やめないよ (新潮新書)やめないよ (新潮新書)
著者:三浦知良
新潮社(2011-01-14)
販売元:Amazon.co.jp
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日経新聞のスポーツ欄にほぼ隔週で連載しているキング・カズこと横浜FC所属三浦知良選手のエッセー集。

筆者は一度だけカズの試合を見たことがある。

横浜FCがJ−1に昇格してのリーグ戦で、ジェフ千葉との試合を横浜スタジアムに見に行ったのだ。

その時カズはたしか故障明けで、試合には出場しなかった。

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試合が始まってしばらくして控えの選手がアップを始めた。そこで目の前で練習していたカズを見ただけだったが、体がえらくスリムなのに驚いた。

この本でも時々出てくるが、カズは現役サッカー選手なので、体をいわばF−1マシンのように保っているという。筋肉質で持久力も瞬発力もあり、体脂肪は1ケタ台に保っているが、逆に寒さに弱く、ウィルスにも弱い。

40代の男性なら少なくとも体脂肪率は12ー13%くらいあった方が抵抗力もあって健康体なのではないかと。

カズの場合、23年落ちのF−1マシンのようなものなので、エンジン(心肺機能)は強いが、一度走るとタイヤ(筋肉)がすごくすり減り、サスペンション(関節)への負担は大きい。だから専属トレーナーや調理師が必要なのだと。

もっとも時々トレーナーの指示を無視して、六本木・麻布方面に「テスト走行」に出かけることもあるとうそぶく。

キング・カズだけに、巨人軍原監督とグアムの空港で「ヘーイ、キング・カズ!」と呼びかけられた話とか、行きつけの店に行ったら、マリナーズのイチローがカズの指定席を占領していて「カズさん、ブラジル(2014年ワールドカップ)行くんでしょ?見たいね。」と言われた話とか、すごい人脈だ。

イチローには「あのね、J−2で出ていないんだから・・・・。」というと、「関係ないでしょ。見たいね。」と言われ、そこまで言われると行けるような気がしてきたという。

WBCの優勝監督の原監督は、グアムの空港でカズが野球好きの息子を紹介すると「それじゃ、ジャイアンツで待っているぞ!」と手を振って去っていたという。

なんというさわやかさだろうとカズも驚嘆している。

サッカーではジーコの精神が残っているチームとして鹿島を絶賛している。ジーコは「勝負がかかれば何であれ負けるな」とじゃんけんでもリラックスゲームでも常に真剣に取り組んでいたという。

スタメンから外れた選手による練習試合でも、鹿島との試合では「試合に出たい」というハングリーさが浦和とは違っていたという。

これは2009年の話だ。

2009年のJリーグ最終戦では、昇格して1年目で降格が決まっていた横浜FCが一位の浦和に勝つという番狂わせを起こし、2位に急上昇していた鹿島が逆転優勝したドラマがあった。

鹿島のオリヴェイラ監督が練習試合の後で訪ねてきてくれたという。「カズ、君は我々の誇りだ。元気にやっているじゃないか。本当は何歳なんだ?」

カズは練習試合でもフル出場していると。

声を出して仲間を統率し、試合後は入念にクールダウンする。ひそかに見届けていた彼は言ってくれた。

「君はエゼンプロ(手本)だ。その精神を鹿島の選手も見習ってほしい。」リーグを3連覇した優勝監督の激励に涙が出たという。

先週の松田直樹選手の弔問に訪れていたカズがテレビのニュースに報道されていたが、引き締まった面構えはまさに戦士そのものだ。

松田選手が所属していた松本山雅チームは松田選手が亡くなる直前に、7月30日にアウェーで筆者の住む町田市の町田ゼルビアと試合をしている

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試合前のポスターでは相手チームの松田選手が全面に出ていたが、この試合は松田選手は交代でも出場していない。松田選手はJFL後期日程は全試合出場していたので、やはり体調が悪かったのかもしれない。

サッカー選手は常にフィットの状態に保っているのだと思うが、カズの「F−1」という言葉であらわされる通り、松田選手のような「もろい」面もある。

筆者も実は高校時代2年生までサッカー部に入っていた。たった2年間だけだったが、足首をねんざした他、ヒザの痛みに悩まされた。

それを考えると子供の時から40年近くサッカーを続けているカズは驚異的だ。綿密な体のケアをしているのだろう。

カズには、ひきつづき体に気をつけて、現役生活を続けて、1点でも多くのゴールを挙げ、日本に元気を与えてほしい。

ガンバレ、カズ!


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