時短読書のすすめ

「あたまにスッと入るあらすじ」作者が厳選するあらすじ特選。その本を読んだことがある人は記憶のリフレッシュのため、読んだことがない人は、このあらすじを読んでからその本を読んで、「時短読書」で効率的に自己啓発してほしい。

2010年05月

東大五月祭でミスター東大コンテスト開催

以前紹介した東大五月祭でミスター東大コンテストが開催された。

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 東大






出場人数は13名で、東大B&W(ボディビル&ウェイトリフティング)部のOBが中心だが、陸上部の選手や、学習院のボディビル部の選手なども参加していた。

次が当日配布されたパンフレットだ。

五月祭






司会は山谷茜(あかね)さん。非常に場慣れしており、ボディビルコンテストでの用語も筆者以上に詳しいのに驚かされた。出場したB&W部OBの奥さんで、月刊ボディビルディングの記者だ(だった?)そうだ。

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解説は東大御殿下グラウンドのトレーナー、武田晃尚さん。B&W部出身ではないが、太い腕が印象的なビルダーだ。

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筆者は実はミスター東大コンテストは初めて見た。あまり人が集まらないのではないかと心配していたが、会場の法文二号館の文1大教室(300名くらい収容だろうか?)が満杯で立ち見の人も出るくらい盛況だった。

観客には女子高生や、防衛大学校だろうか、自衛隊の制服を着た自衛隊関係の学校の学生もいた。若い女性の観客も多く、現役部員の励みにもなったのではないかと思う。

途中から入場する人も多く、5−6名の中年女性のグループ(学生のお母さんたちだろうか?)も最後の方に入場し、佐々木卓君のゲストポージングを見ていた。

出場選手はコンテストを本気で優勝を目指す人と、会場を盛り上げるため(?)の出場者が混ざっており、見ていても楽しかった。観客も飽きることなく、楽しめたのではないかと思う。

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審査員の評価の他に、パンフレットにQRコードが付いており、観客が携帯電話から投票できるようにしていた。

ミスター東大コンテスト投票







フリーポーズ評価も顔評価も同じQRコードなので、同じ顔投票画面が表示されるのはご愛敬といったところだ。

優勝は法学部4年の岸上君。ボディビルコンテストの時期ではないので、他の選手は絞り込んでいないためキレ(ディフィニション)がやや欠けているのに対して、キレがよく、プロポーションもバルクもあった。岸上君の写真はミスター東大コンテストの特設サイトで公開されている

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上の写真は優勝した岸上君。それと主催者を代表して筋肉博士東大石井教授が講評しているところだ。

ゲストポーザーのタックこと、佐々木卓君の仕上がりが非常に良かったのが印象的だった。

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佐々木卓君はB&W部のOB3年目。法学部卒業後、理学部(?)に転科し、現在は石井教授の研究室で、大学院生として筋肉の研究を続けている。いずれは石井教授の良き後継者となることだろう。

佐々木卓君はテレビのクイズ番組などにも時々登場している。彼のポージングを初めて見たが、さすがに二年連続の学生ボディビルチャンピオン、2008年のミスター東京チャンピオンだけあって、バルクは石井教授の現役時代に匹敵するものがある。

コンテスト直前の時期ではなく、身体を絞り込んでいないために、ディフィニションはミスター日本やミスターアジアになった全盛時の石井教授のすごみ・迫力とは比較にならないが、肩幅も広く、骨格的には石井教授よりも恵まれた素質を持っているのではないかと感じた。

観客席まで降りていって、観客に写真を撮らせたりしていたので、観客もトップレベルのボディビルダーの身体が身近に見えて楽しめたのではないかと思う。

10年ぶりにミスター東大コンテストを復活させた主催者の企画力と実行力には感心した。いずれ社会人になっても、人を動かす力は必ずや役に立つと思う。

コンテストの後、帰りに石井教授と一緒になったので、話を聞いた。石井教授はゴルフはやらないが、年間300ゲームくらいボウリングをやっていて、この日も息子さんと一緒にボウリングのトーナメントに参加するとのことだった。

昔石井教授と一緒にボウリングをした時の記憶が甦ってきた。強烈な回転を掛けた強いボールが石井教授の持ち玉で、平均200をちょっと下回るアベレージとのことだった。

総じて現役と、出場選手、現役を支援するOB,他の大学の関係者、観客を巻き込んでイベントを盛り上げた司会の山谷茜さんや解説者の武田さん他の全員のチームワークの良さ、準備・運営の緻密さがよくわかるさわやかなイベントだった。

ボディビルを全く知らない人でも楽しめたと思う。

いずれこのイベントの映像はウェブで公開されるそうなので、楽しみにしている。



参考になれば次クリック願う。



東大五月祭でミスター東大コンテスト復活!

このブログでも何度か筋肉博士 東大石井直方教授の本を紹介しているが、石井教授が部長を務める東大ボディビル&ウェイトリフティング部の現役の発案により、約10年ぶりに五月祭でのミスター東大コンテストが復活した。ミスター東大特設サイトもできている。

 東大





五月祭の公式サイトB&W部現役のサイトでも告知されている。

5月祭サイト





 東大B&W部サイト






開催要領は次の通り:

 東大企画






場所は東大本郷の安田講堂前の法文2号館2階の文1大教室で、5月29日(土)15:30から17:30までの開催だ。

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ゲストポーザーは最近テレビのクイズ番組によく出ているタック君こと、佐々木卓君が務める。

筆者は知らなかったが、このミスター東大コンテストが縁で、応援の女子大生と結婚した選手もいる。

筆者は一度もこのミスター東大コンテストというのは見たことがないので、今回は見に行ってみようと思う。

興味のある人は、5月29日(土)午後東大本郷キャンパスまで行ってみよう!


参考になれば次クリック願う。



続 日本人の英語 文法より言葉の用法が大事だ

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日本人が気づかない英語の誤った用法を指摘した「日本人の英語」の続編。

日本人の英語 (岩波新書)日本人の英語 (岩波新書)
著者:マーク ピーターセン
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発売日:1988-04
おすすめ度:5.0
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「日本人の英語」が文法中心だったのに対して、「続日本人の英語」は単語の用法中心で、昔の名画や小説などのセリフを例として多く取り上げている。


雨に唄えば

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取りあげられているのは、"You were meant for me and I was meant for you."、これを映画の字幕スーパーでは「ふたりは結ばれていた ー 小指を赤い糸で」と訳していたという。

これは受動態で、能動態に直すと主語がある。それは「神」になるという(つまり"God means"?)。非常にレベルが高い話だ。


南太平洋

ミュージカルの名作の「南太平洋」からは、名曲"Bali Hai"や、ヒロインのネリーがシャワーで歌うところの歌詞が取り上げられている。

"I'm gonna wash that man right out of my hair".



実は「南太平洋」は映画で見たことがないので、DVDを借りて見た。YouTubeのこの映像は画質が良いと思う。

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俳句の魅力

ピーターセンさんは大学院の時に俳句をはじめて日本語で読んで、カルチャーショックを受けたという。その俳句は芭蕉の句と言われる次の作品だという。

落ちざまに水こぼしけり花椿

たしかに露をためた椿の花が、「敦盛の首のように」ついにぽとんとやわらかい土に落ちる場面が目に浮かぶ。

ちなみにこの「敦盛の首のように」はピーターセンさんがこの本で書いている表現だ。


前置詞のニュアンス

次の3つの文の違いを解説している。

I work at the University Library. (働く場所を意識している)

I work in the University Library. (建物の中のにあるという意識)

I work for the University Library. (そこに雇われているという意識)

同じくニュアンスの違いとして、

I made my mother write this letter. (無理矢理書いて貰ったという感じ)

I let my mother write this letter. (書かせてあげることにしたという感じ)
 
I had my mother write this letter. (書いて貰うのは当然だという感じ)

I got my mother to write this letter. (説得して書いて貰ったという感じ)


これが名訳というものだ

最後に川端康成の「山の音」の一場面をコロンビア大学のサイデンステッカー教授が英訳した文を紹介している。

「やさしい」が1ページに7回出てくるが、それを異なった英語で表している。

川端康成自身、「ノーベル賞の半分は、サイデンステッカー教授のものだ」と言い、賞金も半分渡しているそうで、まさに作品の細かな「ひだ」まで忠実に英語に訳した名訳と言えると思う。

非常にハイレベルの英訳がどういうものなのかよくわかるので、一寸長くなるが和文と「やさしい」がある部分の英訳を対比して紹介しておく。

食卓を囲んで主人公の信吾(62歳)、妻の保子、最近女ができた長男の修一、しとやかでやさしい嫁の菊子、「半出戻り」の娘の房子が談笑するという設定だ。

「お父さまは、菊子さんにやさしくていいわねえ」と房子はいったりした。…

"Isn't father nice to Kikuko," said Fusako...

「そうですよ。わたしだって、菊子にはやさしくしているつもりですよ。」と保子が答えた。

"Yes, of course," said Yasuko. "I try to be good to her myself."...

房子は答えを必要とするような言い方でなかったのに、保子が答えた。笑いをふくんだ声でありながら、房子をおさえつけるようだった。

「このひとが、わたしたちに、たいへんやさしくしてくれますからね。」

"After all, she's good to us."....

菊子は素直に赤くなった。

保子も素直に言ったのだろう。しかし、なにか自分の娘にあてつけがましく聞えた。

幸福に見える嫁を好いて、不幸に見える娘をきらうように聞えた。残酷な悪意を含むかと疑われるほどだ。…

「僕は賛成しないぞ。亭主にだけはやさしくない。」と修一が言ったが、じょうだんにもならなかった。

"I don't agree that she's all that kind." said Shuichi. "She's not to her husband" The joke was not successful.

信吾が菊子にやさしくすることは、修一や保子は勿論、菊子もよく知っていて、誰も改めて口に出さないことなのだが、房子に言われてみると、信吾はふとさびしさに落ち込んだ。…

It should have been clear to all of them, to Shuichi and Yasuko as well as Kikuko herself, that Shingo was particularly gentle toward Kikuko....

やさしくすると言っても、信吾の暗い孤独のわずかな明かりだろう。そう自分をあまやかすと、菊子にやさしくすることに、ほのかなあまみがさして来るのだった。

Kindness to her was a beam lighting isolation. It was a way of pampering himself, of bringing a touch of mellowness into his life.

出典:新潮文庫「山の音」

山の音 (新潮文庫)山の音 (新潮文庫)
著者:川端 康成
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発売日:1957-04
おすすめ度:4.5
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出典: The sound of the mountain

The Sound of the Mountain (Vintage International)The Sound of the Mountain (Vintage International)
著者:Yasunari Kawabata
販売元:Vintage
発売日:1996-05-28
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前作の「日本人の英語」とはまた違った切り口で参考になる本だった。

20年近く前の本だが、アマゾンのランキングでも「日本人の英語」の285位には及ばないが、2、745位とよく売れていることがわかる。

ハイレベルの英語に興味がある人におすすめする。


参考になれば次クリック願う。



「エコノミックアニマル」は褒め言葉だった 英語の誤訳って結構多い

「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)
著者:多賀 敏行
販売元:新潮社
発売日:2004-09
おすすめ度:4.5
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ケンブリッジ大学で法学の修士学位を持つ外交官で、駐チュニジア全権大使の多賀敏行さんの英語の本。

お目にかかる機会があったので、サインも頂いた。

多賀さんサイン






タイトルも含めて、次のような文を集めている。

第1章 「日本人は12歳」の真意

第2章 「エコノミック・アニマル」、「ウサギ小屋」は悪口か

第3章 アーネスト・サトウと山下将軍の無念

第4章 暗号電報誤読の悲劇 ー 日米開戦前夜

第5章 漱石の鬱屈、魯迅の感動

第6章 ダイアナ妃とブッシュ・シニアの文法

第7章 存在しない「グローバル・スタンダード」という言葉

第8章 ブッシュ・ジュニアの国連演説

第9章 騒動の中心はたったひとつの言葉

付録として1951年5月5日のマッカーサーの上院答弁の原文、1941年11月4日の日本の東郷外相から野村駐米大使宛ての電報(暗号が誤読された電報原文)、1979年のEC報告書(英語版)を紹介している。

「文藝春秋」などで公開された作品もあり、文学小品として大変興味深いものばかりだ。


マッカーサーの「日本人は12歳」発言

たとえばマッカーサーの「日本人は12歳」発言。筆者もマッカーサーが日本人のことを見くびった発言だとばかり思っていたが、この本の解説と原文を読むと、決して日本人をバカにした発言ではないことがわかる。

日本人をバカにした発言と思いこんでいる著名人の例が挙げられており、そのような評価につながった朝日新聞の報道や「天声人語」も紹介されている。

意に添わない受け止められ方をしてマッカーサーも残念だったことだろう。多賀さんも「あまりにも気の毒な感じがしてならない」と語っている。

マッカーサーの発言は、マッカーサーがトルーマン大統領に解任されて、帰国直後の1951年5月5日の上院の軍事・外交合同委員会の時のものだ。

ちなみにこの1ヶ月ほど前に、マッカーサーは上下両院議員を前に「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」(Old soldiers never die; they just fade away.)という有名な言葉で締めくくった演説をしている。

日本の民主化の成功を得々と説明するマッカーサーが、つい「一旦自由を享受した国民が(平時に)自発的にその自由を手放したという事例は一つたりとも私は知りません。」と言い切ったのに対して、ロング議員が意地の悪い切り返しをした。

ロング委員はワイマールドイツの例を出し、一旦は民主化したのにファシズムに転換した例もあるではないかと鋭く突っ込んだので、とっさにマッカーサーが答えたのがこの発言だ。

ドイツやアングロサクソンは文化的にも45歳の成熟期といえ、ナチズムも国際道義を知っていながら侵略やホロコーストなどを確信犯的に犯したものだ。

これに対し日本は長い歴史がある民族ではあるが、社会の発達の度合いからも12歳の少年のように(they would be like a boy of 12)ナイーブで民主主義教育が可能だと言いたかったものだ。

多賀さんの総括の言葉を引用すると:

「日本人はドイツ人と異なり封建体制下でしか生きたことがなく、世界のことも十分知らず暮らしてきた。欧米の社会の発展の度合いでみると子供のようなものである。しかし子供であるからこそ、教育が可能だ。壮年期に確信犯として悪事を働いたドイツとは違う」ということを強調したかったのだろう。」

この本で紹介されている原文を読んでも、多賀さんの理解が正しいと思う。

ネガティブ発言として歴史に埋もれてしまったマッカーサー発言を、原典にまで遡って調査して、誤解を解消する多賀さんの地道な言論活動に敬意を表する次第である。

マッカーサーと、その良きカウンターパートの吉田茂も感謝していることだろう。


その他の話の要旨

詳しく紹介すると本を読んだときに興ざめとなるので、筆者の備忘録も兼ねて要旨だけ紹介しておく。


★「エコノミック・アニマル」、「ウサギ小屋」は悪口か
日本を「エコノミック・アニマル」と読んだのはパキスタンのブット元首相だが、多賀さんの外交官の先輩によるとブット氏は「自分は決して日本人を侮辱するつもりでエコノミック・アニマルと言ったのではないのに」と語っていたという。

ブット氏はUCバークレーとオックスフォード大学を卒業し、同大学で教鞭をとったこともあり、完璧なイギリス英語を話したが、この「○○アニマル」という云い方は、決して侮辱的ではないことが様々な根拠から論証されている。

★1979年のECの報告書に「日本人はウサギ小屋のような住居に住んでいる」と書かれたことを、フランス語の原文までたどって、決して侮辱的な意味ではなかったことをきっちり説明している。

フランス語では共同住宅のことを"cage a lapins"、と呼んでいるが、これは文字通り訳すと「ウサギ小屋」となるのだ。

★アーネスト・サトウと山下奉文(ともゆき)将軍の無念
アーネスト・サトウは幕末の日本を書いた「一外交官の見た明治維新」の著者として有名だ。アーネスト・サトウの話は、幕府との交渉の時に"The treaties"なのか"treaties"なのかで、あいまいに幕府側が説明したことにミスリードされたという話だ。定冠詞の有無で意味が全然異なる例である。

一外交官の見た明治維新〈上〉 (岩波文庫)一外交官の見た明治維新〈上〉 (岩波文庫)
著者:アーネスト サトウ
販売元:岩波書店
発売日:1960-01
おすすめ度:5.0
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山下奉文中将はシンガポール陥落の時の日本軍指揮官で、英軍パーシバル中将が降伏交渉でくどくどと条件交渉をはかったので、"Yes"か"No"かで答えを迫ったという話で有名だが、実はこれは通訳が悪かったのでしびれをきらしたのだという。

終戦の時、フィリピン方面軍総司令官の山下奉文大将の降伏調印式には捕虜収容所から出所したばかりのパーシバル中将がいたという。マッカーサーの報復である。

山下奉文―昭和の悲劇 (文春文庫)山下奉文―昭和の悲劇 (文春文庫)
著者:福田 和也
販売元:文藝春秋
発売日:2008-04-10
おすすめ度:4.0
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★暗号電報誤読の悲劇
太平洋戦争前からアメリカは日本の暗号を解読していて、ルーズベルト大統領は”マジック”と呼んでそれを読んでいたが、実は重要な部分に誤訳があってそれが日米交渉を終了に追い込んだ理由の一つになったという。

別ブログで紹介している「真珠湾の真実」でも解読された日本の暗号文が数多く紹介されているが、この本では英文と和文が対照されているので、興味深くわかりやすい。

真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々
著者:ロバート・B・スティネット
販売元:文藝春秋
発売日:2001-06-26
おすすめ度:3.0
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開戦当時、外務次官だった西春彦氏は「回想の日本外交」に、日米交渉の際に日本側が甲・乙両案を出したのに、アメリカ側は重大な譲歩を含む甲案に興味を示さなかったので不審に思ったことを書いている。

西氏が戦後、東京裁判の時に不思議に思って米国の暗号解読資料を読んでみると1941年11月4日の東郷外相から野村駐米大使宛の電報が、米国側に誤訳され、日本側は誠意がないと受け止められる内容となっていて、はじめて甲案に米国が反応を示さなかった原因がわかったという。

この傍受電報の誤訳が日米交渉が決裂した大きな原因の一つになったと思うと、西さんは、その晩は眠れなかったという。

回想の日本外交 (1965年) (岩波新書)回想の日本外交 (1965年) (岩波新書)
著者:西 春彦
販売元:岩波書店
発売日:1965
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★漱石の鬱屈(うっくつ)、魯迅の感動
ロンドン留学時代の夏目漱石が官費留学にもかかわらず金欠病で、海外生活不適応症候群となっていたのに対して、日本留学中の魯迅は「藤野先生」にも書かれている通り、大変熱心に指導を受け、文法の誤りも含めノートはすべて朱筆してもらったという。

阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)
著者:魯迅
販売元:講談社
発売日:1998-05
おすすめ度:5.0
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多賀さんもケンブリッジ留学時代に教授から"I am slightly disappointed at your rather slow progress."という具合に「英国人的指導」を受け、それから論文を念入りに朱筆してもらって、有り難かったことや、英国での下宿生活の経験を書いている。

筆者もアルゼンチンで2年間、研修生として賄い付きの下宿で生活していたが、他に3人アルゼンチン人の同宿人がいた。

いまだに彼らとは文通しているが、土日(平日は朝・夕、土日は夕食はなかった)は彼らと一緒に食事したり、外出したりして楽しく過ごし、スペイン語漬けの生活を送ったので、帰国して社内スペイン語検定で1級が取れた。

同宿人はスペイン系アルゼンチン人とイタリア系アルゼンチン人だったが、一緒に町を歩くと、出会った若い女性には必ず声を掛けるので、閉口する部分もあったが、今から思えば楽しい思い出である。

多賀さんも書いているが、やはり良い下宿、良い環境で生活するというのは、語学を上達させる上で絶対に必要だと思う。


★ダイアナ妃とブッシュ・シニアの文法
湾岸戦争の時に、ブッシュ・シニアが「サダム・フセインがイラクからいなくなったらよかっただろうとは思う。これは超過去完了時制ですよ。」と言ったという。

原文では、"'Out of there' would be have been nice. This is ex-pluperfect past tense."と言ったという。「超過去完了」などなく、実際には仮定法過去だが、インテリらしく見せないブッシュ・シニア一流の切り返しだという。

ダイアナ妃は自分のことを"She won't go quietly"とインタビューで語り、強い女の一面をのぞかせた。


★存在しない「グローバル・スタンダード」という言葉 
よく「アメリカン・スタンダードはグローバル・スタンダードではない」という風に使われるが、これは和製英語のようだ。


★ブッシュ・ジュニアの国連演説
"We will work with the U.N. Security Council for the necessary resolutions"と最後が複数形になっているのは、フランスに配慮してのことだという。英語は奥が深い。


★騒動の中心はたったひとつの言葉
カナダのクレティエン首相の報道官がブッシュ大統領のことを"moron"と呼んで辞任。"moron"とはうすのろのことだ。その他"recalcitrant"とか難しい単語をめぐってのエピソードが紹介されている。


多賀さんの知性と教養があふれる英語のショートストーリー集である。楽しく読めてためになる。

簡単に読め、大変面白い本なので、是非手にとって見て欲しい。


参考になれば次クリック願う。



日本人の英語 20年間売れ続けているベストセラー

日本人の英語 (岩波新書)日本人の英語 (岩波新書)
著者:マーク ピーターセン
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発売日:1988-04
おすすめ度:5.0
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20年前の出版ながら、いまだにアマゾンのベストセラーランキングで291位(2009年8月21日現在)となっているオバケ ロングセラー。

先日読んだ多賀敏行さんの「外交官のうな重方式英語勉強法」に紹介されていたので読んでみた。

2006年4月の時点で73万部売れたというから、現在はたぶん90万部近く売れているのではないだろうか。

この本の書評はアマゾンに現在59件寄せられて、ハンパではない。しかもほとんどが5という高い評価だ。ネイティブだからこそ書ける、まさに目からウロコの英語書である。筆者が読んでから買った本の一つだ。


著者のマーク・ピーターセンさんは米国ウィスコンシン州出身

著者のマーク・ピーターセンさんは現在は明治大学の教授だが、この本を書いた当時は明治大学の選任講師だった。

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出典:http://www.i-osmosis.jp/interview/mark_petersen/profile.html

米国ウィスコンシン州出身でフルブライト交換留学生として日本に学び、東工大で「正宗白鳥」(!)を研究したという。

ウィスコンシン州、ミネソタ州などの北中央部の英語は、クセがなくて良いのかもしれない。

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出典は以下注記ない限りWikipedia

筆者は米国駐在時代にウィスコンシン州に、しばしば出張したが、寒冷地ということもあってかなぜか黒人が少なく、ドイツ系やポーランド系、ノルウェー系移民が多い地域で、ウィスコンシン州は自動車用などの鋳物産業が盛んな土地だ。

1980年代には、ブラジルからセントローレンス川を通って五大湖まで2万トン級の船(外航船としては小さい)のパートカーゴで(船全部でなく、いくつかの船倉を使う)木炭銑鉄を輸入し、ミルウォーキー港の埠頭倉庫に在庫して、ウィスコンシン州やイリノイ州の鋳物工場などに販売していた。

筆者の住んでいたピッツバーグからは、シカゴかデトロイトでコミューター飛行機に乗り換えてマディソン空港に行くか、シカゴかミルウォーキーまでジェット機で行って、そこからレンタカーで3時間程度走ってマディソンに行っていた。

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マディソンは小さい町だが、州議会やウィスコンシン大学(マスコットはバジャー=たぬき(アナグマでなくたぬきだと思う))があり、湖があってきれいな町だ。

ちなみに「マディソン郡の橋」のマディソン郡はアイオワ州にあり、ウィスコンシンの州都マディソンではない。

マディソン郡の橋 (文春文庫)マディソン郡の橋 (文春文庫)
著者:ロバート・ジェームズ ウォラー
販売元:文藝春秋
発売日:1997-09
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日本人に多いミス

はじめに日本人に多い英文のミスを列挙している。

1.冠詞と数
  a, the, 複数、単数などの意識の問題
  ここに英語の論理の心があり、観念の上では、この二つ(冠詞と数)を別々に考慮することは不可能に近いという。

2.前置詞句
  英語には前置詞(to, at, in, on, about, aroundなど)が多い。微妙な差が付けられているが、その反面トラブルも多い。

3.Tense, 文法の「時制」
  日本語には時制の代わりに、「相(aspect)」があり、tense自体ないので、様々な奇妙な英語が生じる。

4.関係代名詞
  that, whatなど、用法は完全に論理的で、基本的には使いやすい。

5.受動態
  論文に目立つ受動態の使いすぎ。

6.論理関係を表す言葉
  因果関係をあらわす(consequently, becauseなど)から、もっと微妙な関係をあらわす(thereby, accordinglyなど)豊富にあり、英語と日本語の感覚の違いから使い方に問題が出てくる。

いわゆる"time-tested"、長年のベストセラーだけあって参考になる例が多い。印象にのこった例を紹介しておく。


ネイティブは名詞に a をつけるのではなく a に名詞をつける

「ネイティブは名詞に a をつけるのではなく a に名詞をつける」という発想は、たぶんこの本で最も有名な指摘の一つだろう。まさに目からウロコだ。

「a に名詞をつける」と言われても、何のことか、にわかには分からないかもしれないが、日本語で考えるのではなく、いわば”英語アタマ”で考えると、なるほどと納得できると思う。

「つまり、"a"というのは、その有無が一つの論理的プロセスの根幹となるものであって、名詞に付くアクセサリーのようなものではないのである」

まず言いたいこと=アイデアがありきで、そのモノが特定のものなのか、1つ2つと数えられるありきたりのものなのかで、論理的に a か the か、何も付かないかが決まり、次に適切な単語を探すということだ。

これは筆者の意見だが、スペイン語やフランス語、ドイツ語などの名詞に男性形、女性形(ドイツ語は中性も)がある場合を考えると、さらにひとひねり加わると思う。

まず言いたいこと=アイデアがありきで、そのモノが特定のものなのか、1つ2つと数えられるありきたりのものなのかで、スペイン語だと不定冠詞 unか una(女性形)か、定冠詞 elか laか決まる。

次に名詞を選ぶが、スペイン語の場合は una mesa や un escritorio(どちらも机だが、mesaは食卓、escritorioは勉強机の意味)の様に名詞と冠詞とセットになって覚えているので、女性形でも男性形でも名詞に冠詞がくっついて出てくる感じだ。

★a を付けてはいけない例
a を付けない例としてエビスビールのラベルを挙げている。

以前は、"YEBISU, the legendary character, brings you a good luck"と長年書かれていて、ピーターセンさんは英語の教育者として落胆していたそうだが、"87.07.下"の刻印のビールから a がなくなり、"YEBISU, the legendary character, brings you good luck"となったのだと。

エビスビールは自宅で愛飲しているので、缶のラベルを見たが、缶にはこの表記はない。ちなみに瓶にはラッキーエビスという魚が2匹とれたラベルの瓶もあるようだ。「当たり」の様なものだが、特に特典はないという。

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出典:http://web-box.jp/kohassan/yebisu.htm

★a の間違った用法
a の間違った用法として、次の文を挙げている。

"Last night, I ate a chicken in the backyard". これだと一匹のを捕まえて食べたという意味になる。

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チキンを食べたなら、"Last night, I ate chicken in the backyard."で、a は要らない。

これは間違いの英文としても傑作といってよいものだと。


日本人に多い間違い

★日本人はtheを使いすぎる
ある英文学術雑誌の各論文の冒頭の文、66を抜き出して調べると、余計なtheがあったものが24,Theの足りないのは7,aの足りないのは6,余分なaはゼロ、冠詞がカンペキなものが16あったという。

★Theの例
歴史上最も有名なセンテンスを挙げている。

In the beginning God created the heaven and the earth - Genesis 1:1(創世記1:1)

それぞれ一つしかないものだからtheが使われている。

★純粋不可算名詞も間違いやすい
information, equipment, knowledge, assistance, evidence, advice, help, health, dependenceなどが純粋不可算名詞(複数形がない)の例だ。

冒頭のエビスビールのラベルの英文が良い例だ。"YEBISU, the legendary character, brings you a good luck"と長年書かれていたが、1987年7月に修正されて a が取れたという。

★英語に訳せない日本語
「思いやりがなさすぎる」

たしかに逐語訳はできない。筆者の案では、"He is anythging but considerate"だが、これが正解かどうかわからない。


前置詞の使い方

★日本語で「〜で」という場合、常にbyとは限らない
The cranes were observed by binoculars"

ではなくて、

The cranes were observed with binoculars"だという。

by binocularsだと、「双眼鏡に観察された」という意味になるのだ。

800px-Koogan_binoculars_01






今や「ワープロ」は死語に近くなっているが、タイプライターは"written on a typewriter"というので、「ワープロ」も "written on(not by) a word processor"となる。

★inとonの論理
inとonは論理が一貫している。中に入るのinで、上に乗るのがonである。だからin timeとon timeも、一定時間の中に入るのがon timeで、ある一瞬とぴったり合うとon timeとなる。

また乗り物は、自分で操縦できる者はget in a carで、ただ運ばれるのはget on a trainとなる。

カツラはtake off, 髢(かもじ=付け毛)はtake outだ。髢(かもじ)なんて言葉知らなかった!これがアメリカ人の書いた日本語かと驚く。

★over/aroundの例
Why don't you come over sometime?

Why don't you come around sometime?

どちらも「いつでもおいでよ」という親しみを表しているが、ニュアンスの差は、come overの方が直接的で、come aroundの方がついでに寄る感じがでている。

この"Why don't you〜?"では苦い思い出がある。新入社員の時に外国のお客をアテンドした時、この言い方を知らずに、"Because〜"と答えてしまったのだ。そのお客を、えらく理屈っぽい奴だなと思っていたが、軽い呼びかけ方とは知らなかった。

★明治な大学
University of Meijiというのは英語ではありえず、Meiji Universityでしかない。

of地名が正式名称となっている国立大学はThe University of Tokyo"(東大)しかない。

YasudaAuditorium





★上野動物園のパンダは英語でどう言う
上野動物園のパンダは、the pandas of Ueno Zooか、Ueno Zoo's pandasか、それともUeno Zoo pandasかという疑問には、最も所有感の強いのはUeno Zoo's pandasだが、Ueno Zoo pandasという名詞並びでも良いという。

Ueno-zooLightmatter_panda






時制と相(aspect)

★点と線
ピーターセンさんは、"What are you always doing on Sunday?"と聞かれて何を聞かれているのかわからず、無気味に感じて、答えられなかったという。「日曜日に何ばかりしているのですか?」という感じだと。

これを聞くなら、"What do you usually do on Sundays?"となるだろう。

★英語は「時」日本語は「相」
典型例は日本語の「行く前に」だ。

英語だと行動の時間によって、"before I go; before I went; before I had gone; before I have gone; before I will have gone"といった時制が考えられるが、日本語では「行った前に」とは言わない。常に「行く前に」だ。

ピーターセンさんにとっては、最近のアメリカ人の時制の使い方が崩れてきて、ときどき恥ずかしい思いをするという。

"We have signed a contract"は現在も契約している状態で、"We signed a contract"は、正確に言うと現在では契約はない状態なのだと。


関係代名詞

★カンマの使い方
たとえば次の文だ。

The Nobel Prize which I received last year was a great honor.

The Nobel Prize, which I received last year, was a great honor.

最初の文だと、昨年受賞したノーベル賞ということで、前にもノーベル賞を受賞したことがある様なニュアンスとなる。2番めの文なら、正しく伝わる。

600px-NobelPrize








日本人に多い受動態

この本は雑誌「科学」の1986年1月から1987年12月までの2年間に"Mark Remarks"という名前の連載をまとめたもので、理系の人向けに元々書かれたものだ。

木下是雄さんという人が書いた「理科系の作文技術」というベストセラーもあり、「科学者の書く日本語は受身(受動態)の文が目につく」という。

客観的であるべき自然科学の論文は、英語でも"I"と言わず"the author"と言い、受身の形で書けと教わってきたからだというが、最近では英語国の学者の中でも受動態を排除する動きもあると木下さんは語っている。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))理科系の作文技術 (中公新書 (624))
著者:木下 是雄
販売元:中央公論新社
発売日:1981-01
おすすめ度:4.5
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筆者はどちらかというと理系の審査員資格を持っているが、日本語でもやたら受動態が多いのに気が付く。だから筆者の場合は、報告書はすべて能動態で言い直している。

論文でよくあるのは次のような例だ。

"The following results of this experiment was obtained…”

これを英語らしく書くと、

"We obtained the following results in this experiment"とか"The results of this experiment are as follows"とすべて能動態になる。

主語と述語が離れすぎるのもわかりにくい。またピーターセンさんの最も嫌いなのは"was investigated"だという。

"The possibility of building a new hospital with funds provided by both private donation and governmental assistance under the new law was investigated"という感じだ。

これは、シンプルに

"We investigated the possibility of building a new hospital …"とすればわかりやすい。


どの「従って」を使うか?

accordinglyは、従ってというよりは、それに応じてという感じで、consequentlyはas a resultと同じく、結果として何らかの状態となることだ。

よく使われるthereforeは大げさすぎるという。

As, so, since, becauseについては、soは口語的なので、論文では使わない方が良いという。Asはbecauseともwhenともとれるので、意味が正確に伝わらないおそれがあり、科学論文には使わない方が良いという。

sinceとbecauseが、論文などにちょうど良い堅さなのだと。

ピーターセン氏が推薦するのは、therebyとthus、それに論文にふさわしいhenceだ。


この本を有名にしたmyの用法

★電子レンジは my で、冷凍庫は the?
この本を有名にしたもう一つの指摘は、この電子レンジは my で、冷凍庫は the という説明だ。

電子レンジと冷凍庫を比較すると、冷凍庫は一般家庭に普及しているので in the freezer だが、電子レンジは当時では珍しく、自分のモノという所有意識があるので、in my microwave なのだと。

20年前なら電子レンジも珍しかったが、今や1万円以下の電子レンジさえある時代なので、もはやmy microwaveという人は少なくなっていると思う。

シャープ 電子レンジ RE-T1-W5(ホワイト系/50Hz )
シャープ 電子レンジ RE-T1-W5(ホワイト系/50Hz )


なにはともあれ、所有意識によりmyが付くというのは優れた指摘だと思う。


20年前のベストセラーなので、上記のmy microwaveなどのやや古いと思われる例もあるが、それにしても目からウロコの英語本である。

新書なので簡単に楽しく読める。まだ読んでいない人には是非一読をおすすめする。


参考になれば次クリック願う。



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