幻冬舎社長の見城徹さんと、サイバーエージェント社長の藤田晋さんが、見城さんの35の過激な言葉一つ一つについて交互に語る本。

この本をつくるために、藤田さんは2010年の後半から、2011年の3月まで毎週のように見城さんと打ち合わせしてきたという。

この本はアマゾンの”なか見!検索”に対応していないので、目次を紹介しておく。

目次1
















目次2


















出典:本書

このブログでは見城さんの「編集者という病」を紹介している。この本を読めば、見城さんが大変な人だということがわかるだろう。




この本でも見城さんらしい過激なフレーズが並ぶ。「憂鬱でなければ、仕事じゃない」というこの本のタイトルからして過激だ。

一方のサイバーエージェントの藤田晋さんのベストセラー「渋谷で働く社長の告白」のあらすじも、このブログで紹介している。




「渋谷で働く〜」を出した頃は、女優の奥菜恵と結婚していた時代なので、2004年頃の話だ。今は当然経営者としても成長して、この本でも、なるほどと思わせる発言が多い。

いくつか印象に残った部分を紹介しておく。

ふもとの太った豚になるな。頂上で凍え死ぬ豹になれ

これはヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」の冒頭に出てくる一節だ。




グレゴリー・ペック主演の映画でも最初の1分45秒くらいに、この話が出てくるので、注意して見て欲しい。



見城さんは、頂上で凍え死ぬ豹になりたいといつも思っていると。だから、1997年に創業4年目で幻冬舎文庫を立ち上げたときは、一挙に62冊の文庫本を売り出した。文庫は新刊書のストックがないとできないので、通常は10年かかるという。

幻冬舎の前に大手出版社で文庫を出したのが光文社で、幻冬舎文庫スタートより12年前に31冊の文庫を出した。だから幻冬舎は、その倍の62冊の文庫を売り出したのだ。

その時に新聞の全面広告を出し、「新しく出ている者が無謀をやらなくて、一体何が変わるだろうか」というキャッチで宣伝した。まさにその当時の見城さんの正直な気持ちそのものだったという。

アルチュール・ランボーの詩集「地獄の季節」の”俺たちの舟は、動かぬ霧の中を、纜(ともづな)を解いて、悲惨の港を目指し”という一節をイメージした荒海に小舟が乗り出していくイラストをつけたという。

地獄の季節 (岩波文庫)
ランボオ
岩波書店
1970-09



幻冬舎には広告部員は見城さん一人だけだと。自分で広告代理店と交渉し、メディアを決め、どんな広告にするかイメージし、コピーも手掛ける。キャラクターが必要なら、自分で選び、交渉する。

宣伝だけは誰にも任せない。最初からそう決めていた。
それは、見城さんが本を売るセンスに誰よりも自信があるからだと。


スポーツは仕事のシャドーボクシングである

見城さんは、週6日ジムに行くという。都内4つのホテルのジムの会員になっているのだと。仕事が一段落した時に、一番近いところに行けるようにするためだ。

若いころは、仕事よりトレーニングを優先して、ボディビルの大会に出ようとベンチプレス130キロまで挙げたという。

今でも見城さんは、強迫観念に駆られながらトレーニングするという。トレーニングすると、心の中でファイティングポーズを取れるからだ。

トレーニングは決して楽しいことではないが、自分を追い込み、憂鬱なことを乗り越える。そうすることが、仕事をするときの姿勢に、大きな影響を及ぼす。そもそも仕事とは、憂鬱なものだと。

筆者もこの態度を見習わなければならない。筆者もトレーニングをしているが、ジムに行くのは週1回、プールに行くのも週1回。減量中のこともあり、ベンチプレス100キロまで戻したものが、95キロまで落ちている。マズイ傾向だ。

週6日はともかく、やはり週3日くらいはやらないと。

見城さんは自分の言葉ながら、「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という本のタイトルが気に入ったという。デューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味がない」という曲と重なったからだと。



実際、仕事は「正」であり、憂鬱は「負」である。その両極をスイングすることで、はじめて結果が出るのだと。

見城さんは、「京味」(新橋)に行けなくなったら、仕事はやめるという。「京味」は一人5万円くらいする。「京味」に行けなくなったら、仕事がうまくいかないということを意味するので、見城さんにとっては、「京味」が絶対的な仕事の基準なのだと。

藤田さんにとっては、西麻布の「エスペランス」が「京味」にあたるという。

一つ一つのテーマについて見城さんと、藤田さんが見開きで2ページずつ書いており読みやすい。見城ワールドと藤田ワールドの入門書のような内容だ。

簡単に読めるので、是非一度手にとって見て欲しい本である。


参考になれば次クリックお願いします。