時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

2012年04月

仕事をしたつもり マンガ「エンゼルバンク」のモデル・海老原嗣生さんの新刊

仕事をしたつもり (星海社新書)仕事をしたつもり (星海社新書)
著者:海老原 嗣生
講談社(2011-09-22)
販売元:Amazon.co.jp
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別ブログで「学歴の耐えられない軽さ」「課長になったらクビにはならない」を紹介したリクルート出身で、マンガ「エンゼルバンク」のモデルにもなった海老原嗣生(つぐお)さんの新刊。海老原さんは、リクルートエージェントの転職誌「HRmics」編集長で、HRコンサル会社ニッチモ社長だ。

エンゼルバンク ドラゴン桜外伝(1) (モーニングKC)エンゼルバンク ドラゴン桜外伝(1) (モーニングKC)
著者:三田 紀房
講談社(2008-01-23)
販売元:Amazon.co.jp
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いつも一生懸命遅くまで働いて、周りもハードワーカーとして評価しているのに、全く結果が出ない人がいる。その人たちを海老原さんは「仕事をしたつもリーマン」と呼ぶ。この本ではそんな「仕事をしたつもり」の気づき方、それとうまく付き合う方法を解説している。


仕事をしたつもりの典型的パターン

仕事をしたつもりの典型的パターンは次の5つだ。

1.「量の神話」
 ・何十枚ものパワーポイントを徹夜で作る
 ・資料を読み上げるだけの会議
 ・一冊のビジネス書を10分で読む速読術
  
すべてが海老原さんが「量の神話」と呼ぶ誤解だ。これらは仕事の成果とほとんど結びつかない。

2.「ハコモノ志向」
 ・「がんばろう!日本。」は何をどうがんばるのか?
 ・やたら凝っている企業のホームページ
 ・一日200件電話するというノルマ
 ・児童相談員が訪問しているのに、見抜けない幼児虐待

このような意味を考えず、とりあえず形だけはやっておこうというタイプの仕事をしたつもりのことを、海老原さんは「ハコモノ」と呼ぶ。

これの対局としてトヨタユニバーシティでのトヨタの情報開示を紹介している。海老原さんが、ここまですべてを見せて大丈夫かと質問したのに対して、トヨタの人は「トヨタでは「教え合い」、「競い合い」、「助け合う」風土があるから、トヨタではこの仕組みが生きるのであり、トヨタユニバーシティを真似た教育プログラムをつくっても意味はない」と語ったという。

ビジネスモデルという「ハコモノ」ではなく、人・モノ・サービスという「中身」を交えてはじめて勝負ができる。以前、ホリモンや三木谷さんの「インターネットとテレビの融合による新しいビジネスモデル」がまさにその例だという。コンテンツ抜きのビジネスモデル論は片手落ちである。

3.「本末転倒」
 ・タクシーでワンメーター5分で行くところを、経費節減で地下鉄で40分かけて行く
 ・裏紙コピーやマイ箸は意味がない、割りばしを使うのをやめても間伐材の廃棄が増えるだけ
 ・すぐに「みんなで考えよう」と言いだすバカ上司 
 ・この延長が、失敗すると「みんなで決めたことだから、しょうがないじゃないか」と言う上司だ
 ・「オレの仕事はお偉いさんと飲むことだ」と、毎晩交際費を使う上司
 ・「とにかくなんでもいいから客に会いに行け」という先輩
 ・「近くに来たので寄らせてもらいました」という営業

すべてが目的と手段のはき違え。本末転倒だ。何も考えていない営業の典型だ。

海老原さんは、考えることの例題として日本の労働市場についての定説を疑うことを紹介している。たとえば「日本の年収200万円以下のワーキングプアがついに1,100万人を超えた」というニュースがある、これによると、日本の労働力6,500万人の6人に一人がワーキングプアとなる計算となる。

しかし、実は学生、主婦などの扶養家族と家族専従者を足しただけで600万人いる。そして年金をもらいながら稼いでいる高齢者のうち、おそらく200万人が年収200万円以下だという。

つまり1,100万人のうち、800万人は扶養家族、高齢者のセミリタイア組なので、いわゆるワーキングプアなるものは300万人以下なのだ。

4.「横並び意識」
 ・形だけの年賀状を送る
 ・ニュース番組にウェブサイトはいらない
 ・「社員一丸となって」、「全社一律」、「一糸乱れぬ方針」などは何も考えない危険ワード
 ・業界トップ企業の施策をまねる
 ・「上の人が決めたことだから」と考えずに実施する

5.「過剰サービス」
 ・客を怒鳴るラーメン屋はアリか?
 ・「お客様は神様です」の誤解
 ・「カスタマーハラスメント」には断固たる態度を

カスタマーハラスメントとは、たとえばファーストクラスの客が、CAが毛布を掛けてくれなかったといって「客の顔を覚えてサービスしろ!」などと怒る例。

このような5パターンで「仕事をしたつもり」になる原因を分析している。


最近の学生の就職面接での受け答え

最後に最近の就職面接で海老原さんが感じたことを書いている。最近の学生は、「自分の長所を話してください」と聞くと、たいていの学生は次のように答えるという。

「結論から申しますと、ポイントは3つあります。一つは…、続いてその理由は…。」

最近の学生は面接指導で、「最初に要点の数などを具体的な数字で示す」、「ワンセンテンスは短く」、「サンドイッチ方式で、まず結論、次に理由を述べ、最後に再び結論を」などと教え込まれているためだろうと。

筆者は最近は新卒者の就職面接を行っていないので、このような受け答えを聞いたことはないが、いかにもありうる話だ。

最近読んだ「松下政経塾憂論」という本によると、松下幸之助は「ひと言で言ったらどういうことや?」というのが口癖だったという。まさにこの例の学生の応対と対極にある応対だ。

松下政経塾憂論松下政経塾憂論
著者:江口 克彦(参議院議員)
宝島社(2011-12-14)
販売元:Amazon.co.jp
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頭がすっきり整理されていないと、「ひと言」で言えない。

このブログは、自分の考えを整理するために書いている。「頭にスッと入る」というのは、松下幸之助の言う「ひと言」と同じ意味だ。

海老原さんが指摘するように、ビジネス書を1冊・10分で読んでも、また年間何百冊読んでも意味がない。

読書「量」の問題ではないのだ。

筆者は年間300冊程度本を読むが、読書量は自慢でもなんでもない。問題は読んだ本をどれだけ自分のものにできるかどうかだ。そのための不可欠のツールがこのあらすじブログなのだ。

世の中にはロクでもない本が多い。筆者が読む300冊はそれなりに厳選したつもりだが、それでもあらすじを書くにも値しない本が2−3割はある。

たとえば上記の「松下政経塾憂論」だ。

元PHP社長の江口克彦さんと東海由紀子さんという松下政経塾中退の人の共著のような体裁になっているので読んでみた。江口さんはあとがきを書いているが、東海さんとは面識はあるものの、この本の内容については3回インタビューを受けただけだという。

たとえば現塾頭の古山さんの批判を「ある人が、古山さんの選挙浪人時代に、彼の話を聞く機会があったそうです」という伝聞でやっている。

現塾頭の古山さんはその「伝聞証拠」だと「いやぁ、松下幸之助さんの本は、あんまり読んだこともないんですよ」、「塾生たちも、松下幸之助さんの本なんて、読んでないですよ」と言ったことになっている。

海老原さんがこの「仕事をしたつもり」で紹介している著者につねに難癖をつけながら読む「ケンカ読(書)法」の出番だ。

このブログでも松下幸之助の本を何冊か紹介している。、松下幸之助の主要著書を10冊読むのにどれだけの時間がかかるというのか?

その気になればせいぜい1週間あれば読めるだろう。就任前はともかく、塾頭に就任した人が、松下幸之助の本を読んでいないとは、あり得ない話だ。

「松下政経塾憂論」では、民主党の政経塾出身の代議士をのきなみ批判し、たとえば前原さんを「人の話を聞かない『ええかっこしい』だから起きたメール事件」と批判しているが、人のことが言えるのか?という感じだ。


横道にそれたが、海老原さんの本は、具体例や根拠となる統計データが多く紹介されていて参考になる。ところどころイラスト入りで、筆者は帰りの電車の中で1時間半程度で読み終えた。

簡単に読めて参考になる本である。


参考になれば次クリックお願いします。


僕は君たちに武器を配りたい 役に立つ京大の人気講座 

+++今回のあらすじは長いです+++

僕は君たちに武器を配りたい僕は君たちに武器を配りたい
著者:瀧本 哲史
講談社(2011-09-22)
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前回紹介した「武器としての決断思考」の著者・瀧本哲史京大准教授の本。「武器としての決断思考」と同じ日に出版されている。瀧本さんは東大法学部助手のあと、マッキンゼーに就職し、現在は独立して「エンジェル投資家」としてスタートアップ企業に投資している。

武器としての決断思考 (星海社新書)武器としての決断思考 (星海社新書)
著者:瀧本 哲史
講談社(2011-09-22)
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筆者が読んでから買った数少ない本の一つだ。

目次では簡単にしか紹介していないが、この本の裏表紙に、この本の各項目のタイトルをびっしり箇条書きにしているので紹介しておく。

本書で手に入れる武器






出典:本書裏表紙

このブログでも紹介したベストセラー、「フラット化する世界」で生き抜くために知っておくべき知識と思考法を、あれもこれもという感じで、瀧本さんが惜しげもなく与えていることがわかると思う。

フラット化する世界〔普及版〕上フラット化する世界〔普及版〕上
著者:トーマス・フリードマン
日本経済新聞出版社(2010-07-21)
販売元:Amazon.co.jp
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日本の大手企業の有効求人倍率は0.5前後。大企業を目指す学生には狭い門となり、大手企業は軒並み数百倍の倍率で、エントリーシート提出さえ競争があるような状態だ。

また、世の中には学生を食い物にしている企業もある。正社員というエサで釣って、社員を使い捨てする「ブラック企業」も居酒屋チェーン、IT産業や広告業界にある。また学生を狙った就活ビジネスも盛んだ。

一方従業員100名以下の名の知られていない中小企業の求人倍率は4.5倍。むしろ学生の売り手市場だ。これらの企業の中には、将来大きく飛躍する企業もあるだろう。

そんな就職環境の中で、瀧本さんは「寄らば大樹の陰」という思考ではなく、将来グーグルやアップルの地位を奪うような企業の一員となり、自らの手で夢を現実にしてほしいという気持ちを込めて、この本を書いたという。

しかし、これはノウハウ本ではない。あくまで生き抜くための考え方を教えるものだ。魚を与えるのではなく、魚の捕り方を教えている。


京都大学の医学部生がワーキングプア?

最初に驚く話を紹介している。瀧本さんは京都大学で4年間「起業論」を講義しており、大きなテーマとして「大学を卒業後、どうやって自分の価値を、資本主義の中で高めていくか」を取り上げている。

瀧本さんの講義は京大でも人気講座となっており、学部別の受講者を調べてみると、医学部の学生が一番多いことがわかった。

京都大学医学部といえば、受験業界では東大理掘憤絣愽堯砲畔造崙餞悗如医者は高い報酬と社会的地位が得られる仕事の代表格だ。

そんな京大医学部の学生がなぜ瀧本さんの授業を受けるのか?、学生にヒアリングしてみたところ、彼らが自分の将来に明確な不安を抱いていることが分かったという。

「この国では将来医者になっても、幸せになれない」と感じているのだ。僻地はともかく、都市では医者は余っており、大病院の研修医の労働環境は厳しく、魔女狩りのような医療訴訟もある。

毎日の激務と責任の重さには到底見合わない報酬。彼らは、「これからますます医者は買いたたかれる存在になっていく。これまでと同じような努力をしても報われそうにない」と気づいたのだという。そこで彼らは医者の勉強をキャリアに生かすため別の道を考えはじめた。京大医学部の学生の40%は瀧本さんの授業を受けているという。

この話はよくわかる。

筆者の知人の桐蔭法科大学の学科長の蒲先生も、桐蔭法科大学で司法試験を目指す学生には医者が多いと言っていた。医者で弁護士というダブル資格を持つオンリーワンの存在になろうとしているのだ。


英語やIT、会計を勉強して年収が増えるか?

昨今の自己啓発本のブームにより、英語やIT、会計を勉強して、資格試験に合格すれば、キャリアアップにつながり、年収が増える、幸せになれるというストーリーが繰り返し宣伝されている。

しかし瀧本さんは英語やIT、会計を勉強して年収が増えた人がどれだけいたのだろう?と疑問を投げかけている。

元々高学歴や語学教育に投資する余裕のある会社の社員の年収が高いことによる、疑似因果関係の可能性もあるという。


「儲かる漁師」の6タイプ

瀧本さんは「儲かる漁師」を整理すると次の6タイプだという。

1.トレーダー(商品を遠くまで運んで売ることができる人)
2.エキスパート(自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人)
3.マーケター(商品に付加価値をつけて、市場にあわせて売ることができる人)
4.イノベーター(まったく新しい仕組みをイノベーションできる人)
5.リーダー(自分が起業家となり、みんなをマネージしてリーダーとして行動する人)
6.インベスター(投資家として市場に参加している人)

このうち今後生き残っていくのがむずかしくなるのが、1のトレーダーと、2のエキスパートだ。トレーダーは、インターネットの普及で生産者が直接ネット販売できるようになったり、仕入れ条件、販売条件が公開されていくと活動できる余地が少なくなる。

筆者自身がトレーダーだったから、このことはよくわかる。今やトレードで少しくらい儲けるよりも、「儲かる仕組み」を作り上げることが重要なのだ。だから商社もトレードで収益を上げるよりは、生産者なりディストリビューターなりに投資して、投資リターンで儲けるビジネスモデルに転換しつつある。

トレードはなくなることはないが、どんどん重要性は落ちるだろう。

エクスパートは、弁護士、公認会計士など「士」業の人たちが代表例だ。今や弁護士になっても、昔のイソ弁(事務所に入って、居候として働く弁護士)はいい方で、ノキ弁(軒先だけ借りる弁護士)、野良(ノラ)弁(弁護士事務所に入れず、必要な時に呼び出される弁護士)までいるそうだ。

この本では成功報酬で敵対的買収専門の弁護士や、「クラスアクション」と呼ばれる消費者団体訴訟で儲ける弁護士などの例が紹介されている。

公認会計士、建築士も同じような状況だ。全産業のコモディティ化がどんどん進んでいるのだ。ホワイトカラーの仕事がコモディティ化している。生き残る方法は「唯一無二」の存在、スペシャルティを身に付けることだ。


賃金が下がったのは派遣が増えたからではない。技術革新のせいだ

日本ではデフレ経済下、賃金が上がらないという状態が続いている。派遣労働者が増えたからだと「小泉・竹中路線」を批判する人がいるが、本当の理由は産業界の技術革新が進み、熟練工ではなく、コモディティ化した労働者を使っても高品質の製品がつくれるようになってきたからだ。

この点が筆者が冒頭でこの本と「フラット化する世界」と対比して紹介している理由である。

日本は「擦りあわせ製造業」と呼ばれ、汎用部品を組み合わせるのではなく、それぞれの部品の細かい仕様をカスタマイズして決め、組み合わせて最高の性能が出るようにすることがお家芸だった。

代表的な例が、自動車のドアだ。日本車のドアは音にこだわり、占めるときにバスンという感じで、ドアがぴったりはまる。実際ドアと車体の隙間も小さい。部品の整合を究極まで突き止めているからだ。

これに対してアメ車などは、ドアと車体の隙間が1センチくらいあり、ドアを閉めるとガシャという金属音がして感じが悪い。しかしドアの閉まる音にこだわりを持つ人は少ない。ガシャでも閉まっていればよいのだ。

かつて日産は「100分の1の技術から1000分の1の技術へ」というキャッチフレーズで、自社の技術力の高さを売り物にして、「技術のニッサン」と呼んでいた。しかし、この差をわかる人は少なく、色がたくさん選べることのほうがニッサンマーチが売れる理由となった。

1のトレーダー、2のエクスパートは縮小するが、3のマーケター、4のイノベーター、5のリーダー、6のインベスターについては、今後延びる職業として瀧本さんはそれぞれ1章を充てて説明している。大変参考になるが、詳しく紹介しているとあらすじが長くなりすぎるので、他の部分からも含めて、印象に残った話をいくつか紹介しておく。


イノベーター型の起業家を目指すならTTP

大ヒット商品はいろいろな技術の組み合わせでできたものが多い。たとえばソニーのウォークマンは、カセット再生機とステレオイヤホンを組み合わせて小型化したものだ。任天堂DSもWIIも「枯れた技術の組み合わせ」だという。

イノベーター型起業家を目指すなら、特定分野の専門家になるよりも、いろいろな技術を知って、それの組み合わせを考える方が大切だ。TPPならぬTTP(徹底的にパクる)のだと。

イノベーションの発想術も実はそう難しくはない。ある業界で「常識」とされていることを書き出し、ことごとくその反対のことを検討してみればよいと瀧本さんは言う。たとえば車は大人が買うものだから、こどもをお客にできないか?とかだ。


人物評伝も面白い

この本で紹介されている人物評伝も面白い。いくつか例をあげておく。


スティーブ・バルマー 地獄に叩き落とすリーダー

マイクロソフトのスティーブ・バルマーは、ハーバード大学でビル・ゲイツと同じ学生寮の同じ部屋に住んでいて、卒業後P&Gに就職して順調に出世し、スタンフォードでMBAを取ろうとしていたところを、ビル・ゲイツに口説き落された。

「コンピューターが世界を変えようとしているときに、石鹸なんか売っている場合じゃない。おれと一緒にやろうよ」。中退してマイクロソフトに入った。

「ビルが天国を語り、スティーブが地獄に叩き落とす」という比喩でよく知られる人物であるという。

マイクロソフトがここまで大きくなったのは、理想の姿を実現するために、必要な企業活動を猛スピードで実行し、競合を叩き潰してきたからだ。

マイクロソフトに入社するには、とびきり頭がよくなくてはならないことは、「ビル・ゲイツの面接試験」で紹介した通りだ。そんなとびきり優秀な人たちを馬車馬のように使うのがスティーブ・バルマーの凄いところだ。

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?
著者:ウィリアム パウンドストーン
青土社(2003-06-15)
販売元:Amazon.co.jp
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エネルギッシュで、マイクロソフトの役員がグーグルに引き抜かれそうになった時には、会議で椅子を投げつけたという逸話もある。"Steve Balmer Crazy"で検索すると、YouTubeにもいくつか映像が載っている。こんな感じでプロレスラーのように登場するのだ。



こういうとんでもない人がいるからこそ、マイクロソフトはあれだけの企業になったのだと瀧本さんは語る。


カルロス・ゴーン

カルロス・ゴーンは宗教的指導者だと。優れた経営者は宗教の教祖に近いところがあるからだ。カルロス・ゴーンはニッサンの社長就任演説で「私は結果を出すために来ました。リーダーにはコミットメントが必要です。結果を出すことができなかったら、私はこの会社を辞めます」と宣言した。

半信半疑だったニッサンの社員は、これで「この社長を信じてみよう」と従った。

優れたリーダーには「自分はすごい」という勘違いが必要なのだと。そういう宗教家のような確信に満ちた態度がなければ、先導していくことはできない。

その意味では瀧本さんが見たところ、最近の政治家の中では小泉純一郎元総理が一番リーダーの素質を持っていたという。

とんでもない発言をしているのだが、一般大衆はああいったわかりやすい言葉を歯切れよく語る指導者についていくものなのだ。

「すばらしい人」が大きなことを成し遂げたことはほとんどない。歴史に名を残すリーダーはみなある種の「狂気の人」なのだと。


Room to Readのジョン・ウッドは体育会系

このブログでも紹介した"Room to Read"代表のジョン・ウッドは、瀧本さんによると現在世界で最も成功している社会起業家だという。

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になったマイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった
著者:ジョン ウッド
武田ランダムハウスジャパン(2007-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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"Room to Read"の会議はほとんど企業の営業ミーティングと同じだという。寄付が目標に達していなければ、厳しく糾弾される。反対に目標に達していれば、「さあ、みんなで拍手しましょう」というノリで運営されているのだという。

「メンバーのやる気が足りないのですが、どうしたらよいでしょうか?」と聞かれた時には、「簡単なことだ。自分自身が結果を出し続ければよい。リーダーが結果を出せばみんなついてくる。あなたが結果を出していないからダメなんだ。まずは結果を出してください」と答えたという。まさに体育会系の思考法である。

講演では、「上司、部下、周りの人、メディアに『ルーム・トゥ・リードに寄付しないのはおかしいじゃないか』と呼びかけてくれ」と必ず聴衆に言うのだと。

「マイクロソフトでは出会えなかった天職」のあらすじで、「寝袋が自分の家になる」と言っているくだりなど、モーレツぶりを紹介しているので参照してほしい。


人格破綻者 スティーブ・ジョッブス

アップルのCEOだったスティーブ・ジョッブスは、今でこそカリスマ経営者として称賛されているが、実態はとんでもない人物だと瀧本さんは語る。

「スティーブ・ジョッブス」のあらすじをまだ紹介していないが、まさに瀧本さんの言う通りだ。「現実歪曲フィールド」がスティーブの中に内蔵されており、昨日批判した部下の意見を、今日はまるで最初から自分の意見だったかのようにいうこともよくあるという。まさに絶対に上司に持ちたくない人物の典型だ。

スティーブ・ジョブズ Iスティーブ・ジョブズ I
著者:ウォルター・アイザックソン
講談社(2011-10-25)
販売元:Amazon.co.jp
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「女子会」はリクルートが「L25」でつくった

東京に住む若い人は年収300〜400万円。これでは自宅に住んでいないと、お金は貯まらない。男性は食事に行っても、女性の分まで払うので、男性は余裕がない。そこでリクルートが目をつけたのが、東京で働く自宅通勤の女性で、女性にお金を使わせる方法が「女子会」だったのだ。

若い女性を「L25」で集めて、「ホットペッパー」のクーポンでお店に誘導して、お金を使ってもらうという


専業主婦の高いリスク

瀧本さんの友人が早稲田大学でスピーチをすることになった時に、事前にリサーチしたら、女子学生の1/3が「一般職で就職し、職場の男性と早く結婚して、寿退社する」というシナリオを考えているというので、その友人は「君たちは現状が全く分かっていない」といさめたという。

ずっと健康な男はいないし、絶対に潰れない会社もない。夫に自分の人生のすべてを賭けるということは、他人に自分の人生のリスクを100%ゆだねることで、それほど危険なことはない。

さらに早稲田大学という狭いマーケットの中では、ちやほやされていても、「お嫁さんマーケット」には「女子力」の高い女子がたくさんいる。高学歴女性が「御嬢さんマーケット」で勝負できると思うのは、非常にリスキーな選択なのだ。


若者を奴隷にする会社

中小企業でブラック化するパターンに多いのが、「カン違いカリスマ社長が君臨し、イエスマンだけが役員に残り、社員はみな奴隷」という構図だという。このブログでも紹介した某社長がまさに典型的な例なのだろう。

2ちゃんねるの「ブラック企業ランキング」というものがあることを初めて知った。


どのような会社に就職すべきか?

良く聞かれるこの質問に瀧本さんは次のように答えているという。高級ホテルのマリオットチェーンは、ホテルのマネージャー「従業員に対してお客様のように接しなさい。そうすれば従業員はあなたが接したように、お客様に接するでしょう」と教えているという。

つまり従業員を大切にする会社は、お客も大切にする会社なのである。

だから企業を見極めるポイントは、「お客さんを大切にしているか」だ。顧客を大事にしている会社は従業員も大切にする。


日経新聞を信じるな

数年前国がまだ納税額による長者番付を発表していた時に、サラリーマンが100億円の年俸をもらっていると有名になったことがある。

しかしあの証券会社の運営部長は実はその会社のオーナーで、役員にボーナスを出すと個人の所得税と法人税がかかるので、節税対策としてオーナーである自分を従業員として、従業員の賞与して支給したのだ。

当時この事実を報道したメディアは一社もない。中には気がついていた記者もいたかもしれないが、彼らは「サラリーマンでも高報酬」というストーリーのほうがウケが良いから、見て見ぬふりをしていたのだ。

「日経新聞くらい読んでおかないと恥ずかしい」と新入社員の時からたたきこまれるが、情報源として日経を読んでも、そこに書いてあることを信じるなということだ。


確実に儲ける方法

みんなの知らない情報をもとに投資すれば確実に儲かる。しかし公開株式取引においてはインサイダー取引として厳しく禁じられている。そうであれば、株式投資ではない形で投資するのだ。

社員になることが一つだし、経営陣の一員となったり、株式公開前に投資することも一法だ。この会社は将来伸びるに違いないと思ったら、自分の労働力、時間、人間関係を投資するのだ。

日本でも零細な企業同士が、お互いを見込んで大きくビジネスを伸ばした例があるという。現在は物流の最大手企業となった某社は(たぶんこのブログで「小倉昌男経営学」を紹介したヤマト運輸?)、伝票などの印刷をすべて系列の印刷会社に発注している。

その印刷会社はもともと京都にある町の小さな印刷所だったが、数十年前某社がまだトラック数台の規模だった時に、社長がたまたま京都に立ち寄った際に名刺を切らしてしまい、その印刷所に頼んだのがきっかけだった。

急な注文にも嫌な顔一つせず、注文通りの名刺をすぐ印刷してくれたので、それかららすべての印刷物を頼むようになったという。その物流会社が大きくなるにつれ、印刷会社も規模を拡大して、現在では2,000人近い社員を雇うようになった。

ある会社や個人が逆境にあるときこそ、投資を検討するまたとないチャンスだと瀧本さんは語る。実際、瀧本さんは逆境にあり、みんなが連絡を取らなくなるような人に投資して成功してきたという。

この手の話は結構多い。たとえばトヨタでさえ、昭和20年代には労働争議が起こって、一時は倒産しそうになった。その時に手を引いたサプライヤーは、何十年経っても取引ができなかった。

人は苦しいときに助けてくれた人のことを忘れない。そのことは、今も昔も変わらないのだ。


信者ビジネス

瀧本さんはハーレーダヴィッドソンのバイクを信者ビジネスと呼んでいる。エコの時代にあれだけ燃費の悪いバイクを買う人の心は、興味のない人には理解できないという。しかしハーレーファンにはハーレー以外は乗り物でなく、もはや宗教に近いレベルだ。

信者ビジネスで参考になるのは、ホリエモンのビジネスだという。

ホリエモンは起業してウェブサイト制作を行った後、オークション、オンライン証券、データセンター、ブログなど様々なビジネスを立ち上げるが、どれもデファックトスタンダードは取れなかった。(ウェブサイト制作をやっていた時代の話は、このブログで紹介したサイバーエージェントの藤田晋さんの「渋谷ではたらく社長の告白」に出てくる)

そこでホリエモンはビジネスモデルを変え、遅れた層向けに(ネットスラングでDQN=ドキュンと呼ぶらしい)サービスではなく、彼自身の会社を売ることにしたのだという。たしかに”ライブドア”は”オン・ザ・エッジ”と呼んでいたホリエモンの会社が買収して、その社名に変えたのだった。

彼自身が有名人となりマスコミに取り上げられることが、彼の会社のサービスの最大の宣伝となっていたのだ。このブログにも当時の名残で、ホリエモンの本を何冊も紹介し、11番目のカテゴリーとして”ホリエモン”を設けているくらいだ。

ホリエモン自身が広告塔となり、自社株をどんどん分割して、ホリエモンの言葉を借りりると”小中学生がお小遣いで買える”ようにしていたことを思い出す。なるほどと思う瀧本さんの指摘だ。


奴隷の勉強、自由人の勉強

最後に瀧本さんは、自由人の勉強としてリベラルアーツ、つまり哲学、芸術や歴史、文学、自然科学などの教養を学ぶことの重要性を強調している。

幅広い学問領域を横断的に学ぶことで、「物事を様々な角度から批判的に考える能力」、「問題を発見し解決する能力」、「多様な人々とコミュニケーションする能力」、「深い人格と優れた身体能力」が身につけられる。

リベラル・アーツで学ぶ基礎的な教養が、社会に出ても役に立つ。成功している俳優は、きちんとした大学を出ている人が多い。たとえば「ハリー・ポッター」シリーズのヒロインのエマ・ワトソンは、名門ブラウン大学の学生だが、彼女は自分の出演料を成功報酬にしたために、20歳にして20億円もの資産を持つようになったという。

逆にスポーツ選手などでは、一世を風靡しながら、晩年は一文無しになっている人もいる。

リベラル・アーツが人間を自由にするための学問であるのに対し「英語、IT,会計知識」の勉強は、あくまで人に使われるための知識であり、「奴隷の学問」なのだと。

念のため筆者の意見を付け加えるが、この本で瀧本さんが「奴隷の学問」とはいっていても、「英語、IT、会計知識」が不要であると言っているわけではない。

教養を軽視する傾向がある大学生に(筆者も学生時代はその傾向があった。教養学部時代は特に目的意識を持たずに漫然と過ごしていたという反省がある)、教養の重要さを強調しているということだろう。


瀧本さんはこれから社会に出ていく若者に対して武器を持たせるつもりでこの本を書いたのだという。冒頭に書いたように、読んだ本しか買わない筆者が、今年買った数少ない本の一つだ。

熱心な著者が本当に読者のためを思って書いた本である。

表紙の体裁も異質だし、面白い本のように見えないかもしれないが、衝動買いしても間違いのない本だと思う。


参考になれば次クリックお願いします。


武器としての決断思考 京大の大人気講座が本になった

武器としての決断思考 (星海社新書)武器としての決断思考 (星海社新書)
著者:瀧本 哲史
講談社(2011-09-22)
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エンジェル投資家(海のものとも山のものともわからない会社に起業資金を提供する投資家)で京都大学客員准教授の瀧本哲史さんの本。瀧本さんは東大法学部を卒業後、すぐに助手となったが、法学研究の世界に飽き足らず、マッキンゼーに転職。3年で独立して、エンジェル投資家となったという経歴の持ち主だ。

こんなバックグラウンドの人を客員とはいえ准教授で採用し、独自の講座「意志決定の授業」を任せるとは、京都大学も大したものだと思う。

瀧本さんの「僕は君たちに武器を配りたい」も読んだので、近々紹介する。「僕は君たちに武器を配りたい」と「武器としての決断思考」は同じタイミングで出ている。京都大学で大人気講座というだけある。学生が社会人の先輩から聞きたい情報が満載で、現役学生は必読ではないかと思う。

僕は君たちに武器を配りたい僕は君たちに武器を配りたい
著者:瀧本 哲史
講談社(2011-09-22)
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エクスパートでなくプロフェッショナルになれ!

瀧本さんはマッキンゼー時代に「エクスパートでなくプロフェッショナルにならなくてはダメだ」とよく言われていたという。

IT,英語、FT(Financial Technology)が、ビジネスマンの3種の神器だとよく言われる。しかし、それだけではエクスパートにしかなれない。これからの時代はエクスパートの価値は下落していく。

プロフェッショナルを瀧本さんは次のように定義する。

1.専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
2.それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる

マッキンゼーが「われわれはトップマネジメントコンサルタントである」と標榜していたことは、まさに上記の2.のことを言っている。

物流、購買、人事、その他すべての企業活動に対する横断的な知識・経験をもとに、トップが決断するための手助けをする。経営者の立場に立って、経営者の代わりに考えるのだ。

面白い例が挙げられている。電動ドリルが売れている状況を見て、「もっと高性能のドリルを売ろう」と考えるのがエクスパートで、もっと根本的なことまで考えて、「お客さんが欲しいのはドリルではなくて穴である」と考えるのがプロフェッショナルなのだと。


仏教の「自燈明」

仏教には「自燈明」という言葉があるという。お釈迦様が亡くなる時に、弟子たちがこれからは何を頼って生きていけばよいのかと聞かれて、「わしが死んだあとは、自分で考えて自分で決めろ。大事なことはすべて教えた。」と言われたという。

自ら明かりを燈(とも)せ。つまり自分の指針を持たなければいけない。

これからは変化に対応できないことが最大のリスクとなる。だから、意思決定の方法を学んで、自分で道を切り開くことが、最大のリスクヘッジとなるのだ。この本は実社会を生きていくゲリラのような若者に、「武器」となる意思決定の方法を教えるものだ。

スティーブン・コヴィーの「7つの習慣」で、中国のことわざとして紹介されている「人に魚を与えれば、1日食べられる。人に魚の釣り方を教えたら、一生食べられる」(筆者訳)と同じ考えだ。

7つの習慣―成功には原則があった!7つの習慣―成功には原則があった!
著者:スティーブン・R. コヴィー
キングベアー出版(1996-12)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

世の中には「正解」などない。意思決定の方法を学んで世の中の生き方を身につけるのだ。


ディベート思考

この本で瀧本さんが教える意思決定の方法は、議論を通じて「いまの最善解」を導きだす「ディベート思考」だ。議論によって意識的に違う視点、複数の視点を持ち込み、ぶつけ合うことで「いまの最善解」を出すことができる。

瀧本さんは日本の会社で多い、結論の出ない会議はディベートとは言わない。ディベートで重要な点は次の通りだ。

★準備が8割
★誰が言ったかではなく、何を言ったか
★結論の内容以上に、結論に至る筋道が重要。前提が変われば、結論を変えればよい
★ブレないことに価値はない。ブレない生き方は、思考停止の生き方
★先送りというのは、「決断しないという大きな決断」
★ディベートはメリットとデメリットを比較して決める
★反論は「深く考える」ために必要なもの
★ディベートは、複数人でも一人でもできる

ディベートで明らかになってくる正しい主張は次の3条件を満たすものだ。
1.主張に根拠がある
2.根拠が反論にさらされている
3.根拠が反論に耐えた


ディベート思考のコツ

ディベート思考のコツは、事象をいくつかの要素に細分化して、具体的な問題にする下調べを行うことだ。たとえば、「結婚はいつしたらいいのか?」では議論にならない。「20代に結婚すべきか」のように具体的な問題まで落とし込むのだ。

この本では「サッカーの日本代表がワールドカップで活躍するには何をすべきか?」という練習問題を使って、ディベート思考を紹介している。

まずは思いつくまま要素を挙げていく。たとえば監督、選手、選手の選出方法、育成方法、ファン、マスコミ、競技施設、協会の運営など。そしてこのうちから重要と思われるものをいくつかピックアップして、優先順位をつける。

この例では瀧本さんは、サンプルとして「監督の強化」、「選手の育成方法」、「協会の運営方法」を選んでディベートしているが、もちろん他の論点でもよい。

「ドーハの悲劇」は、ある選手のロスタイム直前での攻め上がりが原因で生まれたが、なぜ時間稼ぎが必要なシーンで、わざわざ攻めたのか?選手は何を考え、監督は何を指導していたのか?日本のマスコミは「悲劇」をあおるだけで、問題の本質にメスをいれるような報道はほとんどなかったという。たしかに当時の映像を見ると、中東勢のように、終盤近くなると露骨に時間稼ぎをするという当たり前の戦法が、当時の全日本には全く見られないことがわかる。




練習問題も参考になる

「X社に内定したA君は就職活動を続けるべきか?」という練習問題など、いくつかの練習問題が紹介されている。京都大学の授業でも、このように進めているのだと思う。次がこの練習問題の意思決定のフローシートだ。

意思決定フローシート_ページ_1






出典:本書222−223ページ


意思決定のツールとしての「ホントのようなウソ」の見分け方

この本ではいくつかの意思決定のツールを紹介している。「ホントのようなウソ」の見分け方として、次のような練習問題を紹介していて興味深い。()カッコ内は反証の例。

★【練習問題】新卒で大企業に入れば、人生は安心か?
★【練習問題】私の友人の関西人はみんな早口でよくしゃべる。よって、関西人は早口だ。
★【練習問題】アメリカの死刑廃止州では、重大犯罪が少ない。よって、重大犯罪を減らすには、死刑を廃止するのが良い。
(重大犯罪が少ないから、死刑を廃止しているのかもしれない)
★【練習問題】女は地図が読めない。
★【練習問題】オタクだからモテない。
★【練習問題】英語ができる人ほど年収が高くなる。
(学歴が高いから、英語の成績もいいし、大手企業に就職できて年収も高くなるのかもしれない)
★【練習問題】営業成績の良い人は、仕事に対するモチベーションが高い。
(仕事に対するモチベーションが高いから、営業成績が良くなるのかもしれない)
★【練習問題】これを飲むだけで痩せるダイエット食品。
(被験者は痩せたらギャラがもらえるので、ダイエット食品を食べる以外にもいろいろと痩せる努力をしている)
★【練習問題】政権交代が起こると景気が良くなる。
(負けるわけにいかない前政権が景気対策を行うが、選挙には間に合わず敗北する。新政権が誕生してすこし経ったときに、前政権の景気対策が効果が出てきて景気が良くなる。新政権は自分たちが政権を取ったから、景気がよくなったと喧伝する。)


意思決定のツールとしての「情報収集術」

ディベートで自分の主張を証明、補強するための証拠収集術のポイントは次の通りだ。

★マスメディア、ネットの情報を鵜呑みにしない。マスメディアの報道とは逆の意見を集める。
★日経新聞のニュースで投資すると、まず間違いなく損をする。みんなが知っていることにあわせて行動をとっていたのではダメ。

瀧本さんは、あるゲーム会社の人気ソフトにバグがあったというニュースを聞き、株価が暴落した会社のコールセンターに電話して、バグの発生率が非常に低いことを確かめて投資したという。

★インタビューを行う時のポイントは次の3つ。
1.すべての人は「ポジショントーク」(家を持っている人は、持家をすすめる)
2.結論ではなく、理由(根拠)を聞く
3.一般論ではなく、「例外」を聞く

★「海外はこうだから、日本もそうすべきだ」論者などへの反論の仕方
1.資料の拡大解釈
2.想定状況のズレ
3.出典の不備
4.無根拠な資料(専門家の言う「私の経験上…」)


大学以降の人生では、情報に接したら、それが本当かどうかをまず疑ってくださいと瀧本さんは語る。本についても「読書は格闘技。」筆者の言っていることを咀嚼しながら読んでいくのだと。

瀧本さんの結論は「自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく」だ。今度紹介する「僕は君たちに武器を配りたい」も良い。若い人に限らず、どんな年代の人が読んでも大変参考になる本である。


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