銀翼のイカロス
池井戸 潤
ダイヤモンド社
2014-08-01


堺雅人主演のテレビドラマで、大ヒットを記録した「半沢直樹」シリーズの最新作。

むちゃくちゃ面白い。そのままテレビドラマになりそうだ。図書館で1年近く待った価値が十分ある。

テレビドラマで、金融庁のオネエ調査官、黒崎を演じた愛之助や、中野渡頭取を演じた北大路欣也のイメージが残っているせいもあるが、出てくる場面がビビッドにイメージできる。



今回は帝国航空というJALを思わせるようなナショナルフラッグ・キャリア救済の話だ。

いつかあったような設定だ。

選挙で地滑り的な勝利をおさめ、進政党が憲民党に代わって政権政党となった。

進政党内閣の目玉として、国交省大臣に元アナウンサー出身の白井亜希子が就任し、就任会見で、帝国航空の危機を救うため私的諮問機関としてタスクフォースを結成する旨発表する。

そのタスクフォースのトップは、いままで企業再建を手掛けて実績のある、チェーンスモーカーの乃原(のはら)弁護士という設定だ。

その乃原弁護士は、小学校の同級生で銀行の支店長の息子だった紀本(現在は東京中央銀行の常務で債権管理担当)に、実家の町工場が倒産したことをクラス中にバラさられて、恨みを抱いている。

そして今は乃原が紀本が東京第一銀行時代にかかわった過去の不適正融資を知り、紀本を脅す立場にある。

東京中央銀行は、東京第一銀行と、産業中央銀行が合併してできた銀行だ。いまだに旧T(東京第一系)、旧S(産業中央系)と呼んで、派閥争いが続いている。

旧産業中央出身の中野渡頭取は、行内融和に腐心しているが、旧東京第一出身の紀本は、旧東京第一出身者の部下に命じて、過去の不適正融資関連の書類を秘密の書庫に保管させ、過去の不祥事の隠蔽を図っている。

タスクフォースの乃原は、すぐに結果を出すために、銀行団に対して、巨額の債権放棄を迫る。

大物政治家が動き、女性大臣が圧力をかけるなかで、過去の巨額の不適正融資が明るみにだされそうになり、東京中央銀行のなかでも、債権放棄を受諾しようという動きが出てくる。

それに敢然と立ち向かうのが、中野渡頭取より帝国航空担当者として指名された営業第二部次長の半沢直樹だ。

今回は「倍返し」は1回しか出てこないが、それでも「半沢直樹」節が全開だ。

是非ドラマ化して欲しい作品だ。


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