時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

2012年06月

政治家の殺し方 前横浜市長・中田宏さんの暴露本 ノンフィクション小説のようだ

政治家の殺し方政治家の殺し方
著者:中田 宏
幻冬舎(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp
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前横浜市長・中田宏さんの暴露本。この本を読むと横浜市に巣くっている様々な闇・おもて勢力の実態がわかる。

ブログを書き始める前なので、あらすじは紹介していないが、中田さんの本は何冊か読んだことがある。特に「偏差値38からの挑戦」というサブタイトルがついている「なせば成る」は面白かった。

なせば成る (講談社プラスアルファ文庫)なせば成る (講談社プラスアルファ文庫)
著者:中田 宏
講談社(2005-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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突然の市長辞任の理由

中田さんが横浜市長選挙に出馬しないと表明したので、このブログでも著書を何冊か紹介している元ダイエー会長の林文子さんを民主党がかついで、林さんが横浜市長になったのは、ちょうど前回の衆議院選挙が行われた2009年夏だった。

筆者は中田さんが衆議院選に出馬するので、市長を辞めたものとばかり思っていたが、実は市議会の有力者達とつながる闇勢力から「ハレンチ市長」として、ありもしないでっちあげスキャンダルで攻撃されていたという。

そして自民・公明・民主がオール与党として談合している市議会勢力に、次の市長選挙を牛耳られないように、衆議院総選挙と横浜市長選挙を同一日にするためにあのタイミングで市長を辞めたのだという。


中田市長追い落とし作戦

2007年11月から7週間にわたって「週刊現代」の見出しに「私の中に指入れ合コン」とか、「口封じ恫喝肉声テープ」、「公金横領疑惑」などと事実無根の記事を書かれ、挙句の果てには「中田の愛人」と称する女性までテレビに登場するというスキャンダルを起こされていたという。

中田さんが市長をやめて後、週刊現代を発行する講談社を名誉棄損で訴え、2010年10月には全面勝訴を勝ち取っている。また”フィアンセ”と称する女性から慰謝料を求められた裁判でも、付き合った事実すらないとして全面勝訴した。

スキャンダルの疑いは晴れたが、政治には闇の世界があることを知ってほしいためにこの本を書いたのだという。


ノンフィクション小説のように面白い

中田さんは横浜市出身で、神奈川県立霧が丘高等学校を卒業し、2浪して青山学院大学に入り、松下政経塾を経て28歳で衆議院議員となり、2002年に37歳で横浜市長に当選する。当時は史上最年少の政令指定都市の市長だった。

筆者は神奈川県藤沢市出身だ。しかし友人から横浜スタジアムをめぐる利権について聞いたことはあったが、同じ県にある横浜市の政界がこれだけ腐敗しており、公務員も既得権を守るのに汲々としているとはこの本を読むまで全く知らなかった。

この本は中田さんの横浜市の闇勢力との抗争ドキュメンタリーで、ノンフィクション小説のように面白い。あまり詳しく紹介すると、読んだときに興ざめなので、簡単に紹介しておく。

★中田さん追い落としのねつ造スキャンダルは2007年11月の「週刊現代」から始まった。根も葉もない上記のような内容だ。

★2008年12月には中田の愛人と名乗る元ホステスの女性が全国ニュースに登場、3000万円の慰謝料を請求して裁判を起こした。しかし、幸いなことに、家族のきずなは保てたという。この女性は裁判には一度も出廷しなかった。金をもらって訴えたに過ぎないのだ。

★中田さんを恨んでいたのは、まずは指名競争入札で仲間同士で仕事を融通しあっていた建設業界だ。一般競争入札にしたので、競争がきびしくなったからだ。

★公務員組合も恨んでいた。公務員の定数を1000人当たり8人から5人まで減らし、各種手当も減らした。退職時昇給という最後の一日だけ昇給して、それが退職金のベースを高くするというお手盛りも辞めさせた。

★暴力団もからむ風俗業界も恨んでいた。京浜急行の日ノ出町駅から黄金町駅の間に違法売春風俗店が250店もあったのを、県知事、神奈川県警本部長、警察庁長官の協力を得て撲滅した。

★さらにAという市会議員が中田さんの政敵だったという。横浜市に住んでいる人は、Aというのが誰なのかわかるのだと思う。

★選挙の開票を翌日開票とすると1億3千万円もコストが下がるので、それを実施したら、朝刊しかない地元新聞は大反対したという。地元新聞も自社の利益優先で、県のコスト削減など二の次だったのだ。

★横浜市の公務員の待遇うは信じられないほど優遇されている。
希望しなければ10年間異動なしで、しかも毎年昇給するという「渡り」を辞めさせ、3年で強制配転としたので、公務員組合から敵視された。そのほかにも一律だった管理職のボーナスを上下100万円の差をつけたとか、鎌倉市などの隣の市に行くだけでもらえる出張手当も辞めさせた。

★おどろくことに、市職員からは実名で「おまえはバカだ」、「死ね」メールまで部署名・氏名入りで送られてきたという。公務員であれば、たとえ態度が悪くても懲戒免職などされないことを知っているからだ。

昔の長野県の田中康夫知事名刺折り曲げ事件を思い出させる公務員の暴挙である。

★定期を1か月定期から半年定期にしたら職員から規則違反と言われた。いままで差額をネコババしていたので、既得権と思っている職員がいたのだ。なんのことはない、ほかの自治体も同じで、横浜市が先陣を切って半年定期化したのだと。


こんな具合に、信じられない地方政治の実態が語られている。簡単に読める面白い読み物である。


参考になれば次クリックお願いします。




大往生したけりゃ医療とかかわるな ベストセラーの「自然死」のすすめ

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
著者:中村 仁一
幻冬舎(2012-01-28)
販売元:Amazon.co.jp
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現在アマゾン売り上げ18位で、50万部近いベストセラーになっている医者にかからない自然死のすすめ。読書家の上司から借りて読んだ。

方向としては、以前ベストセラーになった蒲田實さんの「がんばらない」と同じだが、「がんばらない」が感動の実話集だったのに対して、この本は中村さんの自然死の提言というような内容だ。この本を読んでも、ウルウルくることはない。

がんばらない (集英社文庫)がんばらない (集英社文庫)
著者:鎌田 實
集英社(2003-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
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著者の中村仁一さんは、1940年生まれ。京都大学医学部を卒業した内科医で、京都市にある高雄病院の院長・理事長を経て、現在はやはり京都市にある社会福祉法人「同和園」附属病院の院長を務めている。

京都新聞のサイトで、昨年収録された中村さんのインタビュー記事が載っているので、紹介しておく。「老いを受け入れて死ぬ」と、この本の趣旨とほぼ同じことを語っている。


中村さんの医療の鉄則

中村さんの医療の鉄則は次の2つだという。

1.死にゆく自然の過程を邪魔しない。
2.死にゆく人間に無用の苦痛を与えてはならない。

つまり「自然死」のすすめである。


医療に対する思い込みテスト

最初に医療に対する思い込みテストが15問ある。これをやると自分の考えと中村さんの考え方が対比できるので紹介しておく。

1.ちょっと具合がわるくなると、すぐ医者にかかる。

2.薬を飲まないことには病気はよくならない。

3.病名がつかないと不安。

4.医者にかかった以上、薬をもらわないことには気がすまない。

5.医者は病気のことなら何でもわかる。

6.病気は注射を打った方が早くよくなる。

7.よく検査するのは熱心ないい医者だ。

8.医者にあれこれ質問するのは失礼だ。

9.医者はプロだから、自分に一番いい治療法を教えてくれるはず。

10.大病院ほど信頼できる医者がたくさんいる。

11.入院するなら大病院、大学病院の方が安心できる。

12.外科の教授は手術がうまい。

13.マスコミに登場する医者は名医だ。

14.医学博士は腕がいい。

15.リハビリすればするほど効果が出る。

筆者はいくつか○(マル)があったが、中村さんが主宰している「自分の死を考える集い」の出席者は、○はほとんどゼロだという。

中村さんは、病気を治す力の中心は自然治癒力であり、薬や医療者は援助者にすぎないという。

目次を見ると中村さんの主張が大体わかる。

日経新聞の広告で、次の通り目次が紹介されていた。

大往生






読みにくいので、なんちゃってなか見!検索でも主な目次を紹介しておく。

第1章 医療が”穏やかな死”を邪魔している 
 
    本人に治せないものを、他人である医者に治せるはずがない
 
    ワクチンを打ってもインフルエンザにはかかる
 
    解熱剤で熱を下げると、治りは遅れる
  
第2章 「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」 

    「自然死」のしくみとは
  
    長期の強制人工栄養は、悲惨な姿に変身させる
  
    食べないから死ぬのではない、「死に時」が来たから食べないのだ
  
    ”年のせい”と割り切った方が楽
  
   「看取らせること」が年寄の最後の務め
    
第3章 がんは完全放置すれば痛まない

    死ぬのはがんに限る
 
    がんはどこまで予防できるか

    がんはあの世からの”お迎えの使者”
 
    「がん」で死ぬんじゃないよ、「がんの治療」で死ぬんだよ
 
    余命2,3か月が1年になった自然死の例
 
    手遅れのがんでも苦痛なしに死ねる
 
    医者にかからずに死ぬと「不審死」になる
 
    安易に「心のケア」をいいすぎないか

第4章 自分の死について考えると、生き方が変わる 
 
    「あなたもお棺に入って、人生の軌道修正をしてみませんか」
 
    「死生観」に大きく影響した父の死にっぷり
  
    延命の受け取り方は人によって違う
 
    「死」を考えることは生き方のチェック
  
    「自分の死を考える」ための具体的行動とは
 
    意思表示不能時の「事前指示書」はすこぶる重要
    
第5章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける    

    生きものは繁殖を終えれば死ぬ
    
    医者にとって年寄りは大事な「飯の種」
   
    生活習慣病は治らない
   
    年寄りはどこか具合の悪いのが正常
   
    検査の数値は微妙なことで変わる
    
    病気が判明しても、手立てがない場合もある
   
    年寄りに「過度の安静」はご法度

終章  私の生前葬ショー

    クイズにはまる

    「自分史」のまとめ

    私の「事前指示」


たとえば肺がんは痛いし、苦しむと聞いていたので、筆者は半信半疑なのだが、中村さんはがんでさえも、何の手出しもしなければ、全く痛まず、穏やかに死んでいくという。

中村さんは以前から「死ぬのはがんに限る」と思っていたが、年寄りのがんの自然死60〜70例を経験した今は確信に変わったという。「手遅れの幸せ」を得るためには、がん検診や人間ドックを受けてはいけないという。

アマゾンの書評を見ると、医者による反対意見も出されている。早々にあきらめることは医者としては認めることはできないと。また症例も60〜70例は少ないと指摘している。

著者の中村さんは今年72歳で、普通なら現役を引退しても良い年齢だ。内科医だから病院長という仕事を続けているが、外科医ならとっくに引退だろう。また72歳の医者の言うことと、たとえば40代、50代の働き盛りの医者の言うことは多分違うだろう。

その意味で、この本の自然死のすすめは、割り引いて考える必要があると思う。

中村さんは「繁殖年齢」という言い方をしているが、たとえば、50代くらいまでの人がガンに罹ったら、当然「自然死」コースではないだろう。なんとか治すべく、放射線治療でもなんでも、可能な治療法をとるべきだろう。

しかし70代以上であれば、中村さんの言う「自然死」コースも、アリだと思う。たとえばチューブだらけになって、すこしでも生きようとするのがいいのか、あるいは寿命と考えて、延命治療は拒否するのか、考えてしまう。


がんは不老不死の細胞

以前別ブログで紹介した「ヒトはどうして死ぬのか」で、がん細胞が不死の細胞であり、遺伝子のコピーミスで毎日5,000くらいのがん細胞が誕生しているが、免疫細胞のおかげでがんが発症しないで済んでいることを知った。

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
著者:田沼 靖一
幻冬舎(2010-07)
販売元:Amazon.co.jp
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がん細胞は毎日生まれ、生活習慣病や加齢により免疫力が弱まればどんどん増殖する。不死の細胞なので、やがては体の器官のあちこちに転移して、器官の働きを阻害し、ついには人の生命を奪うことになる。

自分の体を構成する細胞ががん細胞になって不死になったのに、自分は死んでしまうというと、なにかわりきれないところがある。

がんを克服すべく、医学や薬学は研究しているが、現状ではがんは克服できていない。外来の生物でなく、自分の細胞の突然変異だから、元々不死のがん細胞を殺すくらい強力な治療をすると、他の細胞も死んでしまい元も子もないからだ。

筆者の歳では中村さんのように、簡単にあきらめるというのは抵抗がある。しかし、もともと毎日発生している遺伝子のコピーミスががん細胞なので、その意味では人体の寿命とあきらめるべき時が来るのかもしれない。

この本がベストセラーになって、人の生き方が変わるかどうか疑問があるところだが、延命治療に対する自分の考えを家族に表明しておくことは意味があると思う。

そんなことを考えさせられる本である。


参考になれば次クリックお願いします。



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