ポジショニング戦略[新版]
著者:アル・ライズ
海と月社(2008-04-14)
販売元:Amazon.co.jp
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先日読んだ日本コカ・コーラ会長の魚谷さんの「こころを動かすマーケティング」に、マーケターの教科書として取り上げられていたので読んでみた。
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
著者:魚谷 雅彦
ダイヤモンド社(2009-08-07)
販売元:Amazon.co.jp
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邦訳第1版は1987年に電通出版事業部が自ら訳して出版している。いかに広告業界で広く読まれているかがわかる。
最初にマーケティングの泰斗フィリップ・コトラーの序文が載っている。
コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
著者:フィリップ・コトラー
朝日新聞出版(2010-09-07)
販売元:Amazon.co.jp
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コトラーによると、ポジショニングには次のような方法がある。
1.「商品特性」によるポジショニング
ボルボは安全性というポジショニングで成功した。フォルクスワーゲンのビートルの広告は「シンク・スモール」だった。
2.「価格」によるポジショニング
ハーゲンダッツは高級アイスクリームというポジションを確立した。ビールのミケロブは国産プレミアムビールという市場がなかったので、そこで成功した。
筆者も最初にピッツバーグに駐在した時は、ミケロブばかり飲んでいた。バドワイザーよりほんの少し(たしか6本で1−2ドル)高いだけだが、コマーシャルが高級感を与えていた記憶がある。
3.「路線」によるポジショニング
下着メーカーのヘインズは、デパート向けとスーパー向けを別ブランドで展開している。
4.「広告宣伝」によるポジショニング
ピザ・チェーンのリトル・シーザースは「1枚の値段で2枚のピザ」広告で成功した。ジャマイカを「カリブ海のハワイ」と呼んだ広告が成功した。
乾電池市場でナンバーワンだったエバレディを、アルカリ乾電池=デュラセルという商標で逆転した。
5.「対抗」型ポジショニング
エイビス・レンタカーの「我々はナンバー2です。だからより一層努力します」という広告で、一位のハーツに近づいた。
敵のポジションを崩すことも有効だ。アスピリンをターゲットとしたタイレノールのCMは、アスピリンを飲むと胃が荒れることを攻撃した。
ポジショニング戦略は、穴を探してそれを埋めることだという。訳者あとがきには、ポジショニングとは「商品ではなく、消費者の側から発想せよ」というものだという。なんだかよくわからない説明だ。
著者のアル・ライズとジャック・トラウトはマーケティングの専門家で、それぞれ自分のマーケティング会社を経営している。
この本は「ポジショニング」という新しい概念を広告業界に持ち込んだ最初のもので、成功したポジショニング事例、失敗したポジショニング事例を挙げておりわかりやすい。
一位と二位のポジショニングを紹介しておく。
★消費者の頭の中に入り込む簡単な方法は、一番乗りすることだ。コトラーは上記の類型を挙げているが、どんな形であれ一番乗りできればそれにこしたことはない。たとえばコカ・コーラは「ザ・リアル・シング」というコマーシャルを打った。世界トップブランドゆえにできるCMだ。
しかし既に他社が一番乗りしているケースがほとんどなので、2番手以降でどうポジショニングして一位を切り崩すかがポイントだ。
★一位を切り崩すことが容易ではない場合もある。たとえば米国のタイヤメーカーはすべてオハイオ州アクロンに本社がある。アクロンでは「グッドリッチが発明し、ファイアストンが改良し、グッドイヤーが売る」と言われているという。名前も似ているし、グッドリッチは、スティールベルト付きラジアルタイヤを発明したのに、いくらやってもグッドイヤーに勝てないのだ。
★コンピューターを発明したのはスペリーランドだが、消費者の頭の中にコンピューターという商品を受け付けたのはIBMだ。
★アメリゴ・ベスプッチとコロンブスとの関係でも言える。コロンブスはアメリカ大陸を発見したが、コロンブスは黄金を求めるあまり口をつぐんだ。アメリゴ・ベスプッチはコロンブスに5年遅れたが、アメリカをインドとは違うとポジショニングし、航海記を「新世界」として発表した。「新世界」は、40カ国語に訳された。
アメリカ大陸はベスプッチにちなんで命名された。コロンブスは獄中で死んだ(?)という。
身近な製品のコマーシャルが取り上げられているという点で、魚谷さんの本の方がわかりやすいが、その魚谷さんが推薦するマーケターの教科書ということなので、一読の価値はあると思う。
参考になれば次クリックお願いします。
著者:アル・ライズ
海と月社(2008-04-14)
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先日読んだ日本コカ・コーラ会長の魚谷さんの「こころを動かすマーケティング」に、マーケターの教科書として取り上げられていたので読んでみた。
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
著者:魚谷 雅彦
ダイヤモンド社(2009-08-07)
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邦訳第1版は1987年に電通出版事業部が自ら訳して出版している。いかに広告業界で広く読まれているかがわかる。
最初にマーケティングの泰斗フィリップ・コトラーの序文が載っている。
コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
著者:フィリップ・コトラー
朝日新聞出版(2010-09-07)
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コトラーによると、ポジショニングには次のような方法がある。
1.「商品特性」によるポジショニング
ボルボは安全性というポジショニングで成功した。フォルクスワーゲンのビートルの広告は「シンク・スモール」だった。
2.「価格」によるポジショニング
ハーゲンダッツは高級アイスクリームというポジションを確立した。ビールのミケロブは国産プレミアムビールという市場がなかったので、そこで成功した。
筆者も最初にピッツバーグに駐在した時は、ミケロブばかり飲んでいた。バドワイザーよりほんの少し(たしか6本で1−2ドル)高いだけだが、コマーシャルが高級感を与えていた記憶がある。
3.「路線」によるポジショニング
下着メーカーのヘインズは、デパート向けとスーパー向けを別ブランドで展開している。
4.「広告宣伝」によるポジショニング
ピザ・チェーンのリトル・シーザースは「1枚の値段で2枚のピザ」広告で成功した。ジャマイカを「カリブ海のハワイ」と呼んだ広告が成功した。
乾電池市場でナンバーワンだったエバレディを、アルカリ乾電池=デュラセルという商標で逆転した。
5.「対抗」型ポジショニング
エイビス・レンタカーの「我々はナンバー2です。だからより一層努力します」という広告で、一位のハーツに近づいた。
敵のポジションを崩すことも有効だ。アスピリンをターゲットとしたタイレノールのCMは、アスピリンを飲むと胃が荒れることを攻撃した。
ポジショニング戦略は、穴を探してそれを埋めることだという。訳者あとがきには、ポジショニングとは「商品ではなく、消費者の側から発想せよ」というものだという。なんだかよくわからない説明だ。
著者のアル・ライズとジャック・トラウトはマーケティングの専門家で、それぞれ自分のマーケティング会社を経営している。
この本は「ポジショニング」という新しい概念を広告業界に持ち込んだ最初のもので、成功したポジショニング事例、失敗したポジショニング事例を挙げておりわかりやすい。
一位と二位のポジショニングを紹介しておく。
★消費者の頭の中に入り込む簡単な方法は、一番乗りすることだ。コトラーは上記の類型を挙げているが、どんな形であれ一番乗りできればそれにこしたことはない。たとえばコカ・コーラは「ザ・リアル・シング」というコマーシャルを打った。世界トップブランドゆえにできるCMだ。
しかし既に他社が一番乗りしているケースがほとんどなので、2番手以降でどうポジショニングして一位を切り崩すかがポイントだ。
★一位を切り崩すことが容易ではない場合もある。たとえば米国のタイヤメーカーはすべてオハイオ州アクロンに本社がある。アクロンでは「グッドリッチが発明し、ファイアストンが改良し、グッドイヤーが売る」と言われているという。名前も似ているし、グッドリッチは、スティールベルト付きラジアルタイヤを発明したのに、いくらやってもグッドイヤーに勝てないのだ。
★コンピューターを発明したのはスペリーランドだが、消費者の頭の中にコンピューターという商品を受け付けたのはIBMだ。
★アメリゴ・ベスプッチとコロンブスとの関係でも言える。コロンブスはアメリカ大陸を発見したが、コロンブスは黄金を求めるあまり口をつぐんだ。アメリゴ・ベスプッチはコロンブスに5年遅れたが、アメリカをインドとは違うとポジショニングし、航海記を「新世界」として発表した。「新世界」は、40カ国語に訳された。
アメリカ大陸はベスプッチにちなんで命名された。コロンブスは獄中で死んだ(?)という。
身近な製品のコマーシャルが取り上げられているという点で、魚谷さんの本の方がわかりやすいが、その魚谷さんが推薦するマーケターの教科書ということなので、一読の価値はあると思う。
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