夏休みの旅行中に宮部みゆきのベストセラー小説を読んだ。
この小説は、TBSで2014年に小泉孝太郎主演でドラマ化されている。
ドラマでは、ピストルを持ったバスジャックの犯人を長塚京三が演じている。
長塚京三は今年70歳ということで、年は原作の人物と同じだが、原作ではひ弱そうな70歳の老人となっているので、やや違和感がある。
作品のストーリーはいつも通り詳しく紹介しない。今多コンツェルンの社内誌「あおぞら」の編集部に勤務する杉村三郎は、今多コンツェルンの今多会長の娘と結婚し、桃子という娘がいる。
あるとき杉村は、編集長と一緒に元今多コンツェルンの財務トップで今は千葉県で引退している森の自伝を編纂すべく、森をインタビューした帰りに、ピストルを持った老人によるバスジャックに会う。バスジャックは短時間に解決するが、その後、犯人が予言した通り、不可解なことが起こる。
バスジャックで一緒に人質になった人たちが協力して、謎を解いていくという展開だ。
いわば「人物リサイクル小説」で、登場人物一人ひとりが過去や、事件後に異なる役割を果たしている。
バスジャック犯自身は、豊田商事グループ詐欺事件のような、詐欺犯を育成するトレーナーだったという設定だ。豊田商事事件については、知らない人も多いと思うので、Youtubeに載っている事件のビデオを紹介しておく。
豊田商事の32歳の社長が、マスコミが集まっている前でナイフで殺されるという驚くべき事件が起こっている。
「人物リサイクル小説」なので、”この人にこんなことやらせなくとも…”と思うような展開もあるが、新しい登場人物がいないので、その意味では登場人物を覚えやすい。
単行本で700ページもの作品だが、思いがけない展開で、ひきつけられる。
宮部みゆきさんの芸風の広さには感心する。このブログでは、「ソロモンの偽証」と「荒神」を紹介しているが、それ以外にも「蒲生邸事件」とかも大変面白い。
筆者は3日で読んでしまった。連休や夏休みなどの時間がある時に、没頭できる小説としてお勧めする。
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