時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

2012年07月

池上彰のやさしい経済学1 わかりやすくためになる経済学の基礎

池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる
著者:池上 彰
日本経済新聞出版社(2012-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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池上さんの「やさしい〜」シリーズは何冊も読んだ。この本の姉妹編の「やさしい経済学2」も読んだが、1の方が経済学の勉強という意味で役に立つ。

この本では、そもそも経済って何だろうか?という質問から始まって、最初の2章は、経済学の基礎知識の説明や、銀行ってどんな仕事をしているんだろう?というような、まさに「週刊子どもニュース」のノリだ。

たとえば、お金に関する漢字の多くが貝偏なのは、中国では子安貝をお金に使ったから。サラリーと呼ぶのは、古代ローマでは塩(サラリウム)が兵士の給料として支給されていから、というような面白くてためになる情報が多い。

しかし、この本の真価は、その次の偉大な経済学者の理論のわかりやすい紹介にある。池上さんは、この本でアダム・スミス、カール・マルクス、(デヴィド・リカード)、ケインズ、ミルトン・フリードマンの4人についてわかりやすく解説している。

現在日経新聞で連載している関連記事も同様の内容だ。

池上











出典:日経新聞

実は、4人の中で筆者が読んだのは、アダム・スミスの本だけということで、不勉強を反省するとともに、筆者の経済学の知識が乏しいことにあらためて気づかされた。

筆者は大学2年の時に内田忠夫先生の「経済学」を学んだが、ほとんど覚えていない上に、その後読んだ本も限られている。

内田先生の授業を受けて、推薦書のサミュエルソンの「経済学」を英語で読もうと思って、本を買うまではよかったのだが、大学生の英語力では限界があり、数式などもあって、結局挫折してしまった。

EconomicsEconomics
著者:Paul Anthony Samuelson
McGraw-Hill(2010-04)
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それが後を引いて、経済学は難しいという固定観念ができてしまった。マルクスの「資本論」も読んだというか、字面だけ眺めたようなものだ。難解な上に、時代も違うので、全然理解できなかった。

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)
著者:マルクス
岩波書店(1969-01-16)
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最近「まんがで読破」シリーズの「資本論」を読んだが、これがはたして理解に役立つのかわからない。

資本論 (まんがで読破)資本論 (まんがで読破)
著者:マルクス
イースト・プレス(2008-12-01)
販売元:Amazon.co.jp
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続・資本論 (まんがで読破)続・資本論 (まんがで読破)
著者:マルクス
イースト・プレス(2009-04-28)
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アダム・スミスの「国富論」は数年前に、日経新聞版が出た時に読んだ。これはまさに古典であり、それまで聞いてきたことを自分で確かめたという感じだ。「国富論」は”見えざる手”で有名だが、”見えざる手”という表現は一か所に、それも目立たず出てくるだけだ。

その後のアダム・スミスの評価がこの一言で決まったといってもよい言葉だが、本の中ではさらりと扱われているのが印象に残る。

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
著者:アダム・スミス
日本経済新聞社出版局(2007-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)
著者:アダム・スミス
日本経済新聞社出版局(2007-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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この本は京都造形芸術大学での講義を元にしたもので、前記のように日経新聞でも毎週?連載されている。経済学部ではない大学生に対する講義なので、非常にわかりやすい。

まず、アダム・スミスについては、「見えざる手」=市場の自動調節機能を中心に、「国富論」で出てくるピンを自分で作る場合と、分業して作る場合などの有名な例を紹介しながら説明している。

マルクスについては、資産家の友人のエンゲルスの援助を受けられたからこそ、労働が価値を生み出し(労働価値説)、資本家は労働者を搾取しているとして、いずれは労働者が革命を起こすと説きつづけられたことを説明している。

しかし、その後生まれた社会主義国は効率が悪いので、ことごとく失敗して、ソ連など大半の国は資本主義に戻ったことなどを、旧東ドイツ製のトラバントというおもちゃのような自動車を例に出しながら説明している。

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出典:Wikipedia

ケインズについては、1929年の世界恐慌のあと、恐慌から脱出する政策として、政府が赤字国債を発行して資金を調達し、それを使って公共事業を拡大して、雇用を維持し、経済を回復させるという処方箋を書いて、米国を大恐慌から回復させた(もっとも米国が経済回復したのは、第2次世界大戦で大量の武器を生産したからという説もある)ことを紹介している。

またロシアのバレリーナと大恋愛して、それでお金が必要だったことも付け加えている。

デヴィッド・リカードについては、「比較優位」の考え方で、国際貿易は双方の国にとってメリットがあると主張して、国際貿易の飛躍的拡大をもたらしたことを紹介している。

最後にシカゴ学派のボス、新自由主義の旗手・ミルトン・フリードマンの経済理論をわかりやすく紹介している。

筆者はミルトン・フリードマンやシカゴ学派の理論については、ほとんど理解していなかったことが、この本を読んでわかったので、現在「資本主義と自由」を読んでいる。

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
著者:ミルトン・フリードマン
日経BP社(2008-04-10)
販売元:Amazon.co.jp
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小泉・竹中改革は、シカゴ学派の新自由主義を日本に導入しようとするものだ。「もしドラ」の二番煎じのような「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」も、この点を書いているのではないかと思うので、今度読んでみる。

もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだらもし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら
日経BP社(2011-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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フリードマンの学説は、シカゴ学派、マネタリストと呼ばれ、絶対自由主義の立場は、このブログで紹介したマイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」で有名になった「リバタリアン」と呼ばれており、小さな政府を提唱し、米国の「ティーパーティ」政治運動にも影響を与えている。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
著者:マイケル サンデル
早川書房(2011-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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フリードマンの理論を、池上さんは、次の「こんなものいらない」リストで紹介しており、こんな考え方もあるんだと、頭の体操をすることを勧めている。

1.農産物の買い取り保証価格制度
2.輸入関税または輸出制限
3.家賃統制、物価・賃金統制
4.最低賃金主義や価格上限統制
5.現行の社会保障制度
6.事業や職業に関する免許制度
7.営利目的の郵便事業の禁止(これが小泉郵政民営化の基本だ)
8.公営の有料道路
9.商品やサービスの参入規制
10.産業や銀行に対する詳細な規制
11.通信や放送に関する規制
12.公営住宅及び住宅建設の補助金
13.平時の徴兵制
14.国立公園
15.企業のメセナ活動
16.累進課税(ユニタリータックス提唱)

フリードマンは、学校選択制も提唱している。

日本でも新自由主義的な政策は、橋本政権から「金融ビッグバン」ということで始めており、小泉改革では派遣労働の自由化を推し進めたことで、格差拡大をもたらしたと非難されている。

エキセントリックな議論が多く、賛否両論があるフリードマンだが、上記のような本を何冊か読んでみる。


まさに「やさしい経済学」というタイトル通りだ。経済にはあまり詳しくない人に絶対おすすめの本である。


参考になれば次クリックお願いします。





忘れられた日本人 明治から昭和初期の農村の生活

忘れられた日本人 (岩波文庫)忘れられた日本人 (岩波文庫)
著者:宮本 常一
岩波書店(1984-05-16)
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柳田国男とともに日本を代表する民俗学者・宮本常一さんの代表作。アマゾンで文化人類学のベストセラーを見るとこのブログでも紹介した「銃・病原菌・鉄」を抑えて、1位にランクされている。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
著者:ジャレド・ダイアモンド
草思社(2012-02-02)
販売元:Amazon.co.jp
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たしか成毛眞さんの「実践!多読術」に紹介されていたのだと思うが、はっきり覚えていない。

実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)
著者:成毛 眞
角川書店(角川グループパブリッシング)(2010-07-10)
販売元:Amazon.co.jp
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著者の宮本常一さんは、戦前から日本各地をくまなく歩き、各地の古老に話を聞いて、膨大な作品を残している。

日本の民俗学の最高権威の柳田国男さんは貴族院書記官長までつとめたあと、初代の日本民俗学会長になった民俗学のエリートで創始者、宮本さんはもともと小学校教員出身で、フィールドワークを大切にした民間民俗学者というようなおおざっぱな区別ができる。

柳田さんは多くの中学校などの教科書に取り上げられている「遠野物語」をはじめとして民間伝承や民話の研究が中心だが、宮本さんは、この「忘れられた日本人」のような名もない人からの話から昔の日本人の姿を構成している。

遠野物語 (集英社文庫)遠野物語 (集英社文庫)
著者:柳田 国男
集英社(1991-12-13)
販売元:Amazon.co.jp
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詳しく紹介すると読んだときに興ざめなので、簡単にだけ紹介しておく。この本では宮本さんが訪ねた日本各地のまさに「寒村」というべき僻地の村の古老の話から、明治時代から昭和にかけての日本の農村の生活風景が描かれている。

なかには橋の下の小屋で暮らす乞食老人から聞いた話などもあり、宮本さんのフットワークの軽さには脱帽する。

この本のなかには、エロチックな話もでてくる。農村の「夜這い」の話や、「太子の一夜ぼぼ」(南河内郡の明治初期まで続いた行事で、聖徳太子の祠のお祭りの日には、誰とでも一夜を共にしてよいという日)などが語られている。

その日に生まれた子供は父なし子でも大事に育てたものだという。昔の日本人(農民?)の性意識は開放的だったのだ。

老人から聞いた話なので、「夜這い」の自慢話や、いわゆる「お医者さんごっこ」的な遊びも紹介されている。

たぶん農村の楽しみといったら、こんなイベントとなるのだろう。そんな古老の話をありのまま紹介しているところが、正統派民俗学である柳田学派からは疎んぜられるということになったようだ。

文章は平易で、古老の話を再構成しているので、地域性あふれて読んでいて面白い。豆狸(まめだ)や天狗などの妖怪譚(ようかいたん)も興味深い。

300ページほどの本だが、すぐに読めるので、宮本常一民俗学の入門書としておすすめの本である。


参考になれば次クリックお願いします。




体制維新 − 大阪都 橋下徹さんの大阪都構想と堺屋太一さんとの対談

体制維新――大阪都 (文春新書)体制維新――大阪都 (文春新書)
著者:橋下 徹
文藝春秋(2011-11-01)
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大阪市と大阪府の行政組織を統合して大阪都をつくる構想をぶち上げている橋下徹大阪市長の本。

2011年11月に行われた大阪市長選挙では、橋下氏が民主党・自民党・共産党(!)の支持を得た平松氏を大差で破って大阪市長になった。大阪府知事に当選した大阪維新の会の幹事長の松井氏とタッグを組んで、大阪都構想を実現できる体制が整った。

昔の「行列のできる法律相談所」時代のイメージしかなかったので、橋下さんは丸山和也参議院議員と同様の、単なるタレント市長かと思っていたが、この本を読んで、しっかりした信念と優れたバランス感覚を持った政治家であることがわかった。

正直、あまり期待していなかったが、得るところが大きい本だった。

橋下さんは、1969年東京生まれ。大阪で育ち、北野高校で全国高校ラグビー選手権に出場し、ベスト16まで行ったという。その後早稲田大学から弁護士となり、1998年に橋下綜合法律事務所を設立した。

テレビの「行列のできる法律相談所」でテレビ受けするあまのじゃくな回答で人気を博していた。

対談で登場する堺屋太一さんが1965年、通産省時代に大阪万博をやろうと言いだした時から、大阪府と大阪市は仲が悪く、「府市あわせ(ふしあわせ)」と呼ばれ、サントリーの佐治敬三さんなどの財界人が仲に入ったりして40年間話し合いを続けてきたが、関係は一歩も進んでいないという。

大阪の問題は人口260万人の大阪市と、人口880万人の大阪府が二重行政となっており、別々に大学も美術館も図書館もあり、もちろん役所も別だ。東京都もかつては東京府と東京市の2つがあったが、1943年に、東条英機首相時代に一体化されている。

大阪市には地域団体組織、市役所、市長という「大阪版鉄のトライアングル」があり、平松市長時代は公金を使った政治活動を認めていたのだと。さらに大阪市の24ある行政区長は公選でなく任命制なので、すべて一律でなければ気がすまず、区をよくしようという意欲が全くないという。

世界各国では個々の都市の成長を促して、都市と都市をつないでいくのが国の役割となっているという。ロンドン市長、ニューヨーク市長、パリ市長、ローマ市長、ソウル市長と競いあうのだと。それには大阪市では小さすぎ、大阪都が必要なのだと。



大阪維新の会で、市長、府長、大阪府議会の過半数を押さえているので、ぜひ橋下市長のリーダーシップで大阪都構想を実現して、関西経済圏の復権を目指してほしいものだ。


公務員もクビにできる制度に

橋下さんの大阪維新の会が提出している2大法案は、職員基本条例と教育基本条例だ。

以前中田前横浜市長の「政治家の殺し方」で紹介した様に、橋下さんもたぶん「死ね」メールなどを職員から顕名で受け取っているのではないかと思う。あまりにひどい公務員はクビにできるようにして、幹部は公募制とすることを提案している。

政治家の殺し方政治家の殺し方
著者:中田 宏
幻冬舎(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp
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そして教育関係では私立高校の授業料助成金が橋下さんの目玉政策だ。

全国ワースト1位かそれに近い大阪の少年犯罪率、失業率、離婚率などの根幹は教育にあるという橋下さんの認識をもとに、公立でも私立でもどちらでも選ぶことができるようにすることが、大阪ワースト問題を解決するカギとなり、教育の質も向上するというものだ。



世帯年収610万円以下で無料、610万円から800万円までは実質年間10万円。これで大阪府の世帯の7割をカバーする。私立高校の授業料は上限58万円に抑える。2011年は公立から私立に3,500人ほどの生徒が移動した。これで公立高校も必死になり、大阪の高校教育は劇的に変わったという。「


政治を語ることと、組織を動かすことは全く別物

政治を語ることと組織を動かすことは全く別物。そのことが日本の政治の世界では理解されていないと橋下さんは語る。

政治家の役目は、一定の方向性を示し、実現に必要な人やお金の配置をし、組織が機能する環境を整え、組織が動かなくなる弊害を取り除くといった組織マネジメントだ。

個別の政策を実行するのは、行政組織にしかできない。政治家が自分でやろうとしたら失敗してしまう、その典型が政権交代直後の民主党なのだ。

民主党が政権をとっても、鳩山さんも管さんも組織を動かした経験がないので、行政組織を動かせなかった。橋下さんは弁護士時代に社課外取締役等で企業経営にかかわった経験がが役に立ったという。橋下さんから見れば、野田首相は組織マネジメントに力を入れているという。

中国では地方の行政組織を動かして実績を上げた人が中央でも出世する。江沢民胡錦濤習近平がその例だ。アメリカでもクリントン大統領、ブッシュJR大統領が州知事あがりだ。

前評判の高かったオバマ大統領が苦戦しているのも、組織を動かした経験がないからだと思うと橋下さんは言う。


大阪府でPDCAサイクルをまわす

この本を読んで、橋下さんは行政のトップとして成功するだろうと感じた。それは次のようなことを言っているからだ。

大阪府では、府庁の意思決定システムがなかった。10億円を超える大きな予算でもまったく記録が残されていなかった。議事録もない。

だから、橋下さんは最高意思決定機関として戦略本部会議を設けて、部局長がつくったマニフェストを議論させた。部局長マニフェストは数値目標を原則として、PDCAサイクルをまわす。

各現場は部局長のマニフェストに沿って自分の方針をつくって、自律的に動く。こういったしくみを作らないと巨大な組織は一定方向に動かないという。

昔ながらの職員からは、知事はすべて職員に仕事を任せて、最後の責任を取るというマネジメントをしてもらいたいとも言われたが、今の時代では組織の方向をきっちり固めるのが重要だ。

組織の一定の方針の下で、各現場に自律的に動いてもらう。その結果の責任はトップが当然取るという仕組みなのだ。

行政のトップでPDCAサイクル(継続的改善のためのシステム)を意識して組織を動かしている人はほとんどいないと思う。その意味でも、筆者は橋下さんに期待するところ大である。


政治を自動車輸送にたとえると

この本の最初と最後にある堺屋太一さんとの対談も面白い。

政治を自動車輸送にたとえると、タクシーのようなものだと堺屋さんは言う。国民に選ばれた政治家が後部座席に座って、行先を決めて、運転は技術と経験がある官僚が担当する。これが本来の民主主義なのだ。

ところが民主党は、政権交代をするなり、「政治主導」でやると、いきなり運転席に座ったものだから、経験と技能がないので、たちまち事故を起こしてしまった。

事故に懲りて客席に戻ったら、今度はタクシーでなく路線バスになった。「官僚権限の強化」という行先の路線バスなのだと。


財務官僚は財政赤字を減らそうと努力していない

財務省は国の財政問題で赤字を減らそうとしていると思ったら、大間違いで、本当は彼らは、財政赤字を増やして増税し、経済への影響力を強めようとしているのだと。

堺屋さんの子供の時に陸軍の軍人は敵を減らすために戦ってくれていると思っていたが、実際は軍人は敵を次々と増やしていた。

満州で張作霖を爆死させると、ノモンハンに行ってソ連・モンゴル軍と戦う、ノモンハンで勝てなかったら、北京政府に干渉し、それが逃げたら、今度は上海・南京で蒋介石軍と戦う。蒋介石軍を重慶に追いだしたら、今度は仏印に出ていくというふうに、常に敵を増やしていた。

敵を増やすことによって、軍事予算が増え、徴兵権が強くなり、陸軍の統制力が強化される。それが軍務官僚の正体だったのだと。

今の財務官僚も同じことしている。国家事業を効率化するのでなく、予算要求の上限をつけて、いらないものを全部温存して赤字を増やす。その挙句に、この不況のさなかに増税する。

仕組みが官僚権限を拡大するようにできあがっているので、困ったことに財務官僚も昔の陸軍軍人もその自覚がないのだと。


役所の間の人事異動はほとんどない

現在の厚生労働省のトップは1970年代から1980年代初めに入省した人たちで、当時は通産省、農林省は巨大な官庁で文系キャリアを25人前後取っていたのに対して、厚生省や労働者は小さい官庁だったので、せいぜい7人くらいだった。

ところが、30年たって厚生労働省は巨大化して人材不足、農林水産省は人余りとなっている。やむなく農水省は自分たちがコントロールできる制度として「賞味期限」というものをひねり出したという。

役所間の人事異動はほとんどないので、巨大化した厚労省では人材が手薄になっている部局がある。安倍・福田内閣では、省間の人事異動をやろうとしたが実現しなかったという。


政治マネジメントとは

橋下さんがやってきたことは、大阪府庁の仕事の1%以下で、残りの99%は組織が粛々と仕事をしている。

しかし、その1%は組織の在り方や、組織全体の方向性を決める質的に重要なもので、伊丹空港廃港、庁舎移転、学力テスト結果公表、りんくうタウン再生、直轄事業負担金制度廃止などの重要な決定だ。

市町村別の学力試験結果を公表したことで市町村教育委員会の意識が変わった。

文科省、教育委員会、朝日新聞、毎日新聞は「市町村別結果の公表をしたら過度な競争が生じる、不当な学校序列が生じる」と非難していたが、そんな弊害は生じておらず、大阪の教育現場は学力向上に向けて動いているという。



橋下府知事時代に橋下さんは、直轄事業負担金は「ぼったくりバー」と発言して問題を提起し、国の直轄事業負担金制度の見直しを実現させた。



伊丹空港廃止問題は、前原国交相がリーダーシップを発揮し、伊丹空港と関空を経営統合して、運営権を民間に売却するという案をだし、2012年4月に新会社が設立された。



府議会議員の定数を109名から88名まで減らすと大阪維新の会は決断した。これに対して朝日新聞は批判したという。

知事としていかなるとき前面に出るべきなのか、どの部分を行政組織に任せるべきなのか、線引きに日々神経をとがらせてきたと橋下さんは語る。たとえば槇尾川ダム建設中止の決断は行政ではできない。知事の決断なのだ。



政治家の賞味期限

政治家だけで政策を作り上げることができないことは、政権交代時の民主党のマニフェストで明らかだという。

また今の地方議会事務局には、知事部局ほどの体制が整っていないために、そもそも議会が条例をつくれる体制になっていない。

政治家は直感、勘、府民感覚であるべき方向性を示し、その方向性で行政マンが選択肢をつくり、中身を詰める。行政マン同士で見解の相違があるなら、徹底的に議論してもらう。

その際のルールは次のようなものだ。

1.原則は行政的な論理に勝っている方を選択する。

2.論理的に5分5分なら、知事が政治的に選択する。

3.行政論理に負けていても、これはというものは、政治決定で選択する。この時は行政の言い分が勝っていることを認めるが、政治的な思いからあえて選択したことをしっかりと説く。

直感、勘、府民感覚で賞味期限が切れれば、政治家としては使い物にならない。「終了」だと。日本には自分の政治家としての賞味期限切れに気づかない政治家が多いと。

民主党の事業仕分けも、行政マン同士で議論させて、政治家や第三者が見守り、上記1,2,3のルールで判断していけば、組織は動いたのではないかと。「戦略は細部に宿る」のだと。


たしかに地方自治体の首長をつとめて行政のトップだった人が、国政も担当するというのは、英語で言うと"make sense"、腑に落ちる考え方である。

YouTubeの映像をいくつか紹介したが、元タレント弁護士だけにテレビ慣れしている。日本では珍しい劇場型政治家だ。得るところが大きい本である。


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