時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

趣味・生活に役立つ情報

雑談力 百田尚樹の56の話のネタ 南京大虐殺についても

雑談力 (PHP新書)
百田 尚樹
PHP研究所
2016-10-15


「書くよりしゃべるほうが100倍好き」を語るベストセラー作家百田尚樹さんの話のヒント集。百田さんは原稿、プレゼン等なしで、何時間でもしゃべれるという。そんな話のネタがたくさん詰まっているのがこの本だ(本の帯では、56のネタを公開と書いてある)。

ちょうどアパホテルグループ代表の元谷さんの本が、南京大虐殺で30万人も殺したのは虚偽としている自著をホテルの部屋に置いていることが問題となっているが、百田さんもこの本の最終章に「親友と議論する話題」ということで、南京大虐殺、従軍慰安婦、靖国神社問題について書いている。

百田さんも30万人虐殺なんて虚偽だという意見だ。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応していないので、「なんちゃってなか見!検索」で、抜粋した目次と主な話のネタを紹介しておく。( )でくくってあるのは筆者のコメント。

第1章 人を引き付ける話をする技術
・起承転結が基本
・つかみが大事
 最初の1ぺージで物語を動かす
 「バーバリライオン」の話のつかみをどうするか
 (バーバリライオンは単に例として出てきたものだ。1920年代に絶滅したと思われていた巨大なライオンのことで、普通のライオンの1.5倍、体長4メートルを超えるという。モロッコ国王の私設動物園で生きていたのが発見され、絶滅種のリストから外された。ちなみにファッションのバーバリーはBurberryで、スペルが異なる)。

・質問から入る
 
・常識を揺さぶるような話から入る
 人工衛星は永遠に落ち続けている
 自然界で生きていけない動物はカイコ

・単純なうんちくほどつまらないものはない
 (葛飾北斎は生涯で93回引っ越しをした(ちなみに北斎は30回も号を変えている)) 

・数字は重要
 シャチの体重は10トン
 万里の長城は本当に2万キロもあるのか?

・面白い話にはストーリーがある
 (ロゼッタストーンと解読者のフランスのシャンポリオンの話)

・数学でさえ、面白い話になる
 微積分はいかにして生まれたか
 (微積分はニュートン(とライプニッツ)の発明で、楕円形の惑星の軌道の断面積を求めるために、楕円をピンストライプの様に細い長方形で埋め尽くして面積を求めるやり方を考えたものだ)。

・話の急所を理解していること

・ストックを持とう
 (本を読む時も、テレビを見る時も、人の話を聞く時も面白いと思えば、それを覚えて話のネタにする)
 
・自慢話で人を感動させるのは難しい
 (共感や感動を生む普遍性が求められる)

・失敗談ほど面白いものはない
 ラブレターで大失敗
 (高校受験の話。百田さんは、県で偏差値最下位1,2位を争うくらい偏差値の低い高校出身だという) 

・雑談で選ばない方が無難なテーマ
 (動物の性の話など)

第2章 その気になれば、誰でも雑談上手になれる
・相手ではなく、自分が関心を持つ話題を探せ
 私の小説のテーマ
 零戦の話 − 機体に直線がない奇跡の戦闘機
・一番大切なことは「人を楽しませたい」という気持ち
 同じ「自分の話」でもまったく違う

・自分の感性に自信を持て
 (自分が面白いものは、他人も面白いという自信を持つ)

・ネタをどう仕込むか
 (以下は目次を読めば大体百田さんの言っていることがわかると思う)

・「面白さ」の7割以上が話術

・面白い話は何度でもできる

・話が上手くなる一番の方法は、経験を積むこと

・話し上手は聞き上手

・話は生き物 − 私が講演で行っていること

・とっておきの練習法 − 映画や小説の話をする
 (たとえば「7人の侍」の話を説明する)

第3章 こんな話に人は夢中になる
・意外なオチは記憶に残る
 「板垣死すとも、自由は死なず」とは言っていない?
 ガガーリンの小噺
 アメリカは「120億ドル」のスペースペン、ソ連は…

・スポーツ選手のすごさを伝える時のコツ
 超人的な大投手 サチェル・ペイジ
 同時3階級制覇 ヘンリー・アームストロング

・個人的な思い出話でも、普遍性を持たせればOK
 「ラ・フォンテーヌ寓話」はネタの宝庫

ラ・フォンテーヌ寓話
ラ・フォンテーヌ
ロクリン社
2016-04-11


 「宇治拾遺物語」と「徒然草」もネタの宝庫。

宇治拾遺物語 (角川ソフィア文庫)
中島 悦次
KADOKAWA/角川学芸出版
1962-04-30





・時代の不運に泣いた人の話は共感を呼ぶ
 世界で初めてグライダー飛行をしたのは日本人?
 (浮田幸吉の話)

ちなみに浮田幸吉の話は、本になっている。

始祖鳥記 (小学館文庫)
飯嶋 和一
小学館
2002-11


 あまりにも不遇だった日本の天才研究者たち
 (光ファイバーの原理の発見者の西澤潤一教授やフェライトの父と呼ばれる武井武氏)

・色恋の話は男女問わず受ける
 作曲家ベルリオーズの屈折した愛情
 ブラームスクララ・シューマン

・数字も見方を変えれば面白くなる
 後宮3千人
 国鉄の赤字37兆円!
 宝くじの1等当選確率は250万分の1

・犯罪ものの話題は難しいが、面白い
 オランダの「英雄」メーヘレン
 (ナチスに偽物のフェルメールを売った男)

 「偉大な寓話」とすら思える脱獄囚の話

日本の脱獄囚の話は小説になっている。
破獄 (新潮文庫)
吉村 昭
新潮社
1986-12-23


・歴史上の有名人の意外な裏話
 宮本武蔵の新資料発見(宮本武蔵は卑怯だった?)
 野口英世の唖然とする実像

第4章 親友とする真面目な話
・殺害された市民の数は、全人口より多い? 
 計算が合わない
 南京大虐殺の復活

・一人の男の虚言が大問題を生んだ(従軍慰安婦問題
 吉田証言の衝撃
 吉田清治とは何者か
 ミステリー

・戦後40年、突然の抗議(靖国神社問題
 中国の靖国批判はいつはじまったか
 バチカンも認めた靖国神社

(たぶんこの本で一番百田さんが言いたかったのは、最終章の南京大虐殺、従軍慰安婦、靖国神社問題についてだったと思う。親友と議論する話題ということで紹介している)

簡単に読める軽い本だが、最終章の話題は重い。話のネタとして役立つと思う。


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元検事が明かす「口の割らせ方」 面白い事例が満載



検事出身の弁護士・大澤孝征さんが、自らの体験に基づいて語る本音を語らせる方法。図書館の新刊書コーナーにあったので読んでみた。

まず大澤さんは、本音を言わない理由として次の類型を挙げている。

1.自分自身を守るため
2.虚栄心やプライドなどの感情的な理由から
3.他人をかばうため
4.相手が信用できないため

このうち4の相手が信用できないためという理由が最も多いのではないかと。だから相手に本音を語ってもらうためには、相手の信頼感を得ることが最重要だと説く。


最初に自白を勝ち取ったケース

大澤さんがまだ検事駆け出しの時に、どうしても自白しない被疑者がいた。パン泥棒で、物証や証言は揃っているのだが、本人がどうしても自供しない。勾留期限もぎりぎりになっていた。

大澤さんは部長から、「ばか者!こんな事件を自白させられないで、どうする。これから警察署に行って調べなおしてこい。俺が署長に電話をしてやる」と怒られ、部長の車と専任の事務官をつけてもらって警察署に赴いた。

警察署では署長が出迎え、取調室に案内された。

これまで刑事たちが取り調べても全く自供しなかった被疑者に会い、刑事たちがお手並み拝見と見守る中で、新人の大澤さんは結局、陳腐な、当たり前のことしか言えなかった。

「いくら調べても、いくら考えても、犯人は君しかいないんだ。証拠から見ても、君がやったとしか思えない。だからもう、正直に話してもらえないか」

そうすると、驚いたことに、被疑者は、「検事さん、私がやりました、認めます」と自供を始めた。

大澤さんは「えーっ、認めるの?」と驚いたが、急いで調書を取った。

あとで、「なぜ急に言う気になったの?」と聞くと。

「いやあ、検事さんの顔ですよ。検事さんが入ってきたときの顔があまりにも真剣でいい顔をしていた。自分のことをこんなに真剣に考えてくれていると思ったら、私も嘘はつけませんよ」と語った。

全身全霊で相手にぶつかる、「取り調べは、捜査官の人間性に尽きる」のだと。

狭い密室で、話すものかとがんばる者と、何とか口を割らせようとがんばる者が必死でやりあうのだから、互いの人間性がむき出しになる。そこで真剣勝負ができれば、検事として大きな自信となる。

そのことを新人にわからせるために、部長は逃げ場のない状況に追い詰めたのだろうと。

このような自らの体験に基づく話が満載で、興味深く読める。いくつか事例を紹介しておく。


結婚詐欺師の告白

30代の風采が上がらない男なのに、美女ばかり10人くらいから、ほぼすべての貯金を奪った結婚詐欺の常習犯から聞いた話が面白い。

美人は実はそれほどモテないのだと。

女性同士のグループで、一番早く結婚するのは、3〜4番手の女性からで、美人は最後の方に残ってしまうことも多い。それは男性側に自信がないためだ。フラれる可能性が高いため、男性は一番の美人にはなかなか結婚を申し込まない。

でも一番の美人にしてみれば、自分よりきれいではない友人がどんどん結婚していって、なぜ自分が売れ残るのかという不満をおおいに抱いている、また、自他ともに認める美貌の持ち主だけにプライドも高い。いつか自分の美貌にふさわしい相手が現れるはずと信じている。

そこに結婚詐欺師は目をつける。

医師や大学教授、弁護士、公認会計士などの社会的信用の高い肩書の名刺を作るなど、小道具を準備して、用意周到に女性に近づく。

そのとき、さえない中年男であることが、むしろ真実味を高める。

「医者というけど、この風采だから少し結婚が遅れてしまったのかな。見た目はさえないけど、医者だから頭はいいだろうし、稼ぎもあるだろう」と思わせるような、いかにも本当の医者のように巧みに演じる。

最初は高級レストランなどで贅沢なデートをする。初期投資に金を惜しまず、どんどん金をつかう。

そうすると、「いままで恋愛に縁遠かった男が、自分にメロメロになって尽くしている」と思った女性の方が、いつのまにか結婚詐欺師に籠絡され、自分の貯金をほぼ全額巻き上がられてしまうのだ。

この話は、結婚詐欺師が自慢話として語ったという。罪を犯した人間であっても、他人から認められたいという「承認欲求」を持っているものなのだと。


警察の組織ぐるみの陰謀を暴く

県議会議員の息子が首謀者だった集団強姦事件で、「在宅送致」という方法で、軽微な事件として済ませようとしていた警察の組織ぐるみの陰謀を、現職の刑事を取り調べて暴いた話も面白い。

今ではこんなことは起こらないと思うが、有力な県会議員の息子が首謀者だったので、その議員に対する配慮から警察が組織ぐるみで隠ぺいしようと、出世コースから外れた刑事に担当させて「在宅送致」しようとした。

この刑事は、上からの命令で、やむなく調書をつくったが、自分でも憤懣やるかたなかったので、調書のなかで、被疑者たちは余罪があるようだと、さらっと書いていた。そこに大澤さんは気付いて、この刑事は、最初は否定していたが、必ず落ちると確信していたという。

そこで、刑事の良心とプライドに訴えかけた。

「被害者の涙を見た君が、こんな悪党どもを野放しにして、何も処罰しないような処分ができるのか。刑事として、悔しくはないのか!」

そうすると刑事から本音がでた。

「悔しいですよ!自分だってこんなの、納得できるわけがない」

「察してください。私だってこんなことはやりたくなかった…」

これを聞いて、大澤さんは、その足で警察署に乗り込み、署長に「事情はすべてわかっている。他の余罪をきちんと捜査しなければ、地検で独自に捜査して被疑者を逮捕する。そして公表する」と宣言した。

この事件は最終的に20数名もの逮捕者を出し、議員の息子はもちろん、主要な被疑者たちは10年以上の重い実刑が科せられたという。


チェーン店の店長の使い込み

大澤さんが弁護士となってからの有名チェーン店を展開するやり手の経営者の話も面白い。

30年ほど前の話で、内部告発で、ある店長の使い込みが疑われ、役員による調査では100万円の使い込みを認めた。

さらに、元検事の大澤さんに、まだ隠しているのではないか調べてほしいとの依頼が寄せられ、帳簿や領収書を調べて店長に厳しく尋ねたところ、1,000万円の横領を認めた。

そこで、経営者に刑事告訴を勧めると、経営者は1カ月考えさせてくれという。

1カ月経ったら、経営者から「1,000万円取り戻しましたから、もう本人を許してやってください。彼を呼び出して、先生の方から当座の生活費として100万円を渡してやってくれませんか」と連絡があった。

実は、あの店長が大澤さんの取り調べを受け、1,000万円という額を告白した経緯を店長会議で報告したところ、20数店ある各店舗の店長が恐れをなし、1カ月間どの店長も使い込みをしなかった。

だから、1カ月で前月比1,000万円の利益が上がったのだと。

たたき上げで、トップにのし上がった経営者は、やむを得ない出費の際には、店の売り上げをごまかして、ねん出するしかない店長の立場を知っていた。

そして、相手を許し、100万円を渡した理由は、あの男は、そのまま勤めあげれば1,000万円以上の退職金を支払うはずだった。

許して生活費を渡して温情を示してやると、あの男は今後もこの業界で生きていくはずだから、きっと経営者のことを神様のように思って周囲に吹聴するはずだと。

「多少の宣伝費だと思えば、100万円は安いものですよ」

平然とした顔でそう言ってのける経営者に、大澤さんは開いた口がふさがらなかったという。


裁判官の心を動かした妻の証言

裁判官の心を動かした妻の証言という話も面白い。

酒に酔って何度も他人の家に不法侵入し、住居侵入罪で問われていた男性の裁判で、執行猶予がつくかどうか微妙なケースがあった。

被告人尋問が終わり、奥さんが証人として、裁判官からの質問を受けた。

「奥さん、こんな事件を繰り返す旦那さんは、女として許せないとは思いませんか?」

「はい」

「はっきり言って、ひとでなしですよね」

「そうですね」

「あなたは旦那が戻ってきたら監督すると言っていますけど、こんな人にはいつか愛想が尽きるんじゃないですか?監督すると言ったって無理でしょう」

「いえ、私がきちんと監督します」

「なぜですか。なぜ、あなたはこんな人を監督できると言い切れるんですか」

「好きだからです」

50代の女性の、まっすぐな言葉に裁判官も検事も、一瞬言葉を失ったという。しかし、裁判官は執拗に食い下がり。

「では、あなたが監督していて、旦那さんが再びこんな事件を起こしたらどうしますか」

「私も刑務所に入ります。一緒に!」

何という愚直な言葉。しかし胸を打つ言葉だった。

裁判官はじっと彼女を見つめた後、夫に言った。

「被告人、今、奥さんが言ったことを忘れないように」

これで執行猶予が勝ち取れた。

この本の最後の章では、「実践編 相手の本心を知るためのQ&A」で、結婚して5年目の妻から寄せられた夫に対する疑念とか。新入社員が職場になじめず、何を聞いても「大丈夫」と言っていながら、いきなりうつ病の診断書を持ってきたケース、子供がいじめにあっているようだが、本人は何も言わないといったケースが取り上げられている。

大澤さんは、司法試験に合格した後、サークルの後輩に司法試験の指導をしていた。

司法試験に受かりたければ一日に12時間勉強し、さらに自信を持つためには16時間勉強しろと。

頭の良し悪しや才能のあるなしは関係ない。集中力を保てるかどうか、それを続けられる意思があるかどうか、それだけの話だと。

参考書は目次から索引まで5回精読するのだと。

筆者も実は、学生時代に3年生のときと、4年生の時に司法試験を受験して、最初の短答式で落ちて、全くかすらなかった。

元々あまり法曹職になりたいという強い希望もなかったので、4年で卒業して会社に就職したが、大澤さんの言うように一日に12時間くらいは集中して勉強できるようでなければ司法試験には受からないと思う。

筆者は到底それほど勉強していなかったから、司法試験に落ちるのは当然といえば当然だ。

元検事でカタい話題ではあるが、紹介されている話は面白い。たまたま新刊書コーナーに置いてあった本だが、大変参考になった。これだから図書館通いはやめられない。

一読をお勧めする。


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なぜ国際教養大学はすごいのか 大学の国際化とは?



就職率100%を誇り、すべての授業を英語で行い、新入生全員に1年間の寮生活、すべての学生に1年間の海外留学を義務付けるリベラルアーツ大学、国際教養大学学長の鈴木典比古さんの本。

日本語の大学名は国際教養大学だが、英語ではAkita International Universityと秋田の名前が入っている。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応していないので、「なんちゃってなか見!検索」で目次を紹介しておく。その章の目次のあとに、内容を簡単に紹介する。

第1章 世界の大学で何が起きているのか

・教育鎖国をやめて世界基準を導入するしかない
・優秀な学生を集めるべく世界中で青田刈りする海外の大学
・ブランチキャンパスという名の直接投資を行う海外の大学
・「教育財」の輸出入があればこそグローバル化は成り立つ
・真のグローバル教育ができないと世界では通用しない
・世界最先端の講義をどこにいても無料で受けられる時代
・自宅で基礎知識を身につけ大学で応用問題に取り組む「反転授業」
・日本の組織は「閉鎖型」から「浸透膜型」に構造をシフトせよ
・学生は勉強しない、教員は密度の濃い教育をしない…
・「大学レポート」で外国人に向けても情報公開

この章では、世界の大学の動きを紹介している。

世界の有名大学は海外で優秀な高校生を青田刈りしている。

たとえば、シンガポール国立大学は日本人も積極的にスカウトしていて、学費も家賃も無料、引っ越し代や渡航費も出し、さらに毎月10万円支給します、というような条件でスカウトしているという。

有名大学のブランチキャンパスは、現在は中国が27校、UAEが24校、シンガポールが13校、カタール11校、マレーシア9校という具合だ。

日本には地方自治体が積極的に勧誘して、一時は37校も海外の大学の分校があった。しかし、当時の文部省が大学として認めなかったので、どんどん減っていった。

現在は筆者のシンガポール人の友人の娘さんが行っているテンプル大学レイクランド大学、ボストン大学国際ビジネスマン養成プログラムの3校のみだ。

国際教養大学の場所も、もともとはミネソタ州立大学機構秋田校の跡地だったという。

インターネットによる大学教育も盛んで、Courseraというスタンフォード大学、イェール大学、プリンストン大学などが参加する米国発のプラットフォームの学習者は1,579万人、参加大学・機関数133、1,467コースがあるという。

講義内容は、教師がビデオに向かってしゃべる講義形式だけでなく、1回につき10分くらいの講義の動画を見た後、小テストが提示され、それに回答して1セットとなり、一つの講座につき週5〜10セットの学習をした後で、課題が出され、期限内に回答するという形式で、これを繰り返して、最後に総合課題を提出して、それが合格レベルであれば、修了証書をもらえるという形だ。

日本もJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)というのをつくって、gaccoなどのオンライン教育をスタートさせている。

学習意欲があれば、世界どこでも年齢に関係なく世界最先端の講座が受講できる時代なのだ。

日本の大学は入学するのは難しく、卒業するのは簡単な傾向があり、日本の大学生が米国の大学生に比べて勉強時間が短いことが統計で紹介されている。

サンプル44、905人の東大大学経営・政策研究センターが2007年に行った調査では、日本の大学生1年生は、1週間に全く勉強しない人が9.7%、1〜5時間勉強する人が57.1%で、一週間に5時間以下しか勉強しない学生が7割という結果が出ている。

それに対して米国では、全く勉強しないのは0.3%、ほとんどなく、最も多かったのが11時間以上勉強する58.4%だった。約6割の学生が授業の予習や復習で週11時間以上勉強している。

これは米国ではGPA(Grade Point Average)という全科目の成績の平均点が一定水準以上でないと、進級や卒業を認めないという制度だからだろうと。どの教科も手を抜けないのだ。

日本は不可にさえならなければ、出席数やテストの点数がギリギリでも卒業はできる。

第2章 リベラルアーツと日本のエリート

・東大も世界から見れば「ワンオブゼム」の大学にすぎない
・将来のエリートを目指す学生たちはリベラルアーツを学ぶ
・いまの日本のエリートに欠けているのは「全人力」
・「人工植林型」から「雑木林型」へ日本の人材育成は転換を
・「個」と「個性」との違いは何か
・「竹のようなしなやかさ」がリーダーに求められる時代

この章では、インダルトリアル(大量生産)の時代と、ポストインダルトリアル(大量生産以降)の時代に求められる能力が異なることを説明している。

インダストリアル時代は、ピラミッド構造の組織で、トップが計画を立案し設計するトップダウンとなっていたが、ポストインダルトリアル時代は組織はフラットとなり、現場がクライアントの意見を聞いて計画を立案し、設計するようになってきた。

これに伴い、インダルトリアルの時代では、仕事が分割されて一人の人間が同じ仕事をずっとやるという形だったのが、ポストインダルトリアル時代には、トータルソリューションが求められ、コミュニケーション能力、チームワーク、問題解決力、リスクテイキングといった能力が求められてきた。

それらの素養を身につけるにはリベラルアーツ教育しかないとの東京工業大学の木村孟(つとむ)学長の言葉を紹介している。

国際教養大学は、著者の鈴木さんが以前勤務していたICUのようなリベラルアーツ専門大学のように、少人数制の授業を重視し、教員と学生が対話をしながら授業を行っているという。


第3章 ”秋田発”グローバルスタンダード大学

・入試によっては偏差値は東大並み、就職率は100%
・新入生はすべて1年間の寮生活を体験
・ルームメイトとのトラブルや議論が語学上達の近道
・「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」ことが狙い
・世界的ヴァイオリニストが演奏しながら授業を行うことも
・少人数制の授業で、教員と学生双方の「逃げ場」をなくす
・24時間、365日、いつでも使える図書館
・すべての学生に1年間の海外留学を義務化
・「ギャップイヤー」制度で、入学前に自分探しや目標探し
・なぜ新渡戸稲造の「武士道」を読むべきなのか
・世界トップクラスのリベラルアーツカレッジになるために
・「生活寮」に「教育寮」も兼ね備えたテーマ別ハウス群
・「英語で英語を学ぶ」教育法を広めたい

この章で、鈴木さんは、国際教養大学の特徴を次のように整理している。

1.国際教養教育を学ぶ、リベラルアーツカレッジ
2.授業はすべて英語で行う
3.新入生は、学生寮で留学生と共同生活
4.在学中、1年間の留学が義務
5.24時間365日、勉強に集中できる学習環境
6.春と秋に入学できる

学生はこのような大学生活を通して、世界で活躍できるグローバル人材として成長していく。その結果が就職率100%だと。

開学してここまでの実績を築けたのは、故・中嶋嶺雄前学長や教員が企業に売り込んだ成果だと。

その教育内容を上記のような項目で紹介している。

卒業生の声

・現状に満足せずに探求心を持ち、新しいことにチャレンジする
・リベラルアーツ教育とは何か、思い悩み続けてほしい
・幅広い視野と好奇心があれば、人生は大きく変わります
・専門性は追及しなくても、「学び続ける」姿勢を身につけてほしい

この章では、卒業生の経験談を紹介している。そのうちの一人は、国際教養大学で初代主将として野球部を発足させた人で、筆者が駐在していたピッツバーグ郊外のWashington & Jefferson Collegeに1年間留学して、米国でもトライアウトを経て野球部に入部し、60人ほどの部員の中でプレイしていたという。

ペンシルベニア州ワシントンは、筆者が住んでいたピッツバーグ南部のアッパーセントクレアという町から車で15分くらいの市だ。こんなところの大学に日本人が留学していたとは知らなかった。

第4章 いま、日本の教育革命が始まる

・強制的に勉強せざるを得ない環境をつくるしかない
・学生たちが能動的に学ぶ環境は、教員がつくりあげるもの
・教え方を知らない教員に教わる学生たちは不幸
・教員の真剣さが伝われば、学生も真剣に学ぶ気になる
・教育者と研究者を二分することはできない
・大学のグローバル化を促す「世界標準カリキュラム」
・意義ある留学を実現するための「コースナンバリング制度」
・大学間の密な連携で、EU諸国では学生たちが複数の大学に在籍
・「文系学部の廃止」がもたらすもの
・受験の段階で専攻を決める必要はない

この章では、大学間の単位取得の世界標準システムを紹介している。コースナンバリングとは、国際標準の科目ごとの番号であり、次のように割り振られている。

100番台:初年次教育、一般教育
200番台:専門基礎教育
300番台:専門(上級)教育
400番台:卒業研究、卒業論文

EUでは大学間の連携が密になっていて、学生がEU諸国の大学を移動して、「学生渡り鳥」となり、複数の大学に在籍し、それぞれの大学で得た単位を蓄積している。

日本でも私立大学団体連合会が、「学生渡り鳥」制度を提言しているが、実践には結びついていない。日本では、依然として、どこの大学を出たかを重視するからだ。

しかし、教育のグローバル化を目指すなら、世界標準カリキュラムに統一し、学生渡り鳥が自由に行き来できる環境を整えるしかないと鈴木さんは語る。


第5章 世界標準の人材をつくるために

・優秀な人材が海外に流出しても、日本の価値は変わらない
・日本でも進む「ウィンブルドナイゼーション」
・年間4〜5万人、グローバル人材を育てたい
・「どこにいるか」ではなく「何をするか」が問われる時代
・これからの時代は、机上の知識だけでは決して乗り切れない
・日本語と英語に加え、もう一つの外国語を学べ
・日本は将来的に、モノづくりの国から知識で勝負する国へ
・本当のキャリアデザインは、一生を賭けてつくりあげていくもの

どこの大学の何学部を卒業したかを重視する日本の慣行はそう簡単には変わらないと思うが、たしかに日本への留学生が増えてくれば、世界標準カリキュラム化は必須となり、それが日本人の学生の海外留学が増えることにもつながると思う。

現在は海外留学すると、日本の単位が足りなくなるために、1年留年するパターンが多いが、こういったことはなくなるだろう。

大学は旧態依然として変わらない部分もあるが、ICUや国際教養大学のようなリベラルーツを重視して、世界標準カリキュラムを導入する大学が増えれば、だんだんに変わっていくだろう。

東大の濱田純一前総長が提唱した9月入学制度は、結局多くの大学の賛同が得られずに、実現しなかったが、これからも国際化にともない、大学の自己変革が進んでいくことだろう。

大学の国際化の動きがわかって参考になる本である。


参考になれば次クリックお願いします。




iPS細胞が医療をここまで変える iPS細胞研究の最新情報

iPS細胞が医療をここまで変える (PHP新書)
京都大学iPS細胞研究所
PHP研究所
2016-07-16


2006年に発表されたiPS細胞の発見から10年経って、現在のiPS細胞研究の現状をまとめた本。

京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が監修している。

iPS細胞の基本的なことについては、以前山中教授と益川教授の対談「『大発見』の思考法」のあらすじで紹介しているので、こちらを参照願いたい。

「大発見」の思考法 (文春新書)
山中 伸弥
文藝春秋
2011-01-19


iPS細胞は、細胞に3〜4の遺伝子を加えると、体のどんな細胞にも変化できる幹細胞となるというものだ。

iPS細胞はほぼ無限に増やせ、ほぼすべての細胞になることができる。

用途としては、本人の細胞から網膜や臓器など、いろいろな部位を拒否反応なしでつくる再生医療と、マウスなどの動物を使用せず、直接ヒトの細胞をつかって薬のテストや病気になるメカニズムを解明する病気や薬の研究だ。

これらの研究には従来ES細胞という受精卵を用いた細胞が使われてきたが、受精卵という将来人間に成長する可能性のある細胞を研究に使うことに倫理的な問題があり、米国のブッシュ政権はES細胞の研究に公的研究費の支給を禁止した。

iPS細胞は、ES細胞と同様の初期化された細胞でありながら、倫理問題がなく、しかも本人の細胞を使えるということで、画期的な発明である。

さて、最初のiPS細胞発見の発表から10年経って、この本では日本や世界の次のような研究機関でのiPS細胞研究や支援の現状をリポートしている。

日本
・京都大学CiRA(iPS細胞研究所、サイラ)
CiRA、理化学研究所、大阪大学、神戸市立医療センターの共同による加齢黄斑変性の患者に対する他人のiPS細胞からつくった網膜の細胞移植成功

米国:
UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ分校)の山中教授が兼任しているグラッドストーン研究所
・スタンフォード大学
・カリフォルニア再生医療機構
・ニューヨーク幹細胞財団
・ハーバード幹細胞研究所

ヨーロッパ・アジア:
・カロリンスカ研究所(スウェーデン)
・ユーロ・ステム・セル
・ケンブリッジ大学
・シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)
韓国・CHAヘルスシステムズ

残念ながらここで特筆するような研究成果はなく、発見から10年たっても、基礎研究の段階のところが多い。

ただ、再生医療の分野では、数万あるといわれている細胞のHLA型のなかで、父からも母からも同じHLA型を受け継いだHLAホモ接合体の人の細胞を使ってiPS細胞をつくると、拒絶反応が少なく移植できるという話はグッドニュースだ。

再生医療では、次が5年以内に臨床応用が見込まれている。

・ドーパミン産出神経細胞(パーキンソン病治療)
・角膜
・血小板
・心筋
・軟骨
・神経幹細胞

筆者の亡くなった母もパーキンソン病を患っていた。

この本では、娘と息子が先天性糖尿病なので、糖尿病の治療法を研究している米国の学者など、医学の発展のために日夜努力している研究者が多く紹介されている。

時間はかかるだろうが、少しずつは進歩している。ぜひ早急に実用化につなげてほしいものである。


参考になれば次クリックお願いします。



日本会議の研究 まるで謎解きのようなノンフィクション



大学の先輩から勧められて読んだ。

それまで日本会議なるものの存在すら知らなかったので、こんなに政治的にパワフルな右翼集団が、自民党を動かしているとは知らなかった。

日本の国会議員の4割が日本会議に参加しているという報道もある。

ちなみに、ともに就任直後に辞任した松島みどり元法相と小渕優子元経産相は日本会議議連のメンバーではなく、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーでもなかった珍しい例だという

日本国憲法を改正しようという勢力は、2016年7月10日の参議院選挙で勝利して、参議院の2/3の議席を確保し、憲法改正ができる基盤を整備しようとしている。

それの中心が日本会議だ。

日本会議はホームページを開設している。日本会議のブログへのリンクなど、日本会議の現在の活動がわかるリンクもあるので、参照してほしい。

この本の著者の菅野完(すがのたもつ)さんは、サラリーマン時代にコツコツと日本会議の資料を集め、会社をやめて著述業に専念するようになったという経歴を持つ。Wikipediaでも菅野さんの経歴が紹介されているが、毀誉褒貶が多く、何が正しいのかよくわからない。

日本会議から出版元の扶桑社に対して、この本の出版停止要求が出されており、それもあってアマゾンでは本のベストセラーの17位(本稿執筆時点)となっている。

日本会議は、1960年代後半の長崎大学の学園紛争に勝利した椛島有三現日本会議事務総長らの右派学生を中心とした日本青年協議会が母体となっており、もともとは宗教団体の生長の家の信者の政治活動とも密接なつながりを持っていた。

安倍首相のブレーンの一人とされる日本政策研究センター所長の伊藤哲夫氏、政府の御用学者となっている百地章国士舘大学大学院客員教授などが日本会議の主要メンバーだ。

日本会議の動員力はすごい。現在も憲法改正を実現するために、1,000万人の署名を集めており、ホームページにも「憲法改正を実現する1,000万人ネットワーク」へのリンクが張ってある。菅野さんがこの本で紹介している「武道館1万人大会」の様子も紹介されている。

集客力こそ自民党が日本会議と切っても切れない絆を保っている理由だろう。

生長の家は、谷口雅春氏が創始者の宗教団体で、谷口氏の著書の「生命の実相」は全40巻で、通算1,900万部売れているという。

生命の実相―頭注版 (第1巻)
谷口 雅春
日本教文社
1962-05


生長の家は1980年代に政治活動をやめている。

生長の家の現総裁の谷口雅宣氏は、この本を推薦し、2016年7月10日の参議院選挙では、与党とその候補者を支持しないとブログで語っている

現在の生長の家は、元信者の多くがつくった日本会議を支持していないのだ。

この本は日本会議と主要な日本会議のメンバーの活動に関し謎解きのような展開で、大変興味深く読める。

詳しい内容については、ネタバレになるので詳しく紹介しないが、アマゾンで、なんと193件ものカスタマーレビューが寄せられており、カスタマーレビューをざっと見ただけでも大体の感じはわかると思う。

ベストセラーとなっているので、ぜひ本屋で手に取ってパラパラ見てほしい。新たな発見があるはずだ。


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読書は「アウトプット」が99% 週末起業の藤井孝一さんの読書活用術



リスクをミニマイズした「週末起業」で有名になった起業コンサルタント藤井孝一さんの読書活用術。

週末起業 (ちくま新書)
藤井 孝一
筑摩書房
2003-08-06



この本の要旨を簡単に紹介すると次の通りだ。筆者も、すべての論点に賛成である。

藤井さんのいう「アウトプット」とは「話す」、「書く」、「行動する」の3つだ。

「アウトプット」することによって、本がもっと役立ち、付加価値のあるものに変わる。つまり、「人に伝える」ことで、知識が知恵に変わるのだ。

できる人は例外なく「要約力」を備えている。

本を読んで、アウトプットすることで、要約力のトレーニングにもなる。筆者は大学一年の時のゼミで、自分の要約力の無さに気が付き、それ以来、要約力をつけるトレーニングをしてきた。このブログもその現れだ、

本で身につく「全体を俯瞰する力」。

筆者はネット企業の代表取締役副社長として会社を経営していたことがある。いまから思えば、ネット広告業界で生き抜くためには何が欠けているのか、会社の弱みをはっきり認識せず経営していた。全く汗顔の至りだ。

藤井さんは、「全体像を俯瞰する力は読書で養える」と語っている。その通りだと思う。

筆者がこのブログを書いているのは、ブログを「外部記憶媒体」として使っているからだ。藤井さんのいう「アウトプット」の一例だ。

筆者は大体週に3〜5冊程度本を読む。次から次へと新しい本を読むので、読んだという記憶があるが、内容が思い出せないことがよくある。その場合、ブログを「外部記録媒体」として使って、キーワードなどで検索して、あらすじを読み返すのだ。

この本で藤井さんが勧めている本のなかでは、次の本のあらすじをこのブログで紹介している。

「バビロンの大富豪」




「日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル」人気ビジネス作家橘玲(たちばな・あきら)さんの本は、この本以外も10冊ほどあらすじを紹介している。




この本では「もしドラ」が、ドラッカー関連書として取り上げられている。

「もし高校野球のマネージャーがドラッカーを読んだら」ちなみに「もしドラ」は昨年文庫本となっている。




このブログでは、ユニクロの柳井さんの「わがドラッカー流経営論」のあらすじも紹介している。




「年収1500万円以上の人の愛読書」の中では、次のあらすじを紹介している。

「コトラーの戦略的マーケティング」




「イノベーションのジレンマ」




以前あらすじを紹介した本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」と同じ路線だ。




簡単に読めるし、推薦図書のリストも参考になる。書店で見かけたら、一度手に取ってみることをお勧めする。


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本読む幸せ 資生堂名誉会長の福原義春さんが勧める103冊

本よむ幸せ
福原 義春
求龍堂
2013-02


資生堂の創業者一族の出身で、名誉会長の福原義春さんが勧める本103冊。

本の帯に福原さんの言葉が紹介されている。

私は本で育ちました。
毎日ご飯を食べるのと同じです。
暇はなくとも本は読みます。
雨でも晴れでも読みますし、明日は明日の本を読むのです。


福原さんは財界きっての読書家として知られ、様々な文化・メセナ活動を支援している。2010年に福原さんが六本木のアカデミーヒルズで講演した時の福原さんの紹介を引用すると次のようになる。ちょっと古い経歴だが、福原さんの幅広い活動がわかると思う。

1931年東京生まれ。1953年慶応義塾大学経済学部卒業と同時に株式会社資生堂入社。1987年代表取締役社長、1997年代表取締役会長を歴任。2001年、名誉会長に就任。

東京都写真美術館長、(財)かながわ国際交流財団理事長、(社)企業メセナ協議会会長、東京芸術文化評議会会長、文字・活字文化推進機構会長、経営倫理実践研究センター理事長、全日本蘭協会名誉会長、日仏経済人クラブ日本側議長、パリ日本文化会館支援協会会長、経済人同人誌「ほほづゑ」代表世話人(故・鈴木治雄さん、故・住吉弘人さんらと一緒に同人誌を出したもの)、ほか公職多数。

主な著書に「部下がついてくる人・体験で語るリーダーシップ」(日本経済新聞社)、「会社人間、社会に生きる」(中央公論新社)、「文化資本の経営」(ダイヤモンド社)、「100の蘭」「101の蘭」(文化出版局)、「猫と小石とディアギレフ」(集英社)「『自分らしい仕事』があなたを変える!」(青春出版社)、「ぼくの複線人生」(岩波書店)、「変化の時代と人間の力 福原義春講演集」(ウェッジ文庫)、「だから人は本を読む」(東洋経済新報社)、「福原義春の言葉 私は変わった 変わるように 努力したのだ」(求龍堂)等。趣味は洋らんの栽培、写真。

平成10年、イタリア共和国・功績勲章グランデ・ウフィチアーレ章。
平成13年、北京市栄誉市民。
平成14年、フランス共和国・レジオンドヌール勲章グラン・トフィシエ章。
平成16年、旭日重光章。
平成20年、東京都中央区名誉区民
平成21年、神奈川文化賞

この本の最後に「松岡正剛 千夜千冊」を書いた松岡正剛さんによる書評が載っている。

松岡正剛千夜千冊
松岡 正剛
求龍堂
2006-10



この本は次の6部に分かれている。それぞれの章のタイトルと、紹介されている本のなかで、筆者が特に気になったものを、紹介する。筆者がこれから読む本(一部はこのブログで紹介した本)のセレクションである。

103冊は、絵本(!)から中国古典、欧米の古典、美術本まで幅広いセレクションで、到底、以下のリストで伝えられるものではないが、福原さんの読書のバラエティが感じられると思う。

ちなみに、松岡正剛さんはそのうちの第5章「負への探求」と第6章「かけがえのないもの」が格別だったと記している。

第1章 視点をすえる

1.ファーブル昆虫記 たぶん教科書にも出てきて、フンコロガシの話などは誰でも一度は読んだことがあると思う。



24.パレオマニア 大英博物館からの13の旅 大英博物館の所蔵物のオリジンをたどる




第2章 物語の醍醐味

25.剪燈新話 中国の怪談集




33.さまよえる湖 中国西域ロブノール湖を求めて 学生時代に井上靖の「楼蘭」と一緒に読んだ。

さまよえる湖 (中公文庫BIBLIO)
スヴェン ヘディン
中央公論新社
2001-10



楼蘭 (新潮文庫)
井上 靖
新潮社
1968-01-29



36.チャリングクロス街84番地 英国の書店員と米国の女性顧客のウィットのきいたやりとり 映画にもなった






37.鷲は舞い降りた 第2次世界大戦中にチャーチル暗殺をたくらむナチ空てい部隊 映画化された

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)
ジャック ヒギンズ
早川書房
1997-04





38.
薔薇の名前〈上〉
ウンベルト エーコ
東京創元社
1990-02

薔薇の名前 14世紀イタリアを舞台とするサスペンス小説 映画化された



39.世界の測量 福原さんのイチオシ小説 「年を取ってから読んだ本の中で、こんなにも興奮した一冊はなかった」 今読んでいる。

世界の測量 ガウスとフンボルトの物語
ダニエル・ケールマン
三修社
2008-05-23



41.生物と無生物のあいだ このブログで紹介している




第3章 英知を耕す

42.ロビンソン・クルーソー はずかしながらまだ読んだことがない。今度読んでみる。

完訳ロビンソン・クルーソー (中公文庫)
ダニエル デフォー
中央公論新社
2010-10-23



45.石橋を叩けば渡れない 昭和30年代の南極越冬隊の隊長 西堀栄三郎さんの本 今読んでいる。

石橋を叩けば渡れない
西堀 栄三郎
生産性出版
1999-04



55.ガリア戦記 大学生の時読んだが、ほとんど覚えていない。また読まなきゃ。

<新訳>ガリア戦記
ユリウス・カエサル
PHP研究所
2008-02-14



第4章 時の狭間をのぞく

61.月と6ペンス まだ読んだことがない。この章はこの本だけ。

月と六ペンス (新潮文庫)
サマセット モーム
新潮社
2014-03-28



第5章 負への探求

70.山椒魚戦争 このブログで紹介している。

山椒魚戦争 (岩波文庫)
カレル チャペック
岩波書店
2003-06-13



82.インタヴューズ これから読んでみる。マルクス、レーニン、ヒトラーなどのインタヴュー。




第6章 かけがえのないもの

95.木を植えた人 資生堂120周年記念に配った本。

木を植えた人
ジャン ジオノ
こぐま社
1989-10



97.ご冗談でしょう、ファインマンさん ブログで紹介していないがなんといっても面白い。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)
リチャード P. ファインマン
岩波書店
2000-01-14



読んだら順次あらすじを紹介していく。


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たった一人の熱狂 幻冬舎見城社長の755での発言集



幻冬舎見城徹社長の755(有名人とやりとりできるツイッターのようなSNSサービス)での発言に、見城社長自身の解説を加えてまとめ上げた本。

755はホリエモンの長野刑務所に服役していた時の囚人番号だ。ホリエモン出所後、親友の藤田晋サイバーエージェント社長が協力して、755という有名人とやりとりできるSNSサービスを立ち上げた。

755自体は、AKBや乃木坂46のメンバーとやりとりできるということで有名なようだが、筆者はこの本を読むまで全く知らなかった。

もっとも見城さん自身の755のアカウントは現在は閉鎖されているようだ。幻冬舎から出した百田尚樹さんの「殉愛」というやしきたかじんさんと奥さんを取り上げた”ノンフィクション”小説が、実際はフィクションだらけだったということで「炎上」し、「百田尚樹『殉愛』の真実」という本まで出されることになり、その騒ぎで閉鎖となったように思える。

殉愛
百田 尚樹
幻冬舎
2014-11-07


百田尚樹『殉愛』の真実
角岡 伸彦
宝島社
2015-02-23


この本では見城さんの次のようなツィート?を4ページで解説している。見城さんの解説自体は、ライターがインタビューして構成している。

☆小さなことこそ真心込めろ 「仕事ができない仁言の共通点は、自分に甘いこと。思い込みが強いこと。小さなこと、片隅の人を大事にしないこと。約束を守らないこと。時間に遅れること。他者への想像力が足りないこと。」

このツィートを見城さん自身の新入編集者時代の話なども加えて、展開している。

見城さんは新入編集者の時、コピー取りを頼まれると、原稿を2枚コピーして、一枚は自分が編集者になったつもりで朱を入れていた。実際に本ができあがった段階で、自分の校正した原稿と比べてみると、朱を入れるべきところで入れていない先輩編集者の手抜きがわかったりして、編集者として鍛えられたという。

つまらなく地味な雑用でも自分の心がけ一つで黄金の仕事に変わる。

小さなことを大切にするだけで、人生は大きく変わっていくはずだ。神は細部に宿る。と結んでいる。

たしか「編集者としての病」だったと思うが、見城さんは、掃除のおばさんに、あの本は面白かったと言われて、続編が出た時にプレゼントしたという話を書いていた。

360度の気配りが、見城さんを今の地位にしたということだろう。

同じ話は恋愛にもいえる。

☆恋愛が下手なやつに仕事はできない「他者への想像力がない人が、ビジネスで成功するわけがない。恋愛は他者の気持ちを想像し、理解するための絶好の機会だ。」

ビジネスで成功するためには圧倒的な努力と他者への想像力がワンセットで必要だ。異なる他者への想像力を発揮して、初めてビジネスの成功はある。恋愛は、他社の気持ちを知るための絶好の機会である。

その見城さんでも、波長の合わない作家がいる。

村上春樹は一度書いてもらったあとは、それっきりになってしまったという。見城さんはその作家の全作品を読んでいるので、売れる前に千駄ヶ谷で「ピーター・キャット」というジャズ喫茶をやっていた村上春樹に会った時に、「『風の歌を聴け』」は映画『アメリカン・グラフィティ』を下敷きにしていますよね」と言ったところ、返事もせずに黙り込んでしまったのだと。

風の歌を聴け (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
2004-09-15





この話は「正面突破を恐れるな」というところに出てくる。

見城さんの持論の「GNOは絶対死守」も出てくる。GNOとは義理、人情、恩返しだ。元々のツィートは「GNO(義理、人情、恩返し)を大切にしない人間は、何事もうまく行かない。小さなことにクヨクヨし、小さなGNOを死守するのだ。」

ここでは思いがけない人が出てくる。

「安倍総理はGNOの人だ。総理大臣になる前も総理に就任してからも、安倍さんは義理と人情と恩返しを大切にしている。人の信用と信頼を損ねることがないし、約束は必ず守る。驕らない。無私無欲に生きる。人間として超一流の総理大臣だ。お会いするたびに、リーダーとは斯くあるべきだと感嘆する。」

見城さんは、2014年に肩をこわして、ウェイトトレーニングはやめているというのが残念ではあるが、「トレーニングで心身をいじめろ」というところの「NO PAIN, NO GAIN。 痛みのないところに前進はない。」という言葉にも納得する。

「トレーニングは絶対に裏切らない。と同時に、ごまかしながら身体を鍛えているふりをしたところで、結果は一目瞭然だ。」

ラグビー日本代表がこの言葉通りのことを成し遂げてくれた。




それぞれ4ページでまとめているので、簡単に読めて参考になる。見城さんの「毒」にどっぷりと浸かるには、見城さん自身が書いている「編集者という病」をおすすめするが、「毒」の入門編としておすすめの本である。




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ライザップでなくても8キロ減量! バナナダイエット成功!

一生太らない体のつくり方
石井 直方
エクスナレッジ
2008-01-17


パワーリフティングやラグビーをやっていた昔ならともかく、60歳を超えて88キロもあるのは重すぎということで、今年4月から本気で減量に取り組んだ結果、とりあえず8キロ減に成功!久しぶりに体重が80キロを下回った。

これがダイエット食だ。

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昼は会社の食堂で、ざるそばや、時間がなければコンビニで買ったサンドイッチ。

家で食べるときは毎食バナナ+豆乳+プロテインのバナナシェイク1杯と、スモークチキン(朝1本、夜2本、ファミマで売っている)とバナナ1本。つまり毎食バナナ2本食べていた。




このマイボトルブレンダーがスグレモノだ。簡単にシェイクができ、ボトルからそのまま飲めて、洗うのもカンタン。プロテインも完璧に溶ける。




甘熟王のシェイクはうまい!シェイクにすると甘熟王の甘さがわかる。

フィリピン産 甘熟王バナナ(かんじゅくおうばなな) 6.5kg 9パック入り(4〜5房/1パック)ワンランク上 甘い バナナを毎日食べて毎日元気モリモリ♪【高地栽培バナナ】05P01Mar15
フィリピン産 甘熟王バナナ(かんじゅくおうばなな) 6.5kg 9パック入り(4〜5房/1パック)ワンランク上 甘い バナナを毎日食べて毎日元気モリモリ♪【高地栽培バナナ】05P01Mar15

バナナの甘味で、豆乳のちょっと青臭いような味も消え、調整豆乳(やはり紀文のものが一番いい)との相性も抜群。







ビタミン+ミネラルはサプリ。飲み物はBCAA 4000MGのアミノバリュー。




バナナのカロリーは低いが、栄養バランスはよく、食物繊維も含んでいる。ノンあるいはローカーボダイエットではないので、体調も良好。プロテインも十分摂っているので、トレーニングしてパワーもそこそこ維持できる(バナナ・シェイク1杯で、プロテインが30グラム摂れる)。

ライザップに行かなくても減量はできる!妻の協力も大きかった。



是非、甘熟王バナナのプロテイン・シェイク・ダイエットを試してほしい。


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憂欝でなければ仕事じゃない



幻冬舎社長の見城徹さんと、サイバーエージェント社長の藤田晋さんが、見城さんの35の過激な言葉一つ一つについて交互に語る本。

この本をつくるために、藤田さんは2010年の後半から、2011年の3月まで毎週のように見城さんと打ち合わせしてきたという。

この本はアマゾンの”なか見!検索”に対応していないので、目次を紹介しておく。

目次1
















目次2


















出典:本書

このブログでは見城さんの「編集者という病」を紹介している。この本を読めば、見城さんが大変な人だということがわかるだろう。




この本でも見城さんらしい過激なフレーズが並ぶ。「憂鬱でなければ、仕事じゃない」というこの本のタイトルからして過激だ。

一方のサイバーエージェントの藤田晋さんのベストセラー「渋谷で働く社長の告白」のあらすじも、このブログで紹介している。




「渋谷で働く〜」を出した頃は、女優の奥菜恵と結婚していた時代なので、2004年頃の話だ。今は当然経営者としても成長して、この本でも、なるほどと思わせる発言が多い。

いくつか印象に残った部分を紹介しておく。

ふもとの太った豚になるな。頂上で凍え死ぬ豹になれ

これはヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」の冒頭に出てくる一節だ。




グレゴリー・ペック主演の映画でも最初の1分45秒くらいに、この話が出てくるので、注意して見て欲しい。



見城さんは、頂上で凍え死ぬ豹になりたいといつも思っていると。だから、1997年に創業4年目で幻冬舎文庫を立ち上げたときは、一挙に62冊の文庫本を売り出した。文庫は新刊書のストックがないとできないので、通常は10年かかるという。

幻冬舎の前に大手出版社で文庫を出したのが光文社で、幻冬舎文庫スタートより12年前に31冊の文庫を出した。だから幻冬舎は、その倍の62冊の文庫を売り出したのだ。

その時に新聞の全面広告を出し、「新しく出ている者が無謀をやらなくて、一体何が変わるだろうか」というキャッチで宣伝した。まさにその当時の見城さんの正直な気持ちそのものだったという。

アルチュール・ランボーの詩集「地獄の季節」の”俺たちの舟は、動かぬ霧の中を、纜(ともづな)を解いて、悲惨の港を目指し”という一節をイメージした荒海に小舟が乗り出していくイラストをつけたという。

地獄の季節 (岩波文庫)
ランボオ
岩波書店
1970-09



幻冬舎には広告部員は見城さん一人だけだと。自分で広告代理店と交渉し、メディアを決め、どんな広告にするかイメージし、コピーも手掛ける。キャラクターが必要なら、自分で選び、交渉する。

宣伝だけは誰にも任せない。最初からそう決めていた。
それは、見城さんが本を売るセンスに誰よりも自信があるからだと。


スポーツは仕事のシャドーボクシングである

見城さんは、週6日ジムに行くという。都内4つのホテルのジムの会員になっているのだと。仕事が一段落した時に、一番近いところに行けるようにするためだ。

若いころは、仕事よりトレーニングを優先して、ボディビルの大会に出ようとベンチプレス130キロまで挙げたという。

今でも見城さんは、強迫観念に駆られながらトレーニングするという。トレーニングすると、心の中でファイティングポーズを取れるからだ。

トレーニングは決して楽しいことではないが、自分を追い込み、憂鬱なことを乗り越える。そうすることが、仕事をするときの姿勢に、大きな影響を及ぼす。そもそも仕事とは、憂鬱なものだと。

筆者もこの態度を見習わなければならない。筆者もトレーニングをしているが、ジムに行くのは週1回、プールに行くのも週1回。減量中のこともあり、ベンチプレス100キロまで戻したものが、95キロまで落ちている。マズイ傾向だ。

週6日はともかく、やはり週3日くらいはやらないと。

見城さんは自分の言葉ながら、「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という本のタイトルが気に入ったという。デューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味がない」という曲と重なったからだと。



実際、仕事は「正」であり、憂鬱は「負」である。その両極をスイングすることで、はじめて結果が出るのだと。

見城さんは、「京味」(新橋)に行けなくなったら、仕事はやめるという。「京味」は一人5万円くらいする。「京味」に行けなくなったら、仕事がうまくいかないということを意味するので、見城さんにとっては、「京味」が絶対的な仕事の基準なのだと。

藤田さんにとっては、西麻布の「エスペランス」が「京味」にあたるという。

一つ一つのテーマについて見城さんと、藤田さんが見開きで2ページずつ書いており読みやすい。見城ワールドと藤田ワールドの入門書のような内容だ。

簡単に読めるので、是非一度手にとって見て欲しい本である。


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卵を1日2個以上食べてもコレステロールは上がらない?

会社の診療所に行った時に、いつも「ロハス・メディカル」という月刊の院内情報小冊子を待ち時間などに目を通すが、その2015年7・8月号に「それって本当?タマゴを一日2個以上食べてもいい」という記事があった。

卵とコレステロール_ページ_1















卵とコレステロール_ページ_2














出典:「ロハス・メディカル」2015年7・8月号 P2〜5

なんと20世紀初めにウサギを使って、卵の白身や卵黄を食べさせたら、血管や内臓疾患が発生したという実験が、いままでタマゴを食べると血中のコレステロールが上がるという説の根拠だったという。

実はウサギは草食動物で、自分ではコレステロール生成ができない。卵黄などを食べさせたら悪影響が出るのは当然で、実験結果を雑食動物の人間に当てはめることは無理があった。

同じロハス・メディカルの2015年5月号にあるように、人間の血中のコレステロールのほとんどは体内で作られるので、食品中のコレステロールは関係ないことがわかったのだ。

本当にコレステロールを上げるのは、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸ではないかという説が現在は支配的だという。

実はこの説は比較的最近出てきたもので、米国でも今年の2月に農務省と保健福祉省が、コレステロールの一日当たりの摂取量の上限を廃止する草案を発表したばかりだ。

筆者もコレステロールが上限値に近いので、いままで卵は食べるときでも、1日1個に制限していたが、これからはどうやらあまり気にする必要はなさそうだ。

大変役立った。

病院に行ったら、この「ロハス・メディカル」を待合室に置いているところも多いので、見つけたらぜひ一度目を通すことをおすすめする。


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田舎の無名高校から東大、京大にバンバン合格した話



奈良の中高一貫の私立西大和学園の創始者で、現会長の田野瀬良太郎さんの本。

西大和学園といっても、関西以外の人にはほとんどなじみがないと思う。筆者もこの本を読んで初めて知った。

奈良県の受験校は東大寺学園が有名だが、実は西大和学園は、とうとう今年東大寺学園を上回る合格者を出し、堂々一位に躍進した。

2015年京大合格者数ランキング(京大は後期日程廃止)
◎ 西大和学園(奈良県)  81人(医4人)
◎ 東大寺学園(奈良県)  70人(医9人)
◎ 甲陽学院(兵庫県)      67人(医7人)
◎ 洛南(京都府)  60人(医15人)
◇ 北野(大阪府) 58人(医2人)
◎ 洛星(京都府)  56人(医2人)
◎ 大阪星光学院(大阪府)    54人(医4人)
◇ 天王寺(大阪府) 53人(医1人)
◇ 掘川(京都府) 52人
◇ 膳所(滋賀県) 48人
◎ 清風南海(大阪府)      47人(医3人)
◎ 大阪桐蔭(大阪府)      45人
出典:「陽は西から昇る! 関西のプロジェクト探訪」ブログ

2015年の東大合格者数は28人、ランキングでは17位とあまり目立たないので、いままで気が付かなかったが、着実に順位を上げている。

この本に過去20年間の東大・京大の合格者数の推移が載っているので紹介しておく。

西大和学園














出典:本書8−9ページ

他の有名校も当然、受験指導には力を入れているなかで、これだけランキングを上げて、生徒の成績を上げているのは大したものだと思う。

この本の著者の田野瀬さんは、奈良県五條市出身、名古屋工業大学を卒業して名古屋の化学会社の研究所でサラリーマンをやったあと、29歳で五條市市議会議員に無投票当選、すぐに県議会議員を目指すが落選し、4年間の浪人生活を送る。

その後、県議会議員になったあと、衆議院選に出馬して、落選、またも4年間の浪人生活の後、50歳前に衆議院議員に初当選する。

学校経営に乗り出したのは、県議会議員に落選した浪人時代に、なかよし保育園を設立したからだ。奥さんが幼稚園の先生をしていたから、生活のために保育園経営を始めたのだという。

保育園を経営していくうちに、教育ビジネスの魅力に気づき、その後県議会議員となった後、奈良県の高校不足が深刻なことを痛感し、自ら高校をつくることを決めた。

高校づくりを決めても、メンバーは自分と遠縁の親類1名だけ、経験者ゼロ、資金ゼロでスタートした。

運よく建設用地が見つかり、銀行も「交通の便がよく、小高い丘の上にあり、近くにニュータウンがある」ということで、成功する私学の立地条件を備えているということで、すんなり融資をOKした。

1986年に第1期生を募集し、2、300人余りが受験、218名を合格させた。

体育系クラブも、たとえばサッカー部が初年度の新人戦で奈良県ベスト4という好成績を収めていたが、文武両道は無理と判断して、部活は週3回、2年生の3月までと決めて、進学路線に集中することにした。

まずは関西大学20名以上を最初の目標に、進学路線を強化した結果、22名が合格した。入学当時の偏差値では到底考えられない躍進だったという。

その後、中学部も併設、6期生から中高一貫教育を受けた西大和生が誕生し、この年の国公立合格者は200名を超え、東大6名、京大17名が合格した。

西大和学園は、塾や予備校通いが不要な教育を目指している。

この一環として、始業前の補習であるゼロアワー、一日7限の授業、補習で、平日は大体6時頃まで授業、休みに学校にクラス全員で泊まり込む勉強合宿、平日に学校に泊まり込む平日合宿など、質量ともに他の進学校を上回る授業をしている。

教員は当初から新卒を中心に採用しており、校長も3代続けて公立学校の校長を招いた後は、生え抜きの34歳の校長が就任した。若い教員で、長時間、質量ともに充実した教育を実施するのだ、

他の進学校が数学に力を入れているのに対し、西大和学園では数学と英語に力を入れ、ネイティブ教師、AETによる英語教育と、中学3年生の米国西海岸でのホームステイを実施している。

英語は受験で裏切らない、大コケが少ない教科で、英語で取りこぼさないことが重要だ。飛躍の原因は「英語が9割」なのだと。

2002年からは文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定され、高校2年生の希望者は、最先端科学を研究する大学等のラボにステイして授業を受けたり、実験を行ったりしている。

2002年の第1回ラボステイでは、奈良先端科学技術大学院大学の山中伸弥教授の研究室で学んだという。

その他、8時55分から毎日小テストを行う、「8・55」の導入、高校一年から生徒全員にiPadを支給し、様々な授業で活用している。

田野瀬さんは、西大和学園以外にも、カリフォルニアに西大和学園カリフォルニア校、看護士資格と保健師等のダブル資格+学位が取得できる専攻コースもある白鳳女子短期大学、平成26年には大和大学を設立して、教育事業を拡大している。

「受験は団体戦だ」と田野瀬さんは語る。進学路線ではあるが、やっていることは、いわば「体育会系」の質量ともに充分な教育だ。これなら東大・京大合格者ランキングが上がったことも、なるほどと納得できる。

あとは人格教育だ。大学に入ることが人生の目標ではない。

この本では触れられていないが、有名進学校の多くは、聖光、栄光、ラサール、東大寺学園など、宗教系で宗教教育に熱心だったり、コンサートや演劇、絵画鑑賞、野外教習などのプログラムも充実している。

全人格教育を目標とし、受験の結果もさることながら、優秀な社会人となる基盤教育を目指しているのだ。

この本の最後の方に書いてある、7時限授業を週3日は6時限に減らすことや、「生徒が自由に取り組めるようなあらゆるステージを用意する」ということは、全人格教育の方向に徐々に舵を切っているのだろう。


いろいろな経験をしている田野瀬さんの話は面白く、大変参考になる本である。


参考になれば次クリックお願いします。


ふしぎなキリスト教 知らなかったことばかり



橋爪大三郎さんと大澤真幸さんという2人の社会学者が、対話形式でキリスト教の特徴を説明してくれる本。

橋爪大三郎さんは、結構売れている「教養としての聖書」という新書を出したばかりだ。

教養としての聖書 (光文社新書)
橋爪 大三郎
光文社
2015-03-17


「ふしぎなキリスト教」は、会社の読書家の友人から薦められて読んでみた。

筆者は一応、幼稚園は鵠沼めぐみルーテル教会付属の鵠沼めぐみルーテル幼稚園に通っていたので、そういう意味では5歳ごろからキリスト教の講話や賛美歌などには接していた。

小学校に上がるとやめてしまったが、幼稚園の間は、食事の前には家でもお祈りしていたし、日曜学校も小学校に上がるまでは行っていた。

ルーテル幼稚園を卒業すると新約聖書を貰えるので、ずっと持っていたし、その後、オーディブックながら、新約聖書も旧約聖書も読んだ(聴いた)。それなりにキリスト教についての知識はあると思っていた。

ところが、この本を読んで、キリスト教に対する自分の無知を痛感した。

まずは「預言者」だ。恥ずかしながら、いままでずっと「予言者」だと思っていた。

預言者は英語で言うとprophetで、英語ではprophet一語で、預言者と予言者の両方の意味がある。

だから混乱するわけだ。

預言者は、予言を行うわけではなく、神の言葉を人々に伝え広める者のことだ。ノアの方舟のノア、十戒のモーゼ、旧約聖書のヨブ記のヨブ、同じく旧約聖書のヨナ記のヨナ、新約聖書に登場するヨハネなどが代表的な預言者で、イスラム教のムハンマド(マホメッド)もやはり預言者だ。

イエス・キリストは、キリスト教では神の子だが、イスラム教では預言者の一人として扱われている。

ともあれ、この本はアマゾンの”なか見!検索”に対応していないので、”なんちゃって中見!検索”で、目次と主要な章題を紹介しておく。

第1部 一神教を理解する(起源としてのユダヤ教)

1.ユダヤ教とキリスト教はどこが違うのか
 
2.一神教のGodと多神教の神様

5.なぜ、安全を保障してくれない神を信じ続けるのか

7.原罪とは何か

8.神に選ばれるということ

9.全知全能の神がつくった世界に、なぜ悪があるのか

11.なぜ偶像を崇拝してはいけないのか

12.神の姿かたちは人間に似ているか

14.預言者とは何者か

15.奇跡と科学は矛盾しない

第2部 イエス・キリストとは何か

1.「ふしぎ」の核心

2.なぜ福音書が複数あるのか

3.奇跡の真相

4.イエスは神なのか、人間なのか

5.「人の子」の意味

6.イエスは何の罪で処刑されたか

7.「神の子」というアイデアはどこから来たか

8.イエスの活動はユダヤ教の核心だった

9.キリスト教の終末論

13.イエスは自分が復活することを知っていたか

18.キリスト教をつくった男・パウロ

第3部 いかに「西洋」をつくったか

1.聖霊とは何か

2.教義は公会議で決まる

3.ローマ・カトリックと東方正教

6.イスラム教のほうがリードしていた

9.宗教改革ープロテスタントの登場

10.予定説と資本主義の奇妙なつながり

11.利子の解禁

12.自然科学の誕生

14.芸術への影響

15.近代哲学者カントに漂うキリスト教の匂い

いくつか参考になった点を紹介しておく。

1.ユダヤ教とキリスト教はどこが違うのか。
ほとんど同じ。唯一違うのはイエス・キリストがいるかどうか。一神教で、ユダヤ教の神はエホバ(ヤハウェ)。その同じ神がイエス・キリストに語りかけている。イスラム教のアッラーも同じ神だ。

イエス・キリストは「神の子」なので、預言者以上の存在だ。

メシアはヘブライ語の救世主という意味、それをギリシャ語に直すとキリストとなる。旧約聖書の「イザヤ書」の中で、メシアがやってくると預言されていた。

5.なぜ、安全を保障してくれない神を信じ続けるのか。
ユダヤ人は、バビロン捕囚で、60年間もバビロンに連れ去られていた。これはユダヤ人自身に原因がある。ヤハウェに背いたからだ。この試練を耐え忍び、これまで以上にヤハウェを信じれば、外敵は除かれるに違いない。というのが、ユダヤ人の考えだ。

11.なぜ偶像を崇拝してはいけないのか。
それは偶像を作ったのが人間だからだ。人間が自分自身を崇めているというのが、偶像崇拝の最もいけない点だ。

6.イエスは何の罪で処刑されたか。
「神を冒瀆した」罪だ。実はイエスは最高法院で死刑が宣告されたが、総督ピラトは、ちょうど過越(すぎこし)の祭り時期だったから、罪人の一人を恩赦にできた。そこで、イエスを釈放しようとしたが、民衆が「バラバを、バラバを」と叫んだので、罪人のバラバを釈放して、イエスと他の二人の罪人を十字架にかけた。

ちなみにバラバのその後が、映画となっている。



裁判でイエスを尋問したところ、神を冒瀆することを言ったので、証拠調べは打ち切りになり、即座に死刑の判決が下された。

18.キリスト教をつくった男・パウロ。
キリストの12人の弟子の能力があまりに低く、ヘブライ語しか話せなかった。パウロは、当時の国際語であるギリシャ語が話せたので、キリスト教の国際化に貢献し、新約聖書の著者の一人として、キリスト教発展の基礎をつくった。

大変参考になる本だった。


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深読みサッカー論 ブラジルワールドカップ前の対談

深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ)
山本 昌邦
日本経済新聞出版社
2014-04-09


ブラジルワールドカップ直前に出された元オリンピック代表監督の山本昌邦さんと日経新聞編集委員の武智幸徳さんの対談。

実は日経新聞の企画で、この二人がブラジルワールドカップ直後に町田で対談したので、その対談を聞いてから、この本を読んでみた。

筆者は湘南高校でサッカーをやっていたので、興味深く読めた(ボールセンスがないので、サッカーは2年であきらめ、3年生からは受験勉強に専念したが)。

日本人初のブンデスリーガーとして活躍した奥寺康彦さんは、筆者が湘南高校1年の時の相模工業大学付属高校(今の湘南工科大学付属高校)3年生で、湘南高校サッカー部は関東大会県予選決勝まで行って、奥寺さんを擁する相工大付属に3:1で負けた。

奥寺さんはその後、古河電工を経て、ドイツのIFCケルン、ヘルタベルリン、ヴェルダー・ブレーメンと合計10年間ドイツで活躍した。

山本昌邦さんは、年次で言うと筆者の4年後輩だが、同じ年代なので、対談もこの本も楽しめた。

ブラジルワールドカップではドイツが優勝した。



2014年4月に出たこの本では、決勝戦ではブラジルとアルゼンチンの南米対決を、その可能性は高いとして予想していながらも、ドイツをヨーロッパ勢の中では最も期待できると評価している。

一人一人がメンタル的にも強く、タフな環境にも強い。流れを変えられる選手が何人もいるし、何よりもチームが成熟しているから隙がないし、交代のカードがことごとくいい仕事をしていると山本さんは評している。

「ここというときの75分から90分が非常に強い。おそらく決勝トーナメントに進んで延長戦になったら、ますます力を発揮すると思います。

勝負所で強いというのは、交代のカードで入ってきた選手が、みんなものすごく仕事をするからなんですね。疲れた相手の弱いところをどんどん突くし、自分たちがちょっと苦しくなったときに、疲れた仲間をしっかりカバーできる。そういう力があります。」

まさに山本さんの予言的中だ。

参考になったのは、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督の話だ。

もともとボビー・ロブソン監督の通訳としてポルトガルのスポルティング・リスボン、ポルトで働いていたが、監督として大成し、いまはチェルシーの監督だ。

モウリーニョは試合の展開を読み切って作戦を立てるという。

ある想定練習をしていると、それに異論を唱えたプレーヤーに「いや、俺たちがリードしていると、あの選手はこの時間帯に必ずピッチに送り込まれてくる。これは、俺たちが勝っている状況での、残りの15分のシナリオなんだ」と説明するのだと。

それで翌日の試合ではモウリーニョが言った通りに、その選手が想定したとおりのポジションで出てくる。

それでモウリーニョの選手たちは、「おおっー」、「うちのボスは何でもお見通しだ!」となる。

中田英寿も、個別の局面についての視点が優れているという。

山本さんは、海外のメディアの試合前の監督インタビューでの、援護射撃について語っている。

海外メディアは、自国の選手を持ち上げて、強い印象を相手チームに植付けようと、「あの選手はヘディングが強いが、どう守るつもりだ」みたいに、監督に単刀直入に聞いて、自国チームの援護射撃をするのだと。

日本のメディアにも、チームと一緒に戦って欲しいと注文を付けている。

日本には高校サッカー、大学サッカーという学生を育てるという意味では、世界でもダントツのクオリティの育成の仕組みと組織があると、山本さんは語る。

トルシエもジーコもオシムも全国高校サッカー選手権を見て、驚いていたという。

あとがきで、武智さんは山本さんの懸念を紹介している。

「強気な山本氏が不安視する数少ない要素に「監督力」がある。山本氏の目には、日本代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督のチーム運営はどちらかというと「信頼」をベースにしたクラブの監督っぽく映るようだ。

プロ野球の日本シリーズで勝てる監督は、1、2戦までに使える選手と使えない選手の峻別をやってのけるというが、短期決戦のワールドカップも時に監督には果断が求められる。

サッケローニ監督は「勝負師」になれるかどうか。そこは私も注目したいところである。」

まさにこの不安が的中した。試合中のメンバー交代やポジションチェンジのちぐはぐな指令。だから負けたというわけではないが、結局交代のカードを切って試合の流れを変えるとか、最後の15分に集中するとかいった戦いかたができなかったことは事実だ。

予定通り後半30分だけにドログバを投入して、日本を逆転したコートジボアールの戦いかたは見事だった。(YouTubeには日本語解説のものは見つからないので、解説はロシア語か東欧系の言葉ではないかと思う。たぶん著作権の関係だろう)



ギリシャ戦では一人少ない相手に対して、攻めあぐねた。



コロンビア戦では、守りの弱さを修正できなかった。



町田での講演では、山本さんはブラジルの試合会場のコンディション(たとえばレシフェは気温30度以上で、雨が多く、湿度80%!)にもふれており、スペインなども含め、涼しいところでキャンプしていた国は大体敗退したと言っていた。

またサブ組は、ワールドカップ期間中、トレーニングマッチの準備がなく、準備不十分だったと。

コートジボアールとの試合でも、日本選手で試合中に10キロ以上走った選手は5人しかいなかった。タックル成功率も60:40で負けていた。メンタル面も含め、コンディショニングに失敗したのだ。

Jリーグで優勝したサンフレッチェ広島のように、球際に強く、シュートブロックやタックル成功率が高いチームが勝ち残った。特にアルゼンチンのマスチェラーノのタックル成功率は驚異的だったと語っていた。


悪い予感が当たったという結果となった日本のワールドカップでの戦いだった。

ワールドカップが終わったあとで、いまさら読もうという気にならないかもしれないが、読んでみれば楽しく読めて参考になる本である。


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重火器の科学 仮想敵国の嫌がる武器が最大の抑止力



自衛隊の武器補給処技術課研究班に勤務し、2004年に定年退官した かのよしのりさんの本。

図書館の新刊書コーナーに置いてあったので読んでみた。

大砲やロケット弾、地雷、手りゅう弾などの基礎が学べる。

かのさんは他にも「自衛隊VS中国軍」や「銃の科学」といった著書を書いているので、今度読んでみる。

自衛隊vs中国軍 (宝島社新書)
かの よしのり
宝島社
2013-03-09




最も参考になったことは、簡単で安上がりな兵器が最も防衛に適しており、周辺国はすべて普通に装備しているのに、日本はそれらを人道的見地から放棄したということだ。

たとえばクラスター弾だ。日本は2008年クラスター爆弾禁止条約に調印した。そして国土防衛用に配備していた多連装ロケット発射器から打ち出すクラスターロケット弾も廃棄した。

自衛隊は敵が上陸してきた場合、海岸に密集しているタイミングでクラスター弾で打撃を加える戦略だったが、みずからその有効な手段を放棄した。

一方、米国はじめ中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾のいずれもクラスター爆弾禁止条約には参加していない。

日本は自ら安価で有効な国土防衛の武器を放棄したのだ。

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出典:本書90〜91ページ

そして対人地雷禁止条約にも調印しているので、地雷も廃棄した。こちらも米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾はいずれも調印していない。

人道的な見地から、これらの残虐な兵器を禁止するという趣旨は理解できるが、全世界の国、特に仮想敵国となりうる国がすべて参加しない限り、相手が嫌がる武器を自ら放棄して、防衛力を弱めるだけになるだろう。

日本には恐るべき地雷があった。

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出典:本書150〜151ページ

ショックを与えると本体が1メートル程度ジャンプして、空中で爆発し、250個の鉄球をばらまいて殺傷するという恐ろしい兵器だ。敵の兵士に与える恐怖感は絶大だろう。

中国の人民解放軍の兵士が持っている手りゅう弾は、直径3ミリの鉄球1,600個を飛散させる。

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出典:本書184〜185ページ

最近では小銃で実弾を使って、手榴弾や擲弾を発射できる。

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出典:本書188〜189ページ

もし中国軍が日本に侵攻してきたら、まずはクラスターロケット弾で自衛隊の陣地にクラスター弾を雨あられと降らせて打撃を与え、近接戦では小銃擲弾と手榴弾を使って日本の兵士を攻撃するだろう。

日本も反撃するだろうが、クラスター弾でダメージを受けた部隊は、はたして立て直すことができるのか?

ヒューマニズムの精神にはもちろん賛成だが、日本の仮想敵国である周辺国すべてがダーティな武器を持ち続ける以上、日本だけが放棄しては抑止力の低下はまぬがれない。

相手の嫌がる武器を持つことが、安価で有効な抑止力ではないのか。そんなことを考えさせられる本である。


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ビジネス書の9割はゴーストライター ありうる話だ



通信社勤務のあと、出版社で編集者として働き、38歳でフリージャーナリストとして独立し、自分の著作のほかに年間数冊のゴーストライティングを引き受ける吉田典史(のりふみ)さんの本。

吉田さんは、「震災死」などのルポもののほか、「年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術」といった自分の名前での著作のほか、有名経営者や経営コンサルタント、タレントやスポーツ選手などの多くの「著書」をゴーストライターとして書いてきたという。





アメリカではライターズギルドのような書き手の権利を守る協会があり、ライターがちゃんと本に共著者として登場する。

日本では、「構成」や「編集協力」として名前が紹介されればよい方で、まったくライターの名前が本に出てこない場合が多い。また、実際には著者が書いたのではなく、「談」とすべきところを、著者が書いたような体裁の本も多い。


ビジネス書の9割はゴーストライター作?

9割が正しいのかどうかわからないが、特に経営者の書く本など、多くのビジネス書はライターの助けを借りていることは間違いないと思う。

たぶん、いい例が、超多作の中谷彰宏さんだろう。中谷さんは920冊の本を出したという。年間百回前後の講演をこなしながら、そんな数の本を自分で書くのは不可能だ。

中谷さんは元コピーライターだから、自分でも書けるのだろうが、大まかな構成を自分で決め、最初のおきまりの「この本は次の3人のために書きました」を自分で書いて、他は生産性を上げるためにライターを使っているのだと思う。

中谷彰宏という名前で本は売れる。自分ですべて書いたら、20年間で、たぶん100冊前後が限界なのではないか。それよりは、中谷さんの監修のもとにライターに書かせる方が、より多くのテーマについて書くことができるので、読者にとっても悪くないと思う。

有名な著者は、自分でもそれなりに書けるのだろうが、しろうとの経営者とかスポーツ選手に、いきなり本をかけてと言っても無理がある。

本に書いてあることは、1回読めば意味がすんなり分かることが必要である。それを吉田さんは「商業用日本語」と呼んでいる。素人の文章は、「商業用日本語」にはなっていない。そこで出版社が使うのがゴーストライターだ。

ゴーストライティングが一般的になっていることを示すエピソードを紹介している。

吉田さんが編集者だった時、担当していた冊子の巻頭エッセーをサラリーマンもので有名な漫画家(フジ三太郎のサトウサンペイか?)に依頼した。

その漫画家は、「事務所に取材に来て、自分が語った内容を、自分が書いたような記事にして欲しい。他の出版社ではいつもそのスタイルでやっている」と言ったという。吉田さんは、自分で書かないのに、書いたような作品を載せることは、本物の作家や読者に申し訳ないように感じたという。


ゴーストライターを使う理由

出版不況の日本では、そこそこ売れるビジネス書を数多くだすことが出版社が利益を上げる道だ。それも初版でとどまらず、増刷ができる本を出さないと収益は上がらない。

小説家は当然のことながら、自分で小説を書かなければならないし、年間に書ける小説の数は限られる。しかも、売れる小説家はほんの一握りしかいないし、売れる小説家でもすべての作品が売れるわけではない。

このブログで紹介している大沢在昌さんの「売れる作家の全技術」でも、大沢さんは「新宿鮫」がヒットするまで、11年間全く本が売れず、「永久初版作家」と言われていたと語っている。

小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
大沢 在昌
角川書店(角川グループパブリッシング)
2012-08-01


しかし、ビジネス書であれば、たとえば会社社長というカテゴリーであれば、日本に会社は420万社以上あるのだから、社長は420万人はいる。会社経営者ということであれば、社長に限定する必要はないし、会社の宣伝のために、本を出したい経営者も多い。

他にコンサルタント、学者、評論家、タレント、スポーツ選手など、著者候補はいくらでもいるし、ゴーストライターをつければ、いくらでも大量生産可能だ。

著者の名前で本は売れる。出版社にとっては、「集客力のある著者」を確保することが何よりも大事なのだ。

そして、「数打てば当たる」戦法で、多くの本を出す。だから、ほとんどの本は初版でとどまり、増刷になる本は2割以下だという。

ゴーストライターを使うもう一つの理由は、出版社の編集者の書く能力が不足しているためだ。

出版社の編集者は年に15〜20本くらいの本を出すのがノルマだ。著者やゴーストライターとの調整で時間を取られ、編集者が自分で書いたり校正したりする力は落ちている。

吉田さんが知っている200人ほどの編集者のうち、朝日新聞社などで15年程度記事を書いてきた中堅記者と対抗できる編集者はほとんどいないという。

就職予備校の就職模擬試験のデータでは、朝日新聞の偏差値が80以上、読売・毎日新聞が75程度、出版社でも難易度が高い講談社や小学館の偏差値が50程度だという。それ以下の出版社は推して知るべしだ。厳然としたヒエラルキーがあるのだ。

編集者が本格的に書いたことがないから、ゴーストライターという仕事が浸透しやすいのだと吉田さんは語る。

ちなみにマスコミの採用試験の過去問は公開されている。ここをクリックして朝日新聞の2014年春の問題を参考までに見て欲しい。なるほど、これはきちんと新聞を読んでいないと難しい。


ゴーストライターのやり方

ゴーストライターは、まず著者に2時間づつ、5回、合計10時間のインタビューをする。そしてその著者のブログや書いたものを読み込んで、インタビューからストーリーをつくりあげて再構成し、1冊の本に仕立てる。200ページ程度の本で、短くて1か月、長くて半年を超えることもあるという。

しかし、なかなかインタビューに10時間とってくれる著者はおらず、ひどいときはインタビュー2時間のみで、本を書かなければならないこともあったという。


ライターもピンキリ

ライターの企画力、取材交渉力、取材力、執筆力、編集力は低い。ライター150人のうち、120〜130人は素人と大差なく、全国紙のキャリア15年くらいの中堅記者に対抗できるのはせいぜい3人くらいだろうと。

それもあって、ライターの年収は低い。吉田さんの場合、多いときは一冊200〜300万円ということもあったが、これは何度も増刷された本の場合で、大半は100万円以下だった。

初版のみで終わる場合は、50万円から70万円というところだ。50万円以下で引き受けたケースはトラブルが多かったので、避けた方が良いという。

一般のライターは年収400万円以下、200〜300万円の人が多く、コンスタントに毎年600万円を10年間にわたって稼げるライターはせいぜい数パーセントだという。到底家族を養うだけ稼げないので、主婦ライターも多いという。

ゴーストライターが読むべき本

この本はところどころにQ&Aを載せていて、その中の一つでゴーストライターについて書いている本を紹介している。1991年に宝島社から発行されたソフトカバーの「ライターの事情」と、1995年にに出版された「ライターになる ー ライター養成実践マニュアル」だ。






どちらも絶版だが、面白そうなのでアマゾンで中古品を買ってみた。後日内容を紹介する。

9割がゴーストライターによるものかどうかわからないが、半分以上はゴーストライターによるものなのだろう。ゴーストライティングを請け負う人が書いたものだけに、赤裸々に実態をあきらかにしている。


出版界の暴露本だから、編集者から協力を得られなかったようで、本の構成はイマイチだが、唯一無二の内容ではある。


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論文捏造 STAP細胞と高温超電導捏造事件の驚くべき類似性

論文捏造 (中公新書ラクレ)
村松 秀
中央公論新社
2006-09


世界的に有名な研究所。

しかし研究所の業績はパッとせず、研究資金を確保するために、スターを待ち焦がれていた。

そこへ現れた29歳のスター研究者。

世界的に有名な指導教官が論文の共著者となる。

ハンサム・ガイ。

「サイエンス」、そして「ネイチャー」に立て続けに論文を発表。

世界が驚いた研究成果。

メディアの注目の的。

しかし、世界中の研究者が追試を行うが誰も成功せず。

論文捏造疑惑が持ち上がる。

調べてみれば大学時代の博士論文から始まる写真・データの使い回し。

本人はいたって陽気に追試に参加。

しかし、追試は不成功。

やがて論文は取り下げられる。

本人は大学時代の捏造疑惑で博士号をはく奪され、今は一般企業の会社員としてひっそり暮らす。

…。

以上は小保方晴子ユニットリーダーの話ではない。

2000年に高温超電導で次々を記録を更新。ノーベル賞に最も近いと言われた男、ドイツ人科学者・ヤン・ヘンドリック・シェーンの話である。

シェーンはハンサムガイだ。

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出典:本書17ページ


ベル研究所といえば、トランジスターを発明した世界的に有名な超一流研究所だ。

ところが、1990年頃をピークに、ベル研究所の発表する論文数は次の図のようにジリ貧となっていた。

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出典:本書184ページ

IT不況の影響で、親会社のルーセント・テクノロジー(もともとはAT&Tだったが、AT&T分割で分社化された)の株価はピークの1/10となり、研究費がどんどん削られていたのだ。

理研も特定国立研究開発法人への指定を受けて、国から多額の研究予算をつけてもらうべく申請していた

名門だが、研究費の確保に苦労しているという状況は、当時のベル研究所の状態に似ている。

「スター誕生」が渇望されていたのだ。

この本は、2004年末にNHKで放送された論文捏造事件ドキュメンタリーをつくったディレクターが書いた。

シェーンを小保方さん、高温超電導をSTAP細胞と読み替えると、歴史は繰り返すという言葉通りになっていることに驚く。

ネイチャーに投稿した論文の掲載可否を決めるのは、次のプロセスだ。

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出典:本書137ページ

科学誌の記者に論文を評価する能力はない。その分野の一流研究者がレフェリーとなる。レフェリーが納得すれば、論文は「ネイチャー」に掲載されるのだ。

特許権の関係もあり、発表される論文は簡単なもので、詳細は明かされない。

たとえば1953年のワトソン・クリックのDNA論文はわずか1.5ページだ。論文は今も「ネイチャー」のサイトに公開されているので、ここをクリックして論文を見てほしい

「ネイチャー」に論文が出ると、世界中の研究者が自分たちの方法で追試を試みる。そして、自分たちの方法が発表者と違ったり、結果が発表者より良かったりすると、今度は自分たちが「ネイチャー」や「サイエンス」に発表するのだ。

当初、高温超電導は日本が世界をリードしていた。シェーンは日本の谷垣東北大学教授(論文発表時はNEC基礎研究所在籍)が1991年に高温超電導の世界記録(33K=Kは絶対零度=−273度)を打ち立てた方法とは、全く異なる次のような方法を発表した。

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出典:本書47ページ

しかし、他の誰も成功できない。同じ方法を実現するには、スパッタリングという電子ビームを金属片に当てて、とび出した金属原子でコーティングするマシンが必要だ。しかし、世界のどのスパッタリングマシンでもシェーンの方法は追試できなかった

いつしか、シェーンは出身校のドイツ・コンスタンツ大学の「マジック・マシン」を使って、高温超電導記録を塗り替えているんだという噂が広まった。

次がそのマジック・マシンの写真だ。

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出典:本書156ページ

なんのことはない、家庭用のマシンのようなもので、上に目覚まし時計がついているところがご愛嬌だ。

この写真を撮影したNHKは、世界で最初に「マジック・マシン」の写真を紹介したことで、スクープとなった。

だれもが思うように、こんなマシンで有機物に薄い酸化アルミの膜をスパッタリングできるはずがない。

衆目の監視する中で行われたシェーンの実験では、シェーンが全く実験に不慣れなことが露呈し、当然のごとく失敗に終わった。

シェーンのコンスタンツ大学時代の博士論文から捏造は始まっていたことがわかり、シェーンの捏造はもはや動かしがたい事実となった。

博士号をはく奪され、シェーンはいまはひっそりとドイツの片田舎で会社員として暮らしているという。

ES細胞では2005年に韓国の黄教授の論文捏造事件が起こっている。

捏造は繰り返されるし、繰り返されるとしたらパターンは同じなのだ。

あえて言うが、筆者は小保方さんはウソは言っていないのではないかと思っている。彼女は自分ではSTAP細胞と思ったものを造り出したことがあったのだろう。

筆者の大学の先輩が言っていたが、UFOを見たと言う人に、UFOは実在しないと証明することは不可能だ。

UFOを見たと言うなら見たんだろう。誰も否定はできない。

シェーンの場合は、頭の中で考えた方法を論文に書いて、それをいずれ実証してくれる人が現れるのを待っていたのではないかと思う。

そういう人が現れればもうけもの、自分はノーベル賞を取れるというシナリオだ。

小保方さんの場合には、そういった打算では動いていないのではないかと思う。

彼女はUFOならぬ、STAP細胞を見たのだろう。ただ、それが再現できないだけだ。


この本は2006年9月の初版だが、アマゾンの全体の売上ランキングで現在3,000位くらいになっている。全く陳腐さはない。STAP細胞事件が起こってから、売れ行きに拍車がかかっているようだ。

筆者が図書館で借りて読んでから買った数少ない本の一つだ。こんなにポストイットを貼っている。

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文章もこなれているし、専門的な内容も含んでいるが、大変わかりやすく書かれている。

いずれSTAP細胞事件そのものを取り上げた本も書かれると思うが、この本の情報量と取材力は圧倒的だ。さすがNHKと思わせる。

是非一読をおすすめする。


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統計学が最強の学問である あたまにスッと入らない統計学のすすめ



家内が図書館から借りていたので読んでみた。

町田の図書館でも10冊蔵書があり、80人が予約していて、なかなか人気のある本だ。まさに、本はタイトルで売れるという好例だろう。

同じ著者・西内啓さんの、「1億人のための統計解析」の読んだ。こちらは、「統計学が最強の学問である」に輪をかけて理解できなかった。

エクセルを使うと相当高度な分析までできることはわかったが、ケースもあまり興味を惹くものではない。実際にエクセルを立ち上げて、試してみればまた違うのかもしれないが、そこまで興味が持てなかった。

ちなみに、ケースは1.和食レストランの夜の売り上げを増やす、2.事務機器販売の販売戦略を立てる、3.情シスの手助けなしで、ECサイトの顧客行動を分析する、4.画像処理機器の過去5年のデータを元に販売予測を立てる、というものだ。



さて、この「統計学が最強の学問である」という本だが、はっきり言って「統計学のすすめ」であって、「入門書」ではない。

しろうと向けに書かれた本にしては、難しすぎる。あたまにスッと入らないし、この本を読んでも単語の意味すらわからない。

たとえば、この本でよく出てくる「カイ(χ=ギリシャ文字)二乗(じじょう)検定」と「p値」だが、言葉の説明すらない。その部分を引用すると(本書83ページ)、

「こうしたクロス集計表(ある企業のA/Bテストの結果が前に出てくる)について『意味のある偏り(かたより)』なのか、それとも『誤差でもこれぐらいの差は生じるのか』といったことを確かめる解析手法に『カイ二乗検定』というものがある。…」

というぐあいに、結局「カイ二乗検定」というものが何なのか、わからずじまいだ。

同様に、この本で頻出する「p値」だが(本書84ページ)、

「この『実際には何の差もないのに誤差や偶然によって、たまたまデータのような差(正確にはそれ以上に極端な差を含む)が生じる確率』のことを統計学の専門用語で「p値」という。

このp値が小さければ(慣例的には5%以下)、それに基づいて科学者たちば、『この結果は偶然得られたとは考えにくい』と判断する。」

この「カイ二乗分析」や「p値」といった消化不良の専門用語が、この本のところどころに出てくるので、フラストレーションが溜まる。

目的がいわゆるビッグデータに興味がある人なら、以前このブログで紹介したトーマス・ダベンポートさんの「分析力を武器とする企業」が世界的ベストセラーで、具体例を満載しているので、こちらの方が良いと思う。

分析力を武器とする企業
トーマス・H・ダベンポート
日経BP社
2008-07-24


ちなみにダベンポートさんの本では、この本にも取り上げられている「オムツを買う人は、ビールも一緒に買う」という事例のルーツを調べた結果、それは都市伝説であろうと結論づけている。

ともあれ、参考になる点をいくつか紹介しておく。

★あみだくじ必勝法
あみだくじにも当たる確率がある。この本で紹介されている8本の縦線、4本の横線のあみだくじの場合、4番目の線の当たる確率が21%で、一番右の8番目の線は3.3%だという。

★ダイレクトメールで売上を上げる方法
西内さんがかかわった案件で、いままで漫然と送っていたダイレクトメールを、「どういった顧客には送り、どういった顧客には送らないか」を最適化することで、同じコストで、売上を6%上げる「ズル」ができたという。

DMによるマーケティングの高度化に興味がある人には、まずはこのブログの詳細なあらすじを読んでから、「TESCO顧客ロイヤルティ戦略」を読むことをおすすめする。

Tesco顧客ロイヤルティ戦略
C. ハンビィ
海文堂出版
2007-09


★サンプリングが情報コストを激減させる
分析対象のデータをすべて分析対象とする実務上の必要はない。「標準偏差」という考えが80年以上前に統計学で生まれた。

たとえば失業率が6%、標準偏差が0.5%だったとしたら、失業率が6%+/ー1%の5〜7%に収まっている確率は95%だということだ。

ある一定数のサンプル数があれば、それ以上増やしても、標準偏差の差は小さい。たとえば10万人の顧客のデータを調べる時、8,000名まで調べれば、標準偏差は1%となり、実務上はかなり正確なデータとなる。

ちなみに、前述のTESCOは、以前は全英のスーパーマーケットの売上POSデータの5%を分析対象としていた。競合のSainsburyは100%分析しているので、現在はもっと精度を上げてきているかもしれない。

★世間にあふれる因果関係を考えない統計解析
この説明も参考になる。たとえば、ある商品の購入者にその商品の広告を見たかと聞くと、5割近くが見た・たぶん見たと回答したとする。これで単純にキャンペーンの効果があったと結論づけることはできない。

非購入者にも、その商品の広告を見たかと聞くと、非購入者の方が広告を見たという結果が出ることがあるからだ。

「広告を認知していたから商品を購入した」のか、「商品を購入したから広告をその後も認知していた」のかがわからないのだ。これが「因果関係の向き」だ。

★「ランダム化」は最強の武器
現代統計学の父として、この本で紹介されているロナルド・フィッシャーは、ミルクティーは牛乳を先に入れるか、紅茶を先に淹れるかで議論になったときに、それぞれの淹れ方のカップを10個用意して、ランダムに置き、婦人にテストさせた。1920年代末のことだ。

これがランダム化比較実験の最初だという。その他にもフィッシャーは、農地を40に分割して、ランダムに20カ所選んで、肥料Aと肥料Bをテストするといったランダム化実験を行っている。

ちなみに婦人は正確に違いを言い当てたという。その後2003年に英国王立化学協会は、牛乳は75度を超えると変質するので、牛乳は紅茶の前に注がれるべきだと発表しているという。

なるほど、だから低温殺菌牛乳は65度とか75度とかで加熱殺菌しているので、味が変わらないのだろう。



もっとも、日本の普通の牛乳の場合は135度で数秒殺菌しているので、日本の牛乳でミルクティーを作れば、どちらが先でも味は変わらないかもしれない。

★「ミシンを2台買ったら1割引き」で売上は上がるのか?

アメリカで成功したキャンペーンの事例だ。このキャンペーンにより、顧客はわざわざ友人や隣人を誘って、共同購入を呼び掛けた。つまり、優秀なセールススタッフを雇い入れるのと同じ効果があったのだ。

ミシンを2台も買う人はいないので、不発に終わったキャンペーンでは?という第一印象だったが、なるほどと思う。こんな考え方もあったのだ。

この本の後半はかなり専門的な説明で、回帰分析一般化線形モデル重回帰分析ロジスティック回帰、テキストマイニングの「形態素解析」、ベイズ派と頻度論派の確率をめぐる対立、といった話題が紹介されている。

筆者が大学の教養課程で受けた統計学の授業の教官は、たしか村上さんだったと思う。てっきり、村上陽一郎教授だとばかり思っていたが、村上正康教授かもしれない。村上正康教授は、「統計学演習」という本を出している。

統計学演習
村上 正康
培風館
1989-01



チャレンジしてみたい人にはいいかもしれないが、統計学の入門書としては、ちょっと難しいので、統計学のすすめとして読むのが良いと思う。


参考になれば次クリックお願いします。


中国はもう終わっている 二人の帰化日本人の対談



中国からの帰化日本人の石平さんと、台湾からの帰化日本人の黄文雄さんの対談。

この本はアマゾンの「なか見、検索!」に対応していないので、ちょっと長くなるが、”なんちゃってなか見、検索!”で目次を紹介しておく。

第1章 中国経済の崩壊でこれから何が起こるのか
・中国の株価下落でなぜ世界が大騒ぎしたのか
・いまごろリーマン・ショックのつけが表面に
・中国でシャドーバンキングはなぜ生まれたのか
・中国の不良債権は300兆円
・地方政府の崩壊が秒読み
・ますます信用できなくなっている中国の統計
・続々と撤退する外国資本と大量失業者の発生
・中国社会を崩壊させる2つのグループ

第2章 習近平体制は間もなく破綻する
・身内を攻撃する習近平
・習近平と江沢民派との闘いが始まった
・習近平は「大政奉還」を狙っている
・毛沢東路線に回帰する習近平
・習近平が煽るウルトラ・ナショナリズム
・憲政をめぐって分裂する中国
・中国で民主化は可能なのか
・李克強は習近平に取って代わるか
・胡錦濤と習近平の「最終戦争」

第3章 日中はこうして激突する
・アベノミクスを執拗に攻撃する中国
・中国とともに沈没する韓国
・オバマに「宿題」を突きつけられた習近平
・スノーデン問題で冷え込む米中関係
・着々と進む安倍政権の「中国包囲網」
・TPP経済圏の出現に焦る中国
・中韓接近で変化する朝鮮半島情勢
・中国と接近した国の末路
・中国は尖閣問題をどうしたいのか
・中国の本当の狙いは南シナ海か
・習近平が恐れる軍部の暴走
・靖国問題はもう中国のカードにならない
・沖縄問題と反原発に媚中派が結集
・沖縄は中国に飲み込まれるか
・台湾も香港も中国離れが進む

第4章 2014年世界から見捨てられる中国
・偽りの経済成長で深刻化する大気汚染と疫病蔓延
・350年前の人口爆発から始まった環境汚染
・環境悪化が中国の経済成長を不可能にする
・ウイグル問題の爆発が迫っている
・世界から締め出される中国
・日本は中国崩壊に備えよ

目次を読むだけでも、大体の内容が推測できると思う。最近の話題が多く、刺激的なタイトルばかり並んでいて、すぐにでも習近平体制が崩壊しそうな印象を受ける。

そんなに危ういのか、にわかには判断ができないが、参考になった点を紹介しておく。

ちなみに、石平さんは、結構激しいことを言っている。

「私から見ると、まるで中国と韓国は「ドラえもん」のジャイアンとスネ夫ですね。共倒れ同士がお互いを慰めあって、連携して日本に無理な要求をしている。彼らが生き残る道は、頭を下げて日本といい関係をつくるしかないのに、変な意地を通している。とくに、韓国を待っているのは、中国の属国になって中国と共倒れになるという、哀れな将来ですよ。」

まるで長谷川慶太郎さんのようだ。

破綻する中国、繁栄する日本
長谷川 慶太郎
実業之日本社
2014-01-31


★中国の高度成長は終わった。これでせっかく生まれた中産階級は冷え、不動産が暴落し、地方政府の財政が破たんする。富裕層はますます海外に逃げ出す。

★2013年7月に卒業して、9月に就職する中国の大学生は約700万人いる。2013年5月時点で就職内定率は16.8%で、「史上最悪の就職氷河期」と言われており、大量の大学卒業生が職にあぶれることになる。都市と農村の中間地区に集団で暮らす蟻族(平均月収は2,000元=2万6千円以下)が増加する。

★習近平は訪米して、オバマ大統領と8時間も費やして会談したが、延々と日本批判を繰り返す習近平に対して、オバマは「それまでだ。日本はアメリカの同盟国であり、友人だ。あなたはその点をはっきり理解する必要がある」と反論したという。子供の教育問題で時間がないという理由で、習近平の奥さんもオバマ夫人と会えなかった。

★オバマ大統領の最大の関心事は、サイバー攻撃問題と北朝鮮問題で、習近平主席からかなりの譲歩を取り付けた。しかし習近平にはたいした成果はなかった。

★中国によって侵害されているアメリカの知的財産権は年間3,000億ドル(30兆円)にも上る。ハッキング、情報窃盗に協力しているという疑いが、華為技術(ファーウェイ)にかけられている。華為は1988年に人民解放軍の元幹部の任正非社長が人民解放軍の仲間と設立した。

★アジアの中で日本を嫌いなのは中国と韓国だけ。安倍政権の「中国包囲網」は着々と進んでいる。日露間でも2+2(外務大臣と防衛大臣による安全保障協議委員会)設置で合意した。インドとの協力関係も進んでいる。安倍政権は、戦後初めて国益に基づいた戦略的外交を展開している。

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出典:本書134ページ

★韓国軍の統帥権は、朝鮮戦争以来アメリカにゆだねられており、これが2012年に返還される予定だったが、2015年に延長してもらった。それ以降は韓国軍が自ら作戦を指揮しなければならない。韓国は日本の集団的自衛権に反対しているので、韓国が攻撃された場合、アメリカは当然韓国を支援するだろうが、日本は韓国を支援することはできなくなる。

★現実的に中国軍が尖閣に上陸して、占領することは、アメリカが尖閣を日米安保条約の適用範囲と明言しているから不可能。せいぜい、国民に見える形でギリギリの挑発を繰り返すしかない。あわよくば、それで何とか安倍政権に圧力をかけて屈服させたいと思っている。

★南シナ海が中国の本当の狙い。アメリカの軍事力に対抗するために、南シナ海の海底に原子力潜水艦の基地をつくって、そこからICBMでアメリカ本土を核攻撃できる体制をつくることができる。これが中国の対アメリカの切り札となり、南シナ海こそ「核心的利益」だ。

★中国のアフリカ援助は、中国人を派遣し、現地に雇用を生まない「ひもつき援助」なので、ザンビアのマイケル・マタ大統領は、「中国資本をたたきだせ」、「彼らはインベスターではなく、インフェスター(寄生者)だ」と主張して2011年の大統領選挙に勝利した。また、ボツワナのイアン・カーマ大統領も「中国が労働者をつれてくるなら、それは『ノー』だ」と語っているという。

★日本は中国とは正反対のやり方で、直接見返りは求めずに、無償援助や技術移転を中心にアフリカ外交をやっており、中国は脅威に感じている。


石平さんと黄文雄さんは、中国と韓国を悪く言い過ぎではないかという気もするが、ここまで日本の肩を持ってくれる帰化中国人も少ないと思う。

中国、韓国の今後の動向が、この本の指摘するようになるのかどうかはわからないが、いずれにせよ目が離せないことは間違いない。一つの見方として参考になる本だった。


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ダイヤモンドの就職人気企業ランキングで住友商事が文系男子No.1に

ダイヤモンドの就職人気企業ランキングで、住友商事が初めて文系男子の人気No.1になった

須藤元気率いる人気パフォーマーグループ World Orderを使った「全力世界だ」というコンセプトビデオが人気のようだ。

楽しめるビデオなので、ぜひ一度見てほしい。



「今年は違うぞ」という感じだ。

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