時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

マンガ

新天皇論 小林よしのりの近著 天皇論三部作の完結編

ゴーマニズム宣言SPECIAL 新天皇論ゴーマニズム宣言SPECIAL 新天皇論
著者:小林よしのり
小学館(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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小林よしのりの近著は、このブログでも紹介している「天皇論」、「昭和天皇論」に次ぐ天皇論三部作の完結編だ。

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論
著者:小林 よしのり
小学館(2009-06-04)
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ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論
著者:小林 よしのり
幻冬舎(2010-03)
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皇室の起源や天皇の祭祀について知らないことが多かったので、「天皇論」、「昭和天皇論」は大変参考になった。

この本も高森明勅(あきのり)日本文化総合研究所代表や、田中卓皇學院大学元学長などの神道学、皇室古代史研究の専門家のアドバイスやチェックを得ているので、前2作と同様、非常に内容が濃いものになっている。

ちなみに高森さんと田中さんは次のような本を書いている。

歴代天皇事典 (PHP文庫)歴代天皇事典 (PHP文庫)
PHP研究所(2006-10-03)
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田中さんは大正12年生まれで今年88歳になる。「田中卓著作集」が出版されている古代史・皇室史研究の大家だ。

日本国家成立の研究 (1974年)
著者:田中 卓
皇学館大学出版部(1974)
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田中卓著作集〈5〉壬申の乱とその前後 (1985年)
著者:田中 卓
国書刊行会(1985-09)
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ちなみに田中さんは「万世一系」は一つの糸のように感じるが、これは明治になってから頻繁に使われた言葉だという。昔使われていた「万葉一統」という、帯のように直系も傍系も一族郎党がつながっているというイメージが正しいという。

天皇論三部作でも高森さんがすべて内容をチェックしてくれているとのことである。議論の内容は専門家の高森さんの受け売りなのかもしれないが、それにしてもマンガというよりは、挿絵が充実した本と言った方が良いくらいコンテンツは充実している。


男系絶対主義の主張を逐一論破

小林よしのりは、男系絶対主義者の論拠を逐一論破している。

★過去10代、8人の女性天皇がいて、決して名前だけの中継ぎではなく、それぞれ「天皇」という称号を始めたり、「日本」という国名を決めたり、伊勢神宮の式年遷宮を始めたり、歴史上重要な決断をしている。皇統は決して男系だけではなかった。

★昭和天皇が「人倫に反する」として廃止した側室制度がない現代の皇室では、男系継承はいずれ不可能となる。このままでは皇位継承者に過大な負担を強いる結果となり、雅子皇太子妃バッシングなどの例もあり、皇位継承者と結婚しようとする女性を思いとどまらせる強力な圧力となる。

★日本はもともと男系・女系の区別のない国で、男系絶対主義は男尊女卑の「シナの伝統」であり、日本古来の伝統・風習ではない。そもそも皇祖神は女性の天照大神(あまてらすおおみかみ)である。明治時代の「皇室典範」制定時に男尊女卑思想があったので、男系継承という原則が打ち出された。しかしそれは側室制度があってはじめて成り立つ原則だ。

★八木秀次氏が喧伝していた「Y染色体論」は今やSRY染色体(sex-determining region Y)が男性を決定するという説に変わり、XX男性、XY女性も存在することが立証され、男系絶対主義者の科学的論拠は崩れた。

「女性天皇容認論」を排す―論集・現代日本についての省察「女性天皇容認論」を排す―論集・現代日本についての省察
著者:八木 秀次
清流出版(2004-11)
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2006年に生物学ライターの竹内久美子さんの「万世一系のひみつ」という本のあらすじを紹介しているが、竹内さんはY染色体を根拠に男系絶対主義の根拠を説明していた。

今回小林よしのりがさかんに強調する「SRY染色体」というのは、初めて聞く言葉なので、竹内久美子さんの「万世一系のひみつ」を読み返してみると次のようになっている。

「性染色体の交差はまったくないのではなく、Yの両端にはほんの少しXとペアとなす部分があり、そこで交差することがある。だから父から息子へYが受け継がれるときにはこういう交差と、稀に突然変異が起きることによってごくわずか変化します。

しかしともあれ、男はYを父親から受け継ぐ。それは、父親のものとほぼ同じであることは言える。男系の男子でつなぐとはそういうことなのです。」

出典:「万世一系のひみつ」

Y染色体説は例外もあるという注意深い書き方になっている。

遺伝子が解く!万世一系のひみつ (文春文庫)遺伝子が解く!万世一系のひみつ (文春文庫)
著者:竹内 久美子
文藝春秋(2009-05-08)
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竹内さんは最終的には女帝でも男系継承でもどちらでもよいという立場だが、女帝の場合には旧宮家などの皇室タイプのY染色体を持った男性との結婚が望ましいとしている。

これは筆者の意見だが、小林よしのりがこの本で主張するように、「Y染色体原理主義」のような議論はすべきでないと思う。かつて女帝がいたという皇室の歴史と、現代の結婚感覚に明らかに反するからだ。


★血のスペアとして旧宮家出身者を皇族とすべきだという議論がある。しかし、その候補といわれている4人は、男系絶対を叫ぶ竹田恒泰氏を除いて、いまだ不明のままである。よしんば4人が身分を明かしても、旧宮家と今上天皇との系統は600年前の崇光天皇の子栄仁親王までさかのぼらないとつながらないような人を、皇族、ひいては天皇として国民は認めないだろう。

そもそも昭和22年には竹田さんのお父さんも生まれていないので、「旧皇族」というのは「消防署の方から来ました」といって消火器を売り込むやりくちと同様の、不適切な用語であると批判している。

竹田さんはいくつも本を書いているので、別ブログでは「語られなかった皇族の真実」のあらすじを紹介している。

語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫 た 15-1)語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫 た 15-1)
著者:竹田 恒泰
小学館(2011-02-04)
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そのものズバリの「皇統保守」という本や、前回紹介した「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」という本も書いている。特に「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」は30万部を超えるベストセラーとなっている。

皇統保守皇統保守
著者:竹田 恒泰
PHP研究所(2008-08-01)
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日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)
著者:竹田 恒泰
PHP研究所(2010-12)
販売元:Amazon.co.jp
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★そもそも11旧宮家は、昭和22年に皇籍離脱させられたが、これはGHQでなく昭和天皇の意志だという。皇族は多すぎ、勝手な行動が度を超している人もいたからだ。

一例として挙げられているのが、昭和天皇の皇后、香淳皇后の父、久邇宮邦彦王だ。
宮中某重大事件は昭和天皇の久邇宮良子女王(香淳皇后)との婚約を取り消そうと山形有朋が画策したものだが、このとき良子女王の父、久邇宮邦彦王が大正天皇の皇后、貞明皇后に直接手紙を書いたので、臣の身分を超えた行為に皇后は激怒したという。

それ以来、貞明皇后(昭和天皇の皇太后)は皇族は多すぎると語っていたという。

竹田恒泰氏は対談を申し込んできたという。

竹田さんは一般的には「法隆寺を鉄筋で建て替えたら法隆寺ではなくなる」と主張しているが、男系で皇統が途絶えたら、その時は自分はいないので、その時の国民が決めればよいとメールで回答してきたので小林よしのりは対談を断ったという。


★渡部昇一との公開質問状
この本では渡部昇一と小林よしのりの往復公開質問状を掲載している。男系継承を主張する渡部昇一を「皇統の弥栄(いやさか)よりも、自分の面子を重んじ、過去の栄光にしがみつくだけの人間を相手にしている暇はありません。形骸は、断ずるのみです」と片づけている。


皇室典範改正は急務

現行の「皇室典範」は「法律」とされたので、国会に議決権があり、天皇陛下には議決権はない。しかし明治時代までは「皇室典範」は天皇家の家法とされ、天皇陛下が決めていた。

たとえ悠仁(ひさひと)さまが将来皇位を継承することになっても、今上天皇陛下の他の孫はすべて女性なので、男系皇族しか認めない現在の皇室典範では、女性の皇族は黒田清子様のように結婚すると皇籍離脱する他なく、いずれ皇族は悠仁さまだけという事態が来る。

天皇陛下は祭祀王であり、数々の祭祀を皇居で国民のために営んでおられることは、、「天皇論」の”皇室祭祀”で紹介しているので、参照して欲しい。皇太子殿下も多くの祭祀を天皇とともに営んでおられる。それゆえ皇太子殿下には、はやくからの帝王教育が必要である。

あってはならないことだが、もし今上天皇陛下に万が一のことがあり、皇太子殿下が天皇に即位されると、秋篠宮殿下や悠仁さまは皇太子にはなれず、女性天皇を認めないと愛子さまも皇太子になれないので、皇太子不在という事態となり、次の天皇の負担は重くなる。

それゆえ「皇室典範」を改正し、女性宮家を創設して、女性天皇、女性皇太子を認めることが、皇統継承の道であり、たぶん今上天皇、皇太子殿下、秋篠宮殿下もそれを望んでおられるのではないかと小林よしのりは主張する。

平成17年に小泉政権下の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書も女系容認、長子優先と結論づけている。これを早く法律案にすべきだと。また宮内庁はだいぶ以前から皇室典範改正に向けての準備を始めているのではないかと。


男系継承反対派も沈黙?

小林よしのりが、高森さん、田中さんなどの専門家のアドバイスを得て、このような論陣を張ったので、一時は男系継承に傾いていた桜井よし子氏や大原康男氏、八木秀次氏もこの問題については沈黙を守るようになったという。

「女系天皇論」の大罪「女系天皇論」の大罪
著者:小堀 桂一郎
PHP研究所(2006-01)
販売元:Amazon.co.jp
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結論として小林よしのりは、天皇陛下、皇太子殿下、秋篠宮殿下で話し合い、最終的には今上天皇が決断され、周りは天皇の意志を忖度すべきだと主張する。

天皇陛下、皇太子殿下、秋篠宮殿下も法律が決めることとしながらも、話し合う方向でも発言されている。

たぶん国民にとっては、天皇家で話し合った結果がもっとも説得力があるのではないかと筆者は思う。


小林よしのりの限界

この本の小林よしのりの議論は、納得できる点が多いが、そこまで言うなら、小林よしのりが、今上天皇陛下のご即位20年記念の茶会に招かれて、侍従から天皇陛下と直接言葉を交わすように勧められたのに、なぜそれを断ったのか理解に苦しむ。

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出典:本書34-37ページ

天皇陛下のお近くに行って、畏れおののいて何も言えなくなったのだろうが、小林よしのりが茶会に招待されたのは、もとはといえば何十万人もの読者が天皇制に興味を持ち、「天皇論」を読んだからである。

上記の議論のように、皇位継承問題については天皇家のご意見を忖度することが非常に重要である。ひょっとすると天皇陛下から何らかのヒントや言葉を引き出せた千載一遇のチャンスなのに、なぜここは読者の代表として、あたかも役者のように役目を果たすという発想にならなかったのだろう?

筆者は、たぶんこの原因は小林よしのりの「マンガ家コンプレックス」にあると思う。

小林よしのりは「マンガの殿堂」を作りたがっていた麻生太郎元総理と親しいようだが、麻生さんの主張を待つまでもなく、マンガは"cool Japan"の代表例として日本の誇る世界的なコンテンツである。

これは筆者の意見だが、小林よしのりの作品は、もはやマンガの範疇を超えた「挿絵の多い本」であり、そのコンテンツの重要性はマンガだからといって卑下する必要はなく、もっと自信を持つべきである。

上記のページの続きの38ページには次のような絵がある。

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出典:本書38ページ

小林よしのりも、本心は悔やんでも悔やみきれないという気持ちなのかもしれないが、同じく招かれたビートたけしのようにきちんと天皇陛下と言葉を交わし、「この人のためなら死んでもいい」という気持ちを、われわれ読者にも伝えてほしいものである。



あとがきに「本書がいつか必ず、国体を救うために描かれた邪念なき作品だったと、評価される時が来るだろう」などと書く前に、国民に伝える語り部という自覚を持って行動して欲しいものである。

参考になる良い本なのにもかかわらず、この一点のために残念ながら筆者の読後感は悪い。

ともあれコンテンツは充実している。400ページの大作で文字が多く、筆者も読むのに4日かかった。読みづらいマンガだが、一読の価値はあると思う。


参考になれば次クリック願う。



いわゆるA級戦犯 考えさせられる東京裁判論

A級戦犯についての小林よしのりのマンガを一つの見方として紹介する。

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIALいわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL
著者:小林 よしのり
販売元:幻冬舎
発売日:2006-06
おすすめ度:4.5
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2006年6月の日経新聞が昭和天皇はA級戦犯合祀に憤り、靖国神社参拝をやめたという側近のメモを明らかにした。

天皇がA級戦犯合祀を機会に靖国参拝をやめたことは、大前研一などは著書で以前からふれており、知られざる真実というわけではない。

(もっとも小林よしのりは別の本で、天皇が靖国参拝をやめた理由は、三木首相の『私的参拝』発言により、公式参拝ができなくなったことが理由であるとしているが)

その問題のA級戦犯とはいったいどういう人たちなのか、どのように選ばれたのか、またなぜA級戦犯となったのか、そもそも東京裁判とはどういった法的根拠で行われたのか、といった余り知られていない事実をこの本では明らかにする。

小林よしのりは、この本の帯で「日本に、A級戦犯などいない」と断言する。

東条英機ほか27名はえん罪であると。A級戦犯のリストは次の通りだ。

A級戦犯全員のリスト:

処刑された人:

東条英機首相
広田弘毅首相
板垣征四郎陸軍大将
土肥原賢二陸軍大将
木村兵太郎陸軍大将
武藤章陸軍中将
松井石根陸軍大将

獄死した人:

松岡洋右外相
永野修身軍令部部長
東郷茂徳外相
白鳥敏夫駐イタリア大使
梅津美治郎陸軍大将
小磯国昭首相
平沼騏一朗首相

名誉を回復した人:

重光葵外相
大川周明
木戸幸一内大臣
荒木貞夫陸軍大将
南次郎陸軍大将
畑俊六陸軍元帥
橋本欣五郎陸軍大佐
佐藤賢了陸軍中将
大島浩駐ドイツ大使
嶋田繁太郎海軍大将
岡敬純海軍中将
鈴木貞一陸軍中将
星野直樹満州国総務長官
賀屋興宣蔵相

「連合国から与えられた『戦犯』の観念を頭から一掃せよ」とのインドのパール判事の言葉を引用し、小林よしのりは戦犯の観念を払拭しない限り、日本民族の独立はないと訴える。


東京裁判が不当だとする根拠

理由は戦争を犯罪とする法律はいまだにないことだ。

戦争自体は犯罪ではないが、戦争中に何をやっても良いという訳ではなく、戦時国際法で交戦法規を定めた。これは次の4点からなる:

1.一般住民、非戦闘員に危害を加えてはならない。
2.軍事目標以外を攻撃してはならない。
3.不必要な苦痛を与える残虐な兵器を使ってはならない。
4.捕虜を虐待してはならない。

この基準からすると、アメリカの原爆投下が1.2.3.に違反していることは明らかである。

しかし捕まりさえしなければ、戦争犯罪を犯しても一切裁かれることはなく、戦勝国の戦争犯罪人は一人として裁かれなかった。

東京裁判は、敗戦国だけを、『事後法』で当時はまだ犯罪とされていなかったことも、さかのぼって裁き、一方戦勝国については、明白に国際法に違反した戦争犯罪も全て不問にしたものであると。

判事はすべて戦勝国あるいはその植民地の人間で、敗戦国はおろか中立国からも一人の判事も出ていない。

しかも日本とは中立条約を結び、敗戦が決定的となった段階で参戦してきたソ連までもが戦勝国として東京裁判に判事を派遣している。

東京裁判の根拠は、極東国際軍事裁判所条例(チャーター)というマッカーサーの発した命令であり、国際法上の根拠があるものではない。


東京裁判の判事は?

11名の判事の中で、法律家はオランダのレーリンクとインドのパール判事だけで、他の9名の判事はマッカーサーの傀儡だった。

特にインドのパール判事は、このようなチャーターに拘束されるならば、東京裁判は司法裁判でなく、たんなる権力の表示のための道具であり、復讐の欲望を満たすために法的手続きをふんでいるようなふりをするものに他ならないと痛烈に批判した。

パール判事の判決は全員無罪であったことが知られているが、それは裁判自体が無効ならば日本に有罪を下す必要も無いという理由からである。

「ハル・ノートのようなものをつきつけられれば、モナコ公国やルクセンブルク大公国でさえ戦争に訴えただろう。」というパール発言もよく知られている。

一面の真実ではある。

当時軍国主義一色に染まっていた日本が、違う道を通れたのかは疑問が残るが、天皇は東条英機に戦争回避を指令し、最後まで交渉を続けていたところ、ハルノートを突きつけられ、日本は開戦を決意したことは間違いない。


A級戦犯はどうやって決定されたのか

開戦を決定した時の首相がA級戦犯の代表格である東条英機だ。

その東条が、開戦前夜に天皇の意志に答えられなかったことを悔い、これから起こる惨劇を思って皇居に向かって号泣していたという。

A級戦犯のリストも、マッカーサーの指令に基づき、あわただしくリストアップされたものだ。

当初は大東亜会議に参加したフィリピンのラウレル大統領や、ベニグノ・アキノ国民議会議長(暗殺されたアキノ氏の父)、ビルマ独立義勇軍のオン・サン将軍(アウン・サン・スーチーさんの父)なども含まれており、植民地を独立させる運動に加わった中心人物もリストアップされていた。

日本が焚き付けたアジアの独立運動を、やっきになって押さえつけようとする植民地支配国の論理=太平洋戦争の性格がはっきり出ている戦犯リストである。

100名ものリストとなったものを、マッカーサーが任命したキーナン主席検事が日本人に絞ってA級戦犯とし、さらに復讐に燃えるソ連により元ソ連大使の重光葵と関東軍司令官の梅津美治郎が入れられ28名となった。

東京裁判とはそんな戦勝国の報復行為であり、1061人が処刑されたBC級戦犯に至っては、まさに報復行為の性格が強い。


共同謀議による平和に対する犯罪?

マッカーサーが出した東京裁判の条例では、ドイツのニュルンベルグ裁判所条例をそのまま適用していた。ニュルンベルグ裁判の戦争犯罪の分類は次の通りだ:

1.平和に対する犯罪
2.通常の戦争犯罪
3.人道に対する犯罪

しかしドイツでは1933年以来ヒットラーが首相となり、敗戦まで一貫して独裁体制を維持していたので、ナチスの共同謀議が成立したが、日本の場合には歴代の内閣が違い、方針も違うので、共同謀議は成立しないと思われた。

それゆえ検察団は「1928年から1945年までA級戦犯が共同謀議して、一貫して満州、中国、東南アジア、太平洋、インド洋地域を侵略、支配すべく陰謀を企て、実行した」というストーリーをつくりだし、平和に対する犯罪を追求することにした。

また天皇の戦争責任を追求しないというのも、マッカーサーの指示した方針で、これに従ってキーナン主席検事は、天皇の意志に反して軍部が戦争を遂行したというストーリーをつくりだした。


朝日新聞などのマスコミを痛烈に批判する小林よしのり

この本のなかで、小林よしのりは朝日新聞や読売新聞などの大新聞を左翼マスコミとして痛烈に批判している。

特に東京裁判の有効性の根拠として挙げられる昭和27年のサンフランシスコ平和条約11条は、東京裁判の判決を受諾するという意味であり、裁判自体は不当だが判決には従うということだと。

さらに昭和28年には国会議員が全員一致で遺族援護法を改正し、「もはや日本にはA級戦犯などいないのであって、彼らは国内法においては犯罪者ではない」という認識が成立していた。

だからいまさらA級戦犯などと呼ぶこと自体が不当であり、それゆえこの本のタイトルも『いわゆる』とつけたのだと。

筆者は朝日新聞を読んでいるが、小林よしのりがこの本で指摘している様な事実も頭に入れた上で、首相の靖国参拝や中国・韓国の靖国参拝批判、A級戦犯合祀等の問題を考えて、自分なりの意見を持つ必要性を強く感じた。

変に感化されないように注意して読むべき刺激的な本ではあるが、マスコミが取り上げない事実を取り上げて、考えさせられる題材を提供している一読に値する本だと思う。


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日本人の知らない日本語 外国人に教えられる日本語

日本人の知らない日本語日本人の知らない日本語
著者:蛇蔵&海野凪子
販売元:メディアファクトリー
発売日:2009-02-18
おすすめ度:4.5
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日本語教師海野凪子(なぎこ)さんの経験談をマンガにした本。

表紙に出てくるイラストが、それぞれのストーリーを表している。

たとえば真ん中のマグロとチョウザメを両手に持っているイラストは、「鮪」という漢字で示す魚の種類が中国と日本では違うことを表している。

鮪は中国ではチョウザメだが、日本ではチョウザメがいないので、2−3メートルの大型魚ということで、マグロと読むようになったのだという。同じように鮭も中国ではフグのことだ。

教師イラストの上のアネゴみたいなイラストは、任侠映画ファンのフランス人マダムで、最初に「おひかえなすって、私マリーと申します」と挨拶したという。

「私のことは姐さん(あねさん)と呼んでください」。

いくら何でもこれは作り話だろう。

黒澤映画にあこがれて、日本語を学びに来たスウェーデン人女性も武士言葉を使っていたという。



「これはいたみいります」「ちょこざいな」

表紙の左下で、答案を受け取って冷や汗かいているイラストは、多くの外国では(例えばアメリカ、フランス、中国)正解はチェックマークで、○がついていたらここが間違っていますという印だからだという。

○ばかりの答案を受け取り、全部間違っていたと誤解したアメリカ人のイラストだ。

このように普段気が付かない日本語の特徴が、外国人からの指摘で明らかになって面白い。

いかにも外国人らしい突拍子もない例は、発言するときは、「立って言ってください」だ。

「た」と言ったという。

たしかに「たって言っている」。

「ばつが悪い」という意味がわかりますか?

「もしかして、○(マル)は良い?」

「人間は何と数えますか?」

「匹!だって辞書に『男一匹』って出ています」


飲食業でアルバイトする学生も多いので、食器の名前の質問も多い。

醤油を入れる真ん中に仕切りのある四角い皿は「薬味醤油皿」だし、カレーなどを入れるボート型の容器はグレービーボートだ。

いろいろと重宝します!薬味二品盛皿♪ホワイト布目 二品薬味皿
いろいろと重宝します!薬味二品盛皿♪ホワイト布目 二品薬味皿

混ぜやすく注ぎやすい形です。ドレッシングやカレーなどにお使い下さい。JASMINE - PROSPERITYグレービーボート0.33L
混ぜやすく注ぎやすい形です。ドレッシングやカレーなどにお使い下さい。JASMINE - PROSPERITYグレービーボート0.33L


女性用の公衆トイレに男子用便器があったので、「これはニューハーフ用ね」と納得した韓国人女性の話とか(日本の女性用トイレには、連れの男の子のための男性便器があるところが多いという話を初めて聞いた)、中国人、韓国人、ベトナム人は同じ漢字を使っていても、かなり違うので日本語の漢字は難しいが、台湾人にはラクとか(台湾は昔の旧字のような繁体字を使っている)参考になる。

変体仮名の話とか、「〜もじ」(しゃもじ、かもじ=かつら、ゆもじ=ゆかた)は昔のギャル語だったとか、音読み、訓読みの話など参考になる。

「〜です」は元々は江戸時代の芸者の言葉、軍人の「〜であります」は山口県の方言、「おいこら」は鹿児島弁だったという。

ペット用の缶詰を、日本人も猫を食べるものと誤解していた中国人の話とか、猫ブランドだと思って食べていた中国人の話は、ありうるかもしれない。

この中で、誤解を招くのが「お」と「を」は両方とも「O(オー)」だという説明だ。ありえない。

昔は違う音だったが、江戸時代からどちらも「O(オー)」となり、昭和の初めに助詞の「を」だけ残してすべて「お」に統一した。暫定ルールだという。

たとえば昔は「をんな」と書いていたのを「おんな」にしたなどだ。それならわかる。しかし、現在は助詞の「を」にしか使われていないので、「『お』と『を』は同じ発音か?」という質問には違うと答えるべきではないかと思う。


あまり詳しく紹介すると本を読んだときに興ざめなので、この辺でやめておくが、楽しく読めるマンガだ。

ちょうど「ダーリンは外国人」、「ダーリンの頭ン中」シリーズと同じようなところを狙っている。

30分で読めるので、本屋で一度手に取ってみることをおすすめする。


参考になれば、クリックして頂きたい。


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