元で変化するボールを正確にとらえるためには、ボールをできるだけ長く見る必要がある。そのために、一年目のオフにはウェイトトレーニングで筋力をつけ体重を10数キロアップし、特に体の左半身を鍛えた。

左手でキャッチボールをしたり、箸を持ったりして左手を器用に使えるように努力したのだ。

左手をうまくつかうことによって、外角に沈むツーシームを手元まで呼び込んで、左方向に強くはじき返す。そのためのトレーニングだ。

日本で50本ホームランを打っていたので、一年目は結果がでなかっただけ、そのうち打てるようになるさ、と思っているうちはずっと悪い結果が続いたろうと松井は語る。

自分は不器用で、素質もないのだと認識すること。己を知ること。ソクラテスの「無知の知」である。

大リーグに来て自分は素質がないと痛感したので、二度とあんな思いはしたくない。だからあえて力不足の自分を受け入れ、現状を打破したいと必死になったのだと。


不動心 打撃に対するアプローチは不変

不調の時でも、打撃に対する自分のアプローチは変えない。悪い部分は修正していくが、根本的な考え方や取り組み方は決して変えない。結果が出ないからといって、根本的な部分まで変えると収拾がつかなくなってしまうからだ。

調子が良くなると、0.00何秒か長く見えているような感覚になる。長く見られる余裕が出た分だけしっかり振れるのだ。

勝負強さは、打席にはいるまでに頭の整理ができているかどうかだと松井は語る。

たとえばツーストライクまでは、カウントを取りに来るストレートに的を絞るとか、必ず投げて来るであろう決め球以外は振らないとか。

できる限りの知恵を振り絞って対策を決め、打席に入ったら、もう迷わない。結果として三振してもかまわない。それくらいの信念を持って打席に入れるかどうかが、勝負強さを決定するのだと。

有り体に言うとヤマをはるということなのだろうかと。3球のうち1球くらいは自分のツボに来る可能性があり、相手投手もミスをする。そのミスをいかにして確実に攻略するかが勝負だ。そのために自分を鍛え、トレーニングを積むのだ。

打席で150キロのボールに対しては、下半身とか左手とか考えている余裕はないので、自分のスタンスを決め、打席でのアプローチを明確にする必要がある。

自分の足場を固める。根幹をしっかりする。相手に対処しなければならないスポーツだからこそ、素振りやティーバッティングは大切にしたいと松井は語る。

チャンスに強いバッターは、ここぞという時でも平常心を保てる打者ではないだろうか。だから162試合同じように準備をして、すべて同じ心境で打席に入りたい。ここぞという場面で打つためだ。


対戦相手の研究

松井は遠征に宮本武蔵の五輪書を持参したという。日本では相手ピッチャーは限られていたので、記憶していたが、大リーグでは先発だけでも13球団で65名いるわけで、今はメモをつけている。

五輪書 (岩波文庫)五輪書 (岩波文庫)
著者:宮本 武蔵
販売元:岩波書店
発売日:1985-02
おすすめ度:4.5
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この本のなかでも書かれているが、以前松井がテレビ番組に出た時に300何本目のホームランを打ったときの投手と球場はどこかと聞かれ、スラスラと答えていたのに筆者はびっくりした。

日本でのホームラン(そしてたぶん大リーグでも)は、すべて記憶しているのだ。

相手によって自分のスタンスは変えないが、相手を知らなければ十分な準備はできない。だから相手をしっかりと把握しておく必要があるのだ。


松井は放任主義で親から育てられたというが、この本のあちこちに、父や母に対する感謝の気持ちがあふれている。読んでいて心が洗われる気持ちになる。

本当に好青年、そして求道者という感じだ。

今度はエンゼルスだが、いっそう松井を応援したくなる。おすすめの本である。


参考になれば次クリックお願いします。


松坂大輔が読んでいるトレーニングの本

先日のNHKテレビの「スポーツ大陸」の松坂大輔特集を見ていたら、松坂が別ブログでも紹介しているスロトレで有名な東大の石井教授の本を読んでトレーニング法を研究している場面があった。

それがこの本だ。

石井教授自身は、日本で2度ほど松坂の練習を見たと言っておられたが、松坂の体はあきらかにアメリカに行く前と違う。

現在のほうが筋肉がついて、いかにも大リーグのピッチャー(筆者は大リーグのピッチャーというと、ロジャー・クレメンスのイメージが浮かぶ)らしくなってきたという感じだ。

今シーズンは調子が悪く、とうとうDLに入ってしまったが、この本が松坂のビルドアップに役立っているのだと思う。

筋と筋力の科学〈2〉筋を鍛える―トレーニングするとからだはどうなるのか? (からだ読本シリーズ)筋と筋力の科学〈2〉筋を鍛える―トレーニングするとからだはどうなるのか? (からだ読本シリーズ)
著者:石井 直方
販売元:山海堂
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5
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先週石井教授にお会いしたので聞いてみたら、実はこの本の出版社の山海堂が倒産したので、もうこの本を買うことはできないのだとのこと。

同じシリーズの「重力と闘う筋」にはプレミアムはついていないので、まさに松坂効果だと思う。

筋と筋力の科学〈1〉重力と闘う筋―筋はどのようにして力を出すのか? (からだ読本シリーズ)筋と筋力の科学〈1〉重力と闘う筋―筋はどのようにして力を出すのか? (からだ読本シリーズ)
著者:石井 直方
販売元:山海堂
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5
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この本は絶版で、アマゾンのマーケットプレースでは1,800円の本に一時は15,000円の値段がついていたが、現在では2,400円程度の出品もある。

町田市の図書館では蔵書がなかったが、図書館同士の貸し借りネットワークがあるので、西東京市図書館から借りて貰った。

このように稀少本でも図書館にリクエストすれば読めるのだ。


この本はサニーサイドアップ社発刊「月間フィジーク」というトレーニング雑誌(現在は休刊)に、1999年から石井教授が連載したシリーズ記事をまとめたもので、次の目次のようにかなり専門的な内容だ。

第1章 レジスタンストレーニングの効果
  1.トレーニング効果とは
  2.トレーニング効果の動作特異性
  3.トレーニング効果の現れ方
第2章 トレーニング効果発現のメカニズム
  1.トレーニングによる筋肥大のメカニズム
  2.メカニカルストレスと筋肥大
  3.代謝・内分泌系と筋肥大
  4.筋内の酸素環境と筋肥大
第3章 トレーニング法の違いと効果の違い
  1.刺激の要因と特徴を理解する
  2.さまざまなトレーニング法
第4章 スキルという迷宮
  1.筋を制御する仕組み
  2.スキルという迷宮
  3.予測(読み)と反射とイメージトレーニング
第5章 キミはマイケル・ジョーダンになれるか?
  1.ダンクシュートの力学
  2.トレーニングでできるようになること、ならないこと
  3.運動能力と遺伝

トレーニングの基礎理論に加え、様々な実験結果が満載で参考になる。

いくつか参考になった点を紹介する。


腕や脚の周径位が10%増えると、筋肉の量は20%増える。

だから1998年の大リーグのホームラン王だったマーク・マグワイア選手(その後ドーピングの疑いがかけられているが黙秘することで記録は剥奪されていない)の上腕囲は51センチだったので、日本のプロ野球選手の平均上腕囲が36センチとすると、上腕囲が40%アップ、筋力は2倍と推定される。

オリックスのカブレラなどの上腕囲の太さはマグワイア並だと思うが、日本の野球選手の倍の筋力というのは、うなずける気がする。松坂もアメリカに行って相当筋力アップしているはずだ。

トレーニングを開始して1ヶ月くらいで筋力は伸びるが、筋量をふやすには最低3ヶ月、中高齢者は4ヶ月以上トレーニングを継続する必要がある。

特に中高齢者は筋肥大が若者に比べて遅い。筆者も加圧トレーニングを週1回程度続けているが、やはりこれでは現状維持がやっとだ。最低回数を週2回以上にして4ヶ月以上続ける必要がありそうだ。

この本の原稿は1999年頃に書かれたものなので、石井教授自身が加圧式トレーニングを半信半疑で試してみて、驚くべき効果が得られたことが書かれている。

加圧トレーニングは筋内の酸素環境を強く刺激して効果を得るトレーニングだが、これと同様の効果を得られる可能性があるトレーニングとして、コンティニュアス・テンション・メソッド(「常時緊張法」とでも訳すべきか)という名称で、スロトレの原型が紹介されている。

唯一無二の絶対的トレーニングはないので、継続的に能力を向上させたい場合は3〜4ヶ月毎にトレーニングの方法や処方を見直し、段階的に変える必要があるというのも重要な指摘だ。


最新のスポーツ理論の本だけに、現在スポーツ界で深刻な問題になっているステロイド、成長ホルモン、遺伝子ドーピングなどについても解説している。

特に高齢者の筋萎縮治療や、筋ジストロフィー治療に開発された遺伝子ドーピング療法の悪用は「スポーツ自体を滅ぼす最終兵器」になるおそれがあるとして、強く注意を呼びかけている。

石井教授は、筋肉を増強する悪魔の技術をいくつか挙げている。ネガティブミオスタチンインスリン様成長因子(IGF−I)そしてミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP−2,UCP−3)などがあるという。

北京オリンピックでベラルーシのハンマー投げのチホン選手など2選手がドーピングで失格して室伏選手が3位に繰り上がったが、ベラルーシの選手もこういった遺伝子関係の巧妙なドーピングをやっていたのかもしれない。

トップ選手ほど壁を乗り越えるために大変苦労するのだろうが、カベを乗り越えるために薬物を使っては倫理上の問題は勿論、自分の健康もむしばむことになる。

一時は隆盛を極めた野球のマーク・マグワイアもドーピングのせいで、野球の殿堂入りはまず無理と言われている。バリー・ボンズも薬物を使用していたのに、使っていなかったとウソをついたと偽証罪で訴えられている。

筆者はピッツバーグに2度駐在しているが、バリー・ボンズは元々ピッツバーグパイレーツの選手だった。最初の駐在(1986年ー1991年)のときのボンズはスリムだったのに、二度目の駐在(1997年ー2000年)のとき(サンフランシスコ・ジャイアンツ)はえらく筋肉隆々になっていたのに驚いた記憶がある。

ドーピングした選手の末路はみじめである。せいぜいホセ・カンセコの様に暴露本をだすくらいしか金を稼ぐ方法がなくなる。

Juiced: Wild Times, Rampant 'roids, Smash Hits, And How Baseball Got BigJuiced: Wild Times, Rampant 'roids, Smash Hits, And How Baseball Got Big
著者:Jose Canseco
販売元:Regan Books
発売日:2006-03
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かなり専門的な内容で、こんな本を読んで、あきらかに一回り体を大きくしている松坂大輔投手を見直した。現在は調子が悪いが、是非早く調子を取り戻して欲しいものだ。



参考になれば次クリックお願いします。


一生太らない体の作り方 松坂大輔も読んでいるスロトレの石井教授の本

今季は全く調子の上がらない松坂大輔がDL(故障者リスト)入りしたが、昨年11月ののNHKテレビの「スポーツ大陸」の松坂大輔特集を見ていたら、松坂がこのブログでも紹介しているスロトレで有名な東大の石井教授の本を読んでトレーニング法を研究している場面があった。

たしか次の本だったと思う。

筋と筋力の科学〈2〉筋を鍛える―トレーニングするとからだはどうなるのか? (からだ読本シリーズ)筋と筋力の科学〈2〉筋を鍛える―トレーニングするとからだはどうなるのか? (からだ読本シリーズ)
著者:石井 直方
販売元:山海堂
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5
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さすが筋肉トレーニングの第一人者の石井教授。世界のトップアスリートの松坂大輔も著書を読んで参考にしていることがわかった。

この本はアマゾンでも新品は品切れで、ユーズドのみ売っているが、元々1,890円の本が、約7,000円とかなりのプレミアムが付いている。

是非読んで見たいと思う。読んだらまたあらすじを掲載する。


2008年11月11日初掲:

一生太らない体のつくり方 東大石井教授の新著 看板に偽りなし

一生太らない体のつくり方―成長ホルモンが脂肪を燃やす!一生太らない体のつくり方―成長ホルモンが脂肪を燃やす!
著者:石井 直方
販売元:エクスナレッジ
発売日:2008-01
おすすめ度:4.5
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スロトレでテレビにしばしば登場する東大石井直方教授の新著。この本は「生活習慣病予防のための運動指導」というテーマで、各地で講演した内容をとりまとめたものだ。

スロトレは20万部以上のベストセラーとなっており、アマゾンの人気ランキングでも上位に入っている。

スロトレスロトレ
著者:石井 直方
販売元:高橋書店
発売日:2004-06
おすすめ度:4.5
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筆者も試してみたが、看板に偽りのない太らない体つくりの理論と実践がわかる有益な本だ。筆者が読んでから買った今年5冊目の本である。

実は筆者は9月にヨーロッパに出張して、2ー3キロ体重が増えたので減量を心がけていた。

朝食をバナナとシリアルをかけたヨーグルトにしたり、仕事で忙しい時は週に何日かは昼食を思い切って抜いたりして、なんとか落とそうと思ってトライしていたが、効果が上がらず、どうもおかしいと感じていた。

ウェストは変わらず、なかなか体重が減らないのに、脚のももや太ももが細くなってきた様な感じで、ズボンの脚の部分がゆったりしてきた様な気がするのだ。

筆者は学生の時は1年後輩の石井教授と全日本パワーリフティング大会で一緒に表彰台に昇ったこともあり、スクワットは最高220キロを挙げていた。

当時の太ももの太さは64センチくらいで、既製服は太ももが入らず着られなかった。

会社に入ってラグビーを始めたが、あまり重いバーベルを持たなくなったので、徐々に太ももが細くなり、10年くらい前からは既製服が着られるようになった。

経済的で良かったと思っていたのだが、最近太ももがさらに細くなったような気がして測ってみたら57センチになっていた。

まだ普通の人よりは相当太いが、昔の64センチに比べると、もはや普通の人に近いと言った方が良いと思う。

週1回の1.5キロくらいの水泳は欠かさずやっているが、筋力トレーニングは最近やっていなかったので、急激な食事制限ダイエットで筋肉が落ち、体重が減らない体になっていたことが、この本を読んでわかった。

この本で石井教授は食事制限だけのダイエットは筋肉を減らしてしまうので、リバウンドが起きやすく、たとえ元の体重でも筋肉量は減って基礎代謝は落ちているので、「痩せにくい体」をわざわざつくり出していると説く。

むしろ何もしなかった方が良かったのだと。

30歳を過ぎると、年に1%くらい筋肉量が落ち、それによって基礎代謝が落ち、体に溜め込まれる脂肪が増える。

それに加えて、食事制限ダイエットで血糖値が下がると、糖質を補給しようとして、コルチゾールというホルモンが副腎から分泌され、肝臓と筋肉から糖質を補給する。筋肉のタンパク質が分解されて、エネルギーを補給するのだ。

最もエネルギー消費の多い筋肉を減らすことによって、体が消費エネルギーを節約しようとしている。体にとっては合理的だが、ダイエットという意味では省エネの太りやすい体質に変わっている。

筆者の2−3週間の昼飯抜きダイエットは、どうやらこの筋肉を分解して糖質を補給するというサイクルをスタートさせてしまったようだ。

これで脚が細くなってきた理由がわかった。しかしそれほど急に筋肉は落ちるのか不思議に思ったが、健康な人でも2日寝たきりで過ごすと、それだけで1%筋肉が落ちてしまうという。

筆者の場合、平日は毎朝最寄り駅まで30分弱歩いているが、ちょうど食事制限ダイエットをやっていた時は、バスに乗ることが多く、週に1日程度しか歩いていなかったことも、脚の筋肉が落ちてきた理由だと思う。

水泳でも脚は使うが、筋力トレーニングではないので、脚の筋肉はつかない。やはり筋力トレーニングで、太ももの筋肉中心に筋肉量をアップさせるのだ。

この本を読んで、食事制限ダイエットはやめ、毎日駅まで30分歩き、週1−2回の加圧式トレーニング+スロトレを再開したら、いっぺんに効果が出て体重は2キロ減った。

スロトレの良い点は、10分程度の短時間で効果が上がるトレーニングができることだ。

加圧バンドを太ももに巻いてスクワットをスロトレでやると、10回で相当効く。休憩しないと続けられないくらい筋肉を使う。

この本には付録としてスロトレの標準コースとシニアコースが図解入りで紹介されている。

理論を正しく学んで、筋力トレーニングで、筋肉量をアップして基礎代謝を上げれば、成長ホルモンとアドレナリンが分泌され、脂肪を燃焼しやすい体がつくれ、ダイエットの効果が上がる。

筋力トレーニング以外でも、ちょっとしたことを変えるだけで生活運動量はアップする。たとえば、1,エスカレーター・エレベーターを階段に変える、2.昼休みに10分散歩する、3.一つ手前の駅で降り歩く距離を長くする、といった例だ。

筋力トレーニングも1回10分程度であれば、十分週2−3回できると思う。

筋トレは肩こり、腰痛、ストレスにも効果的で、筋肉がつくと骨盤や背骨が矯正され、腰痛が緩和できる。また筋肉の血行が良くなると、冷え性、肩こりにも効果的で、便秘にも効く。


まさに看板に偽りなし。トレーニングのプロの筆者も実行して納得した。是非一読と実践をおすすめする。



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武士道とともに生きる 山下泰裕さんとトヨタの奥田碩さんの共著

いよいよ来週4月14日から2016年のオリンピック開催地を視察するIOCのミッションが東京を訪問する

視察は4月16日からの4日間で、筆者の会社のオフィスも視察日程のコースに入っている。

東京オリンピックへの招致活動を支援する意味で、ロスアンジェルスオリンピック金メダルの「史上最強の柔道家」、山下泰裕さんの元経団連会長奥田さんとの対談本を紹介する。


以前NHKで「スポーツ大陸 何があっても勝つ〜史上最強の柔道家 山下泰裕〜」を見たことがある。

山下さんの現役時代の数々のエピソードが取り上げられており、山下さんの恩師の佐藤宣践(のぶゆき)先生も登場する。

柔道を始めた頃から、1984年のロスアンジェルスオリンピックで2回戦での右足の肉離れにもかかわらず金メダルを取ったこと、オリンピックの翌年の全日本柔道選手権で宿敵斉藤仁選手と対決し、優勢勝ちを収めて203連勝無敗のまま引退したことなどが紹介されている。

YouTubeにロスアンジェルスオリンピックの映像が載っているので紹介しておく。



ロスオリンピック決勝の時の山下さんは、利き足の右足を引きずって、とても試合などできる状態ではなかったことがよくわかる。

筆者も高校生のときにサッカーをやっていて肉離れを経験したことがあるが、筆者の場合は「バキッ」という音とともに激痛が襲ってきた。とても運動などできたものではない。

今映像を見直しても痛々しいかぎりだが、それでも金メダルを取るとは、本当に国民栄誉賞に値すると思う。

武士道とともに生きる武士道とともに生きる
著者:奥田 碩
販売元:角川書店
発売日:2005-04-25
おすすめ度:3.0
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トヨタの奥田碩(ひろし)元会長と、東海大学体育学部教授で前国際柔道連盟教育コーチング理事の山下泰裕氏の寄稿と対談を集めた本。奥田さんは柔道6段だ。

山下さんの講演を聞いて感動したことがあるので読んでみた。

山下さんの肩書きを前理事と書いたのは、2007年の国際柔道連盟の理事選挙に敗れたからだ。このことは話題になったので、山下さん自身の山下泰裕公式ホームページ敗戦の弁を紹介しておく。

柔道が"JUDO"時代となり、山下さんの知名度をもってしても、本家本元の日本が国際柔道連盟の主導権を取れない現状がよくわかる。柔道国際化の宿命といってしまえばそれまでかもしれないが、ハンドボールの「中東の笛」をはじめ、国際スポーツ界の金権化が危惧される。

山下さんは柔道教育ソリダリティというNPO法人のホームページと、山下泰裕公式ホームページで、山下さんの活動や各種雑誌などへの寄稿や各地で行った講演などを情報発信している。

どちらかというとこの本は奥田さん色が濃く、山下さんの話は抑えている感じなので、このあらすじでは山下泰裕公式ホームページで公開されている講演録などの情報も含めたあらすじを紹介する。

山下さんの講演録は「自己実現と教育法 ―柔道に教えられ、学んだこと―(全10回)」という題で、筆者が聞いた講演とほぼ同じで他の話題も含まれていて大変面白いので、是非是非読んで欲しい。


同級生からの表彰状

山下さんは子どもの頃から体が大きく、暴れん坊だった。小学校4年生から柔道を始めたが、それまでは山下さんがいるから学校に行けないという登校拒否児童が出るありさまだったという。

山下さんがロサンジェルスオリンピックで足のけがにもかかわらず金メダルを取った時に、故郷の同級生が次のような表彰状をくれたという。

「表彰状 山下泰裕殿 
あなたは小学生時代、その比類稀なる体を持て余し、教室で暴れたり、仲間をいじめたりして、われわれ同級生に多大な迷惑をかけました。しかし、今回のオリンピックにおいては、われわれ同級生の期待を裏切るまいと不慮の怪我にもかかわらず、見事金メダルに輝かれました。このことは、あなたの小学生時代の数々の悪行を清算して、あり余るだけではなく、われわれ同級生の心から誇りうるものであります。よって、ここに表彰し、偉大なるやっちゃんに対し最大の敬意を払うとともに、永遠の友情を約束するものである。」

山下さんは過去の栄光の品々は国民栄誉賞も金メダルも一切飾っていないそうだが、この表彰状だけは飾っているという。過去は関係ない。大事なのは、今とこれからだという。


指導者としての山下さん

山下さんが師と慕うのは、中学時代の恩師白石礼介先生、高校・大学の恩師佐藤宣践(のぶゆき)先生、東海大学の創始者松前重義先生、そして柔道の創始者嘉納治五郎先生だ。

講演でも話されていたが、山下さんは指導者といっても、自分が教えたことよりも、むしろ学生やみんなから教えられたことのほうが多いと謙虚に語る。

山下さんも名選手名監督ならずの例で、初めは自分の立場でしかものを見ることができず、他人の考えていることがわからなかったという。

しかし指導者としての経験を通して、不世出の名選手だった山下さんが「何を言ったか」ではなく、山下さんの指導により相手が「どう変わったか」が重要なのだと考えるようになった。「お前、これはあの時教えたじゃないか」などと言っても、それは指導者の自己満足でしかないのだ。

山下さんの教え子の中では、手間が掛からなかった教え子よりも、手間の掛かった教え子のほうが、指導者としての山下さんを成長させてくれたという。

山下さんが現役を引退して東海大学柔道部の監督だった時に、仲間を楽なほうへ、悪いほうへ引っ張る4年生の問題児がいたという。彼は兵庫県の高校代表だったが、全国のトップクラスが集まる東海大学柔道部では試合に出られず、後輩に追い抜かれ、くさっていたようで、山下さんはやる気がないなら辞めて欲しいと思っていたという。

そんな時に白血病のお子さんを持つ両親から、山下さんに献血のためにA型の学生を集めて貰えないかとの依頼があった。そこで山下さんが声をかけ、20名ほどの献血者が集まったが、その中にその問題児がいたのだという。

手術が成功し、そのお子さんが退院していくときにお母さんが挨拶に来られて、涙を流してお礼を述べられたが、その時にその問題児が片道1時間も掛かる病院まで何度も見舞いに行って、試験などで行けない時は手紙を書いて励ましていたことを山下さんは知って驚いたという。

自分もA型なのに監督だから学生に声をかけるだけで献血にも参加せず、その学生をやる気のない奴だということで、ただ叱っていた。兵庫県でチャンピオンだった学生が後輩に追い抜かれる挫折感、心の葛藤も理解しなかった。また選手を強くしたいという気持ちよりも、自分が日本一の監督だと思われたかった自らに気が付いたという。

指導者としての経験を通して山下さんはできる、できないで区別せず、「この子はできるまでに時間がかかるんだ」と考えるようになったという。

人を評価するときは、できるだけ全体的に見なくてはいけないということを、その学生から教わった。欠点を指摘するのはたやすいが、良い点を見抜くのはじっと見ていないといけない。頑張ったところをほめてやる。枠にはめず、いいところをできるだけ伸ばしてあげるようにしたいと考えているのだと。

英語のEducationも語源は「educe=引き出す」だ。その人のいいところを育ててやる。それが教育だと思っていると山下さんは語る。

山下さんは、筆者がもう一度話を聞きたい人の筆頭だ。


シドニー・オリンピックのデュイエと篠原

2000年のシドニーオリンピックでの100キロ超級決勝でのデュイエの内股を、篠原信一選手が内股すかしで返したが、審判は高度な技を理解せずデュイエの金メダルが決まった。

この試合の後、日本とフランスの間がギクシャクしたが、デュイエは「困難から逃げないで立ち向かう勇気を教えてくれたのも柔道だった」と、つたない日本語で「よろしくお願いします」と手紙を書いてきて山下さんに訪日の件を知らせてきたという。

「弱いから負けた」と一切言い訳をせず、審判にも決して不満を言わなかった篠原信一選手の人間の大きさも立派だし、デュイエも立派だ。どちらも金メダルにふさわしいと山下さんは語る。


「道(ひとのみち)」としての柔道

山下泰裕氏は「柔道を通じて「武士道」のような日本人の精神を世界に広めたい」と語っており、奥田さんと山下さんが、「姿三四郎」などに描かれている柔道の武士道精神などについて語っている。

筆者は柔道は高校の体育で数ヶ月やった程度だが、柔道といい剣道といい、相手と1対1で対決する武道は、勝つための自らの鍛錬という面でも、対戦相手との友情が生まれるという面でも、きわめて教育的なスポーツだと思う。

だから「道」という名前がついており、まさにこれが創始者の嘉納治五郎が柔術から柔道を生み出した違いである。

北京オリンピックの石井慧(さとし)選手が象徴的だが、勝つことに意味があるのだという風潮がある。

スポーツとしてのJUDOなのか、鍛錬としての柔道なのか、意見が分かれるところかもしれないが、JUDO路線の対極にあるのが、この本で述べられている武士道精神を目指す柔道である。

石井慧選手を特集したNHKスペシャルを見て、石井選手が口だけではなく人一倍努力をして、ヒマさえあればウェイトトレーニングをやって筋肉をつけ、筋力、技のきれ、スピードを磨いてオリンピックに臨んだことを知った。

「腹筋の出ている重量級の柔道選手など(他には)いない」という石井選手の言葉もその通りだと思う。

普通の人ではマネのできない努力の結果勝ち取れた金メダルだと思うので、石井選手を悪く言うつもりはないが、たとえ試合に勝ってもその行動や言動を見ていると柔道家として周りの人や他の選手から尊敬される存在にはなっていない。

柔道は心技体のはずであり、石井選手の場合「心」はまだまだ鍛錬が必要だと思う。

山下さんは勝つための柔道には公共心などがなくなってきているので、創始者の志に戻る「柔道ルネッサンス」を提唱している。「最強の選手」をつくるのではなく、「最高の選手」をつくるのだと。


「ソフト・パワー」としての柔道

奥田さんと山下さんは日ロ賢人会議で一緒になってから親しくなったという。山下さんは奥田さん達の支援を受けて、柔道教育ソリダリティというNPO法人をやっている。

山下さんの友達に「日ロ賢人会議」に出たというと、「お前、熊本県人だろ?」とか、「えっ、ロシアにも県があるのか?」といった反応が返ってくると。山下さんの子どもの頃を知っているので「賢人」とは思えないのだと。

山下さんはプーチン首相と親しい。YouTubeでも山下さんと井上康生がプーチン首相と一緒に、ロシアの子ども達に柔道を教えているビデオが公開されている。



プーチン首相は別荘に嘉納治五郎の銅像を建て、今でも週2回柔道の練習をしているという。

柔道の用語は日本語ですべて通しているが、プーチン首相も「最初はさっぱり分からなかった。でも、そのうち、だんだんそれがわかるようになった。柔道で使われている日本語に興味を持ち始めたことがきっかけとなって、日本の文化に興味、関心を持っている」と言っていたという。

ロシア人は日本びいきだで、日本が好きだと答えている人は74%も居ると以前紹介した大前研一氏の「ロシア・ショック」に書いてあった。プーチン首相はロシア語で「柔道、わが人生」という本を共著で出版しており、2000年の2回目の訪日の時に講道館を訪問し、次のように語っている。

「講道館に来ると、まるで我が家に帰ってきたような安らぎを覚えるのは、きっと私だけではないでしょう。世界中の柔道家にとって、講道館は第二の故郷だからです。日本の柔道が世界の柔道へと発展していくのはたいへん素晴らしいことですが、われわれにはもっと注目すべきことがあります。それは、日本人の心や考え方、そして文化が柔道を通じて世界に広まっていくことです」

 日本の柔道家が同じことをいえば、ある意味でそれは当然でしょう。しかし、ロシアの、それも大統領がこれほど深く柔道の役割を理解していることに、私は強く胸を打たれたのです。しかも、プーチン大統領は、講道館館長から送られた六段の紅白帯をその場で締めることを丁重に辞したうえ、こう言葉を続けました。「私は柔道家ですから、六段の帯がもつ重みをよく知っています。ロシアに帰って研鑽を積み、一日も早くこの帯が締められるよう励みたいと思います」

 この発言はいわゆるリップサービスだと、穿った見方をする人がいるかもしれません。多忙な大統領に練習のための時間などあるはずはないと。しかし、プーチン大統領が週に2回、今でも道場に足を運んでいることを私は知っています。この言葉は、心から発せられたものでした。

出典:山下泰裕公式ホームページ記事

オバマ新政権で駐日米国大使になるジョセフ・ナイさんや、国務次官補になるカート・キャンベルさんなど、米国の親日派のビッグショットがそろい踏みした日経新聞とCSIS(米戦略国際問題研究所)主催のセミナーを12月に聞いた。

ジョセフ・ナイさんは、「ソフト・パワー」を提唱し、国の力として軍事力、経済力などの「ハード・パワー」とともに、これからはその国の文化、ファッション、食べ物、流行などの「ソフト・パワー」が重要になると説く。

ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力
著者:ジョセフ・S・ナイ
販売元:日本経済新聞社
発売日:2004-09-14
おすすめ度:4.0
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この本で奥田さん、山下さんが繰り返し述べられている武士道精神、柔道の精神性もまさに日本を代表するソフト・パワーであり、プーチン首相の日本びいき、世界190ヶ国に柔道連盟があるという圧倒的なネットワーク力などを、日本ももっと活用すべきだと筆者も思う。


奥田さんの愛読書「姿三四郎」

奥田さんの愛読書は「姿三四郎」だという。今から120年ほど前の明治時代の物語で、柔道の精神性と日本人としての生き方の理想像、柔道の美学がそこにあるという。これは新渡戸稲造の書いた「武士道」にも通じる生き方であると。

武士道 (岩波文庫)武士道 (岩波文庫)
著者:新渡戸 稲造
販売元:岩波書店
発売日:1938-10
おすすめ度:4.5
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「姿三四郎」は現実のモデルに即した小説で、柔道の開祖嘉納治五郎は矢野正五郎として描かれ、当時の四天王は「姿三四郎」の著者の富田常雄の父、富田常次郎、横山作次郎、山下義詔、そして姿三四郎のモデルの西郷四郎だった。

姿三四郎;普及版; [DVD]姿三四郎;普及版; [DVD]
出演:大河内傳次郎;藤田進;河野秋武;清川荘司
販売元:東宝
発売日:2007-12-07
おすすめ度:4.0
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富田常雄は講道館の敷地にあった富田常次郎の家に生まれ、自身も柔道の有段者だったので、柔道に囲まれた環境に育った。

嘉納治五郎は柔道の国際化に尽力した。嘉納治五郎は東大卒で、英語で日記を書いているといわれるほど、英語が達者だった。早くから海外への柔道の普及に尽力し、アジア初のIOC委員にもなって、幻に終わった1940年の東京オリンピックの招致にも貢献した。

現在国際柔道連盟加盟国は約190あり、これはオリンピックに参加している競技の中で、3番目に多い加盟国だという。


日本柔道界金メダルゼロの日

奥田さんは山本七平の「日本はなぜ敗れるのか」を社員に読むように薦めているという。

日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21)日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21)
著者:山本 七平
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2004-03-10
おすすめ度:4.5
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トヨタもおごりの心が出てきてしまうことを強くいさめているとのこと。柔道も「勝ちさえすればよいのだ」という風潮になりつつあることを危惧している。

アテネでの金8個、銀2個という成績はできすぎでピークだった。日本の柔道界に金メダルゼロの日がやがてやってくるのではと危惧されているという。

柔道がここまで国際化した背景には、やはり精神性があると思う。この本ですすめらてている「姿三四郎」も一度読んでみようと思う。

姿三四郎 上巻 (1) (新潮文庫 と 6-1)
著者:富田 常雄
販売元:新潮社
発売日:2000
おすすめ度:5.0
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簡単に読め、柔道のソフト・パワー力、精神性、教育的価値がよくわかる。山下さんのホームページとともに是非おすすめする。



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