日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)
著者:竹田 恒泰
PHP研究所(2010-12)
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旧皇族家出身で、作家として活動する竹田恒泰さんの近著。

竹田さんは慶應大学法学部の講師として「天皇と憲法」を担当しているという。

誤解しやすい点だが、旧皇族は昭和22年に廃止されているので、昭和50年生まれの竹田さんが皇族であったことは一度もない。

しかし血筋が良いのは勿論間違いなく、おじいさんの旧竹田宮王はスポーツの宮様として有名だ。竹田さんのお父さんの竹田恒和さんも旧皇族ではないが、ミュンヘン・モントリオールオリンピックの日本代表で、現在JOC会長を務めている。

竹田宮の旧邸は現在の高輪プリンスホテルだ。

別ブログでは竹田さんの「語られなかった皇族たちの真実」と「旧皇族が語る天皇の日本史」を紹介しているので参照願いたい。

語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫)語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」 (小学館文庫)
著者:竹田 恒泰
小学館(2011-02-04)
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以前の本が参考になったので、30万部売れているというこの本も読んでみた。

簡単な目次なので次に引用しておくが、なか見!検索に対応しているのでここをクリックして目次などを見て欲しい。

序章 世界でいちばん人気がある国「日本」

第1章 頂きます ー 「ミシュランガイド」が東京を絶賛する理由

第2章 匠(たくみ) ー 世界が愛する日本のモノづくり

第3章 勿体ない(もったいない) ー  日本語には原始日本から継承されてきた”和の心”が宿る

第4章 和み(なごみ) ー 実はすごい日本の一流外交

第5章 八百万(やおよろず) ー 大自然と調和する日本人

第6章 天皇(すめらぎ) ー なぜ京都御所にはお堀がないのか

終章  ジャパン・ルネッサンス ー 日本文明復興

巻末対談 日本は生活そのものが「芸術だ」 北野武 x 竹田恒泰 天皇から派生する枝葉のなかに我が国の文化はすべてある!


この本のタイトルは自分で付けたのではなく、放送作家のたむらようこさんに付けてもらったものだと謝辞にかいてある。

「どうやら今、世界は猛烈な日本ブームに沸いている」と書いているわりには、根拠が薄弱な感がある。

一つの根拠は2006年から2008年までのBBCの世界33カ国の調査で、日本が「世界に良い影響を与えている国」ナンバーワンにランクされたことだ。

しかし、この本に掲載されているランキング表は2010年のもので、これではドイツが1位、カナダが2位、EUが3位で、日本は4位となっていてガックリくる。あまり細かいことには拘泥しない人なのだろう。

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出典:本書10−11ページ

それ以外の根拠としては、台湾はラブ・ジャパンの大御所とか、観光で日本を訪れた人はおおかた良い印象を持って帰ること、アニメなどの「クール・ジャパン」、ミシュランが質・量ともに東京のレストランを絶賛していること、トルコやウズベキスタンなど絶対の親日国があることなどを挙げている。

ちなみにトルコが世界一の親日国であることは、別ブログで以前紹介した通りだ。

トルコ世界一の親日国―危機一髪!イラン在留日本人を救出したトルコ航空トルコ世界一の親日国―危機一髪!イラン在留日本人を救出したトルコ航空
著者:森永 堯
明成社(2010-01)
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この本で参考になったのは「和製漢語」が中国でも使われており、「中華人民共和国」の「中華」を除く「人民」も「共和国」も和製漢語だという指摘だ。次のような和製漢語表を紹介している。

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出典:本書111ページ

大正・昭和の初期には多くの中国の知識人が日本に留学した。たとえば孫文、周恩来、蒋介石は全員日本に留学していた。だから欧米の言葉を日本語に訳した「和製漢語」が中国に逆輸入されたというのはうなずける話だ。

ちなみに今度紹介するサーチナの鈴木さんの「中国の言い分」という本で、「原則」は日本では例外もありうるというニュアンスだが、中国では絶対に変えられないのが「原則」なので、同じ漢字でもニュアンスが異なると指摘している。「原則」が和製漢語だったとは知らなかった。

中国の言い分 〜なぜそこまで強気になるのか?〜 (廣済堂新書)中国の言い分 〜なぜそこまで強気になるのか?〜 (廣済堂新書)
著者:鈴木 秀明
廣済堂出版(2011-01-18)
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第4章の「実はすごい日本の一流外交」のところでは、日本のパスポートは高い値段で闇取引されることを日本外交が一流である証拠の一つとしている。

ビザなしで入国できる国が多く、日本人なら諸外国のビザも簡単に取ることができるからだという。しかし現在のICパスポートになると偽造は難しいから、こんなほめ方はできなくなるだろう。

ところどころに天皇論が出てくるのが、竹田さんの本の特色である。

★今上天皇の御製の「人々の幸願ひつつ国の内めぐりきたりて十五年経つ」を挙げて、天皇陛下にとって最大の幸せは、国人の幸せであることがうかがい知れると竹田さんは語っている。

★「他の国にない日本の特長の最たるものは、天皇と国民の絆ではなかろうか。(中略)日本人全体を一族と考えたら、皇室は日本人の宗家ともいえる存在で、天皇はその課長にあたると考えやすいだろう。天皇と国民の関係を何かにたとえるなら、親と子の関係に似ている。」

★「親が子ども一人一人に最大の愛を注ぐように、天皇は国民一人ひとりにサイダ院お愛を注いできた。親の愛と、天皇の愛は、いずれも見返りを求めない真実の愛であり、親と子、天皇と国民の間に損得勘定は存在しない。」

東北大震災以降、天皇皇后両陛下が多くの避難所を訪問されておられるが、真実の愛という説明は納得できる。

天皇の愛はいわば"Love supreme"(至上の愛)と言えるかも知れない。

この本にたけしと竹田さんの対談が載っている。たけしは宮中茶会で天皇・皇后両陛下から「映画、たいへんですね」と声をかけてもらい、親しくお話ししたときの印象として、「不謹慎を承知でいえば、戦争で天皇陛下の名前を呼んで死んでいくのもわかる」とコメントしている。



さすが日本を代表する映画監督のたけしだけあって「腑に落ちる」言い方である。たしかに「天皇陛下万歳」と叫んで敵陣に突撃するのは、日本人にしかできなかっただろう。

結論として竹田さんは「ジャパン・ルネッサンス」つまり、西欧化以前、明治維新前夜の日本文化を再発見し、当時の気概を取り戻すことを提案している。


もともと雑誌"VOICE"の連載記事だったので、本文中に論拠などを十分に示していないゆえに説得力が欠けているきらいがある。巻末に主要参考文献を6ページにわたって紹介しているので、本文のどこに関係しているのか注釈があれば、もっと説得力が出て、より良かったと思う。


参考になれば次クリック願う。